アンチエイジングダイエット、続きです。

 

④   主食(ご飯、麺類、パン類などの炭水化物)を食べる前に食物繊維(野菜、根菜類、海藻類、キノコ類)を食べる

GI値の食品選びに固執するよりも、食事そのものの摂り方を工夫することで、低インスリンな食事は可能です。まずは食物繊維を食事の始めにたっぷりと摂りましょう。私たちの研究でもこの食べ方の方が、血糖やインスリンの上がり方がマイルドであることが確認されています。とんかつ屋さんでは、まず千切りキャベツをたくさん食べておくことがポイント。

 

⑤  主食を食べる前に汁物を摂ったり、お酢(食酢、バルサミコ酢)を使う

 ④と同じ理屈です。主食のご飯やパンを食べる前に味噌汁、お吸い物、スープなどを食べておいたりすると血糖の上昇が抑えられます。また、酢飯は普通のご飯よりGI値が低くなります。イタリアンやフレンチではパンにバターではなく、オリーブオイルにバルサミコ酢を入れてそれを使うのがポイントです。

 

⑥  加工度の低いもの、旬のものを摂る

 加工度の高いもの(精製されたもの)がGI値が高くなる傾向があるのはもう、おわかりですね。調理法もあまり凝ったものでなく出来るだけ素に近い形で摂る方が低GIであることがいわれています。旬のものは栄養価が高く、ビタミン、ミネラルが豊富です。

 

⑦  良質のたんぱく質、良質の脂質をしっかり摂る

 炭水化物の割合が4050%になるので、その分たんぱく質、脂質の摂取量は増えることになります。たんぱく質は植物性たんぱく質を少し多めに。油脂は何といってもオリーブオイルが一番です。青魚の脂として有名なDHAEPAもお薦め。インスリンの効きを悪くする悪玉トランス型脂肪酸の多いマーガリン、ショートニングは止めましょう。揚げ物などを食べるなら、家庭やお店で揚げたてをその場ですぐに食べること。時間が経った油は酸化されているのです。同じとんかつを食べるにしても、デパ地下のお惣菜コーナーに並んでいるのを買ってきて食べるのはNG。お店に足を運んで、その場で揚げたてを。

 

⑧  炭水化物の重ね喰い(ラーメン+チャーハン、うどん+かやくご飯)は厳禁

最も高インスリンを招く食べ方です。これだけは避けなければいけません。おそば屋さんのランチなどで、丼もの+おそばが必ずありますが、止めましょう。

 

⑨  一口最低20回咀嚼して、1回の食事時間に20分以上かける

 硬めの食品であるほど低GI値であるといわれています。普通のご飯と煮込んだおかゆ、玄米を比べてみると、GI値の高い順に、おかゆ⇒ご飯⇒玄米になります。硬めの食材をしっかり噛んで食べる。何のことはありません。昔の我々の祖先は皆、こうした食事をしていたのです。弥生時代に較べ、現代人の食事の際の咀嚼回数は六分の一ほどであろうと推測されています。よく噛んでゆっくり食べることで、脳の満腹中枢が少ない食事の量でも刺激され、食べ過ぎも防げるのです。

 

⑩  12030分の運動習慣を

インスリンを出来るだけ出さないようにするのがアンチエイジングダイエットのポイントです。食による低インスリンコントロールを助けるのが運動です。筋肉を使う運動は、インスリンの感受性(効き目)をアップさせ、よち少ないインスリンで血糖のコントロールが可能となるのでインスリンの節約効果があるのです。

ところで、ダイエットの本当の意味をご存知でしょうか?その語源はギリシア語のdiaitaで、意味は「健康的な人の生き方」なのです。このdiaitaから派生したdiet(ダイエット)という英語も本来の意味は、「日常の食事」、「食生活」、「食習慣」、(「減量のための)食事療法」であり、日本で使われている「痩せる」という意味ではありません。

 

