雑誌『メフィスト』5月号掲載


詐欺師の“武沢”は相棒の“テツさん”との詐欺で生活をしていた。
二人は仕事の帰り道、スリの少女“まひろ”と出会う。
まひろは無職の姉“やひろ”と、その恋人の“貫太郎”をスリで養っていた。
家賃滞納でアパートを追い出されるというこの三人との奇妙な同居生活が始まった。
だが、五人には偶然のつながりがあった。
それぞれが、同じ闇金業者のせいで今の生活に追いやられていたのだ。
その業者に数々の嫌がらせを受けた五人は、得意技で反撃に出た。
暴力のプロに詐欺のプロが戦いを挑む…!


という内容の作品。


一見、負け犬の反撃の物語のようですが、そうではありませんでした。
この作品は、家族や仲間への愛情の物語です。
なので、読後感がすごくいい。


人間関係の伏線が随所に敷かれていて、読み終わったときに、
「あー、そういうことだったんだ」
とスッキリします。


あまり多くを知っていると、面白くなくなるタイプの作品なのでこのへんにしておきます。
ハッピーエンドが好きな方、オススメです。
雑誌『メフィスト』5月号掲載


殺人犯が出題者の推理ゲームシリーズです。


殺人鬼五人がAVチャットで行う殺人犯=出題者の推理ゲーム。
動機は出題のため、犯人は出題者。
求めるのは「どうやって?」のみ。
ある雑居ビルで男が殺された。
被害者は腹部を切り開いて内蔵を取り出され、両足と右手首を切断されていた。
そのうえ、切断された両足が邪魔になりドアが開かなかったのだ。
足を置いてからでは室外に出られない。
はたして犯人はどうやって逃れたのか!?


究極のハウダニットですね。
どうやったか以外は一切考えなくていい。
非常にシンプルなため、
「そんなの分かるわけないよ!」
という、推理小説にありがちな怒りを全く感じません。
そのため、かえって真剣に考えてしまいます。
読み物として非常に楽しめました。
すごく悪趣味な犯行でしたが(笑)
そもそもこのゲーム自体が悪趣味か。
だけと、作品をシンプルにするための上手いアイディアだと思いました。


すごく面白かったので、前作も読んでみようかと思います。
雑誌『メフィスト』5月号掲載


石持浅海の新シリーズ第一話です。


主人公“川端直幸”が書店で出会った美しい女性“高野秋”は、二つの腕時計をはめていた。
二つは同じ時間をさしている。
では、なぜ“二つ”必要なのか?


というあらすじ。


相変わらず合理的です。
ツッコミ所を探してしまいました(笑)
探偵役が鋭いのも相変わらずです。


一つ気になったのが、ラブロマンスの要素が入っているところ。
それ自体に問題はないのですが、必要以上にプラトニックに描きすぎな気がしました。
そのため、心情的に入り込みづらくて、謎のほうにばかり目がいってしまう。
それなら「その要素はいらなかったのでは?」と思ってしまいました。


とは言え、まだまだシリーズ一話目。
謎解きのほうに重きを置いている作家さんなので、“新シリーズ”今後も注目していきたいです。