「兄貴的には、自分の子じゃないという気持ちの方が強いの?」
「まぁ、それはあるね。
ずっと避妊はしてきたし。
というか、そもそも子どもはいらないとあいつが言っていて。
でも、向こうの実家は、あいつのトシがトシだから早く子どもを。とは言われてた。
で、いきなり妊娠。
はっ?とは思ったが、 妊娠期間がどれくらいとか、今、何週目とか言われてもよくわかんねーというか。
突然、妊娠したから。
今、六ヶ月だから!といきなり言われたんだよね。」
「まぁ、女性側が言わなきゃわからんわな。
人によってお腹の出方も変わるけど、
六ヶ月も言わないとか普通は考えられないような。
というか、こんなこと言ったら気を悪くするが、
22週超えたら中絶の選択がなくなるのを待っていたか、それまで結論が出さなかったか。とは邪推ながらに思うわ。」
「そんな決まりがあるのか。
でも、あいつが病院行っているとか知らなかったし。
子どもの写真みたいな白黒のヤツ?あれをバンっと見せられて、見てもよくわかんねぇなと。」
「あんた…それでよく父性が育ったもんだね…。保健センターの沐浴指導とか妊婦体験みたいなやつには行ったの」
「あれは、行かされた。
生まれたら全部やれって。
お前、オレより10才年下じゃん。
だけど、オレ全然、お前の世話とかしなかったの。次男とは年子だし。
だから赤ちゃんのいる生活の想像はつかなくてさぁ」
「あの直後に、うちの実家に義姉が乗り込んできて、私は妊娠したからどうのこうのと、でっかい腹で押しかけて
自宅のローンを全額出せだの、
不妊治療中の次兄のお嫁さんにマウントとりに行ったり散々でしたけど。」
「あー。そうらしいね。」
「あの人、臨月よりだいぶ前には実家に帰って産後もしばらく帰ってこなくて。
戻ってきたら一人で育てられないってうちの実家に居すわってたわけじゃん。」
あれだけ子どもはいらない、避妊を徹底していると言っている義姉が、
六ヶ月まで気づかないわけがないと
この話を聞いて
ますます、クソ義姉がギリギリまで言うことをためらった理由が想像ついた。
義姉の妹と既婚者DV男を取り合っていて、先に妹が妊娠。
それをあのクソ義姉が許すはずがない。
生むならカモネギの子ではなく、既婚者DV男を選ぶだろう。
金づるとしてカモネギと結婚した。とまで言い切ったのだから。
カモネギが当時、不審に思いながらも出産を喜んだのは事実。
ありえないイクメンぶりを発揮して一人息子を育てていた。
カモネギが息子にこれからDNA鑑定の交渉をして、その結果、血の繋がりが無いと出たら、兄貴、受け入れられるのか。と心が痛んだ。