ひたすら長距離バスを待ち続け、ようやくそれらしきバスが到着する頃にはさすがに呆れて頭にも来ない状態になっていた。
それに、僕は死ぬほど空腹なのに食欲が湧いてこない。
東南アジアに来てからそれはずっとあった事だった。
何を食べたいか?と聞かれてもマジで解んねぇし。
とにかくお金の心配が大きかった。
今後の予定だってその場で決めてるんだから、急な出費がデカイ。。
僕が規則正しく生活していたのはマレーシアのK.Lに滞在していた時だけだったように思う。
宿泊費や移動費をサイフーやワンが出してくれていたから僕は食費だけで済んだし、規則正しい生活を送っている人間と一緒に居れば当然毎日、食事は摂るもんだ。
そんなわけで、今の僕の食生活、身なり、経済力、目的や考え方が日本にいた頃と比べると180度逆の状況だった。
もし日本にいる家族や友達が今の僕の状態を見たら何て言うかなんて容易に想像できた。
帰って来い。
そりゃそうだろ。
でも、自分でも解んねぇけど中途半端な気持ちで日本に帰りたくねぇ!!
その気持ちだけが僕の足を動かしていた。
そして長時間待った甲斐があって、最高にボロいバスが砂ぼこりを舞い上げながら僕の前に停まった。
最高やんけ、ボケが(笑)
辺りはもう夕方に差し掛かっていた。
そこから12時間かけてブギティンギという町を目指す。
12時間という長距離移動もピンと来ねぇ。。
感覚が完全に麻痺してやがる。
ブギティンギは5ページほどしかないガイドブックに書かれた町の名前だった。
情報不足の僕はコレに従う以外方法がなかった。
大きな荷物だけ預けて車内に乗り込む。
期待していない代わりに残念な気持ちもなかった。
やはり無駄にエアコンだけが効いていたが・・・・。
ガッツンガッツン跳ね上がりながら舗装されていない凸凹にゆがんだ道路を強引に進撃する車内で今更ながら何の目的でインドネシアに来たのか解らなくなっていた。
ココは何処なんだ!?
外灯のない森の中をひたすら進んでいくバス。
身体が左右に揺れれたり、後ろに引っ張られたりする時だけが進路の状況を把握する唯一の手段だった。
途中、休憩をはさむ。
ココが最後の賑わいを見せた休憩ポイントだった。
ミネラル・ウォーターと適当な食料を購入した。
インドネシアの名産品という事もない、どこにでもありそうな、しょうもないスナック菓子だった。
何でも良かった。
再びバスに乗り込み無意味な長距離移動が始まった。
時間を見るともうこんな時間。。
しかし、まだこんなけしか経ってないのかよ・・・?
僕はあと何時間このくそったれバスに乗ってりゃいいんだ。。
スナック菓子を食べ終えるとたちまち暇を持て余しちまった。
相変わらずバスは激しくバウンドしながら進撃する。
脳内麻薬が溢れちまう。
車窓に映った自分の顔がうすら笑いを浮かべていた。
こうなったらいよいよヤバい。
どうにでもなりやがれ。
途中パンクしたバスのせいで足止めをくらったり、深夜近くに取った2度目の休憩では、家畜小屋のような食堂で浅黒い男達に囲まれて訳わからねぇ肉とライスを食った。
今から思うとインドネシアでよく食べられている黒犬の肉だったかも知れない。
ほとんど眠る事が出来なかった。
ブギティンギのすぐ近くの町、ボンジョルという停車場に到着したのは早朝5時。
何人かの現地人に混じって僕も下車した。
ボンジョルは赤道直下に位置する町だったからだ。
世界を股にかける男にまだ成っていなかった僕は、急きょその目的を実現する為この地に下車する事にした。
車外は驚くほど冷え込んでいる。
本当に東南アジアなのか此処は・・・・??
それに1m先しか確認できないくらいの濃霧に覆われていた。
預けた荷物を下ろしてバスはすぐ先にあるブギティンギに進路を向けた。
あっという間にバスのテールランプが霧の中に消えて行った。
360度ぐるりと見渡すが何も見えない。
先ほどまで一緒に下車した人達も見えない所に行ってしまったらしい。
・・・・・・・。
ココはあの世か!?
寝不足で冴えない頭では状況を上手く把握できないらしい。
さて、これからどうする??
つづく
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