bigbossmanです。今回はまたインタヴューシリーズで、
不動産屋さんの営業の方からお話を伺いました。
場所は、なんとチーズケーキ屋さんです。じつは自分も、
大阪に転居するまで知らなかったんですが、チーズケーキって
大阪グルメの一つなんですよね。「あ、どうも、bigbossmanと
もうします。今日はよろしくお願いします」 「いえ、
こちらこそよろしく」 「さっそくですが、こんど厚労省から、
事故物件に関するガイドラインが出ましたよね。あれ、
どう思われますか?」 「ああ、ありがたいですよ」
「ありがたい?」 「ええ、われわれ業界のほうから望んで
働きかけてましたので」 「へえ、どういうところが

やりやすくなりましたか」 「そりゃ、これまでは、何を
どう告知するかは、不動産屋側にまかせられていたんです。
これね、お客さんのほうから、それを知ってたら契約しなかった
って裁判を起こされると、こっちが負けちゃうんです。
めったにはありませんが、そういう判例が出てますから。だから、
けっこう洗いざらい告知する業者が多かったんです。けど、
今回のガイドラインでは、事件事故、孤独死から3年がすぎれば
義務はないとなったので。つまり安くしなくてもいい」 
「ああ、なるほどねえ。それに、知りたい人は個人で調べることが
できますもんね」 「そうです。大島てるさんとか」 
「あ、やっぱり知ってるんですね。どう思われますか?」

「あれはあれでいいんじゃないですか」 「で、一軒家については
ずっと告知義務は消えないんですよね」 「はい。まあでも、
一軒家は高額の買い物ですし、賃貸だとしてもやはり高い。
しかたがないと思います。誰だって、殺人などのあった家には
住みたくないだろうし」 「ですよね。そういう場合、どうするん
ですか」 「うーん、いったん更地にして駐車場とか、シェアハウス 
を建てるようなケースが増えてくるんでしょうね。あと、
外国人に売るとか」 「外国人?」 「ええ、欧米人は意外に
そういうことを気にしますけど、中国人や中東のお客さんは
ほとんど気にしません」 「ああ」 「イスラム教だと、幽霊は
いないことになってるし、中国の方は安けりゃいいという人が

多いんです」 「なるほど、現代中国は宗教は廃れてますからね」
「ただねえ、売却はともかく、中国の方に物件をお貸しするのは
怖いんです」 「どういう点で」 「勝手に改造しちゃったり
しますから。ガス台の火力を上げて、天井が焦げたこともあったし、
壁を壊して窓をつけたり」 「ははあ、いろんな苦労があるんですね」
「ええ、まあ」 「何か面白い話はありますか」 「はい、賃貸の部屋
でしたけど、事故物件でも何でもなかったんです。でも、次に
入られた方から、クレームでもないんですが、電話がきまして、
部屋はきれいだが、部屋の四隅と、押し入れの四隅に金色の丸い
シールが貼ってあるって」 「あ、なんかわかります」 「そうですか、
エ○パーシールと呼ばれるものです」 「やっぱり」

「今、流行ってるんですかね。前の住人が貼ったもので、われわれも
部屋はもちろん点検するんですが、見逃してました。・・・本来は
体の痛いところに使うんですが、部屋の壁に貼ると運気が
上昇するって話で」 「どうしました」 「はがしても問題ない、
と言いましたけど、その後は特に何も」 「ああ、それでですね。
自分は怖い話のブログをやってるんですが、幽霊が出るという
クレームはあるもんですか?」 「うーん、私もこの業界は
長いので何百という物件をあつかってますが、ほとんどないですよ」
「へえ、じゃあ少しはあるということですね」 「まず、幽霊という
言葉を使われるお客さんは ほとんどいないんです。クレームで
多いのは変な音がするとか」 「ああ、ラップ音」 「そういう

