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今回はこういうお題でいきます。カテゴリは世界史かな。
さて、みなさん、もちろんアルキメデスはご存知だと思います。
紀元前3世紀を生きた古代ギリシアの数学者、自然哲学者、
発明家・・・と大変な天才だったんですが、軍略家としての
側面は知らない方もおられるんじゃないでしょうか。

さて、アルキメデスと聞けば、ぱっと出てくるのが
「アルキメデスの原理」ですね。「流体(液体や気体)中の
物体は、その物体が押しのけている流体の重量と同じ大きさで
上向きの浮力を受ける」というもの。

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例えば、みなさんが風呂に入ったとします。このとき、当然
風呂の水は増えますよね(あふれないものとします)。
その増えた分の水の重量だけ、みなさんは上向きの浮力を得る
ことになります。もしこれが海だったら、海水は真水よりも
重いので、より浮力は大きくなります。

まあ、ここまでは誰でも知ってるでしょうが、液体だけじゃなく
気体でも成り立つんですね。気体は軽いので、あまり意識
されることはないですけど、ごくごくわずかながら浮力をつくる。
ヘリウムや水素の風船が空気中で上昇するのはこれですね。
で、まずはアルキメデスの原理が発見された王冠のエピソードから。

a eureka moment


当時、ギリシアの植民都市であったシラクサの領主ヒエロン2世が
金細工師に金を渡し、純金の王冠を作らせました。ところが、
金細工師は金に混ぜ物をして王から預かった金の一部を盗んだ、
という噂が広まったんです。そこで、ヒエロンは

知恵者として知られていたアルキメデスに、混ぜ物がしてあるか
どうか調べるように命じました。王冠を溶かしてしまえば
それは簡単ですが、もし純金だった場合、せっかくの美術品は
だいなしになってしまいます。アルキメデスは困り果て、

てこの原理を利用した投石機


くる日もくる日もこの難題を考え続けましたが、あるとき風呂に
入ったところ、水が湯船からあふれるのを見て、その瞬間、
アルキメデスの原理のヒントを発見したんですね。
王冠を水に沈め、あふれた水の体積を記録し、王冠と同じ重量の
純金も同じように水に沈めて比較すればいい。

この時、浴場から飛び出たアルキメデスは「ヘウレーカ Eureka!
分かったぞ」と叫びながら裸で走っていったという伝説も残って
います。ちなみに、アメリカの子どもは学校でこの言葉を
習うので、ほとんどの人は知っていて日常よく使われます。

「アルキメデスの鉤爪」
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例えば、「a eureka moment」というフレーズがあり、これは
今までできなかったことや、まったく理解できなかったことが
突然できるようになった瞬間のことです。それにしても、
この話の王冠は、宝石とかが埋め込まれてなかったんで
しょうかね。取り外したのかな。

さて、アルキメデスは第二次ポエニ戦争(ローマ、カルタゴ間の戦争)
で、3つの画期的な兵器を発明しローマ軍を苦しめたとされます。
1つ目は、「アルキメデスの鉤爪 Claw of Archimedes」と呼ばれる、
てこの原理を応用した大型兵器。上図のようなものです。

「アルキメデスの熱光線」
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孫の手みたいですが、海に面した砦からこれを操り、相手の軍船に
引っ掛けてひっくり返す。動力は人力なのかな。
2005年、イギリスのテレビ番組がこれを検証し、実際に役立つ
力を持っていたことが証明されました。2つ目の兵器は
「投石機 Catapult」ですが、説明は不要でしょう。

3つ目が、「アルキメデスの熱光線 Heat ray」と呼ばれるもので、
太陽光線を集めて照射し、相手の船を燃やす。みなさんも
小学校で虫メガネでやったことがあると思います。ただし、当時は
大きなレンズを作るのは不可能で、金属製の凹面鏡で光を集めた。

複数の鏡を使ったと考えられます
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で、この話、本当なのかどうか、ルネッサンス期のヨーロッパで
議論になり、ルネ・デカルトは否定。当時の学者たちは、
アルキメデスの時代に実現可能な手法で検証を試みたましたが、
その結果、ていねいに磨かれた青銅や銅の曲板を使って、
太陽光線を標的の船に集めることができたんですね。

また、1973年にギリシアの科学者、2005年に
マサチューセッツ工科大学 の学生グループが検証実験を行い、
どちらも、気象条件がよければ実用になるという結論が
得られています。まあねえ、地中海の陽光ですからねえ。

アルキメデスの死
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さてさて、アルキメデスの最期も伝説になっています。
アルキメデスが住むシラクサ(現イタリア、シチリア島の都市)
にローマ軍が攻め入り占領しました。このとき、大天才
アルキメデスを殺すなという通達が兵士の間に出されていましたが、
ローマ兵が入ってきたとき、アルキメデスは砂に描いた図形の上に

かがんで考えこんでいました。アルキメデスの家と知らない
ローマ兵が名前を聞きましたが、夢中になっていたアルキメデスが
無視したので、兵士は腹を立てて彼を殺したとされます。
アルキメデス最期の言葉は「図をこわすな!」だったという
話もありますが、さすがにできすぎでしょう。では、このへんで。