2017-4-29 アルテリーベ東京「食べて歌って恋をして~イタリア的恋愛のススメ~」 | Dream Journeyのブログ

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29日の土曜日は久しぶりに夕方まで家でゆっくりしておりましたが、夜は新橋のアルテリーベ東京にて開催されたアルテリーベセレクション「食べて歌って恋をして~イタリア的恋愛のススメ~」に足を運びました。
出演者は
石原妙子さん(ソプラノ)
別府美沙子さん(ソプラノ)
加藤康之さん(テノール)
比留間千里さん(ピアノ)
の4名でした。冒頭に今回はイタリア留学を経験された出演者によるものということで、イタリア留学時代の思い出を交えながら、イタリアにちなんだ作品で構成されているという案内がありました。
そのオープニングは全員によるヴェルディの椿姫より「シャンパンの歌」から。この曲らしく華やかに、加藤さん、別府さん、石原さんの順番で歌ってその後は重唱という形でそれぞれの持ち味を聴きながらの歌声でした。
続いては別府さんによるロッシーニの「フィレンツェの花売り娘」。賑やかで明るい雰囲気のフィレンツェの情景が思い浮かぶように、歌の後半は花売り娘の売り込む様子や必死な思いという明るさだけではない心情が伝わってくる歌声でした。
続いては石原さんによるマスカーニの「花占い」。タイトル通りに花占いをしながら愛する人が自分のことを好きかどうかを確かめるようにちょっと不安げな思いも込めて、結果はノーと出てしまうも占いなんて関係ないわと開き直るように前向きな気持ちも感じられる後半という女心を込めての歌声が素敵でした。
前半の最後はヴェルディのオペラ「リゴレット」より「それは心の太陽」を別府さんと加藤さんの重唱で。純粋無垢なジルダのところに現れたプレイボーイのマントヴァが偽名を使って口説く2人の出会いの場面を、イタリアの愛の歌らしい情熱的な歌声での重唱でした。戸惑うジルダに対して、一生懸命に情熱的だがしたたかに口説くマントヴァというのはいかにもという感じではありますが、やはり名曲ですし、2人の歌声も本当に素晴らしかったです。

後半に入って、加藤さんによるガスタルドンの「禁じられた音楽」から。少年の歌うカンツォーネの歌声に心を惹かれた少女が同じ歌を歌おうとすると母に禁じられるという場面の歌ということで、冒頭は歌声に心惹かれる様子を情熱的に、その後は男と女の心情を込めるようにドラマの場面のようにも感じる歌声を歌い分けての聴き応えのある歌でした。
一変しての石原さんと別府さんによる「猫の二重唱」。加藤さんを巡っての女のバトルになるかと思いきや、2人共につれなくフラれてのお互いを笑い合うというコミカルな展開で楽しさと可愛らしさを感じる歌声でしたね。
ここで石原さんの御親戚の方の結婚記念日と本人の誕生日のお祝いもあって会場が大いに盛り上がる場面もありました。
その後はチレアのオペラ「アドリアーナ・ルグルヴール」より「私は芸術の卑しい僕です」を石原さんの歌声で。名声を受けながらも謙虚な気持ちで芸術への感謝と深い思いを歌い上げる、そんな気持ちが伝わってくる歌声でした。このアリアしか知らないオペラなのですが、芸術に対する作曲家や歌手の方の思いが伝わる名アリアですね。今回も見事な歌声で聴き応えがありました。
別府さんの歌うアリアはリゴレットより「慕わしい人の名は」。前半最後の重唱に続いてのジルダのアリアですね。透明感のある歌声で、初恋の純粋な思いが伝わるように愛する人の名前(ただし偽名ですが…)を何度も呼びながらの歌声は、美しさとその後の展開を思うと切なさも感じるようなところがありますね。軽やかなメロディと歌声の中にも心情や儚さも感じるところがありました。
プログラムの最後は蝶々夫人より「愛の二重唱」を石原さんと加藤さんの重唱で。結婚式の後に蝶々夫人とピンカートンが2人の愛を確かめ合うように情熱的に、結婚式では蝶々夫人が親戚との間で一悶着あっての寂しさを抱えながらのところをピンカートンが励ますように、本当に素敵な歌声ですが、この重唱もその後の展開を考えると切なさも感じてくるものがありますね。でも、このオペラの中にある束の間の幸せをかみしめるような2人の歌声はプログラムの最後にふさわしいものだったと思います。
アンコールはイタリアらしく「オーソレミオ」でした。加藤さんのテノールらしい歌声から重唱へという展開で、イタリア特集らしく華やかな終演だったと思います。

石原さんは昨年5月のアルテリーベ以来になるかなと思います。とてもドラマティックで心情が伝わってくる歌声で、今回も聴き応え十分なものがあって素晴らしかったです。明日のアルテリーベは仕事の関係で残念なのですが、6月と7月に歌声を聴ける機会があるので、これからも楽しみにしたいと思います。
別府さんは年明けのマッキアートに続いてになると思います。軽やかなのですが、その中に叙情的なものも感じる歌声は艶も感じる素敵なものですね。来週のLFJと6月のマッキアートとこの後も歌声を聴ける機会があるので、そちらの方も期待しております。
加藤さんは初めて歌声を聴く機会となりました。テノールらしい情熱のこめられた中に力強さも感じる歌声は素晴らしいですね。イタリアの愛の歌がとても似合う印象を受けました。機会あればオペラでもその歌声を聴いてみたいですね。
比留間さんはアルテリーベで何度か聴く機会に恵まれております。今回も時に華やかに、時にしっとりと、素敵な伴奏でステージを盛り上げられていました。
今回は最前列かぶりつきの席で3人の歌声と素敵なピアノを真正面から受けてのものでした。歌声に圧倒されないように必死に聴いていましたが、イタリアの風と香りを感じるような素敵なステージだったと思います。