●ようやく1Q84・BOOK3読了しました。
●私なりの解読してみたいと思います。
あらすじ(Wikipedia)
スポーツインストラクターの青豆は、とある老婦人の指示のもと、女性をDVで苦しめる男たちを暗殺する任務についている。彼女は人間の身体の微妙な部分を捉える優れた能力をもっており、首の後ろのあるポイントに細い針を突き刺すことで、心臓発作に酷似した状況で人間を殺害することができる。青豆がその任務に携わるようになった背景には、彼女の過去が関係している。 しかし、ある任務に携わったあたりから、青豆は自分がそれまでの現実とは微妙に異なった世界「1Q84年」にいるらしいことに気づく。
予備校の講師として数学を教える天吾は、小説家を目指して新人賞のために小説を書きつづけている。応募していくなかで知り合った編集者の小松とも親しくなり、小松から無署名のコラム書きや新人賞応募作の下読みなどを任されるようになる。天吾は応募作のなかから、「ふかえり」という少女の書いた『空中さなぎ』という小説を見出し、小松に強く推薦する。小松は天吾に『空中さなぎ』をリライトして、文壇を見返さないかと持ちかける。
青豆と天吾は実は10歳の時に出会っているが、その後は交わることもなく離ればなれとなり、それぞれの孤独を抱えて生きるようになった。そんなふたりが1984年に、同じ「さきがけ」という宗教団体に関わる事件に巻き込まれていく……。

①リトルピープル
●ジョージ・オーウェルの小説「1984」に出てくるビッグブラザーとは、
作中の全体主義国家オセアニアに1984年時点で君臨する独裁者。ポスターやテレスクリーンでは、「偉大な兄弟」は、黒い髪に黒い口ひげを貯えた人物として描かれている。これは、ソビエト連邦共産党の書記長でありソビエト連邦の最高権力者であったヨシフ・スターリンをモデルにしているといわれている。
●村上の小説にはビッグブラザーのパロディとしてのリトルピープルが登場する。
●小さな妖精のような小人の集団で、さきがけのリーダーが死んだ時、牛河が死んだ時に体内から出てくる。
リトルピープルの役割は、特定の人物の体内に入り込み、個人を支配し、悪に手を汚すことに手を貸している。
●評論家・宇野常寛の「リトルピープルの時代」で論じてあるように、ビッグブラザーのような絶対的な権力ではなく、小さな悪、小さな権力の象徴としてリトルピープルは描かれている。
②さきがけ
●「いつかもっとずっと先に、この仕事で得たものが、僕自身の遺跡として(あるいは)出てくるかもしれません。でもそれはほんとうに先のことです。僕はこの本の取材をとおして、人生を大きく変えられてしまった人々の姿を数多く見てきました。言葉にならないほどの切望や哀しみが、そこにはありました。僕はそれをたとえ一部でも、自分のものとして抱え込むことになりました。ある意味では彼らの声は僕の声であり、僕の声は彼らの声であるのです。
僕はその人たちの身に起こったことを、そんなにかんたんに自分の『材料』にしてしまいたくないのです。たとえ生のかたちでないにせよ。僕にとっての小説というのは、そういうものではないような気がするのです。
●「僕が今、一番恐ろしいと思うのは特定の主義主張による『精神的な囲い込み』のようなものです。多くの人は枠組みが必要で、それがなくなってしまうと耐えられない。オウム真理教は極端な例だけど、いろんな檻というか囲い込みがあって、そこに入ってしまうと下手すると抜けられなくなる」
「物語というのは、そういう『精神的な囲い込み』に対抗するものでなくてはいけない。目に見えることじゃないから難しいけど、いい物語は人の心を深く広くする。深く広い心というのは狭いところには入りたがらないものなんです」
●オウム真理教を題材にした「アンダーグラウンド」のインタビューを受けた村上の一説だ。
●1Q84は過去作「ねじまき鳥クロニクル」の続編と言っていい作品だ。
●牛河という人物が同じような役割で再登場している。
●これは村上作品では以来の珍しいケースだ。
●ねじまき鳥はカルト教団から妻を奪還するストーリーだ。
●主人公の奥さんもしくはガールフレンドがある種の巫女であり、巫女のスピリチュアル能力を巡る物語は両作に共通するテーマだ。

③牛河
●村上は本作について「全体小説を書きたい」と語り、具体例としてドストエフスキー作品を挙げている。
●牛河という人物から見た1Q84世界の再構築だ。
●牛河はドストエフスキー世界でいうと、罪と罰でラスコーリニコフを追い詰める検事と同じく、ソーニャの父親である下級官吏をない交ぜにした人物だ。
●悪でもなく、善でもない、俗そのものの存在だ。
●バルザック作品におけるヴォートラン、シェイクスピアにおけるフォルスタッフ…道化的存在だ。
●注目すべきは牛河の死体からリトルピープルは空気さなぎを制作する点だ。

④空気さなぎ
●本作を読み解く最大のテーマは空気さなぎの存在だ。
●わかりやすくいうと子宮なのだが、青豆と天吾はふかえりという触媒を通じて懐胎する。
●なぜSEXを伴わない妊娠に設定する必要があったのか。
●村上はユングやフロイトを通してセックスに対する深い洞察を持つ。
●むしろ村上作品を通じてセックスは重要なテーマだ。
●性欲でできた命ではなく、ましてや、キリスト教的な性行為蔑視でもない、いわば、日本神話的ないざなぎといざなみの産霊信仰…生命の豊穣を言祝ぐ存在としての空気さなぎ…という風に解読してみたい。
●村上作品に共通する無垢なるものへの賛美が幼子として提示されたのは本作が初めてではないか。
⑤村上春樹と父性
●村上作品と母性は初期作品から繰り返されたテーマであるが、前作「海辺のカフカ」から父親との関係性というテーマが物語の主軸として登場する。
●「海辺のカフカ」ではギリシャ神話のオイディプスのごとく、父殺しがテーマであったが、本作では、主人公・天吾とNHK料金徴収人の父との晩年が描かれる。
●しかし、二人は言葉を交わすこともなく、少年時代のトラウマを埋めることもなく父はひっそりと死んでいく。
●しかし、こん睡状態の父親の魂は青豆の隠れ家に何度も生霊として集金にやってくる。
●その父親の様子は邪悪そのものである。
●実は村上自身、両親と絶縁状態らしいが、その辺の心情が苦々しい形で反映されているのかもしれない。

⑥村上春樹と夏目漱石
●明治の文豪・夏目漱石は男女の三角関係を執拗に描き続けた。
●それは自分の義姉と兄。
●「それから」や「こころ」遺作の「明暗」までその変奏曲ともいえる。
●村上作品はその逆で常に主人公のぼくを取り囲む二人の女の三角関係だ。
●それは自伝的作品「ノルウェイの森」に顕現している。
●1Q84でも青豆と天吾とふかえりの三角関係小説とも読める。
●しかし、村上もノルウェイの森で描いた三角関係とは随分、遠いところまで来たのだなと思う。

デタッチメントとアタッチメント~BOOK4を想像する
●村上作品はデッタチメント(分離)から始まる。
●初期の「風の歌を聴け」や、「1976年のピンボール」は都会で自立して暮す作者とほぼ等身大の人物が主人公だ。
●主人公は音楽や、ビールを愛好し、他者とは深く関わらない。
●村上の作品はその後、「羊をめぐる冒険」や「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」で分裂した自己を描く。
●その後の村上は海外移住するが、地下鉄サリン事件と、阪神大震災に影響を受けて世界にアタッチメント(接触)する作品を発表していく。
●宗教や、戦争にアタッチメントする、ねじまき鳥を経由して、父子関係にアタッチメントする海辺のカフカを書き、現段階では村上世界の集大成としての1Q84を上梓する。
●この作品で村上はさらに深く世界とアタッチメントしようと試みる。
●それが空気さなぎから誕生する青豆と天吾の子供である。
●デッタチメントからアタッチメントそしてバースへ村上世界は漸進を続ける。
●1984年の世界に戻った青豆と天吾…本当のところはよくわからないが。
●生誕した子供がどうなるのか。
●そもそもリトルピープルと空気さなぎ、ふかえりとの関係は?
●BOOK4は書かれるべきだと思う。
コリアン・ヌーベルバーグとは何か
○かつて1960年代にヌーベルバーグという映画運動があった。
○フランスを中心に発生した映画の新潮流である。
○特徴は
①戦前のフランス映画の批判
②即行演出や、ロケ撮影
③オーソドックスなモンタージュ撮影から逸脱した、ジャンプカットや、手持ちカメラでの撮影
④アメリカB級映画の再評価
…元々は「カイエデュシネマ」という映画批評雑誌のライター達が一斉にカメラを手にとって街に出たのがきっかけだ。
ゴダール、トリュフォー、レネ、ロメール、マルなどの名監督を輩出した。
○これと並ぶとも劣らないヌーベルバーグが韓国で起こっている。

