NY在住の ピアニストである森美佳ちゃんが
2006年の10月に一時帰国した時に 東京でコンサートをしたのですが、
彼女のHPで その時の感想を 私が書きました。
彼女の存在なしには 『 うるとら 』の制作は 有り得ませんでした。
大変に優れたサンバジャズピアニストなので
本場のブラジル人ミュージシャン達からも とっても愛されています。
日本人離れした彼女のリズム感と ピアノプレイには
Eumir Deodato氏も 大絶賛しています。
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素晴らしいアレンジと ゴージャスなオーケストラで歌いたい・・・というのが、
ワタクシの長年の夢であります。
ブラジルの女性シンガー 故エリス・レジーナのアルバムに、
ロンドンに乗り込んで オーケストラとの初顔合わせの後、
たった2日で録音した『 イン・ロンドン 』という名盤があります。
歌も演奏もアレンジも 最高なのですが
エリスと演奏者達の『 良い作品を作ってやるぞぉ~!』
・・・っという気合に満ち満ちた ハイテンションな世界があるから
これは名盤になったのだと思います。
エリス・レジーナには遠く及びませんが
『 うるとら 』の録音では
ワタクシも そういうハイテンションな時間を過ごしました。
兎に角 スタジオの時間がなかったもので
ブラジル人ミュージシャン達と
正味たった7時間で 9曲を録音しちゃいました。
進行がわかる程度の 簡単な譜面しか用意出来なかったのですが
何しろ百戦錬磨の 神的存在のミュージシャン達なので
あれよあれよという感じで 奇跡的に録音が出来てしまいました。
本当は 美佳ちゃんのピアノと 私の歌の たった二人で
プライベートな お遊びの録音する予定で
スタジオを押さえていたのです。
それが 録音の2日前になって
ベーシストのセルジオ・バホーゾ氏が
急遽 参加してくれる事になってしまいました。
セルジオ・バホーゾ
Sérgio Barrozo氏(70歳)は
Sérgio Barrozo氏(70歳)は
1960年代から ブラジル音楽を支えてきた
雲上人的存在の 偉大な音楽家であります。
サンバだけでなく 4ビートも勿論バッチリ♪の重鎮です。
そんな凄い人が 一緒にプレイして下さるなんて!!!!
・・・でも世の中 そんなに話がウマクいくワケがないので
当日 ご本人とお会いするまでは 信じたいけれど 信じられない・・・
狐につままれたような ・・・嬉しいような・・・、
でも手放しで喜んでしまったら 当日になって「 やっぱり駄目だった 」
・・・と言われて がっかりするかもしれないし・・・等々 etc etc...
心は千々に乱れて ほぼ錯乱状態となりました。
ところが 録音前日になって 更に
ドラムのエリベルトン・シルバーErivelton Silva氏と
トランペット&フリューゲルホーンのトロンペチ(Paulinho Trompete)氏まで
参加してくれる事になってしまいました。
エリベルトン氏は 40代でまだ若いのですが 非常に達者なドラマーです。
でも 結構気難しい人物でもあるみたいで
気に入らない音楽だったら絶対にやんないよ!
・・・という強いポリシーの持ち主なんだそうです。
( だからトラックの運転手の仕事もしちゃうらしいです。)
小野リサさんの旦那様の ドラムの先生でもあるそうです。
トランペッター&フリューゲルホーンのパウリーニョ・トロンペーチ氏は
6度目の結婚をしたそうで イカニモ遊び人的な
チョイ悪オヤジ的佇まいの人物ではありますが、
チェット・ベーカーとも一緒にプレイした事もあったそうですし、
ブラジルのサラボーン&美空ひばり的存在の女性シンガーである
レニー・アンドラーヂの バックバンドのバンマス 兼 アレンジャーで
非常に器用で デキル人物です。
そんなこんなで 予定外の嬉しいお話が どんどん飛び込んできまして
あまりの嬉しさに 私の神経はブっ飛び状態になってしまいました。
ハイテンションで丸々3日間眠れず
しかも全身蕁麻疹だらけになり とんでもない事になりました。
☆ 蕁麻疹だなんて それまでなった事が無かったワタクシです。
「 あまりにも嬉しい事が起こって そのショックで蕁麻疹になったんですよ 」
・・・っとお医者様に言われてしまいました。
嬉し過ぎるのも 身体には毒っていう事らしいです。(苦笑)
美佳ちゃんからは
あんまり演奏する人が増えると
それ用のアレンジまでは 考えていなかったから
録音がゴチャゴチャになって 心配だわ・・・との意見も出たのですが、
「 駄目で元々で やっちゃいましょうよ! 」
・・・っと 私が強引に進めてしまって 録音しちゃったのですが
これが見事に 大正解でした。!!!
音楽家として 沢山の場数を踏みまくった上で
現場処理能力に長けた人達だったから 実現出来た事であります。
普通だったら こんな事は絶対に!有り得ません。
『 うるとら 』を録音して思った事は
音楽はやっぱり 演奏家同士の化学反応なんだなぁということです。
今回は 必要最小限のメンバーで 凄い事が出来たので
超・満足しています。