過去は生きている。 | オーディオキネマ 研ぎ師伊之助深川噺

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私のワークショップでは、

シナリオを使って分析力を高めるトレーニングを行っています。

回数を重ねてくると、

参加者からは、

セリフの読み込みだけでは終わらず、

シーンの意味、目的などもについても鋭い質問が出てくることも少なくありません。

そういった時、

私は、

その答えをお伝えするだけでは終わらずに、

「そのシーンがどうして私の中から生まれたのか・・・・」

その始まりを話すことが増えてきました。

(これは最近になってのことなんです



声優という創造性を必要とする職業を選ばれた方々ですから、

私の中に眠っている創造の源についてお話することで、

少しでも創作されたドラマの面白さを知ってほしいと思っているのです

ライターと過ごすワークショップですし、

そのライターが書いたシナリオが教材ですし、

こういった一面を知ることも面白いのではないかと思っています。

(ドラマを作るという感性を共有できればいいですよね




そんな話をする時、

どれだけ手短に話を組み立てても、

やはり私個人の過去に触れずにはいられません。

どのシーンのどのエピソードも、

私の過去に影響を受けているのですから、

逃げようが無いのは当然ですけれどね・・・・

何でもない過去の経験(思い出)が、

ある時フワリと執筆中のシナリオに現れるのです。

私自身でも丹念に探りを入れないと見分けがつかないくらい、

大幅に変化してシナリオへ再生されたエピソードもあります。

でも、無から生まれたものなんか皆無と言えるくらい、

全てのシーンが私の過去から出来上がっているのです。



これは、

声優さんも同じかもしれませんね。

どんなジャンルのセリフであっても、

それは人間の心に芽生えた感情を言葉に乗せることになります。

声優は、

それを演じるという行動に出るわけですが、

やはりその根源に横たわるものとは、

その声優さん個人の、経験が生み出す感情であることは明白です。

この感情とは、

いつかの昔の感情ですよね。




過去は忘れ去られずに、

しっかりと生きているのです。

ここを再利用して、

私達はドラマ制作を行わなくてはならないのです。




参加者の皆さんには、

この事実を、

すんなり受け入れてもらえる声優さんになってほしいので、

ライターの恥ずかしい部分も全部、

ワークショップの議題に挙げて討論のネタにしたいと思います

こういった時間を過ごすことで、

よりリアリティーのあるクリエイティブな時間が過ごせるのでは無いかと思います




シナリオを読み込むという仕事は、

訓練によって手に入りますが、

より最短でそのスキルを獲得するには、

集まったメンバーが質の高い時間を求めなければ不可能です。




今後は、

ここにこだわることこそが、

私の目的になってくる予感がしてます。

私は、私の過去と、より一層向き合うということですね・・・・・




これは、

けっこう楽しく無いですねぇ~




オーディオキネマ(脚本・演出)
山中勇人

1ヶ月間ワークショップ
2016年2月
『シナリオの読み方を知る!』

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