私が2003年から提唱しているアンチエイジングダイエットとは、痩せるためのダイエットのことではありません。アンチエイジングに“生きる”ための“食のとり方”、これこそがアンチエイジングダイエットです。従ってアンチエイジングダイエットに、「太っている」、「痩せている」は関係ありません。食生活習慣が崩れだす20代から意識して行ってほしい新・ダイエット方法であり、理論であるのです。今日から早速、インスリンをコントロールするためのアンチエイジングダイエットの10か条を実行してみて下さい!今日はまず3つのポイントを。

 

      炭水化物の量を減らす(総摂取エネルギー量の4050%以下に)

 脳が必要とするブドウ糖の量は1日約120150g(熱量にすると480600キロカロリー)と言われています。低炭水化物ダイエットは2060gにまで落とすわけですが、これは日本人には不向きであることは以前述べたとおりです。長続きしなければ、意味がありません。総摂取エネルギー量が2000キロカロリーの人では8001000キロカロリー分(ブドウ糖換算で200250g)を炭水化物で摂るくらいにします。もっと大雑把に言うと今食べているご飯、パン、麺類、果物などの量を半分~三分の二くらいになるように心がけましょう。ただし色々な炭水化物を摂るようにして、バランスは崩さないように。

 

      同じ炭水化物なら低GI値のものを選ぶようにする

 従来のGI値は先述したように現実的ではありません。低インスリンな食選びにおいて、覚えておいてもいいのは、「白米なら玄米、雑穀米を」、「食パンより全粒粉パンを」、「うどんよりそばを」ということくらいでしょうか。しかし、これをずっとかたくなに守る必要はありません。今までの食生活の中にうまく取り入れる工夫を。

 

      13食を守る

 血糖値を出来るだけ上げないようにするには、1回あたりの食事の量を減らして、その代わり回数を増やすという方法があります。実際、以前の糖尿病の食事指導では間食という考え方があり、基本の摂取エネルギー量を15回くらいに分けて指導していたのです。ただし15回、そこそこの量を摂ってしまえば、意味がありません。やはり3回の食事が基本です。11食~2食では、食事一回あたりの膵臓への負担が大きくなること、空腹時間が長いと次の食事の栄養の吸収も高まり、内臓脂肪蓄積につながります。

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昨日は恵比寿アンチエイジングクリニックのスタッフといっしょに、恵比寿にあるキムカツに行きました。キムカツと言えば、行列の出来るとんかつ屋さんで有名。ここ恵比寿店は以前、渋谷に引っ越してくる前の恵比寿アンチエイジングクリニックのすぐそばにあり、当時、夜遅くまで、あるいは雨、雪の中でもたくさんの人が並んでいたのを見ながら、「食べてみたい!」と思っていました。最近、お店がリニューアルし、広くなったのでそれほど並ばずに食べられるようです。

クリニックの業務を終え、20時半過ぎに到着。あまり待たずに入れました。ここのとんかつは、ミルフィーユとんかつと言われ、25層にも重ねられた超薄切りの豚ロースを巻いて揚げてあるのです。味のバリーエーションもあり、昨日はチーズ、黒胡椒、ネギを皆でトライしました(にんにくもあり)。

とんかつはダイエットの敵?いえいえ、そんなことはありません。食べ方次第では、OKなのです。その方法は、明日の連載ブログで。。。

(チーフの上間さんは、キアラチームとのミーティングが長引き、参加出来ず!今度、また行こうネ!)

