「自分のことは自分で決めたい」
というのは私は自分に関して常々思っていることですし、世界中の人々のそれぞれの希望が尊重され、叶えられるべきだと思っています。
日常的なことから専門的なことまでの全てにおいてそうです。
そして、それは精神科医療の外来・入院、急性期・慢性期のどの場面も通じて思うことです。
自分のことを自分で決めるためには、
ー 自分を把握すること
ー 情報・選択肢を集められること
ー 集めた情報や選択肢を理解し、比較できること
ー そこから自分の希望を決められること
ー 決めた希望を周囲に伝えること
が必要だと思います。
したがって、周囲は下記の体制ができてないといけません。
ー 情報提供すること
ー 選択肢を増やすこと
ー 比較しやすくすること
ー 希望を聞き取ること
ー 希望を叶える制度や資源を整えること
ざっくり例えるならば、アマゾンでも価格.comでもそれに対応するようなサービスを提供しており、医療でも同じものを目指せないかなと考えております。
「値段」とか「大きさ」とか「見た目」とか分かりやすい条件ではないことが医療上の判断を難しくさせますし、医師が医療について圧倒的に情報を持っていて、本人については本人が圧倒的に情報を持っている情報の不均衡も上記を難しくする理由です。
この「医療については医師が、本人については本人が情報を持つ」ことから、
ー お互いもっと情報共有をできたらいいい こちら
http://www.bmj.com/content/359/bmj.j4891
ー 本人がもっと医療的判断に参加できたらいい こちら こちら
https://bmcpsychiatry.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12888-017-1352-9
https://new-ijmhs.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13033-017-0174-y
などの取り組みはあり、非常に興味深いです。
その角度から「本人のことは本人が決める」という視点を強調して、「患者が医療を選ぶ」ことを目指したいと思い、特に「本人に判断能力があるの?」と言われがちな精神保健で重視したいし、その救急状態の場面で役立つものを目指したいと思っています。
(ちなみに、もちろん「医者に決めてもらう」を本人が選択することも選択肢であると思います。)
そして、その際の大きな枠組みとなるのが「障害者権利条約」で、日本も採択しています。
賛成派と反対派の意見がわかりやすく描かれている記事が こちら
http://www.bmj.com/content/359/bmj.j5248
そして、これらを実行しようとする 世界ネットワークが充実しそう です。
米国と英国がそれぞれ90年代から取り組んでいるようですが、より実践的で世界を巻き込んだものにしようとロンドンが引っ張っているようです。信念とそれを実践する方法は一人ぼっちではできないので、こういう集いは大きな原動力です。こういうところに就職できないかしら?
そんなこんなで、このあたりを私の専門分野としてやっていきたいと思います。
「当事者に声を」を念頭に、精神症状があるときの「意思決定への参加」を叶えたいと思います。
調子が良い時に事前に決めておくのも良いし、自分を知っている人々に情報収集やその解釈を手伝ってくれるのも良いですし、精神保健のサービスにもっとメニューがあるのでも良いです。
「意思決定」「支援付き意思決定」「参加」「患者・医療者のco-production」。
そして、そもそも当事者は何を経験・希望しているのか?その支援者は何を経験・希望しているのか?に焦点を当てた、私の研究は現在進行中です。
そこで明るい発見をしたり、深さに戸惑ったり、「医者は裸の王様なのでは?」と考えたり、生の声を集約しております。取り組んでいる途中経過も興味深いですし、結果も幅広く使えるものになることを期待しております。