ワタクシのニューヨーク | どしゅこいの大嘘吐き日記


海外に行って思う事・・・、
いえいえ これは海外に限らず 家から離れた何処かに行くと、
「 何だぁ~ 絵葉書と同じだぁ~ 」とか
「 テレビでやってたのと同じだぁ~ 」とかって
ついつい情緒もへったくれもなく いつも思ってしまうのだけれど

昔 成田からアンカレッジ経由で ニュ-ヨ-クに行った事があった。

飛行時間が長かったものだから 
もうそれだけで ヘロヘロになって 疲れ切ってしまったしぃ、
おまけに強烈な時差ボケが 最終日まで抜けなかったので 
あの時は辛かった。

短期間での過密スケジュ-ルに 追いまくられてしまって
何が何だかもうワケが判らない様な、どんよりとしたけだるい夢を見ている様な、 
兎に角 日本に帰るまで ずっと朦朧とした そんな感覚で過ごしてしまった。

10月の終わり頃だったものだから マンホ-ルからは湯気が立ち上り 
凍りつく様な空気の中では、何もかもが ワタクシには他人行儀に見えて、
セントラルパ-クも ちょっとは歩いてみたけれど、
寒さで両耳が悴み ポロリと落ちてしまいそうで 不愉快だった。

ニュ-ヨ-クは外人ばっかりで 疲れる。
 
滞在していたプラザホテルを 夜一人で抜け出して 
ほんの気まぐれで 近くのチャイニ-ズファ-ストフ-ド店に入ってみた。
そこは閑散として 薄汚れた感じの やっぱり無愛想な店だった。

お腹なんて全然すいてなんかいなかったのに、
何でこんな所に来てしまったんだろう・・・、

でも ホテルに引き返す気分にもなれなくて
カウンタ-で コ-ヒ-を一杯だけ注文して
ワタクシは仕方なく 出口近くの席に座ってしまったのだけれど。

ひとくち コ-ヒ-を飲んだ時に
向こう側のテ-ブルの白人の老人と 目が合ってしまった!。

彼は 一見英国紳士風の重厚なス-ツ姿で 
ダービーハットを被っていたのだけれど、  
よく見たら 帽子も洋服も靴も 何もかもが擦り切れていて 見事にボロボロだった!。

ニコニコしながら 一人で静かにご飯を食べていた彼は、
邪気の無いウインクを ワタクシにしてきたのだ!。

ああいう清らかな顔も 世の中にはあるんだなって思いながら
ワタクシも彼に会釈をしたのだけれど。
何だかその事だけは 忘れられない・・・。

これって 国木田独歩の『忘れ得ぬ人々』の世界だわよね。

ワタクシの記憶に残る事は 
案外いつもこんな風に とってもっとっても ちっぽけな事だったりする。