●ゼロ年代の韓国映画
○韓国映画が世界の映画祭を賑わすようになったのはここ10年である。
○「オールドボーイ」「シークレットサンシャイン」「オアシス」「うつせみ」「渇き」が世界三大映画祭(カンヌ・ヴェネチア・ベルリン)で受賞している。

○これら傑作が輩出したのにはいくつかの原因がある
①国策
韓国政府は1984年に国立映画アカデミーを開校した。ここから著名監督が輩出している。
②民主化
韓国映画の質が向上したのは民主化が影響している。1988年から、大統領選挙が行われ、表現の自由が浸透した。日本の音楽や映画が正式に解禁されたのはここ10年である。
③386世代の台頭
386世代とは90年代に30代で、80年代に学生運動を経験した60年代生まれの韓国人を指す。実際、韓国映画四天王と呼ばれる監督たちもこの世代に当てはまる。これは学生運動を経由して、政治問題を映画のテーマに持ち込んだ、日本の松竹ヌーベルバーグの大島渚、吉田喜重らにも当てはまる。彼らは以前の映画監督と違って高学歴のインテリが多く、それゆえの教養の深さや、問題意識も高い。

●386映画はここから始まった・イ・チャンドン
○典型的なコリアン・ヌーベルバーグ映画はイ・チャンドンの「ペパーミントキャンディー」である。


○ストーリーはIMFショックで混乱する現代韓国を基点に、経済的にも、家庭的にも破綻し、自殺した主人公が過去を振り返るという構成を取っている。
ソル・ギョング演じる主人公の回想の基点は80年の光州事件。これは全斗換の軍事政権に対して起こった学生運動で、200人が射殺された。主人公は当時、軍隊で国民を弾圧した側で、そのときのトラウマを持つ。
○その後、刑事となった主人公は組合運動家を拷問したり、転落人生を歩むことになる。
○韓国には兵役製があり、兵役制の存在が、386世代にも禍根を残している。
○イ・チャンドンは1960年生まれの386世代の代表的監督だ。
○ペパーミントキャンディーはヌーベルバーグにおける「勝手にしやがれ」といえるマイルストーン的な作品だ。

○次作「オアシス」では韓国社会の病巣である、身体障害者差別を取り扱った。
○社会不適応者(こちらもソル・ギョング)と脳性麻痺(ムン・ソリ)の恋愛を描いた本作は世界中のどこにも扱えないテーマを深く掘り下げたコリアンヌーベルバーグ代表作といえる。
○韓国に障害者差別禁止法が制定されたのはこの映画から4年後だ。

○次作の「シークレットサンシャイン」は韓国社会の特徴でもあるキリスト教がテーマだ。


○韓国ではカソリック、プロテスタントを足すと、人口の三分の一がキリスト教徒である。東アジア最大のキリスト大国である。
○しかし、イ・チャンドンはこのキリスト教の制度的欠点の核心に迫る。
チョン・ドヨン(本作でカンヌ映画祭主演女優賞)演じる主人公は夫と死別し、一人息子と地方都市・密陽で二人暮らし。
○ある日、息子が誘拐され、殺される。
○犯人は地元の青年。
○心のよりどころを失った主人公は、いつかキリスト教会にたどり着く。
○信仰に心の平安を見出した主人公は、牧師に進められ、犯人に面会に行く。
○すると、犯人も改宗して、「自分は神に許された」と心の平穏を得たいたのだ。
○犯人の様子を見た主人公は絶望し、キリスト教の集会を妨害するようになる…
○イ・チャンドンは韓国社会に深く浸透するキリスト教の欺瞞性を鮮やかに抉り出す。
○信仰を内面的問題として、戒律や律法のないキリスト教世界では凶悪犯でも神に赦されることは可能なのだ。
○世界的に見ても希なキリスト教批判映画の傑作である。
○かつてはパゾリーニの「ソドムの市」や「テオレマ」、最近ではラース・フォン・トリアの「アンチクライスト」など、ヨーロッパではキリスト教批判作品はあるが、これらと比べても遜色がない…というより、むしろ凌駕している世界的傑作である。

○最新作の「ポエトリー」でも、密陽の中学生集団暴行事件をテーマにした作品で、韓国社会に問題定義をし続けている。



●ペニンシュラ(半島)のドストエフスキー・キム・ギドク
○そのイ・チャンドンと同い年、しかも同じ村出身なのがキム・ギドクだ。
○しかし、イ・チャンドンとは逆に貧困で中卒。
○これが、キム・ギドクの作家性の下支えになっている。

○出世作「受取人不明」はギドクの少年時代を描いている。


○1970年の地方村落が舞台。
○米軍の基地があり、住民は複雑な感情を持っている。
○主人公は三人の男女。
○一人は朝鮮戦争の落とし子。母を韓国人、父を在韓米兵にもつ黒人とのハーフ。帰国した夫に手紙を送り続けるが、いつもADRESS UNNKNOWN(受取人不明)である。進学できずに、犬肉の売買の手伝いをしている。
○畑の脇の米軍バスで生活する路上生活者で、母は精神に異常をきたしている。
○一人は朝鮮戦争の負傷兵を父に持つ。進学できず、画廊でバイト生活をしている。中卒後、画家を目指したギドク自身が投影されている。
○もう一人は、幼少時に事故で片目に障害を持つ少女。
○物語はこの三人と、米兵が絡み、悲劇へと展開していく。
○同じく国内に米軍基地を抱える日本と比較すると、この映画のレベルの高さに驚く。
○邦画は戦後65年をもってしても、基地を通してアメリカをここまで強烈に、描いた作品を持ちえてない。
○沖縄を舞台にした映画はあるが、基地問題にここまで踏み込んだ作品は一作もない。
○今村昌平が監督した「豚と軍艦」は横須賀の基地を舞台にした作品があるが、ギドクが企図した複雑さ、深遠さには及ばない。

○もう一本、自らの軍隊経験を映画化した「コーストガード」も傑作だ。


○北朝鮮の海上進出を警護する、湾岸警備隊駐在する漁村が舞台。
チャン・ドンゴン演じる上等兵が地元のカップルを誤射する。
○このことがきっかけで上等兵は精神に異常をきたしていく。
○また、誤射され死んだ男の彼女(ムン・ソリ)もまた、狂って、湾岸警備隊の男達とセックスしまくり、挙句の果てに妊娠する。
○軍隊は事態を隠蔽しようとして、女性に強引に堕胎手術を施す。
○最後は発狂した上等兵がソウルで、市民を刺殺し、射殺される。
○兵役制を外から描いたのが「ペパーミントキャンディー」なら、内側から描いたのがこの「コーストガード」だ。
○翻って軍隊の恐怖を描いた作品では「兵隊やくざ」「フルメタルジャケット」「プラトーン」など多数あるが、ここまでリアルに描いた作品はない。

○一方、ギドクは韓国の現代風俗にも鋭い切れ味を見せる。
「絶対の愛」は韓国社会特有の整形がテーマだ。

○主人公の女性は、ふと、自分が彼氏(ハ・ジョンウ)に愛されているのか、不安になり、整形を施術する。その新しい顔で、別人として彼氏の前に登場する…
○この後、二人の関係は二転三転して、二人は自分探し地獄に陥る。
○人間のアイデンティティを扱った作品として世界的に有名なのはジョセフ・ロージーの「パリの日は遠く」「暗殺者のメロディ」だ。
○前者は同姓同名の人物(原題はミスター・クライン)と間違われ、ユダヤ人だと疑われる。アラン・ドロン演じるクラインはもう一人のクラインを探すために、アウシュビッツ行きの列車に乗るところ映画は終わる。
○後者はトロツキーを暗殺した歴史上の人物だ。こちらも主人公はアラン・ドロン。ソ連から送り込まれた暗殺者は政治取引で、鉄のカーテンの向こう側に消えていく。
○「絶対の愛」は映画史上でも貴重なアイデンティティの喪失と崩壊をテーマにした傑作である。