ここで、従来のダイエットについてしっかりと確認しておきましょう。ダイエットには4本の柱があります。まずは誰でも知っている、「食事」の柱と「運動」の柱。

食事に関しては、単にカロリー制限をすればいいと思っている人が多いのですが、これは誤りです(今回の連載はその辺を重点的に説明しています)。食事のタイミング、取り方、かける時間、食べるものの質などがすべて関わってきます。食事制限ではなく、食全体の見直しと考えましょう。もちろん、カロリーも重要です。

運動はわかりやすいですね。ウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動以外に、筋肉トレーニングもよく知られています。最近ではインナーマッスル(体の内側の筋肉)を鍛えることも効果的であることがわかってきました。

さて、残る2本の柱のうち、1本が「代謝」です。これも“基礎代謝をアップさせて効率よくダイエット!”などという感じで、すでに広く理解されてきています。基礎代謝のことばかりが強調されていますが、これだけではありません。局所代謝(部分部分の代謝)、糖代謝、脂質代謝などがダイエットには関係します。部分太りは局所代謝の低下が原因で起こるもの。その部分の代謝をアップさせるような方法を正しい方法で行えば、部分痩せも可能なのです。

そして最後の柱が「自律神経」。いくら食事のコントロールをして、一生懸命運動しても、ぜい肉として付いている脂肪を溶かして、燃やす反応が、体内でスムースに起こらないと痩せないのです。このシステムを動かすのが自律神経系というシステム、特に交感神経が関わっています。自律神経が脂肪を分解し燃焼させる方向に向いてくれない限り、ダイエットは成功しません。

クリニックのダイエット外来で、『20代の頃はちょっと食事制限して、運動すれば1ヶ月で3kgくらいのダイエットはすぐに出来たのに、40歳になって同じようにがんばってダイエットしても体重が減らなくなった』という相談を良く受けます。

それはそうです。20代そこそこで、代謝も低く、自律神経のバランスもしっちゃかめっちゃかな人などそうはいません(最近ではそうでもない?)。20代の頃は、3番目の柱である「代謝」と4本目の柱である「自律神経」はすでに立っているので、「食事」と「運動」の柱さえ立てられれば、比較的容易にダイエットは成功するのです。

歳を重ねれば重ねるほど、自分ではピンと来ないでしょうが少しずつ代謝は低下していき、文明社会で長く生きれば生きるほど、自律神経はバランスを崩し、パワーを落としていきます。40代からのダイエットは代謝アップと自律神経系のリセットダイエットが必須となります。3本目と4本目の柱の立て方がわかなければ、ダイエットは永遠に失敗続きとなるわけです。

あなたはダイエットの時、「食事」、「運動」、「代謝」、「自律神経」の4本の柱を立てていますか?

一方、低インスリンダイエットは、炭水化物の“質”に注目した方法といえ、血糖値を上げにくい炭水化物を選んでいくことでインスリンの過剰分泌を抑えようというもの。先述したようにインスリンは血糖値をコントロールする(下げる)大切なホルモンですが、脂肪を蓄積させる様にも働くホルモンなので、年がら年中インスリンが高い状態にあるとなかなか痩せにくいわけです。血糖を上げやすい炭水化物、上げにくい炭水化物を選別するのがポイントであるこの方法において使われるのがGI(グリセミック・インデックス)値という指数です。これは50gのブドウ糖の吸収の程度を100とした時、ある食品(同量の糖質を含む)はブドウ糖の吸収率に比べて30しか吸収されなければ、そのGI値は「30」になります。数値が高いものほど血糖値の上昇が急峻で、数値が低いものほど血糖上昇は緩やかになるといえるので、血糖値を上げにくい食品を選ぶことが可能になるわけです。

 

2002年に日本で大ブームとなったNT氏提唱の「低インシュリンダイエット」はこのGI値に着目して、「カロリー計算はしなくていい」、「GI値の低いものを選んで食べれば量は気にすることはない」、「運動しなくても大丈夫」というセンセーショナルな謳い文句で拡まったわけですが、これは間違い。低インスリンな状態だけでは太りにくい状態にはなりますが、積極的に脂肪を減らすことにはつながりません。どんな食材を選ぼうとも、カロリーオーバーが続けば太っていきます。適切な食事コントロールの下、運動が伴ってこそ医学的に正しい減量=ダイエットが成功するのです。その証拠に今はもう、あの時流行った「低インシュリンダイエット」は跡形もありません(当時、私の先輩の糖尿病専門医の先生方が、「とんでもない大嘘ダイエット法だ!」と怒っていたのが懐かしく思い出されます…)。

