庭の掃除をしていたら声をかけられた。
「奥さん、外壁 ヤバいっすよ!
コーキング劣化して雨水しみてまっス!」
「…」
たんぽぽの根が抜けない。
西洋たんぽぽ。葉っぱがトゲトゲしていて20㎝以上根を張るらしく、なんとしても途切れずに抜いてみたい。
「おーい、奥さん、聞いてますか!
コーキング・あ・ま・も・りでーす!」
「…」
軍手してても葉が突き刺さってくるわけ。
ゴム製手袋に交代。
シャベルで側面を掘って攻めてみるもなかなか手ごわい。
「奥さんー!」
「独身!!婚活中!!」
「…!!」
「ご両親のお宅でしたか!!」
「独身、戸建て!35年ローン!」
「…失礼しました!
コーキング剥がれて雨水しみてます!
うちでやれば今ならキャンペーンで半額でっス!
でもキャンペーン今日までなんで
申し込み間に合わないなら
手付金5万でキャンペーン価格キープできまっス!」
「じゃあ、キープで」
「ホントっすか!さっすがお姉さん、話が早い!」
「西洋たんぽぽの根っこを折らずに掘りたい」
「は?」
「葉じゃなくて根。」
「…抜けたら契約って感じですか?」
「一本勝負でいってみますか」
「オレ、やりますよ!!」
作業交代。
「コーキングの劣化のヤバさわかる人、なかなかいないから、助かるっス!」
「打ち替え工法と増し打ち、どっちでやりたいんですか」
「…ま、増し打ちで!安いんで!」
「道路から目視でコーキングの厚みが10ミリ以上とよくわかりますね。
あなた、 お名前、コーキング・あまもりさんでしたっけ。
劣化してると連発してますけど、劣化してたら増し打ちは出来ないです」
「あ、打ち替えで…」
「コーキング剤とプライマーはなにを使いますか、今と同様でやりたいのでコーキング剤はみてわかりますよね」
「…」
「たんぽぽの根、折れてますけど」
「…キープ料金は」
「君の名は。」
長男、学校から帰宅。
「ママ、なにやってんの」
「コーキング・あまもりさんと一本勝負してた」
「オレもやる!」
「残念ながら、勝負はついてしまった。
名前も名乗らずその場で手付金をもらう詐欺師。
拭き取った金属シャベルに指紋もついてる。
パパに道路側の防カメ再生保管してもろて」
「OK~!」
「コーキング・あまもりさん、あれ、盗難車ですか」
「…」
「ナンバーの封印外れてますけど、ハンドルと指紋あわせてみます?もうすぐ警察つきます」
見出しが良い
一気に抜ける快感はわかりみー!