○他にも売春と愛の盲執の狂気を描いた「悪い男」や援助交際とその父親の愛をテーマにした「サマリア」など、多作でもある。
○しかし、2008年の「リアルフィクション」からスランプに陥り、3年の沈黙を経て「アリラン」という自身の隠遁生活を撮影したドキュメンタリーで復活後、最新作の「アーメン」が公開された。

○ギドクのテーマは上記の作品に見られるようにアイデンティティと愛の絶対性の探求にある。
○自己(アイデンティティ)と他者(愛)の狭間を揺れ動く作家性は映画作家での類似ではラース・フォントリアが挙げられるが、むしろロシアの文豪・ドストエフスキーに近い。ギドク作品が常にヨーロッパの映画祭で評価されているのも、こうした点にある。
○むしろ、上記のラース・フォン・トリアや、ミハエル・ハネケなど、ヨーロッパの巨匠が袋小路化する中で、ギドクのストレートな人間探求の迫力は特筆に値する。
帝政崩壊、農地解放、社会主義の波及など、混乱を極める19世紀後半のロシアと、民主制の導入、東西分裂、グローバル経済などで同じく、混乱が続く、現代の韓国社会とは共通点が見られる。

●恨流バイオレンス・パク・チャヌク
○先行する両巨匠に継ぐ三人目の巨匠が同じく386世代のパク・チャヌク。
○現在、世界を席巻する韓流バイオレンスというジャンルがある。
○このジャンルを確立したのがパク・チャヌクの復讐三部作にあるのは間違いない。

「復讐者に哀れみを」


○生まれつき話すことも聞くこともできない障害を持つ青年リュ(シン・ハギュン)。友だちもいなくひどく内気な彼は、両親を失った後、大学進学をあきらめて自分の面倒をみてくれた姉を、心から愛し、感謝している。
○そして、自分とはちがって自信たっぷりに生きている恋人ヨンミ(ペ・ドゥナ)ができ、リュは人生で初めて幸せを感じる。しかし、姉は長い間腎臓を患い、移植を受けないと危険な状態にあった。リュは自分の片方の腎臓を姉に提供したいと願うけれど、検査の結果は不適合。
○さらに、姉の看病のために欠勤したことが響いて、勤務先の工場から解雇されてしまう。退職金はわずか1千万ウォン(7千ドル)
○その後も災難は続く。臓器取引の闇組織を訪れるが、1千万ウォンを奪われたうえに、麻酔から目が覚めると、なんと自分の腎臓を摘出されていた。そんなとき、病院から姉の移植にドナーが現れたと知らされるが、もう金はない。「革命的無政府主義者同盟」のメンバーである過激派のヨンミは、金持ちの子供を誘拐して身代金をとることを持ちかける。
○「正しい理由のための誘拐なら、犯罪じゃないわ」とささやいて…。身代金を無事に手にし、あとは子供を親に帰すだけ。だがリュの姉は、自分のために弟が犯罪を犯したことを知ってしまい、自責の念に駆られて自殺してしまった。だが、偶発的な事故で子供まで溺れて死んでしまい、リュは全世界を敵に回す…。電気技師から工場経営者の地位まで上り詰めた、努力の男ドンジン(ソン・ガンホ)。美しい妻との間には、かわいい娘がひとり。
○だが、家庭を顧みない夫のもとを妻は去り、工場の経営は暗礁に乗り上げていた。彼に残されたのは、ひとり娘のユソンだけだ。そのユソンがある日、何者かに誘拐されてしまう。
○彼に送られてきたのは、人形を抱いた娘の写真。
○悩みぬいたドンジンは犯人からの指示通り警察に通報するのをやめ、身代金を用意する。しかし、その翌日、ユソンは湖で溺死体となって発見される。最愛の娘の冷たくなった体を前に、犯人への復讐を誓うドンジン。
○一方で、姉を失ったリュも臓器密売組織への復讐を決意する。こうして終わりのない復讐とその悲劇は幕を開けるのだった。
●抜き差しならない偶然や、悪意の積み重ねが全てを滅ぼす悲劇へと発展する映画と言えば、わが国では山下耕作の「博打打 総長賭博」に代表されるやくざ映画が有名だが、パク作品に義理や人情はなく、恨という感情の暴発の連鎖反応と血まみれの画面で構成される。
○いわゆるギリシャ悲劇やシェイスクピア演劇に見られる普遍性とは程遠く、あくまでも朝鮮文化の通低音が奏でられる。
○ほとんどの外国人が朝鮮の恨文化を映画を通して知ることになる。

「オールドボーイ」


1988年のある日、平凡なサラリーマンのオ・デス(チェ・ミンシク)は、気がつくと狭い私設監禁部屋にいた。
○理由が全く分からない彼だったが、ある日テレビのニュースで、妻が惨殺されたことを知る。しかも容疑者は自分。半狂乱に陥りつつも、監禁部屋で肉体を鍛え、テレビで情報収集しているうちに、15年が経過し、ついに解放された。
丸街に出たデスは、謎の敵に復讐を誓いつつ、鮨屋の板前の若い女性ミド(カン・ヘジョン)と知り合う。彼女の協力を得たデスは、監禁部屋のあるビルを捜し出す。デスは管理人パク(オ・ダルス)を拷問し、自分を監禁するように依頼した男の録音テープを手に入れた。
○そしてついに、長身の謎の男(ユ・ジテ)と対面する。男はデスに、監禁の謎が解けたら自分が死ぬ、解けなければデスとミドを殺すという死のゲームを持ちかけた。
○期限は残り5日。そんな夜、デスとミドは初めて結ばれる。必死に回答を出そうとするデスは、やがて謎の男が、自分の高校の後輩イ・ウジンであることに気づく。
○ウジンは高校時代、実の姉であるイ・スア(ユン・スギョン)と愛し合い、肉体関係を持った。
○二人の逢瀬を目撃したデスによって悪い噂が広がり、ウジンの姉は橋の上から身を投げたのだった。愛する姉を助けられなかったウジンは、それからずっとデスへの復讐に燃えていたのだった。そしてデスは、実はミドが自分の娘であることをウジンから知らされる。
○実の娘と愛し合ったことにデスはショックを受け、自ら舌を切断してウジンに許しを乞う。
○デスへの復讐を終えたウジンは自殺した。冬、すべてが終わったあと、デスはミドと再会を果たすのだった。
●本作は原作は日本の漫画だ。
○原作はユ・ジテが学校で空気のような存在であったことが犯行動機であったが、パクは大幅に改編した。
○それは儒教社会である韓国では犬にも劣る近親相姦という原罪にテーマ設定を換えている。ここらあたり、我々、日本人には辟易する部分であるが、逆にこういうえげつなさがコリアンヌーベルバーグの長所だ。

