修学旅行の帰宅時間の連絡が来て、
保護者が迎えに行く。
娘は終始無言。
学校からは修学旅行中になにか取られることはなかった。とは聞いていた。
この話題に触れることが
この頃、既になんとなく重く。
娘からなにか言われない限りはこちらから
「なにか取られていないか」などは聞かない。正確には聞けない雰囲気になっていた。
ずっと無言のままでいる娘。
弟たちが寝てから
「修学旅行がおもしろくなかった」と話し出した。
部屋割りは決まっていて、
部屋から許可なく出てはいけない。
違う部屋に遊びに行く等は禁止。
食事以外で他の友だちと接点が持てない。
風呂も脱衣所に先生がいて監視されている気分。
小遣いはいくらまで。と学校から決まりはでなかったが、家庭用、親戚用のお土産代程度。と言われていて3000円は超えないくらいで。と聞いていたので、その額を持たせたのだが、
娘を毎朝迎えに来てくれる女の子が2万円持ってきて、みんなに自慢しているのが嫌だった。と言うような話をしていた。
まぁ、そうだろうなぁ。とは聞いていて思う。
学校は修学旅行中にもの隠しが発生したらそれこそ旅行どころではなくなり監視の目はいつも以上に強くなる。
2万円持ってきた女の子は、いつも多額のお金を持って遊びに来るのは知っていた。
「おごってあげる」とコンビニで何かを買おうとする。
中には便乗しておごってもらう子もいれば、
「よくないよね」と断る子も当然いて
言い合いにはなっていた。
それを修学旅行中にも「お揃いのなにかを買おう」「お金ないなら一緒に買ってあげる」と言われたことが娘には不快だった。という。
修学旅行では何も起きなかった。
安直に、病欠だった子が疑われたが
確定するものがない。
それからしばらくはあの頻回に起きていたもの隠しがピタリとやんだ。
思いでの1つになる修学旅行が、終始監視体制という記憶として残る。
結果的に何も起きなかったことで
犯人は6年生と付き添い教員だけには絞られず、元の「全ての人間」が対象となった。
このまま卒業まで何も起こらないことを願うだけとなり、
学校もなんだか、「今まで無くなってきたもの」には触れずになし崩しに終わらせたい。という雰囲気。
犯人は確実にいるのにもう、何も起きなければ忘れよう。という空気が作られる。