中学受験をしないなら英語を先取りすべき?小5で考えたい「英検2級」と高校受験への戦略
中学受験をするのか、それとも中学受験をせずに高校受験へ進むのか。
小学校5年生くらいになると、この問題を現実的に考え始める家庭も増えてきます。
特に難しいのが、
「中学受験をしないなら、英語を伸ばしておいた方がいいのではないか」
という問題です。
僕は、この判断をするときに重要なのは、小学校5年生の時点で「中学受験をする・しない」を決めるだけではなく、その後の6年間をどのように設計するかまで考えることだと思っています。
例えば、四谷大塚の合不合判定テストで、小学校6年生時点に偏差値55程度になると予測される子がいたとします。
偏差値55は、決して「平均だから中学受験をやめる」というような数字ではありません。
むしろ、中学受験を十分に検討できる学力水準です。
一方で、同じ子が英語について小学校5年生の時点で英検準2級プラス程度、あるいは英検準2級程度だったとします。
ここで非常に悩ましい状況が生まれます。
中学受験でも一定の位置にいる。英語も先取りしている。しかし、どちらも圧倒的な武器というほどではない。
この「どっちつかず」が、実は一番避けたい状態なのではないでしょうか。
今回は、オンライン報告会や友人らとの会話で出てくることが多い、早期・おうち英語をどうシフトしていくかについてです。
小6で英検2級は「英語をやってきた」と言える一つの到達点
もちろん、英検の級だけで英語力のすべてを判断することはできません。
それでも、早い段階から英語に取り組んできた家庭にとって、小学校6年生で英検2級というのは、一つの非常に分かりやすい到達目標になります。
ここで重要なのは、「小6で英検2級を持っていれば絶対に成功」という話ではないことです。
そうではなく、
「幼年期から小学校時代に英語へかなりの時間を投資してきたのであれば、どこまで到達しているのか」
を考えるための基準として、英検2級を置いてみるということです。逆に言えば、小学校生活までを通して英語教室や塾、おうち英語などに継続的に取り組んできたにもかかわらず、卒業時点で英検3級程度だった場合、英語以外に明確な成果があるのでなければ、一度立ち止まって考える必要があります。
「英語をやってきた」という感覚と、
「中学校以降の学習で使える英語力が身についている」
ことは、必ずしも同じではないからです。
英検3級を持っている小学生は、中1で大きなアドバンテージになるのか
ここはかなり重要なポイントです。
例えば、小学校卒業時に英検3級を取得していたとします。
もちろん、何もやっていない状態より英語の知識があることは間違いありません。
しかし、中学校に入ってから周囲の生徒が本格的に英語学習を始めると、その差は意外と早く縮まります。
「小学生のうちに英検3級を取った」という事実そのものが、6年間にわたって強烈なアドバンテージとして残り続けるわけではありません。
むしろ重要なのは、
その先まで進んでいるか
です。
英検3級で止まっているのか、準2級、準2級プラス、2級へ進んでいるのか。
さらに、単に資格を持っているだけではなく、長文を読めるのか、文法を理解しているのか、英語を使って考えられるのか。
ここで差が生まれます。
特に高校受験を前提にするのであれば、英語は「小学生のときに英語をやっていた」という経験だけではなく、中学校の英語学習を先取りし、その後の高校入試につながる力として育てておくことが重要になります。
「英語を楽しむ」ことと「受験で使える英語」は別問題
ここで、「英語を型にはめたくない」「英検を取らせることが目的になるのは違う」という考え方も出てきます。
これは、もちろん理解できます。
英語を楽しみ、英語の音に慣れ、英語を聞いたり話したりする経験は非常に価値があります。
しかし、中学受験をしないと決めたのであれば、そこから先には一つの現実があります。
高校受験という入試が待っている。
そして高校受験では、英語が主要科目として扱われます。
例えば東京都立高校の共通問題では、英語について、基礎的な知識だけではなく、聞いたり読んだりした内容について考えを表現する力、既習の語彙・表現を活用する力、文章の概要や要点を正確に把握する力などが求められています。令和8年度の都立高校共通問題では、英語の受検者は3万人を超え、平均点は61.2点でした。
つまり、
「なんとなく英語が聞けます」
「英語で簡単な会話ができます」
だけでは、高校受験で求められる英語力とは別の話になってきます。だからこそ、高校受験をすることが決まっているのであれば、小学生の段階から受験につながる英語力を意識して積み上げておくことには大きな意味があるのです。
小5で「公立中学へ行く」と決めることの意味
ここで、最初の「中学受験偏差値55」という話に戻ります。
もし小学校5年生の段階で、
「中学受験はしない。公立中学へ進学して高校受験をする」
と決めたのであれば、僕はむしろ、その時点から戦略を切り替えることには大きなメリットがあると思います。
なぜなら、中学受験をやめることで、小学校5年生・6年生の時間を別のことに使えるからです。
例えば、合不合で偏差値55程度を狙えるだけの国語・算数の基礎学力がある。
その状態を維持しながら、英語を本格的に先取りする。
そして中学校入学時点で、すでに高校受験を見据えた英語力を作っておく。
これは非常に強い戦略になり得ます。
しかも、ここで大切なのは「中学受験をやめたから勉強量を減らす」という発想ではありません。
勉強の方向を変えるのです。
中学受験では国語・算数・理科・社会を中心に入試対応力を高めます。一方、高校受験を選択したなら、小学校高学年では国語・算数の基礎学力を維持しながら、英語を大きく先取りする。
この違いです。
小6で英検2級なら、中学入学後の「余裕」が大きく変わる