「親切なクムジャさん」




サンタクロースの衣装を着た聖歌隊と伝道師が、“親切なクムジャさん”と呼ばれている女性を待っている。刑務所から出所した女たちは、待ち構えていた家族と抱き合ったり、「心を白くして二度と刑務所に戻らないように」豆腐を食べている。
○そんな中を、冬だというのに水玉のワンピース姿の女性が無表情で歩いてくる。
○イ・クムジャ(イ・ヨンエ)。20歳のときに「ウォンモ君誘拐事件」の犯人として逮捕され、その美貌と残忍な手口により世間を騒然とさせた女だ。
○13年の刑期を終えた彼女は、逮捕された時と同じワンピースを着て出てきたのだった。刑務所にいた時からクムジャを支援してきた伝道師(キム・ビョンオク)が差し出した豆腐の皿を、彼女は片手でひっくり返し、「余計なお世話です」とぴしゃりと言って、立ち去っていく。
○刑務所の中で、クムジャは、他の囚人にいじめられた新入りの代わりに復讐を施したり、老いた元北朝鮮スパイの世話をして、この世の天使のように崇められ、“親切なクムジャさん”と呼ばれるようになったのだった。
○その顔からは光が放たれていたという。だが、出所した彼女からは、刑務所にいたときの聖母のような微笑みは消えていた。3年前から心に決めていた作戦を、開始する時が来たのだ。
○クムジャはまず、ソウルに出てウォンモ君の両親を訪ね、その目の前で自分の指を切断し、許しを請う。それから、刑務所でケーキ作りを教えてくれたチャン氏(オ・ダルス)のケーキ店“ナルセ”で働き始める。
○刑務所時代、クムジャは粗末な材料で極上のケーキを作り上げ、チャン氏を絶句させたのだった。そして、先に出所していた囚人仲間たちを訪ねる。
○みんな彼女に恩義を感じていて、彼女の頼みなら何でも聞いてくれるのだった。クムジャは18歳の時に妊娠し、教育実習に来ていたペク先生(チェ・ミンシク)に助けを求めた。
○そのペク先生は、身代金目当てにウォンモ君を誘拐して殺した上、クムジャが罪をかぶって自首しなければ幼い娘を殺すと脅したのだった。
○そして彼女が刑務所に入ると、ペク先生は娘をオーストラリアに養子に出してしまった。今、彼女は養子斡旋所から書類を盗み、娘の居所を突き止めてオーストラリアに飛ぶ。
○元ヒッピーの養父母に溺愛され、ジェニー(クォン・イェヨン)は13歳に成長していた。ジェニーはどうしてもクムジャさんと一緒にソウルに行きたいと言い張り、2人は一緒にソウルに戻ってくる。
○ペク先生は子供相手の英会話塾の教師になっていたことを、先に出所したスギョンが探しあて、その塾に就職したソンウンが、彼が車を買い替えることを聞きつけ、美貌の自動車販売員イジョンがペク先生を訪ねて、結婚したのだった。
○だが、あの伝道師がクムジャを尾行し、イジョンと一緒にいる写真を撮り、ペク先生にその情報を売り渡す。
マル彼は男2人を雇い、クムジャとジェニーを夜道で襲わせるが、クムジャは冷静に対処して男たちをやっつける。イジョンはペク先生にさんざん暴力をふるわれたが、クムジャが彼らの家に踏み込み、ついにペク先生を拉致する。
○そして、ペク先生を乗せた車が雪深い山奥の廃校に到着する“親切なクムジャさん”の本領発揮は、そこからが始まりだった。

○これら三部作に共通する復讐心を韓国ではの文化と呼ぶ。
○恨の文化は負の連鎖を誘い、何時しか悲劇へと繋がる。
○韓国映画の特徴の一つにサッドエンディングがある。
○サッドエンディングとは、さびしい結末ではあるが、観客はそこから何がしかの学びを得ることが出来るという啓蒙的結末のことだ。
娯楽的カタルシスを誘うハリウッド式ハッピーエンドとは違う芸術性の高さもコリアンヌーベルバーグの特徴である。
○先ほど、ギリシャ悲劇やシェイクスピアとは違う残虐性を持つと書いたが、一部のギリシャ悲劇やシェイクスピア作品には復讐三部作に近い作品がある。
○エウリピデスの「メディア」は夫の浮気に逆上し、わが子を惨殺する。
○シャエイクスピアの「タイタス・アンドロニカス」は復讐のため、娘を犯され、手足を切断し、木の枝を挿される。さらに敵に自分の息子を食べさせる…まさにパク的な世界観だ。
○では、なぜ、復讐三部作が傑作なのか?
○それは哲学者ニーチェが指摘する「深淵をのぞく者は、深淵からのぞき返される」という箴言に代表される哲学的境地にまで到達しているからだ。
○単なる殺し合いの連鎖なら、ハリウッドのB級ホラーにいくらでもある。
○殺し合いの連鎖の傑作と言えば深作欣二の「仁義なき戦い」が有名だが、こちらは喜劇として描かれている。
○これらの実録やくざ映画と韓流バイオレンスを比較してみるのも面白い。

○これらの作品群を恨流バイオレンスと定義する。
○ポスト・パク・チャヌクの若手の監督は次々と恨流バイオレンスムービーの傑作を生み出す。
●イ・ジョンボム「アジョシ」


ウォンビン主演の韓流「グラントリノ」もしくは「シェ-ン」。最近では「ドライブ」と近似性が高い。
○一連の高倉健のやくざ映画と比較しても遜色ない傑作。
ナ・ホンジン「チェイサー」「哀しき獣」




○ポスト四天王の一番手として評価が高い。そのあまりなノンストップアクションはハリウッドを越えている。
チャン・チョルス「ビーデビル」


○儒教社会・韓国に根深く救う女性差別をテーマにした恨流バイオレンス。
ヤン・イクチュン「息もできない」


○私財を投げ打って製作したデビュー作が驚愕のクォリティで、評論家の度肝を抜いた傑作。
○監督自身が主演して、ソウルの貧民街の青春を描く。
○青春映画としても歴史的傑作だ。

キム・ジウン「悪魔を見た」


○ウォンビンとチェ・ミンシクが殺しあう恨流バイオレンスの集大成。

○…など、今やコリアンムービーと言えば、この恨流バイオレンスが、事実上のメインストリームとして世界を席巻している。

●ウリとナムの間・ポン・ジュノ
○386世代の次世代の巨匠としてすでに評価の高い監督がポン・ジュノだ。
○出世作「殺人の追憶」はコリアン・ヌーベルバーグの代表作のみならず、ゼロ年代の世界的傑作だ。


○1980年代にソウル近郊で起きた未解決連続殺人事件を扱ったクライムサスペンスだ。
○ジュノはこの現実に起きた事件を通して韓国社会の問題点を浮かび上がらせる。
○主人公はソン・ガンホ演じる地元の刑事と、ソウルから来たエリート刑事。
○民主化して間がない地方警察は、軍事政権時代の暗黒捜査の残滓を残す。
○それに対抗するか科学的捜査に重点を置くエリート刑事。
○この二人の刑事を描くことによって、ジュノは土着と近代の相反する文明を抱合する現代韓国の矛盾を浮かび上がらせる。
○ジュノは韓国のスピルバーグと言われるが、ジュノの映画的テクニックはハリウッド映画だ。
○そのスマートなテクニックを駆使して描くのが、朝鮮文化の根幹とも言えるウリとナム問題だ。
○朝鮮思想史家の古田博史が指摘しているが、朝鮮人はウリ(仲間)とナム(それ以外)という明確な人間関係を持つ。
○本作も様々なウリとナムを奏でている。
○例えば土着の村民がソウルのエリートに対しての排他的態度。
○容疑者に対する土着県警のウリ的態度。
○そうした中、土着と近代、ウリとナムが錯綜し、捜査は混迷を極める。
○同じような原因で矛盾を抱え続ける現代韓国社会の写し絵として描かれる本作はペパーミントキャンディとならぶ重要作である。
○次作の「グエムル」でも同じくウリとナムがジュノのテーマだ。




○今回のウリは家族、ナムは漢江に現れた怪物だが、この怪物は米軍が放出した化学薬品が原因だ。
○ゴジラと同じタイプのモンスターパニック映画であるが、ジュノが主張したいのはその背景にあるアメリカというナムである。

○その次の「母なる証明」でのウリは息子、そしてナムは社会であり、法律…つまり近代社会そのものだ。


○息子が殺人事件の容疑者として逮捕され、母は法律を踏み越えてまで、ウリを守ろうとする。
○法律を踏み越えるどころか、殺人、放火、犯人隠匿と凶悪犯罪を重ねる母。
○過失致死を犯すウォンビン演じる、知恵遅れ気味の息子。
○ジュノは社会や、法律という市民的義務がウリである母にとっては単なるナム(外界、他人事)に過ぎない朝鮮人の精神を的確に描いている。
○エンターテインメントの技術を駆使し、韓国社会のエッセンスを描き続けるジュノはいつでも新作が待ち遠しい名匠だ。

