【都立高校入試2026】平均点の罠。
データから見抜く「本当にヤバい教科」と二極化の実態
令和8年度(2026年度)東京都立高等学校入学者選抜学力検査結果に関する調査報告書が公表されました。
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kyoiku/report01-080625
速報では「今年の国語は易化した」「理科の平均点が上がった」といった、分析が目立ちますよね。
しかし、保護者の皆様が本当に知りたいのは「平均点の速報」ではなく、「データの裏に隠された東京都教育委員会の意図」と「来年以降、あるいは小学生のうちからどう勉強すればいいか」という具体的なロードマップなのかなと。
この報告書を「学力分布」や「小問正答率」で読み解くと、現在の入試で起きている「二極化」と、知識があるのに本番でボロボロ落ちる子の共通点が見えてきました。
今後を見据える親御さんに向けて、データを端折ることなく徹底的に深掘りします。
国語の「易化」が意味する、他教科の「1ミスの重み」
今年の国語は平均点が74.9点と非常に高く、一見すると「受験生に優しいイージーゲーム」だったように見えます。実際に問題を見ても、過去数年と比べて受験生を悩ませる設問が減り、「読めれば解ける」問題が大半を占めました。高得点帯が非常に厚くなっているのも特徴です。
しかし、これは「国語で差がつかなくなった」ことを意味します。国語が落とせない教科になったからこそ、他の教科における「たった1マスの記述ミス」「1問の読み飛ばし」の重みが致命傷になるという、非常にシビアな選抜構造へと変化しているのです。
報告書の「改善の視点」を紐解くと、東京都は一貫して「語彙」「複数場面を結び付ける力」「筆者の意図」「複数資料の統合」を強調しています。これは漢字の暗記量を増やせばいいという話ではなく、近年の中学受験国語やPISA型学力で問われる「情報統合能力」が、都立入試でも完全に必須スキルになったことを示しています。
理科・社会の「歪んだ分布」と正答率30%の壁
平均点の上下に最も騙されやすいのが理科と社会です。
理科の平均値は前年の59.2点から66.7点へと7.5点も急上昇し、一見するとこちらも易化したように見えます。しかし、得点分布のグラフを見ると、80点以上の割合が23.0%から36.5%へ一気に跳ね上がっている一方で、重要な単元である思考力を要する問題の正答率は、例年通り30%前後にとどまっています。
つまり、東京都は「基礎問題はかなり取りやすくしたけれど、思考問題の難度は落としていない」のです。その結果、「取れる子は一気に80点以上まで突き抜けるが、苦手な子は思考問題でピタッと足止めを食らう」という極端な二極化が生じています。
社会も同様です。平均点は59.9点と前年並みですが、中位層が厚くなる一方で、高得点帯が縮小しています。正答率を細かく見ると、資料を使って考える問題や、複数の知識を脳内で結び付ける問題で受験生が大きく失点しています。これらは都立中高一貫校でも言えることですよね。
東京都教育委員会が「統計資料を活用して多面的・多角的に考察する力(社会)」「観察・実験結果を関連付けて考察する力(理科)」を繰り返し強調しているのは、知識の丸暗記(一問一答)で乗り切ろうとする受験生の「考察力のなさ」を課題視しているからです。
英語のデータが証明した「記述になった瞬間に1割台へ大暴落する」罠
5教科の中で最も綺麗で、かつ冷徹な正規分布(選抜試験としてのバランス)を保っていたのが英語(平均61.2点)です。しかし、小問正答率を1問ずつ追いかけていくと、今の受験生が抱える最大の弱点と、都立英語が持つ「英検的なスコアリングゲーム」の性質が浮き彫りになります。
大問1のリスニングデータの詳細を見てみましょう。
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対話文1:正答率 60.4%
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対話文2:正答率 75.8%
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対話文3:正答率 77.5%
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リスニングB Question 1:正答率 71.8%
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リスニングB Question 2:正答率 18.9%
この数字の落差は異常です。4択のマークシートであれば、適当に選んでも確率25%になるはずですが、それを大きく下回る18.9%を叩き出しています。なぜなら、この「Question 2」は、質問に対して自分で英文を書き上げる「記述式(記述ライティング問題)」だからです。
他の問題が7割以上の正答率であることから、今年の受験生は「英語の音自体はかなり聞き取れている」ことが分かります。それなのに、記述になった瞬間に1割台へ大暴落する。これこそが、都立英語が仕掛けるトラップの正体です。
報告書に記載されている、この問題の主な誤答例が非常に本質を突いています。 多くの受験生が、To see a beautiful view. や To sing a song.と書いて間違えていたそうです。
これらは決して、生徒が頭の中でゼロから捏造した英文ではありません。スピーチの音声の中で、実際にハッキリと発音された「耳に残る魅力的なフレーズ」です。 受験生は、スピーチ全体の文脈や、質問が何を求めているのかという「縛り条件」を正確に処理できないまま、聞こえてきた部分的なパワーワードに飛びつき、それをそのまま解答欄に放り込んで全滅したのです。
これは英検(3級)のリスニングやライティングでもおなじみの「情報の後出し・上書きトラップ」そのものです。英語力以前に、「問題を処理する練度」の差がダイレクトにスコアの断絶を生んでいます。
都立英語は1問の配点が4点〜5点と非常に大きく、減点法でガチガチに採点されます。お洒落な英語が話せる子ではなく、「ミスを誘う選択肢を疑い、自分の知っている確実な文法とスペルで、条件通りに泥臭く書き切るリスク管理能力」を持った英検慣れ・記述慣れしている上位層だけが、ここで4点を確実に拾い、80点以上の領域へと選抜されていくシステムになっています。
5教科に共通する「1割の壁」:小学生のうちに本当に育てるべき能力とは?
「記述・思考系になった途端にボロが出て、正答率がバカ下がりする」という現象は、英語だけでなく5教科すべてに共通する現代の受験生の急所です。
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数学: 公式に当てはめるだけの基本題は解けても、自分で論理のステップを組み立てて「補助線」を引く記述問題で手が止まる。
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理科: 暗記した単語は答えられても、初見の実験データから「条件」を整理して考察する問題で、英語のリスニング同様に「それっぽいキーワード」をツギハギした意味不明な記述を書いて0点になる。
お膳立てされた選択肢から選ぶマークシートや、一問一答の知識ゲームなら、今の子供たちは器用にこなします。しかし、一歩踏み込んだ「思考のプロセス」をゼロから組み立て、自分の言葉で出力(アウトプット)させると、途端にミスをしてしまうのです。
本当に価値があるのは、小学生のうちから、
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「なぜその補助線が必要なのか?」を言語化させること
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「この実験では、何と何の条件を比較しているのか?」を整理させること
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「問題文にある『ただし〜とする』という縛りルール」を絶対に見落とさないこと
という、泥臭い「条件処理能力」と「論理的記述力」の練度を鍛えることなのかと思います。
日頃から「読む・まとめる・説明する」という、ハメ技の通用しない本質的なアウトプットを繰り返している子こそが、中学受験、高校受験、そしてその先の大学受験にいたるまで、変化する入試制度の中で涼しい顔をして高得点帯へ突き抜けていくことに結果的になるのかと。
この「記述・思考の練度」を家庭学習の軸に据えていけたらなと思っています。
参考になれば・・・
でわ
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