 

もうひとつGI値の概念そのものにも問題がありました。GI値の考え方は決して新しいものではなく、今から25年前の1981年にカナダのトロント大学のデビット・ジェンキンス博士らが発表したものです。発表当初は糖尿病の食事療法を変えるのではないかと注目されましたが、その後、実はGI値は不確実性の高いものであることがわかり、日本の糖尿病の医学界の中では色あせていったのです。

 

血糖値の上がり方(糖代謝)は同じ人でも条件によってかなり大きく変動します。食後だったり、寝不足だったり、運動後であったり、風邪を引いていたり、下痢気味のときでは違ってきます。個々人での差もかなりあります。また、もっと根本の問題として、食材そのものをそのままそれだけで食べるようなこと自体がバーチャルだといえるでしょう。生のままでなく、煮たり焼いたりしたらGI値は変化します。同じバナナでも、まだ青いものと熟しきったバナナではGI値は大きく異なります。切り方の違いや、すりつぶしたりしても変わりますし、たんぱく質や脂質などと合わせて調理した場合、単材のGI値は何の意味も持たないものになってしまいます。

 

GI値は生活の中の食事における数字ではなく、実験室での研究上の数字ともいえるのです。GI値のような「指数」という科学的信憑性を匂わす言葉と「インシュリン」という医学用語の魔術によって、当時は多くの人がはまってしまったようですが…

 

ただ、このGI値もそういうことがわかった上で応用できれば、アンチエイジングにも有用です。最近ではたんぱく質なども含めた色々な食材や食材同士の組み合わせでGI値を計測する研究が日本でも行われてきています。

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今日は、とても嬉しいことがありました。ファッションデザイナーの横森美奈子先生から、先生のご著書をプレゼント(素敵な直筆メッセージカード付き!)していただいたのです。㈱BIGIのチーフデザイナーとして、MELROSE、HALF MOON、BARBICHE などのブランドを手がけ、現在は㈱ワールド「smart pink」を立ち上げていらっしゃいます。女性なら皆、知っていますよね?

何といっても、私の大学生時代はデザイナーズブランドの黄金時代。横森先生のいらっしゃったBIGIグループの服は、マストアイテムでした。先週、小学館「和楽」のアンチエイジングドックの特集企画で、横森先生のQOLドック&アンチエイジングドックをさせていただいた時にそんな話で大盛り上がり。

先生ご自身の生き方は当にアンチエイジングそのもの!女性が男性よりも長生きであるのは、「おしゃれ」に興味を持つ度合いが違うからであると日頃から説いている私の主張を裏付けてくれる話が満載なのです。もうひとつ、ご両親様の「介護」の問題を通して発信されるメッセージ(「私の介護days(小学館)」より)は、私により一層、「アンチエイジングをしっかりと広めていかなければ!」という思いを強くさせたのでした。

炭水化物をコントロールすることでやせるダイエット方法として、二つの有名なダイエット法があります。ひとつは「低炭水化物ダイエット」、もうひとつは「低インスリンダイエット」です。前者は名前のとおり、炭水化物の“量”そのものを減らそうという方法です。後者は炭水化物の質に注目した方法です。同じ炭水化物でも白米と玄米とでは食後の血糖値の上がり方に違いがあり、白米に比べると玄米の方が血糖値を上げにくいことが知られています。血糖の上がり方が急峻であればあるほど、インスリンもたくさん分泌されることになります。なるべく血糖値を上げにくい炭水化物を選んで食べれば、過剰なインスリン分泌を抑えることが出来るというわけです。

 

これらの方法でなぜダイエット(減量)出来るのでしょうか?