●ポスト四天王
○これら四天王に影響を受けて新しい才能が次々と作品を発表している。
○上記のイ・ジョンボム「アジョシ」
○ナ・ホンジン「チェイサー」「哀しき獣」
○チャン・チョルス「ビーデビル」
○ヤン・イクチュン「息もできない」
○キム・ジウン「悪魔を見た」
などのほかにも

「クロッシング」キム・テギョン
●北朝鮮の悲惨さと脱北を描いた社会作。


「ハウスメイド」イム・サンスン
●ヌーベルバーグ以前の韓国映画の古典「下女」のリメイク。



「友へ・チング」クァク・キョンテク
●韓国版「ガキ帝国」もしくは「ワンスアポンアタイムインアメリカ」



「生き残るための三つの取引」リュ・スンワン
●ハードボイルド汚職刑事アクション





「冬の小鳥」ウニー・ルコント
●養子大国・韓国の実態を自ら養子で海外に移籍した監督のドラマ。



など、人口4000万人で、これほど層が厚いのは驚愕に値する。

●現在では資金不足や、興行収入の低下で、彼らが定期的に新作を製作できるわけではない。
ただ、韓国映画は漸進を続けるであろう。
元々、韓国は中国、ロシア、日本という大国に囲まれて、常に蹂躙され続けてきた。

○したがって、韓国映画が暴力的なのではなく、地勢環境が暴力を顕在化させているとビーデビルのチャン・チョルス監督は語る。

○さらに、世界で唯一の分断国家
38度戦を挟む同胞は世界最後の左翼独裁国家である。
○現在も北朝鮮とは休戦条約ではなく一時停戦状態でしかない。
○それにともなう国民皆兵制度の重さ。
○コリアンヌーベルバーグは暴力描写のみならず、観る者に痛みを強いる映画ばかりだ。
○回廊国家として現在もその痛みを背負い続ける韓国映画が世界に発信している最大のメッセージは「痛みを知れ!」だということは間違いない。
●2011年に観た映画べすと10を発表します。

①サウダーヂ
●年末ギリギリに観ましたが、2時間四十分全く退屈させない映画でした。
●山梨の甲府が舞台の群像劇です。
●限界集落という言葉がありますが、地方都市にも、限界集落化が進んでいます。



②ブルーバレンタイン
●ヒットはしませんでしたが、ひと組みのカップルの出会いと別れを丹念に描いた傑作です。



③冷たい熱帯魚
●邦画では一番勢いのある園子温監督の代表作です。
●愛犬家殺人事件を基にしてます。



④ブラックスワン
●ダーレン・アレノフスキー監督。
●ナタリー・ポートマンの熱演が光ります。



⑤トゥルーグリット
●コーエン兄弟の作品。
●「勇気ある追跡」のリメイク。



⑥ヒアアフター
●クリント・イーストウッド作品。
●死後の世界、霊能力を巨匠が取り組んだ。



⑦ソーシャルネットワーク
●今年一番の話題作。
●デヴィッド・フィンチャー作品。
●派手な要素のない作品なので、賛否ありますが、傑作と評価する声も多い。
●わたくし自身、100%理解できたとは言い難いですが、見て損はありません。



⑧英国王のスピーチ
●アカデミー賞受賞作。
●よく出来たウェルメイドなドラマです。
●ただ、10年後も語り継がれるのは、ソーシャルネットワークだと思う。




⑨その街の子供
●NHKのスペシャルドラマの映画化。
●阪神大震災のその後を扱ったドラマ。
●作品とドラマ進行のシンクロが斬新。
●「24時間の情事」というヌーヴェルヴァーグを彷彿とさせます。
●新しい映画の表現方法の開拓という意味ではもっと上位かも知れませんが。



⑩恋の罪
●園子音最新作。
●東電OL事件からインスパイアされました。
●いつもの園節が炸裂してますが、やや、煩雑な仕上がりとなっております。
●いつも思いますが、園作品にはスクリプトライターか、シナリオドクターを付けたほうがいい。


①たかじんのそこまで言って委員会
●今年もこれがベスト。
●センゴク39を初出演したのもこの番組。
●紳助のヤクザ関係のディープスロートした司会者を来年も見逃せません。
②それでも、生きていく
●前作、マザーで覚醒した脚本家・坂元裕二の第二作。家政婦のミタではなく、今年のベストはこれ。
③マッドメン4
●アメドラの巨峰のシーズン4。
●5で終わるそうです。
④ザ・マンザイ2011
●DVD出たら見てください
●チキチキジョニーとHIHIは最高。
⑤坂の上の雲
●とりあえずの日本の社長の愛読書ナンバーワン小説が、最高のキャスト、受信料の大半を投入した意気込み。
●生前、司馬遼太郎は実写化を拒絶したいわく付きの作品です・
●正岡子規役のあの方は・・・相変わらずの名演?
⑥5時に夢中
●生放送でのチンコ連発の岩井志麻子、境界例の中村うさ
ぎ、マツコデラックス、ミッツマングローブの毒舌。
●30分見ても世相がさっぱり分からないニュース解説。
⑦有吉&マツコの怒り新党
●日テレをクビになった夏目三久の虚像と本質を見る上で貴重な番組です。
●女子アナ幻想をメタ化する司会者の凄みを感じます。
⑧ピカルの定理
●ケミストリーという言葉がこれほど似合う番組もありません。
⑨ブラタモリ
●テレビの未来の可能性を感じさせる唯一の新機軸。
●タモさんの奥深さを感じます。

セカンドヴァージン 
●映画がひどすぎて、株価が急落しましたが、最終回を除くと、なかなかです。
●まあ大石静節ということで(笑)


①木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったか
●昭和格闘史のダークサイドを描く。
●木村本人、力道山、大山倍達、グレイシー一族・・・カリスマの実像に迫る。
●タイトル名の驚愕のラストは凄すぎる。
②リトルピープルの時代
●東浩紀以降の批評家としては重要な人物。
●宇野常寛の最新作。
●村上春樹を本格的に批判している点は評価すべき。

③文科系のためのヒップホップ入門
●ヒップホップ入門書にして、マスタークラッシック本。

④不思議なキリスト教
●気鋭の社会学者が近代社会の根底を分析する。
⑤トラウマ映画館
●町山智浩が偏愛するニューロティック映画紹介。

⑥日本中枢の崩壊
●改革官僚が書いた建白書。

⑦グルメの真実
●覆面評論家がミシュランから食べログをぶった斬ります。
⑧ゴダールと女たち
●60年代のカリスマを徹底分析。
⑨苦役列車
●今年最大の文学界のスターの芥川賞受賞作。

⑩楡家の人びと
●2011年刊行ではないので、10位。









●ザ・マンザイ放送記念ということで、マンザイの過去・現在・未来について考察します。




①プレモダン・万歳時代~漫才は被差別民族が発祥
漫才の発祥と言われる萬歳(まんざい)は、平安時代から始まった芸能で、新年を言祝ぐ(ことほぐ)歌舞である。2人一組で家々を訪れ、新年を祝う口上を述べた後に、1人片方が打つ鼓に合わせてもう1人が舞う。江戸時代には、全国各地でその地名を冠した尾張万歳、三河万歳、その後、大和万歳などが興り、歌舞のみでなく言葉の掛け合い噺や謎かけ問答を芸に加えて滑稽味を増し発展していった。しかし、第二次世界大戦後にはほとんど行われなくなった。今では保存会などが復興・継承している(Wikipedia)。

