この本の一番最初の
「 蒸発旅日記 」という章では、
ただ2.3度ばかり手紙のやりとりをしただけの 会った事もない女性と
イキナリ!自分勝手に 結婚しよう♪っと思って
九州へ旅立つ話が 始まってしまいます。
列車に乗りながらも
相手の女性がブスだったら 嫌だなぁ・・・とか
でも少しぐらいだったら 我慢しようかなぁ・・・等と
あ-でもない こ-でもないと ぐずぐず逡巡したりぃ
旅先で出会った 別の女性達とも
何となく成り行きで 関係を持ったりするのだけれど、
結局は 何となくやっぱり東京に一人で帰って来てしまい
その後 文通相手からラブレタ-が届いても
何となく その気になれなくて
一通の返事も出さないままに 全てを終わらせてしまうんですよね。
・・・このあまりにも短絡的で 覇気の無い感じに
読むほうも脱力させられて 思わず笑ってしまいました。
仕事を持っていようとも 無職であろうとも
いつも浮き草の様に 魂が漂っていて
きっと駄目男というものは
皆な共通して こういうモノなんだと思います。
でも 生き方としては これもアリ♪・・・みたいな
不思議な説得力と魅力があるものだから
憎めなくて 始末に終えないんですよねぇ。
「 家畜のように惨めな家屋が
五、六戸固まって雨に濡れているのをバスの窓から見て、
家の前のぬかるみに 転げ回りたい衝動を覚えた。 」
・・・この文章にも象徴される様に
汚らしかったりぃ 寂れた貧乏臭い宿を
つげさんは わざわざ求めて旅に出るのですが、
精神の脆弱さに満ち満ちた こういう独特な世界も
たまには良いものですねぇ。