今回は、術後の軟膏処置についてお話します。
皮膚のはっていない傷は、乾燥させると治りは遅くなり目立つ傷になりやすいので、乾燥させず、ひたひたにふやかさず適度な湿潤環境で治癒させるのがよいとされています。
転倒してえぐれた傷などは、湿潤環境にするとしないで痕の残り方が全くかわります。
では、手術による縫合創はどうでしょうか?
表皮と表皮がぴったり合っていない隙間のある縫合創では、皮膚欠損部があり湿潤環境にする方がきれいに治ります。
逆にぴったりと隙間のない傷であればすぐに皮膚がつながるので、湿潤環境にした方が少しはましなのですが、そこまで大きくかわりません。
美容外科では傷跡を気にされる意識が高い患者さんが大勢おられます。しっかりと理解されていればいいのですが、しっかり塗り込もうと指で力強く塗布したり、塗るときに傷跡が気になるので、重瞼の術後などで思いっきり眉をあげて創部を伸展させながら鏡を見てて塗布したり、傷によくないことを、いいことしていると思ってケアをしている方をよく見かけます。
そのため、当院では、時間をかけて密に隙間なく丁寧に縫合しており術後1回の軟膏塗布だけで十分きれいに治癒するため、自宅での軟膏処置は指示しておりませんでした。過剰ケアによる害の方が大きいと判断していました。
ですが、患者さんの自己判断で軟膏処置し、海外から取り寄せた軟膏でかぶれたり、軟膏のつけすぎで創部がふやけてたり(over-wet)する方が、最近、増えてきましたので、目元手術後に当院でも術後軟膏処置を指導し、自宅で当院処方の軟膏をつけていただくことといたしました。
目元以外の手術では、以前より軟膏ではなく被覆材を用いております。被覆材は瞼に貼付するのが困難なため、軟膏処置とします。
軟膏塗布方法
・目元手術翌日から抜糸日朝まで
・1日2回塗布
・綿棒などでそっと優しく塗布し、余剰分は軽くふき取る
・眉あげしたり、指で引いたりして、傷を伸展させない
抜糸後については、特に軟膏処置は必要ありません。
乾燥肌の方は普段から使用している保湿剤をまぶたに塗布していただいてもかまいません。術後3ヵ月くらいまでは、傷を引っ張るようなことだけは避けてください。気になるかもしれませんが、毎日、傷を伸ばして鏡をみていると、傷が開いて血が出るということはまずおこりませんが、傷の幅は徐々に太くなっていきます。
以上です。
当院は12月30日お昼まで
年明けは1月5日より診療を行っています。