(496)便失禁のご相談 | 大阪肛門科診療所 院長 佐々木いわおブログ──『過ぎたるは及ばざるにしかずだよ、佐々木君』

大阪肛門科診療所 院長 佐々木いわおブログ──『過ぎたるは及ばざるにしかずだよ、佐々木君』

「切りすぎた肛門は元には戻せないんだよ・・」故隅越幸男先生の言葉をいつも心の真ん中に置いて「切りすぎない手術」「切らない肛門診療」を追求する肛門科専門医が、手術のこと、治療のこと、日常のことを、綴ります。

2019年に脳出血を発症し

右片麻痺となった

大阪肛門科診療所、院長の

佐々木巌です。

 

肛門科のこと、脳出血、麻痺、

その他諸々について語るブログへ

ようこそ。

 

当ブログのタイトルは

尊敬する肛門科の先駆者である

故 隅越幸男先生がよく仰っていた

言葉です。

 

タイトルの言葉を解説した記事です。

よろしければ。

 

 

過ぎたるは及ばざるに如(し)かずhttps://ameblo.jp/driwao/entry-11769993835.html

 

 

 

さて、 久しぶりのブログ更新となりました。

 

心配して下さった皆さん、ありがとうございます。

おかげさまで、元気です。

 

忙しくて、

おまけに仕事が前よりもノロくて、

ブログを更新する暇がありませんでした。汗

 

早速なのですが、

今回は、いただいたご質問に答えたいと思います。

 

 

 

私は便失禁に悩んでおり、 止める方法を探しています。

ガスをする時に少し便が出てしまうのです。

括約筋を鍛えれば良いと思うのですが、いかがでしょうか?

 

 

 

この方は、

ご自身を便失禁と

自己診断しておられるのですが、

正直、

診察してみなければわかりません

 

便失禁とは

この方のお考えの通りで

肛門の括約筋が弱くなり

便を保持することが

できなくなった状態です。

 

一方、似たような症状で

便失禁よりも

やや軽い病状の方に対しては

下着汚染Soilingと言う病名が

使われることがあります。

 

この方の診断が

便失禁なのか、下着汚染なのか

診察しなければ分かりません。

 

便失禁の治療は、

この方のお考えの通りで

弱くなった括約筋を強くすることです。

 

・筋肉を鍛える

・手術をする

などの方法があります。

 

当院は便失禁に関しては

特別、得意なわけではありません。

 

また、便失禁の手術は

現在は行っておりません。

 

この点をご理解くださいますように

お願いいたします。

 

 

さて、唐突ですが

当院が治療を得意とするのは

出残り便秘®︎です。

 

 

出残り便秘®︎について

 

 

 

私たちは

下着汚染のほとんどは出残り便秘®︎によるもの

だと考えています。

 

出残り便秘®︎では便を出しきれずに、

肛門・直腸に残るため

肛門に挟まったごく少量の便が

ガスを出すときに

一緒に肛門の外に出てしまうのです。

 

便は半固形から固形の場合、

大きな塊は重量があるため

ガス程度では動きません。

 

しかし、

少量の出残り便が

肛門に挟まっている場合、

便は小さく軽く

肛門の外までの距離もわずかです。

 

ガス程度の小さな力でも

あるいは、重力だけでも

肛門の外に出てしまいます。

 

ですから、

下着汚染の便の量は少ないのです。

 

下着汚染の場合、

括約筋は正常ですので、

括約筋を鍛えても

効果が期待できません。

 

下着汚染の治療法は、

便を完全に排出すること

だと考えています。

 

今回のご相談では、

真の便失禁なのか、

それとも下着汚染なのか、

これが

最も重要なことだと思います。

 

診察しなければ

お返事が難しい問題です。

 

5月の中島公園での写真。

ラブは気持ちよさそうに寝転んでいました。