 

まずは低炭水化物ダイエットの原理を説明します。通常、私たち人間はブドウ糖をエネルギー源として利用しています。炭水化物はブドウ糖の塊のようなものですから、炭水化物を普通に摂っている際にはブドウ糖に不自由しません。ところが炭水化物の摂取量を極端に減らすと、ブドウ糖を使うことが出来ないので脂肪をエネルギー源として利用する系にチェンジせざるを得ません。余分に蓄えられた体脂肪がエネルギーとしてどんどん使われていくため痩せていくのです。栄養学的には炭水化物の摂取量は総摂取エネルギー量の5560%にすることが勧められていますが、低炭水化物ダイエットにおいては540%程度に制限します。

 

アメリカでは1960年代からこの低炭水化物ダイエットはその形と名称を様々に変えながら流行してきました。糖尿病や心臓病を専門とする医師、栄養学の専門家の間では否定的な見解の多かった低炭水化物ダイエットは2000年以降、臨床での新たな検討がなされ、アメリカで再び注目されるようになってきています。炭水化物の摂取量を5%に抑えると、これは体内での生化学的な代謝理論から確実に脂肪が減っていきます。その意味では実行さえ可能ならば、誰にでも当てはまるダイエット法と言えます。しかし、元来穀物類を主食として食べ続けてきた農耕民族である日本人の食生活において、「ご飯」を食べないダイエット方法は決して長続きするものではありません。理論的には合理的であっても、その後のリバウンド率が高い(筆者もその一人)ことを考えると、ダイエット法としての限界もあり適応は限られてくるようです。

インスリンは人体において血糖値を下げる唯一のホルモンであり、このインスリンの作用不足が糖尿病という病気を招くわけで、非常に重要なホルモンであることはいうまでもありません。しかし、飽食、運動不足、ストレス過剰な現代文明社会では、不要な高インスリン状態を来たしやすく、これをコントロールすることがアンチエイジングのひとつの方法であるわけです。

 

実際、最近のアンチエイジング医学の研究で、長寿者においては血中のインスリンレベルが低いということが発表され話題になりました。すなわち、不要なインスリンをなるべく出さないで生きることが長寿の秘訣かもしれないというわけです。

 

それではインスリンの過剰分泌を抑えるためにはどうしたらよいのでしょうか?そのキーは炭水化物(糖質)にあります。インスリンは先述したように、食後、血糖値の上昇に連動して膵臓から分泌されます。糖尿病の患者さんで、よくカロリーの高いものが血糖を上げると思われている方がいますが、これは正確には間違いで、その食事に占める炭水化物の量と質が問題なのです。炭水化物は100%血糖上昇に関わりますが、蛋白質は約56%、脂肪は約10%です。食後の血糖値の上がりを出来るだけ抑えるような食事をすれば、インスリンの分泌も最少限ですむわけで、出来るだけ低インスリンな状態を作ろうとするならば食事における炭水化物をコントロールすれば良いことがわかります。

ここでインスリンというホルモンについて確認しておきましょう。糖尿病患者さんでインスリンの注射をしている方がいることでもおわかりのように、インスリンは血糖値をコントロールする(下げる)作用を持ったホルモンです。食事を摂ると、炭水化物(糖質)が分解され、ブドウ糖になり吸収されます。

 

血液中のブドウ糖が増えると血糖値が上がり、これがシグナルとなって胃の裏側にある膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンは全身の細胞(特に筋肉や脂肪組織)の中にブドウ糖を取り込ませるように働いて血糖値を低下させますが、余った分は中性脂肪に変えて、体内の脂肪細胞などに蓄えようとする作用も持っています。血糖値が高いとインスリンはたくさん分泌され、余分なブドウ糖はせっせと中性脂肪として脂肪細胞に蓄えられていきます。また、インスリンは脂肪細胞から中性脂肪が分解して外に出て行くのを防ぐようにも働くので、ダイエット的にはあまり有り難くない働きをするわけです。内臓脂肪はこのインスリンが過剰に分泌されることによってどんどん溜まっていきます。

