午後10時 家の電話が鳴る
おや、珍しい。家の電話が鳴るなんて。誰だろう?また、勧誘かな?
「もしもし」
「あぁ、隣の○○だけど」
何故に電話?歩いて数十歩の距離なのに
「はい」
「うちのパソコンが故障したんよ。見てくれん?」
「わかりました」
「こんばんわ」
「ごめんね。ちょっと見て」と奥さん
「あのね、今まで出よったもんが出んのよ」とご主人
「???」
「ほら、これ!今までと違うんよ」
インターネットエクスプローラー(IE)の画面が出ている。表示されているのはアクオスのホームページ
「今までって?」
「なんかね、前はここにニュースとかスポーツとか出よったんよ。それが出んと、次に行けんのよ」
「はぁ・・・」
それ以上のヒントは引き出せないので、脳細胞をフル活用して、何が起きたのか想像してみる
そう言えば、師匠のパコソンは、YAHOOがデフォルトのホームページになっていた。確か、あのホームページは、左側に他のページにリンクするボタンが並んでいたなぁ
検索してYAHOOのホームページを表示する
「もしかして、このホームページですか?」
「そうそう、これこれ!この前まではね。これをこうすると、この画面が出てたのよ」
ご主人は、そう言うと、IEのウィンドウえお閉じて、デスクトップのIEのアイコンをクリックする
「あ!」折角、YAHOOのホームページを表示してたのに・・・
「ほら、やっぱり違う画面になる」
そりゃそうでしょうよ。デフォルトのホームページが、アクオスのホームページに設定されているんだから。
「やっぱ、壊れちょるん?」
「いえいえ、壊れてませんよ」
再び、YAHOOのホームページを検索してURLをコピーして、[インターネットオプション]のデフォルトのホームページのテキストボックスに貼り付け、[OK]ボタンをクリックする
「はい!直りましたよ」
「直ったの?」
「はい」
「今ので?」
「はい」
「本当に?」
「・・・」
「母さん、直ったんかなぁ?」
母さんに訊いてもわかるわけないじゃないか
「ほら、これをこうすると、この画面になるでしょ?(デスクトップのIEのアイコンをダブルクリックしたらYAHOOのホームページが表示されるでしょ?)」
「本当じゃ。うんうん、これでいい。元通りじゃ。なぁ、母さん」
だから、母さんに訊いてもわからないって
「でも、なんでじゃろうか?わしは、なんもしちょらんのよ。母さん、あんたが、何か色々プリントしたりしたから悪ぃいんじゃねえか?」
出た!年寄りは、何でも他人のせいにする。自分は悪くないと言い張る
「さぁ、なんででしょうねぇ」
きっと、[インターネットオプション]のデフォルトのホームページの[標準設定]ボタンをクリックしたに違いない。メーカー製のパコソンは、[標準設定]にそのパコソンのホームページを登録している。隣んちのパコソンはシャープ製だ。
「修理に出した方がいいやろか?」
「大丈夫ですよ」
「でも、また、こげんなったら困るきぃ。なぁ、母さん」
お前は、嫁コンかぁ?
「その時は、また呼んで下さい。僕が元に戻します」
「いやいや、わしは修理してほしいんじゃあ。なぁ、母さん」
「だから、壊れてませんてば」
「壊れちょるから、こげえなったんじゃろ?」
「違いますよ。設定が変更になっただけです」
「だから!壊れちょるんじゃろ?」
「違いますよ」
「じゃったらおかしいじゃねぇか。壊れちょらんのに、なんで勝手に画面が変わるんじゃ?」
そりゃあ、あんたが[標準設定]ボタンをクリックしたからじゃろうが!と、言ってやりたかったがどうせ通じない
「ソフトウェア(IE)が自動アップデートしたんじゃないですか?」
「なんじゃ、そりゃ?」
「最新のソフトウェアがリリースされると、自働でアップデートするんですよ」
「ほほぅ、そげなことがあるんかい?」
「はい、あるんです。それで、設定が全て初期化されたんじゃないですか?」
「初期化されると、なんで今まで出よった画面が出らんごとなるんじゃ?」
「最初は、シャープのホームページが表示されていたでしょ?」
「うんにゃ、最初からこれじゃった」
と、パコソンの画面を指差す
そんな訳ないんだけどなぁ・・・ま、いっか!説明してもわからないだろうし
「とにかく、故障はしていません」
「ふ~ん、まぁ、いいじゃろ。呼んだら、直しに来てくれるんなら」
いつのまにか、専属無償修理屋さんにされてしまった
それにしても、言葉が通じないのは困ったもんだ。あっちは、専門用語を覚える気はないし、こっちはこっちで、年寄りの言葉は理解・・・ん?言葉と言うよりは、「あれ」とか「これ」とか「こうしたら」とか「こげぇなる」とか、代名詞ばかりじゃないか!
ま、なにはともあれ、めでたし!めでたし!