2017-4-30 すみだオペラ第6回公演「カルメン」 | Dream Journeyのブログ

Dream Journeyのブログ

日々の日記と旅行などの写真のアップがメインです。

30日の午後は京成曳舟駅のすぐ近くにある曳舟文化センターで上演された、すみだオペラ第6回公演「カルメン」に足を運びました。
オペラのため内容につきましては割愛、出演者につきましてはアップした通りとなります。
2日公演が両日ともにソールドアウトだったということですが、開演前には墨田区長のご挨拶もあったりして、文字通りに墨田区を挙げてのオペラとなっていることが伺えるものとなっておりました。
セットは4幕共にしっかりとしたものとなっており、オーケストラの演奏も良かったですね。日本語上演は賛否あるのかもしれませんが、不自然な感じはありませんでしたし、字幕を見なくて良い分だけステージに集中できるという良さはありますね。
タバコ工場の前の広場、セビリヤの酒場、山中にある密輸団の中継地、セビリヤの闘牛場とそれぞれにインパクトのある場面と音楽、そして歌声に演技でした。
カルメンは先日のドン・ジョバンニの回でも書きましたが、悪女ながらも自由に自分らしく生きて恋愛することを求め、死んでもその生き様を貫く姿はある種の潔さを感じますね。表現は不適切かもしれませんが、どうしようもないジプシー女ながらも世界中で愛されるのはそんな姿にあるのかもしれません。その役柄を日向さんの演技と歌声でしっかりと魅せていただきました。
ホセは奔放なカルメンの一番の被害者でもあり、加害者でもある訳ですが、真面目で少しトロいところがある故に泥沼にはまって悲劇的な結末を招いてしまう、そんな悲しくもあるキャラクターだなと感じました。最後のシーンは覚悟を決めながらも立ち去ろうとするカルメンを引き留めた上で刺してしまうという形になっておりました。
ミカエラはある意味でどうしようもないアウトローばかりの中で唯一ピュアな存在で、カルメンにもホセにも人生を振り回されているはずですが、この物語の清涼剤的な立ち位置ですね。出番は限定的ですが、そのキャラクターがあるからこその一種の救いがあるようにも感じました。
エスカミーリョは2枚目の闘牛士で、カルメンをホセから奪った形になったことで間接的に悲劇の幕を引くわけですが、もしカルメンがホセに殺されていなければどういう境遇をたどったのだろうかと気になったりもしました。2枚目の志村さんというのは初めてかもしれませんが、流石の歌声で初役とは思えない存在感でした。帽子を飛ばすシーンでちょっとだけそれと一緒に飛ばしてくれないかというある種の期待をしてしまいましたが、今回は真面目な演技というある種の貴重なものだったかもしれません。
メルセデスを演じた野田さんは年末年始の三井ビルのランチコンサート以来ですね。こういうステージでは秋のこうもり以来となります。今回はフラスキータと共に2幕冒頭のジプシーソングではワンフレーズずつカルメンの前に歌ってというアレンジになっていてとても印象的でした。その後も3幕のカード占いをはじめ随所に存在感のある演技でしたね。以前に観た時は3幕のシーンしか印象に残っていなかったのですが、今回はカルメンの友人としての役回りや存在感を知ることができたのは良かったです。
その他にも兵士達や密輸団、さらには少年少女合唱団、バレエダンサーの方々と様々な役どころでステージを観応えのあるものとしていました。4幕では区長もちょっとだけ登場して盛り上げていました。
カルメンは音楽も印象的なものが多いですが、描かれている世界はアウトローであるにも関わらず、カルメンというキャラクターの自由さと奔放さ、そしてぶれることのない生き様にある種の憧れを持ってしまうところがありますね。仮にこの時生き延びたとしても、いつかはこういう結末を招いたのかもしれません。
カルメンを観たのは2年ぶりの2度目でしたが、前回とはまた違った印象もあったりしました。そして、名作はやはり名作だなと言うことを改めて感じました。またの機会にも観てみたいですし、その時にはどのような感想を持つのだろうと思ったりもします。そんな気持ちになったGW前半の休日でした。