では、もし小学校6年生で英検2級程度まで到達していたらどうでしょうか。もちろん英検2級を持っていることだけで、高校受験が自動的に簡単になるわけではありません。
高校受験では、英語以外にも国語・数学・理科・社会があります。また、学校によっては英語以外の要素も含めて総合的に評価されます。
それでも、英語という一科目について言えば、中学校入学時点でかなり先に進んでいることは大きな意味を持ちます。
東京都立高校の共通問題は中学校の教育課程に基づく学力を基本として作成されています。
だからこそ、中学1年生の段階ですでに高校入試を意識した英語力が形成されていれば、その後の時間を「英語をゼロから習得すること」に大量投入する必要がなくなります。
英語を早く終わらせるというより、
英語に余裕を作る。
これが本当のメリットです。
その余裕を数学、国語、理科、社会に回すこともできます。
あるいは、英語をさらに上のレベルへ進めてもいい。
高校入試だけをゴールにするのではなく、高校入学後、さらに大学受験まで見据えた英語力に発展させることもできます。
「先取りしていない英語」は、意外と簡単に追いつかれる
ここが今回の話で最も怖いところです。
小学生のときに英語をやっていた。
英語教室にも通っていた。
英語の動画も見ていた。
英会話もできる。
だから「うちの子は英語が得意」と思っている。
しかし、中学校に入ってから、本格的に高校受験を意識して英語を勉強する子が出てくる。その子が文法、単語、長文読解、リスニング、英作文を体系的に勉強し始めると、それまでの「なんとなくできる英語」の差は急速に縮まる可能性があります。
つまり、
先取りしていること自体ではなく、先取りした結果として何ができるようになっているのか
が重要なのです。
英検3級を小学校卒業時に取得したことよりも、英検準2級、準2級プラス、そして2級へ進み、なおかつ実際の英文を読む力・理解する力が身についていることの方が、その後の高校受験にはつながりやすい。
この視点は、かなり重要だと思います。
一番怖いのは「中受偏差値55」と「英語準2級プラス」の両方がボリュームゾーンになること
結局、ここに今回の話が集約されます。
小学校5年生の段階で、
「6年生になれば合不合偏差値55くらいになりそう」
「英語は準2級プラスくらいまで行きそう」
という状態だったとします。
どちらも決して悪くありません。
むしろ、かなり頑張っている状態です。
しかし、そこから中学受験をするのか、高校受験へ移行するのかを決めず、両方を何となく続けてしまうと、どちらも決定的な武器にならない可能性があります。
中学受験では偏差値55前後。
英語では準2級プラス前後。
そして時間だけが過ぎていく。
これが最も避けたいパターンです。
だからこそ、小5という段階で、
「この子はどちらのルートで勝負するのか」
を考える価値があります。
中学受験を回避するなら「英語を積み上げる」という選択肢がある
僕は、中学受験をしないことを「受験から逃げる」と考える必要はないと思います。
むしろ、受験の種類を変えるだけです。
中学受験をしないのであれば、その代わりに高校受験という次の入試があります。
だったら、その高校受験を少しでも楽にするために、小学生の時間を英語に投資する。
そして、中学入学時点で英語に大きな余裕を作る。
これは非常に合理的な考え方です。
特に、小5の段階ですでに一定の国語・算数の学力があり、合不合で偏差値55程度を狙える基礎学力があるのであれば、その学力を維持しながら英語を伸ばすという選択肢は十分に成立します。
もちろん、全員に英検2級が必要という話ではありません。
英検も目的ではなく手段です。
大切なのは、
高校受験という将来の試験から逆算して、今の英語学習を設計すること。
これです。
「英語を楽しむ」ことと「受験英語を学ぶ」ことは、本来どちらか一方を選ぶ必要はありません。
楽しみながら英語に触れ、その上で必要な語彙、文法、読解力を積み上げる。
その結果として英検という資格を使って現在地を確認する。
この順番なら、英検に振り回されるのではなく、英検を学習のマイルストーンとして利用できます。
「中2から受験英語に切り替えればいい」は本当に余裕なのか
最後に、もう一つ考えておきたいことがあります。
「小学校では楽しく英語をやって、中学校2年生くらいから受験英語に切り替えればいい」
という考え方です。
もちろん、それでも高校受験に成功する子はいます。
しかし、それを「誰でも余裕」と考えるのは危険です。
なぜなら、英語を中2から受験科目として本格的に学び始める場合、その時点で単語、文法、読解、リスニング、英作文などをまとめて追い上げる必要が出てくるからです。
一方、小学生のうちから高校受験を意識した英語力を積み上げていれば、中学校に入ってからの英語学習は「追いつくための勉強」ではなく、「さらに伸ばすための勉強」にできます。
この差は大きいでしょう。
中学受験をしないなら、早くから高校受験を意識する。
そして、
高校受験をするなら、英語は早くから積み上げる。
この二つは、かなり相性の良い戦略です。
中学受験偏差値55程度の学力を持った状態で、小学校高学年から高校受験を見据えた英語を積み上げる。
もし小学校6年生で英検2級程度まで到達できれば、少なくとも英語については中学校入学後に大きな余裕を作れる可能性があります。
そして、その「余裕」こそが、高校受験を楽にする最大のメリットなのではないでしょうか。
中学受験をするか、しないか。
英検を取るか、取らないか。
本当の論点はそこではありません。
小学校5年生の時点で、その子が6年後、7年後にどの入試を受けるのか。その入試から逆算したとき、今の時間を何に使うのが最も合理的なのか。
そこまで考えて初めて、「中学受験を回避して英語を伸ばす」という選択肢の意味が見えてくるのだと思います。
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