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大人の焼き物

 

<<前書き>>

 

忠麿たちの師匠?白櫻尼がナレーターとして物語の第2話・・・・・

 

それでは、よろしくお願いいたします

 

<<・・・・>>

 

 

第50話 白櫻尼様の困り事(2)

 

 

「「いつ妾が、あの3人を“鍛錬”すると言ったんだ!!!!お断りだ!!!!」」

 

妾は、忠麿(ただまろ)が、優秀?な部下3人が連れて来た、馬・鶏・ハムスター・・・いや違った

 

山上遼太郎(やまのうえの・りょうたろう)平群明日香(へぐりの・あすか)橘蜜柑(たちばなの・みかん)という3人の陰陽師たちが“鍛錬”に入門したと言う“勘違い”をしたので、速攻に拒否をしたのだ

 

直ぐに、“勘違い”を誘発した訓麿(さとまろ)を睨んだが、こいつ・・・そっぽ向いて知らん顔を決め込んだ

 

“訓麿め~~~いつか、報復してやる~~~”

と、心に誓いながら

 

「忠麿よ、これ以上人間を“鍛錬”させる気は無いのだ・・・」

と、弁明した

 

「え?」

と、忠麿は少し驚いたあと

 

「・・・確かに白櫻尼様の都合があるものですね」

と、妾の意思を尊重しつつ落胆してしまった

 

そんな忠麿の様子に、弓香を始め、6人が“諦める”雰囲気が醸し出し

 

“やっと面倒事が終わった・・・すまなかったな”

と、妾は、そう心の中で少々の贖罪を感じながら安堵した

 

妾の“鍛錬”に入ろうとした3人に向かって

 

「そういう事で、わざわざ来てもらって済まないが、そなたらを引き受ける気は無いのだ」

と、淡々と断りを入れた

 

「・・・判りました」

 

と、言って3人が諦めて帰ろうとした時、いきなり忠麿が

 

「「白櫻尼様に“鍛錬”を懇願してきた3人は、中々優秀な陰陽師たちです・・・もう一度“考え直して”頂きたい」」

と、妾に前のめりになって真剣な眼差しで、懇願しだしたのだ

 

妾は、一瞬“鳩が豆鉄砲喰らった”が

 

「「だから、嫌だと言ったはず・・・」」

と、強く断ろうとする途中で

 

「「もし“指導する者”が必要なら、私と“兄上”がなります!!!だから」」

と、忠麿は、頭を下げた

 

“いや、妾が断った理由、そこでは無いのだが”

と、思いつつ、いくら“忠麿の懇願”でも無理な事は無理と断ろうとしたとき

 

「「おい!!!忠麿!!!!何で“俺まで”巻き込むんだよ」」

と、訓麿が絶叫してきたのだ

 

早速、訓麿が忠麿に詰め寄り

 

「「それに、白櫻尼(はくおうに)のばあさんも嫌がってるんだ!!!!諦めろよ!!!!」」

と、“己の嫌な事”を躱す為、“妾の意思”をダシになじったのだが

 

それでも忠麿は、本気の眼差しで訓麿を見据え

 

「『陰陽道組合』再編には、組員の技能向上の教育も組み込まれている・・・・白櫻尼様の鍛錬の仕方も参考になるんだ」

と、説得に取り掛かり

 

「「だから、兄上も“組員たちの技能向上の手助け”をしてもらう」」

と、ガッツな拳を握り締めながら、訓麿を畳みかけてきた

 

「「はあ~~~~俺がだと???」」

と、訓麿が眉を顰め怪訝そうに驚き、やがて呆れた笑いをしながら

 

「忠麿よ~~~俺の『陰陽道組合』での立場分かってるだろう?・・・それに俺自身『陰陽道組合』に対し何もする気ないぞ!!!」

と、忠麿の説得を躱そうとしたが、忠麿はニヤリと

 

「でも兄上、なんやかんや“協力”してくれたではないか~~~」

と、突っ込みをいれたが

 

「「それは、お前の体調を心配したからだ!!!」」

と、訓麿の奴、普段は感情を余り出さないのに珍しく“顔を赤らめ”言い訳をしていたのだ

 

“ほう~~~訓麿も”照れる事“あったんだ~~~”

と、妾は感心したのだが・・・・

 

妾だけでなく、弓香たち6人の陰陽師たちも、訓麿の“珍しい表情”に感心し

 

「あれ~~~訓麿さんって“照れる”んだね~~~」

と、弓香が厭味ったらしい笑みで、訓麿に嗾け

 

「「う、うるさいわ!!!」」

と、訓麿が苦虫を噛んだ表情で、弓香に怒鳴っていた

 

忠麿は、訓麿と弓香の言い争いなど気にせずに

 

「兄上!!!貴方は『陰陽道組合』での立場は最悪だが、陰陽師としての実力なら、あの郡山(こおりやま)局長さえも驚愕するくらい・・・いや『陰陽道組合』で“五指”の実力を持つと、他の3人の局長も認めているんだよ」

 

と、割って入り、訓麿に少しの皮肉と多大な称賛をすると

 

訓麿は、一瞬驚きの表情をした後、しかめっ面しながらそっぽ向き

 

「い、いくら称賛しても、俺は“協力”する気はない」

と、たじろき拒絶していた

 

“訓麿の奴、”称賛されて“まんざらでも無さそうだな”

と、妾はニヤリと思いながら

 

“それにしても、忠麿も大変だな・・・中々、訓麿の首を縦に振ってくれないな~~~”

