小学生のときの話です。地元のお寺は禅宗で、もうとうに
子どもらが境内で遊んでも怒ったりしなかったんです。
だから小学校の中学年まではよく友だちと遊びに行きました。
ただ、生き物をとることは禁止でしたね。
「当山で殺生するなかれ」という立て札がありました。
いやこれは、親父と来たときに意味を教えてもらったんです。
今から思えば、境内の中に浅いけどけっこう広い池があって、
子どもが落ちたりするのを防ぐ意味もあったんだと思います。
ある夏の日ですね、同級生2人とそのお寺で遊んでたんです。
そしたら1人のやつが、ワクワクすることを言い出したんです。
そこの墓地には3体の大仏像があって、
その3つをある順番に回ると不思議なことが起きるって。
不思議なこと・・・というのが何かは、
もしかしたらその場で思いついた出まかせだったかもしれません。
この大仏像というのは、地元の市の有力な家系の墓所です。
そこは小学生なんで、途中でわけがわからなくなっちゃったんです。
まあ、算数が得意というやつもいませんでしたし。
それで今度はCから始めて、その大仏の前の細かい砂利に、
で、Bを最初にしたときだったから3回目か4回目のことです。
「いっせいの」で、B大仏にタッチして走り始めた・・・んですが、
最初に走ってたやつがせまい墓所の通路で急に転んで、
残り2人もそれにつまずく形で折り重なって倒れました。
そのとき、空が急に真っ暗になったんです。
ずっと向こうまで続いていた墓は見えなくなってて、夜みたいでした。
ただ、ずっと遠くに山があって、その上に赤い火が燃えてたんです。
いくつも重なって聞こえるような。
すごく怖ろしい気持ちになって立ち上がりました。
すると、あたりは明るくなって蝉の声が聞こえる・・・元に戻ったんです。
お盆の公開のときに3人とも見たことがあったんですが、