②モダン・漫才時代~万歳から漫才へ
●漫才はしゃべくりに特化することによって、人気を確立した。大正末期には、吉本興業の芸人である横山エンタツ・花菱アチャコのコンビが、万才を会話だけの話芸「しゃべくり漫才」として成立させ、絶大な人気を博した(同上)。
●エンタツ・アチャコ以降、漫才は急速に普及し、他のスター漫才師も生みだした。東京ではエンタツ・アチャコと懇意にしていた柳家金語楼が触発されて、一門の梧楼と緑朗に高座で掛け合いを演じさせ、これが今日の東京漫才の祖とされるリーガル千太・万吉に繋がった。一方、砂川捨丸・中村春代や東京の松鶴家千代若・千代菊など、お囃子を取り入れた古典的なスタイルを崩さなかった漫才師もいた。(同上)。
●1970年代においても、上方では中田カウス・ボタンコメディNo.1、レツゴー三匹などが台頭して新たな笑いを築いていったが、東京はコントに笑いの主流が移ってしまい停滞気味になっていった。1980年には、関西テレビの番組『花王名人劇場』や、フジテレビの番組『THE MANZAI』から漫才ブームが起こり、横山やすし・西川きよし、B&B、ザ・ぼんち、星セント・ルイス、ツービート、島田紳助・松本竜介、西川のりお・上方よしお、オール阪神・巨人などの中堅や若手漫才師が人気を集めた。彼らの中には現在でも芸能文化活動の第一線で活躍している者が多い(同上)。
●モダン漫才の歴史はBPNの進化問題である。
●BPMとは音楽用語で、BEAT PER MINITSという意味で、一分間に何泊うつかという意味です。
●要は、一分間で、ギャグを何個詰め込めるか合戦になった。
●エンタツアチャコから、飛躍的にGPM=GAG PER MINITSを高めたのが、やすしきよしである。
●やすきよのGPMを誰が超えるのか、というのが、THE MANZAIブームの基底音だろう。
●そこに登場したのが、ツービート、紳助竜助だ。
●この時代、GPMチャンピオンがB&;Bだ。
●当時の漫才を見ると、もはや客が笑うのが、間に合わないスピードである。
●こうやって、漫才は一つのピークを迎える。

③ポストモダン・MANZAI時代~HIPHOP化するしゃべくり
●現在のMANNZAIは、
①やすきよのGPMを競うオールドスクール漫才
②ダウンタウン系の脱しゃべくり漫才
③東京系のコント漫才

に大まかに分類される。

①オールドスクール(天丼漫才)
br class="codelinebreak"コントのようなストーリー展開にならないオーソドックスな漫才。正統派漫才とも言われる。コントに入ってもコンビの片方のみが役に入りきる場合や、同じシチュエーションを繰り返すこと=天丼が多い。当てはまるのは中川家、ますだおかだ、タカアンドトシ、品川庄司、スピードワゴンなど。ザ・MANZAIのナイツもその系統だ。

②脱しゃべくり
●先のオールドスクールスタイルを脱構築するスタイル 。しゃべくり漫才における、暗黙の了解を否定して、笑いを産む。
●先駆者であるダウンタウンが、新人時代、故・横山やすしに「お前ら、ぼそぼそ喋るな! 下向くな! お前らのは漫才とちゃう。チンピラの立ち話じゃ!」ときれられた松本が「チンピラの立ち話がおもろかったら、客は聞いてくれますわ」ときれ返したという伝説がある。
●脱しゃべくり漫才は以降、細分化されていく。
●典型的な脱しゃべくりを紹介しよう。

①ノリツッコミ
即座にツッコミを入れず、ツッコミ役がボケを更に広げた後にツッコミを入れる「ノリツッコミ」と呼ばれるものも存在するが、これは実質的にツッコミが笑いを誘う役割を担うため、本来のツッコミとは異なる。

②Wボケ・Wツッコミ
ボケとツッコミの基本形式を破壊するスタイル。
典型例は、M-1第一回目で衝撃の全国デビューをした笑い飯

③スロー漫才
やすきよ、ツービートなど、速射砲のごとくテンポアップするのが、モダン漫才としたら、わざとテンポを遅くして、笑いを生むスタイル。
その例はM-1で一躍メジャーになった、スリムクラブ;。おぎやはぎもこのジャンルに入る。

④妄想&暴走漫才
ボケ担当が被害妄想(ブラマヨ・吉田)、エロ妄想(チュートリアル・徳井)を膨らまして、暴走するスタイル。
両者は2007、2008で連続優勝した。

⑤不条理漫才
ボケと突っ込みの会話がかみ合わないスタイル。2009で優勝したNONSTYLE=オールドスクール漫才系、高速GPMで勝負=を押しのけ、ブレイクしたオードリーが典型。
実際、ノンスタよりも売れたのは、漫才が常に進化を求められていることの証明でもある。
この時期、GPMで勝負したキングコングがことごとく、敗退したのも、0年代は高速GPMの時代の終焉を象徴している。彼らは時代を読み違えたのだ。

⑥ノリボケ漫才
ノリツッコミの進化系。ボケのほうが自分で自分のボケにツッコミを入れるスタイル。
ハライチの澤部が確立した。

③コント漫才
●かつての関西漫才は、俄(にわか)というショーコントスタイルの演芸が流行した。
その後、ショートコント要素を排除して、しゃべくり漫才を完成させた。
最近、漫才の技術をベースにしつつもボケ、ツッコミ共に役になりきりストーリー展開になるコントのような漫才が復活している。
いわば漫才ルネッサンスともいえるのが、このコント漫才だ。漫才のネタをコントとして使用する場合もある。
アンタッチャブル、フットボールアワー、トータルテンボス、サンドウィッチマン、麒麟など。

④漫才の未来

結局、今日の漫才を作ったのは吉本興業と言える。
ただし、留意したいのは、吉本興業はお笑い文化を育てたと言うわけではない。
むしろ、単なる金儲けの道具としてしか見なしていない。
戦後、漫才師たちは、相方の戦死・病死・消息不明などに見舞われる。
吉本興業は映画会社へ転身を図り、ほとんどの専属芸人を解雇した;。
それ以外にも、平成元年には吉本新喜劇の重鎮を一斉解雇した。
当時のスター、岡八郎や室屋信男、木村進が出演機会を失い、失意のうちに悶死した岡八郎を筆頭に世間から消えていった。
そもそも、吉本興業の立役者でもある、関西落語界のカリスマ、桂春談冶を破滅させた過去がある。
今日のテレビ局の吉本の支配力は、音楽事務所のバーニングやジャニーズと並ぶ圧力団体と化している。
昨今の、東京における劇場の乱立ぶりもこの会社の志の低さを感じさせる。
ブームに便乗して、芸人の粗製濫造がひどく、結果的には今期の劇場興業は赤字転落したそうだ。
●故・立川談志は現代落語論をこう締めくくっている「落語はこのままでは能・狂言になる」
●しかし、漫才は古典芸能にすらなりえない。
●かつての名作、エンタツ・アチャコの早慶戦をオールドスクール系では最も巧いと思われるナイツが今日、演じてもおもしろくないのだ。
●落語で言うと古典落語・芝浜は現在でも、立川談春が、東京国際フォーラムのチケットがソールドアウトできるほどの集客力がある。
●漫才は、パソコンのソフトウェアや、スマートフォンのアプリと同じで、最新のものだけが価値がある=面白いのだ。
●今日のお笑いブームも静かに終焉を迎えている。
●全国ネットでネタ番組は今年、全て終了した。
●吉本興業ほどの政治力があれば、ネタ番組を維持管理することは可能なはずだ。
●最後に、スイスの時計メーカー・ジャガー・ルクルトの会長がプレゼンで使う言葉で締めくくりたい。
「開発か、もしくは死か」


●芸能人のブログ等ですっぴん写真公開がブームですが、ミシュラン風に格付けしてみたいと思います。

●みなさん、番号と星を投稿してください。星は★★★が最高点。★が最低です。後、誰か当ててください。


















⑨⑩


⑪⑫

⑬⑭




⑮⑯




⑰⑱





⑲⑳






21 22




23


24




25

●橋下徹氏が当選しました。
●せっかくですので、以前、橋本氏に付いて書いたブログを再録します。

●パリは燃えているかという映画がある。
●1944年8月7日から、8月19日のレジスタンスの蜂起開始、アメリカ軍の援護を受けて、8月25日のフランスの首都パリの解放に至るまでを、描く。
●物語はドイツ軍の降伏に貢献したレジスタンス運動を中心にしている。
●映画の終盤、降伏する前にパリを破壊しろという<アドルフ・ヒトラーの命令が下ったが、最終的にコルティッツ将軍は命令に従わずに連合国に無条件降伏し、パリを破壊から守った。
●ヒトラーが言った言葉が、「パリは燃えているか?」だった。


●現在、大坂都構想で注目される橋下知事は「今の政治には独裁が必要」と発言し、平松市長に罵られました。
●橋下は大阪を破壊するヒトラーか?