と、忠麿に、少し同情をしてしまったのだ

 

「・・・このままだと、私は『陰陽道組合』再編に手を取られ、通常の業務を出来ないまま無理をすると、いつか体調を崩し倒れてしまう可能性がある・・・」

 

と、忠麿は、悲しそうな表情で訓麿を訴え

 

「だから、どうしても兄上の協力が必要なんだ・・・どうか頼む!!!!」

と、頭を下げ、強く懇願したのだ

 

訓麿は“忠麿の弱気な発言”に、困った表情になり

 

「くっ・・・・」

と、口が籠り、少し考え事をしたあと、溜息をつきながら

 

「だ、だからと言って『陰陽道組合』再編の協力する気はない・・・」

と、さっきとは打って変わり、小声で拒否したのだ

 

“忠麿の”泣き落とし“でも少しは効いたが、訓麿の奴、中々しぶといな~~~”

と、妾は、この兄弟のやり取りを、どんな結果になるだろう興味をもって見守っていたが

 

「・・・・やりたくはなかったが、実力を上げる為に白櫻尼様に鍛錬を申し込んだ後輩たちの為、ひいては『陰陽道組合』再編ためだ」

と、忠麿が何かを決心した凄みで呟き

 

「おい?まさかお前・・・」

と、額に青い筋を立て身構える訓麿

 

そんな兄弟の様子に、妾と弓香たち6人の若者たちは

 

“いよいよ、実力行使で無理やり訓麿を説得させるつもりか~~~”

 

と、皆“ワクワク”と胸を小躍り、弓香に至っては

 

「忠麿課長~~~頑張って~~~~」

と、応援してたのだ

 

そしたら、忠麿の奴、急に

 

「お兄さま~~~お願いです・・・・協力してよ」

と、“少女の様なウルウルしい瞳と猫撫で声”を出して、訓麿に迫り

 

もう、恐怖に満ちた青い顔をした訓麿は

 

「「ぎゃあ!!!!そう来たか~~~~気色悪いからやめろ~~~」」

と、迫る忠麿を突き放すが

 

「お兄さまの良い御返事が来るまで~~~やめませんよ~~~~」

と、少女の瞳の忠麿がしつこく迫る

 

そして、妾と6人の若者は、この兄弟の“ギャップ”に驚きを隠せず、何も言えず呆然と見ていたのだ

 

“陰陽師になった若者なら誰もが憧れる位の実力の持ち主で、頼りになって格好いい雰囲気の忠麿が、いきなり”似合わない頼み事“をするとは思わなかった”

 

訓麿に対しては、“戦う事”以外、何事にも“無関心”で余り感情を現わさないのに、忠麿の“ギャップ”な頼み事に『恐怖』を感じるほど感情を現わしている

 

弓香に至っては

 

「うそ・・・忠麿課長が“こんな頼み事”するなんて・・・」

と、小声で呟き、ショックを隠せないでいたのだが

「・・・・でも、その”ギャップ”も、良いのかも」

と、頬を赤らめながら、密かに囁いていた

 

他の若者たちは

 

「うわ・・・安倍兄弟の“ギャップ”って凄いね・・・」

と、驚愕しながら呟いていた

 

暫く、忠麿と訓麿の押し問答が続き・・・つい訓麿が

 

「「もう分かったから!!!!協力するから!!!!その気色悪い頼み事するな~~~」」

と、藻掻き苦しんだ青い白い顔で、忠麿の願いを聞いてしまったのだ

 

訓麿の“根負けした良い返事”を聞いた忠麿は、“気色の悪い”少女の様な下手から

 

「兄上、“ご協力”ありがとう・・・これからも宜しく頼みますよ」

と、普段の凛々しい表情で念を押すと

 

「もう・・・言うな」

と、老けたように憔悴した訓麿は承諾し、傍にあった大きな岩に腰をかけてぐったりとしだした

 

“訓麿に頼み事する時は、気色悪い位に下手に出れば聞いてくれる”

と、言う事を知った妾はだが・・・・

 

“正直言って・・・沽券に関わるから嫌だ・・・・”

と、心の中で拒絶し・・・・

 

また、訓麿に何とか報復したろうかと思ったが・・・・忠麿の“少女の如くの下出の頼み事”でやられた、あの憔悴振りを見てたら“やり返す気”にもならず、つい同情してしまった

 

妾も、忠麿に“あんな頼み事”されたら、堪えれるか・・・自信が無いのかもしれん・・・

 

妾が、そんな思いに耽ってる時・・・忠麿が“何か”勝ち誇った様な笑みを浮かべ

 

「何とか兄上を説き伏せました・・・・どうか、私も兄上も“鍛錬の指導員”として協力しますので、白櫻尼様の“鍛錬”に、山上遼太郎くん、平群明日香さん、橘蜜柑さんを加えて頂きたいです!!!宜しくお願いいたします」

と、今度は妾に対して頼みごとをして来たのだ

 

“そう言えば・・・・忠麿の懇願、終わってなかったわ・・・・”

と、妾は、“この安倍兄弟の駆け引き”に見守り過ぎて、忠麿からの懇願を忘れていたのは、言うまでも無かった

 

“さて・・・・どうやって断ろうかな・・・・”

と、思考に暮れる妾であった・・・・

 

第51話へ続く・・・・・

 

 

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<<後書き・・・>>

 

さて忠麿が、嫌がる兄の訓麿まで巻き込み、しつこく懇願された白櫻尼様は”どうやって、断ろう”とするのだろうか・・・

次回もお楽しみに待って下さいね~~~

 

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