 

運動不足やストレス過剰、それと内臓脂肪の蓄積そのものがインスリンに対しての身体の細胞レベルでの反応(細胞レベルでのインスリンの働き)を低下させます。これがインスリン抵抗性といわれるものです。エイジング(加齢)によってもインスリン抵抗性は増大します。インスリンの効き目が悪くなるのですから、血糖値を下げるためにはより多くのインスリンが必要になってきます。

 

このように血液中にインスリンが多量に分泌されている状態を「高インスリン血症」といいます。インスリンの量が多すぎると、腎臓でのNaの排泄の低下や肝臓での脂肪合成の促進、血管レベルでは内皮細胞の増殖を招き、それぞれ高血圧、高脂血症、動脈硬化につながります。高インスリン血症はインスリン抵抗性をますます強め、その結果糖尿病を進行させるという悪循環におちいります。

 

高インスリン血症は、アンチエイジングとは対極の状態ともいえるのです。

今日から、「インスリンをコントロールしてアンチエイジング」という内容でちょっと書いていきたいと思います。私の提唱するアンチエイジングダイエットの大元の考え方でもあります。

アンチエイジングの本質は、エイジング(加齢)をコントロールして、QOLQuality of Life:生活の質)を常に向上させることで、がんや生活習慣病のような病気に罹らずに健康長寿を全うさせることにあります。最近になって、エイジングには遺伝子的な要因が大きく関与していることがわかってきました。エイジングの進行のスピードを遅らせることが出来れば、それがアンチエイジングであるともいえるわけです。

アンチエイジング医学の世界では、エイジングを加速させ、体の健康の状態を悪くさせる原因としては、

 

(0)遺伝子的因子

(1)活性酸素・フリーラジカルによる酸化ストレス

(2)成長ホルモン、性ホルモンなどのホルモン分泌の低下

(3)内臓脂肪型肥満

(4)免疫力の低下

 

などが考えられています。(0)の遺伝的因子を医学的に何とかするには、今のところはもう少し医学の進歩を待たねばなりません。しかしそれ以外の項目は食生活をはじめとしたアンチエイジングなライフスタイルを実行することで、対応することが可能なのです。

 

このうち、(3)の内臓脂肪型肥満は最近、メタボリックシンドロームという概念で注目されています。脳梗塞、心筋梗塞につながる動脈硬化はアンチ・アンチエイジングな病態のひとつで、この動脈硬化を促進させるのがメタボリックシンドロームなのです。メタボリックシンドロームは内臓脂肪型肥満をベースにして、生活習慣病の代表選手である糖尿病(耐糖能異常)、高血圧、高脂血症(血清脂質の異常)のどれか2つ以上を併せ持っている状態のことをいいます。生活習慣病の元凶はこの内臓脂肪型肥満というタイプの肥満であるとも言え、そういう意味では内臓に脂肪を溜めないようにするということはとてもアンチエイジングなわけです。そしてこの内臓脂肪型肥満⇒動脈硬化という流れの中において、インスリンというホルモンが大きく関与しています。

 

ダイエットの敵、脂肪は単なるエネルギーの貯蔵庫であるばかりでなく、多くのホルモン様物質を分泌している人体最大の内分泌組織でもあり、人間の生命を絶妙にコントロールしている大変頭のいい細胞であることがわかってきました。その物質の総称をアディポサイトカイン(アディポカイン)といいます。そのアディポサイトカインにも善玉、悪玉があり、内臓脂肪が増えると悪玉のTNF-αなどが大量に分泌され糖尿病の発症につながったりするのです。また、内臓脂肪の蓄積によって、善玉アディポサイトカインのアディポネクチンの分泌は減少し、糖尿病の悪化や動脈硬化が促進されることが知られています。