●大阪は燃えているか(笑)



●大阪の地盤沈下は本当にひどい。
●ここ十年で、府内GDPは2・4兆円減
●平均年収は東京と130万円差。
●生活保護は日本一。
●失業率は沖縄に継ぐ。
●学力は全国46位。

●ワタクシも大阪マニアなので、帰郷の際には、わざわざ大阪のホテルに前のりしてから神戸に帰ります。
●昨年末、前のりして梅田の駅前ビルで昼酒をハシゴしてました。
●梅田の駅前ビルをじっくり観察したのだが、ほとんど廃墟でした。
●第一から第四ビルまでテナントはガラガラ…
●中に入ってるのは地下街の飲食店のみ。
●地上階は消費者金融がパラパラ入ってるだけです。
●こんな駅前の一等地が廃墟と化しているのは大阪の退廃と行政の無策を痛感します
●ワタクシが入ったたち飲み屋では、サラリーマンがこんな会話をしていた。
●西成の当たり屋…生活保護の不正受給…不景気…
●ある意味、70年代のニューヨークや、シカゴの貧困地区を髣髴させる。

●大阪のタクシーは5000円以上は半額になる。
●ワタクシが足しげく通った焼き肉屋はバローロやバルバレスコなどイタリアンワインが半額で飲めます。…勝山というマニアックな場所=鶴橋の隣=にあるのですが、閉店してしまいました。
●30日に北新地に繰り出してみたら、貸切でした
●ことほど左様に、大阪は景気が悪い。

●大坂の地盤沈下はいつから始まったのか。
●江戸時代の大坂は繁栄していた。
●当時の大坂は徳川幕府の天領として物流の中心であった。
●各藩の蔵屋敷が存在し、その周辺の今橋界隈に両替商が林立し、日本経済の中核だった。
●<世界初の商品先物市場も誕生し、ロンドンと並ぶ、金融都市であった。
●現在の大企業もほとんどが大坂出身だ。
●伊藤忠、丸紅、三越、三井、みずほ銀行、野村證券、松下電器、ダイエー…
●現在は本社機能を東京に移転したが、大坂で商売の基礎を築いた。

●明治時代に大坂は、徳川幕府から与えられた経済特区の権限を剥奪された。
●それでも、紡績産業で繁栄した。

●大坂商人の最大の欠点は政治家との付き合いが下手なところだ。
●平成最大の疑獄事件リクルート事件の犯人。江副浩正は大坂豊中出身。
●また、昭和最大の疑獄事件ロッキード事件は大坂の商社・丸紅が起こした。
●大坂商人は、普段、政治家と距離を置いているため、いざビジネスで政治家の利権を利用したいと思うと、すぐ実弾=現ナマを使う。

●大坂のもうひとつの特徴は、政治家不毛地帯…地元にまともな政治家がいない。
●いまだに総理大臣を輩出していない。
●国政での最大の成功者は元財務相の塩川正十郎。
●しかし塩ジイの在任中の小泉政権で実質上の経済政策を担ったのは竹中平蔵だ。
●塩ジイは清和会の重鎮で派閥均衡人事だった。
●一番の大物ですらこの程度だから、国政に影響を与えた歴史に残る政治家は一人もいない。

●なぜ、こうなったのか?
●それは大坂人の政治家フォビア=恐怖症にあると思う。
●江戸の元禄時代に淀屋辰五郎という豪商がいた。
●ありあまる財力で天井をガラス張りにして、金魚を泳がしていた。
●難波のルードウィッヒ(笑)
●当時、各藩に莫大な大名貸しをしていた辰五郎は風紀を乱したとの理由で財差没収。大坂ところ払いの流刑に処された。
●これをみて震え上がった大坂商人は時の権力者と距離をとるようになった。
●しかし近代社会は政治と経済は一体しないと利益が上がりにくい構造になっている。
●政治に手を出すなが信条の大坂商法が現在の大坂衰退の一因であると見ていいだろう
●これを辰五郎の呪い<という(笑)。

●そんな状況の中、突如現れたのが、橋下徹だ。
●橋下は厳密に言うと東京生まれだ。
●しかし、幼少期に八尾の部落改良住宅に移り住んだ=父方の実家。
●名前ももともとはハシシタと読む・
●このあたりの事情はノンフィクション作家の森功のルポに詳しい。
●橋下も、実母も、被差別部落出身ではないと証言している。
●橋下自身、実家が生活保護を申請しても、却下され続け、大坂府行政に深い憤り感じており、「同和対策費用はゼロにしたい」
と発言している。
●大坂行政に対する深い憤りの原点はこの八尾改良住宅時代の原体験が元になっている。
●森氏のルポによると、橋下の実父は地元の建設業者だったが、ガス自殺したそうだ。
●また、叔父は暴力団関係者で、北朝鮮にパイプをもつ人物だったことも示唆している。

●その後、橋下は進学校の北野高校に入学し、ラグビー選手として活躍。
●早稲田大学に進学して、革ジャンの販売で稼ぐ。
●この革ジャン販売というのが引っかかる。
●なぜならそれは関西では在日朝鮮人名や、被差別部落の専売特許だからだ。
●橋下自身、有力な仕入先を確保していたのではないか。
●その後、人権派弁護士の鐘野法律事務所のイソ弁になるのが意外だ。
●光市母子殺害事件で人権派弁護士と激しいバトルを繰り広げた。
●鐘野氏は橋下に利用されたと森氏のインタビューに答えている。
●その後、独立した橋下は悪名高い商工ロー関連会社の顧問弁護士になり、契約中は無敗で有名になった。

●相当胡散臭い人物だが、本人も自身の出世欲や名誉欲をあけすけに語る。
●教育改革に見られるような合理精神や、裏表のない発言は大阪人好みだ。
●ライバルの摂津人(尼崎)平野氏のソフトな語り口とは対照的な河内人のバイタリティあふれる橋下の言動は注目の的だ。

●それでは橋下は大坂を再建することができるのか。
●橋下府政の眼目は府の財政再建にある。
●橋下はこれをコストカットで実現しようとする。
●市長とのバトルの発端も浄水所の統一問題だった。

●また橋下はかなりの右翼で日教組が大嫌い<だ。
●橋下の教育改革は日教組解体作業とも映る。
●成績の悪い教師を免職できる条例を提出しているが、身内の陰山英夫にまで反対されている。
●だが、教員のに査定制度を持ち込むのは、欧米では普通だし、橋下の実験は大いに価値があると思う。


●また、国旗国家唱和もハシズム</font>と批判されているが、国旗国家唱和がファシズム</font>というのは無知無教養だ。
●国旗国歌を発明したのは革命後のフランであり、これによって、国家は国民のものであるということを表明した。いわば民主主義の原点だ。
●世界中の国家が民主化した際に、フランスに習って、国旗国歌を設立した。
●もちろん日本も。
●日本も国民国家、民主主義である限り、国旗と国歌に敬意を払うのは当然だ。
●世界中のどこの国でもそうだ。
●国旗国歌称揚を思想信条の自由という憲法を持ち出して、日教組は反対するが、日教組のルーツは共産党にあり、自ら、政府に弾圧された歴史をもつが故であるのは論を待たない。
●ただ、日本国憲法は合衆国の押し付けで行き過ぎたリベラル憲法であるがゆえに、国家に対する国民
の責任条項が抜けている欠陥憲法であることは強調しておきたい。
●ちなみに橋下は改憲派であり、核武装論者だ。

●これらのハシズム政策の総決算が大坂都構想だ。

●現在の大阪市と堺市を統合して20区にし、大阪府全体を大坂都にするという再編成だ。
●現在、大阪府は大坂市の4倍の人口ををもちながら、税収は大阪市が5割<を占め、政令指定都市・大坂市の財源を府が管理するのが狙いだ。

●コストカット以外に税収増を見込んで舞州にカジノ構想、公娼制度の復活<提言する。
●いわば大阪=ラスベガス計画だ。
●さらに水都・大阪として大阪=ベネチア計画も進行している。
●実際、東京に暮らしていて、大阪に行ったことがある人間の少なさにはびっくりする。
●ワタクシも大阪水上バスに乗ってみた。
●面白くなかった。大阪は戦災で歴史的建造物がなく、観光資源がないのだ。
●今の大阪の観光資源は近代以降のレトロ昭和なじゃんじゃん横丁や、鶴橋市場だ。
●水都構想に詳しい大前研一氏にでもブレーンになってもらうといい。


