黒鯛やグレを釣る人にとって、撒き餌は必須。それが大多数の常識である。
「撒き餌しなかったら釣れないでしょう!」
が、最近の別府湾。今年生まれた様々な魚の稚魚で溢れている。針に刺したオキアミなどひとたまりも無い。仕掛けが馴染む前に針から毟り取られ、それに気付かぬ釣り人は、餌が付いてない針を延々と流している。
素針(餌が付いてない針)で魚は釣れません。
釣り人は、あの手この手で餌取りをかわし、何とか目的の魚を釣ろうとしますが、なかなか上手く行きません。
チヌ釣りの餌取り対策の筆頭はサナギ(蚕の蛹)ですが、クサフグが多い所では効果なしだし、クサフグがいないところでは、チヌが来るまで当りがないので飽きてしまいます。また、釣り人がサナギを使わない釣り場では、チヌもなかなか食いつきません。
で、経済的理由もあり、撒き餌を使わない釣りの実験をしています。
ポイントはひとつ。チヌの通り道を見つけ、そこで待ち伏せすること。
ものの本によれば、チヌの回遊コースは決まった道があるそうで。と、言っても、海底の状況が見えるがずもなく、本に書いてあるチヌの性格を信じてそのような場所を探してみるのです。
最も簡単なのは、岸壁や防波堤の壁際です。
上下左右に前後、あらゆる方向から捕食者に襲われる海の中ですが、壁に張り付くと、その危険性は半分になり、壁際の底だったら1/4になります。
広い海のど真ん中に比べれば格段に安全な場所ってことですな。
チヌは、この場所を好み、壁に沿って移動するそうな。
もちろん、小魚にとっても安全な場所であるからして、餌取りもわんさかいます。しかし、チヌは小魚にとっては捕食者。大型のチヌが来れば、雑魚はいなくなります。
気の短い釣り人は、手を変え品を変え。チヌが釣れないと、仕掛けやタナ、流す場所など色々と変えてチヌの居場所を探そうとしますが、それは、撒き餌の周辺の何処かにチヌが居ればこそ。
別府湾では、ここ数年であちこちが埋め立てられ、その影響だと思うのだが、チヌの数が激減している。ただし、科学的根拠はない。
昔は、メイタの数釣りが楽しめた夏から秋にかけてのゴールデンシーズンが、最近では半日粘って一、二枚。
しかも、夜はさっぱり姿を見せず。
従って、撒き餌を使わない釣りでは、VSOP(ベリースペシャルワンパターン)が原則。餌取りに遣られても遣られても壁際を流す。ただ、壁際を泳ぐチヌは、上から見えることもあるように中層を使う場合もあるので、タナは自分で信じて決めるか、全遊動で流す。
釣り仲間との会話で、何度か話題にはしたがお勧めはしない。
初心者ならいざ知らず、ある程度経験を積み重ねた釣り人であれば、他人のアイデアには拒否反応を示す。自分の釣り方を否定されたようで、不機嫌になるのだ。その割りに「どこそこで釣れた」と聞くと、鬼のように早起きをして、その場所を取りに行くのだが。
そして、実験的な釣り方をする釣り人は少ない。トーナメンターくらいだろうか?
大多数の釣り人は、過去の成功体験だけをデーターに毎回同じ仕掛けで同じ釣りをする。僕は、成功体験か失敗体験を引き算するべきだと思う。そのデーターがプラスであれば、それはその季節のその場所の必勝パターンだと思う。
大きなウキをプカプカ浮かべてチヌを釣る人「だって、これで前に40センチのチヌを釣ったもん」
いや、他人の釣りに口出しは禁物。それで、その人が楽しんでいるのであれば、大きなお世話である。
摂り合えずトータル三日、撒き餌を撒かずに釣りをしてみたが、ノーフィッシュで帰った事は無い。が、サイズは25センチ~35センチ。この季節の平均サイズに比べれば大きい方だが、他人が羨む40オーバーはない。
撒き餌をすれば、チヌも寄るが雑魚も寄る。