らしいですね。夜になるとパキンポキン変な音がする。でもそれ、
調べれば原因が見つかります。水道関係とか、ネットの光ケーブル
が風で壁にあたる音とか」 「なるほど」 「だってねえ、はっきり
幽霊を見たとなったら大問題じゃないですか。個人的には幽霊を
信じてる方もいるでしょうが、世の中は幽霊はいないという
ことで動いてるわけだし」 「ええ」 「そういう場合は、
本当に幽霊が出てるというより、こう言っちゃなんですが、
そのお客さんの病気を疑うべきです」 「やっぱそうなんですね」
「でも、そうは言えませんしね。一人暮らしの若い方なら、
親御さんにそっと話したりしたこともあります」 「苦労されて
ますね」 「いやいや」 「ところで、これも変な質問ですが、

呪いを仕掛けてつくられた物件なんてあるもんですか?」
「呪いを仕掛ける?」 「三角屋敷ってご存知ですか?」 「いえ」
「これ、ホラー作家の加門七海さんが書いてたことなんですが、
T字路の突き当りに、三角形のマンションがあって、1階に
三角の部屋が3つ。昔からT字路はよくないって言われてるし、
とがった角のある建物は風水的にもよくありません。加門さんが
霊能者に見てもらうと、どうやら、入居者を不幸にするとか、
何かの実験をするために最初から建てられたものということで・・・」
「うわあ、知りませんでした。うーん、たしかに三角地に建てた
物件はあります。それだと敷地を広く使うとすれば、三角の
建物になりますね。で、どうなったんです。

「加門さんはそこに住み始めたんですが、幽霊が出たというわけでは
ないものの、いろんなことが起きて結局、そこを出ています」
「興味深いですね。私はそういうのはあつかったことないんですが、
ただ・・・」 「ただ?」 「事故物件とは違うんですが、
大きな事件を起こした犯人の家ってありますでしょ。連続殺人とか
通り魔殺人とか。その家でやったわけじゃないから、事故物件では
ない。ただ、犯人の家族はその家、近所の手前住んでいられない
ですよね。仕事もやめて、どこへともなく引っ越しちゃう」
「そういうケースが多いでしょうね」 「で、やはり噂が広まって、
その家も買い手がつきそうもない」 「どうしたんです?」
「更地にしたんですが、そのときの建築会社の人から聞いた話で」

「なんと」 「ある通り魔無差別殺人事件の犯人が住んでた家で、
犯人は予備校生でした。中流以上の家庭で、まずます広い
2階建て。それを解体したとき、2階の犯人の部屋の上下、
つまり1階との堺ですね。それと天井裏、そこだけに集中して、
キノコのようなものがびっしりと生えてたって」 「キノコですか」
「うーん、粘菌かもと言ってました。まあキノコに近いもので、
星型の茎があって、先に黒い丸いのがついてる。そこだけに、
重なり合うようにうじゃうじゃと」 「それで?」 「もちろん
片づけたんですが、つぶれると生臭い臭いが立ち上ってきた
そうです」 「ふうん、惜しいですね。植物図鑑とかで
調べてみたかった」 「いや、調べたそうですよ」 「え?」

「これは一軒家じゃなく、賃貸の部屋だったそうですが、ある
カップルが住んでた部屋で、そのカップル、金持ちの奥さんを
誘拐して、ATMでお金を引き出させながら連れ回し、
最終的には殺しちゃったという事件があって、あと、その
カップル自身も闇金に殺されちゃったっていう」 「ああ、
なんとなく記憶にあります」 「でね、そのアパート、
事件後すぐではなかったけど、建て替えになって、そんとき、
カップルが住んでた部屋の床下だけに、前と同じ粘菌が異常繁殖
してたっていう。それで興味を持ってしらべてみた。そのとき私も名前
聞いたんですが、忘れちゃいました。すみません」 「いえ、それに
しても興味深い。その植物が悪の胞子みたいなのを出してたのか・・・」