●しかし、首都の東京にすら与えられていない権限を大坂市が獲得するのは難しい。
●都構想もそうだが、中央政権の承認がなければ法改正できない。
●橋下構想は自民党には石原のぶてるなど、賛同者がいるが、民主党からは批判されている。

●橋下が市長に当選しても、所属団体の大阪維新の会が市議会で過半数が取れておらず、過半数を次の選挙でとっても、次は国政の壁が立ちはだかる。

●またコスト意識も大切だが、今の大阪に必要なのはイノベーションだ。
●大正から昭和にかけて関一という大阪市長がいた。
●当時は幅6メートルだった御堂筋を現在の10車線の日本最大の幹線道路に施設し、同時に地下鉄を開発した。
●同時代の船場商人は「大阪のど真ん中に飛行場でも作る気か」と反対したが、昭和を通じて繁栄を続けた近代都市・大阪の礎を作った。
●橋下の大阪=ラスベガス化計画も結構だが、その前に大阪は伝統的に世界的な商都であることを忘れてはいけない。
●大阪はむしろシリコンバレーを目指すべきだろう。
●橋下はベイエリアを経済特区として法人税を5%にすると提言している。
●その考えは基本的に賛成だし、いかにも大阪らしい発想だ。

●独裁者と呼ばれるヒトラーも、ミュンヘン一揆から10年以上かけて国家元首の地位に着いた。
●その間、ドイツ国民がヒトラーを支持し続けたのは30%の失業率を0%にしたからだ。
●橋下をハシズムと批判するジャーナリズム=この世界は左翼思想が強いから、橋下みたいな右翼は必要以上にたたかれる=はある意味、橋下をたたいているように見えるが、実は持ち上げているのだ。
●なぜなら政治家としてのヒトラーは最終的には破滅するが、途中までは、かなり優秀なのだ。

●この大手前(府庁所在地)のアドルフ・ヒトラーは大阪を第二次世界大戦のパリのように焦土と化すのか?


●橋下が破壊者であることはいうまでもない。
●その動機が個人的なイデオロギーと、市役所に見捨てられたルサンチマンが根底にあるのも事実だろう。
●橋下の大阪再建案は企業の誘致及びその促進が実現した時に成功したと言える。
●かつて大阪は貿易港、両替商、紡績業、金融、商社とその時代に合わせた各種イノベーションを繰り返してきた。
●この儲かれば何でもいい、井原西鶴に書かれた船場商人の合理主義が大阪を発展させたのは言うまでもない。

●また、橋下氏に提言したいのだが、大阪は仏教都市<であることも再提示して欲しい。
●社会学者・マックス・ウェーバーは「プロテスタンティズムと資本主義の精神」でカルヴァン派の禁欲が資本蓄積に結びついたと喝破しているが、船場商人の商売道に<浄土真宗が息づいていることを忘れてはいけない。
●船場商人は近江商人を出自に持つ人が多いが、近江と大阪は一向宗の根拠地でもある・
●近江出身の代表的船場商人・伊藤忠兵衛は商売のことは忘れても他力安心と毎日のお勤め=信仰は忘れるな」と奉公人に毎日、説いたそうだ。
●大阪はひったくりがおおいとか治安が悪いとかいうが、それは近年の話で~まあ、河内、和泉は昔から血の気が多いですが~基本的に阪人は礼儀正しい…といったら意外に聞こえるか。
●東京大阪を比較しても、大阪人は親切で腰が低い<。
●その根底には浄土真宗の他力信仰があると、作家・五木博之は指摘する。
●大阪方言の「おかげさんで」のおかげさんは伊勢神宮のことをさすが、広く一般的には天地神仏を意味する。われわれは偉大な力に活かされているのだという深い信仰心<をもう一度取り戻して欲しい。

●今回のW選挙はその大阪復興の長いロードマップの一過程に過ぎない。

●・・・ワタクシ投票権はありませんが、ハシズムを支持します。
●理由は平松市長に中央政界に働きかけて大阪市をワシントンにする</font>政治力があるとは思えないからです。
●マックス・ウェーバーが定義する政治的人間とは「情熱と判断力を駆使して、未来に対する責任感を持ち、現実の正確な同義語である不可能に対して穴を空け続けていく人間」と定義する。
●この定義に準ずれば、橋下徹のほがより近しい人材だろう。
●…助役上がりの市長と自治省の天下り知事の兵庫県民・神戸市民としては羨ましい限りです(* ̄Oノ ̄*)



●立川談志師匠が亡くなりました。
●お悔やみ申し上げます。
●・・・今更、偉大な落語家のことをワタクシごときが云々行っても仕方がありません。
●たまたま、談志師匠が亡くなられた翌日、とある映画を観ました。
●「鬼の詩」という映画です。
●原作は藤本義一。明治末期に活躍した桂米喬という落語家をモデルにした小説です。
●談志師匠もよく、落語の狂気を語っていたが、この米喬という男は狂人そのものといってもいい落語家です。
●かつて上方落語界を席巻した狂気の落語家について、一席お話を申し上げますので、しばし、お付き合いください。
●以下。wikipediaから抜粋

2代目 桂 米喬(2だいめ かつら べいきょう、1860年 - 1904年5月25日)は、落語家上方噺家)。本名: 井上新二郎(辮次郎、辮二郎とも)。享年45。

古物商から噺家になったという。

初め、初代桂文我門下で文蝶を名乗る。1885年2代桂文團治(後の7代目桂文治)門下に移り、初代桂米紫を経て、1892年2代目桂米喬を襲名。1886年中頃には正鶴を名乗ったこともあるらしい。

21歳の時、天然痘に罹り、あばた面であったため「鰐皮」とあだ名された。十八番は『鋳掛屋(いかけ屋)』だったが、噺が終わると立ち上がり、三下がりの『逢いたさ』を踊り、ぶら下がっている電球を舐めるなど、そのおかしさは抜群だったらしい。

初代桂春團治が芸の目標としたほどの爆笑派で一時3代目米喬の襲名をもくろんでいたが実現しなかった。

三友派内の人気者であったが、死去の前日に3軒の寄席を掛け持ちし、「辻八掛」「崇禅寺馬場」「小倉船」を演じたのが最後で、その翌日、脳溢血で若くして亡くなった。

藤本義一直木賞受賞作『鬼の詩』の主人公「桂馬喬」のモデルともなった。

米喬はふざけた芸風であったが、自己にも他者にも、芸に対する態度は非常に厳しかった。それを恨んだ初代桂春團治(当時は我都)ら前座の数人が帰りの俥を待ち伏せし、棍棒を持って襲い掛かった所、俥に乗っていたのは、米喬と同じ末広橋西詰の路次に住んでいた初代文の家かしく(後の2代目桂文之助)であった。かしくがその事を米喬に話した所、翌日、我都らを呼び寄せて曰く、お前たちが怒ったのがうれしい、もっともっと怒らせてやるから、殴りはせずに、俺以上の人気者となって、俺を蹴落として仇を討て、と。このことを感謝し、肝に銘じた春團治は、それから精進したが、その高座は全て米喬の呼吸そのままだったという。


●初代・春団治と言えば、江戸落語の三遊亭円朝とならぶ、上方落語のカリスマです。
●そのカリスマにカリスマ視されているから、いかにすごい芸人かが分かると思います。
●映画の中では米喬→馬喬が天然痘の顔にキセルをぶら下げるというなんともグロテスクな芸を披露する。
●さらに客の要望に応じて、馬糞を食ったり、巫女姿で舞台に立ったり、まさに狂気の芸風と言える。
●映画の中では顔にキセルを付けたまま死んでいきますが、実際の米喬は余りもの売れっ子ぶりに、三亭を掛け持ち中に死んでしまいます。
●馬喬を演じた桂福団治は現役の落語家です。
●師匠は三代目春団治。
●惣領弟子ですから四代目春団治を襲名するかもしれません。
●上本町の繁盛亭で舞台に立ってますから、関西圏のかたはご覧になってみってください。
●興味がある方はTUTAYAの大型店に行って探してみてください。