おはこんにちは。今回は久しぶりの旅行記事です。今回は特急くろしお、その中でもかつてオーシャンアローの愛称を与えられていた283系のグリーン車で本州最南端の地、串本まで行ってきたのでその道中をご紹介しようと思います。
旅の始まりは天王寺駅から。
283系電車
製造:1996年
「海と太陽が大好きな列車」というキャッチフレーズに登場し、オーシャンアローの愛称を与えられた車両です。現在はくろしおに統一されていますが、時刻表に「オーシャンアロー車で運転」と注釈が添えられており、くろしおの中でも特別な存在であることは変わりないようです。紀勢線のカーブが連続する区間を走破するために制御付き自然振り子装置を搭載しており、+35km/hでの曲線通過が可能です。
381系(年末に乗ってたやくものアレ)の置き換えを目標に製造された車両で、やくも運用されていた伯備線への投入も検討されていたようですが、製造数は6両の基本2編成と3両の付属2編成の計18両で打ち切られています。馴染みのある車両だと50000系しまかぜ3編成と同数なんですね。少な...
くろしお仲間で北近畿方面でもポストがある287系や289系はそれぞれ97両、86両製造(289系は683系2000番台から改造)と比べるといかにその数が少ないかがわかります。
結局283系投入後も381系はくろしおとして紀勢線に残り、最終的に置き換わったのは2015年、伯備線内やくも運用の置き換えはまさにこの旅行に出かけた日である2024年6月15日、ゆったりやくも色1号出雲市行のラストランまで先延ばしにとなりました。
デビューして数年しかたってない新人時代に京都駅で(画角的に)新宮行の非貫通型の写真を撮ったことがあるのですが、先述した両数の少なさから、もしかしたら写真の車両も同じものなのかもしれません。HB601編成かHB602編成かまでは3歳だった私がわかるわけないのですが(笑)
さて、283系のおすすめポイントですが、まずは新宮方面の先頭車である1号車。パノラマグリーン車となっていて前面展望が楽しめます。今回は蓄積したWESTERポイントを消費して乗車しました。381系亡きあと紀勢線で前面展望が楽しめるのは283系だけ。どうせグリーン車に乗るなら特別なやつがいいというもの。ただ、振り子車両故に床が低いので、1-D席以外は運転台と被って視界がやや狭くなります。
もう一つは3号車に設置された展望ラウンジ。シートはすべて海側を向いていて、海岸線を走行する際に絶景を楽しむことができます。外国人観光客がずっと占拠してたので画角が狭いw
阪和線・紀勢線の紹介
天王寺を出発したくろしおは阪和線と紀勢線(きのくに線)を通り串本へ向かいます。関西にお住まいの方なら周知の事実かもしれませんが、阪和線は過密路線として有名で、特に需要の大きい天王寺~鳳間のラッシュ時間帯は約3分に1本の間隔で列車がやってくるにも関わらず、東海道線のように複々線ではないため列車が詰まりやすくよく遅延します。鶴ケ丘駅で観察する動画がyoutubeに数本アップロードされていますが、画面に進行方向が同じ列車が2編成収まるなんてこともザラ。
また、1933年に表定速度が81.7km/hの列車を走らせていたという実績があり、これは現代の表定速度ランキングに照らし合わせても32位に食い込む俊足を誇り、西日本の新快速、スーパーはくと、競合相手である南海のサザン等を上回っています。
まあ、件の列車は天王寺~東和歌山(現・JR和歌山)からノンストップで上記の列車は停車駅があるというハンデがありますが、今から一世紀近くもの前に現代にも通用する速達性を実現していたというのは驚きです。
大阪府最後にの駅。山中渓駅。春になると約1000本の桜が花を咲かせます。河内堅上と合わせて18きっぷ春のシーズンに訪れてみたいものです。
山中渓を越えるとといよいよ和歌山県に突入。
和歌山駅からは紀勢線に入りますが、ここが亀山から続いてきた路線の終点というわけではなく紀勢線の真の終点は二駅先の和歌山市駅となっています。さらに言えば、ここはもともと和歌山ではなく東和歌山を名乗っており、隣の紀和駅がもともとは和歌山駅でした。阪和線が戦時中に国有化されたことで事実上の拠点が今の和歌山駅へと移ったことで、和歌山市~和歌山間は支線化し、現在では二両の普通列車がピストン運行されるだけのローカル線になっています。
ニタマ駅長で有名な和歌山電鐵は和歌山駅9番乗り場より発着。
内陸の市街地から海岸線へと景色は大きく変貌を遂げます。
海南駅を出て冷水浦を通過すると車窓に海が広がり、対岸の淡路島が見えてきます。上り線は下りより1段高い位置を走行するため、カメラに抑えておくなら新宮へ向かう時がオススメ。
御坊までの山肌にはみかん畑が広がっていました。
湯浅駅は醤油で有名な湯浅町の最寄り駅で、重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。ちなみに我らが奈良県の橿原市今井町も同じく指定されています(ドヤ
駅を出るとすぐに広川町。稲むらの火で有名な濱口梧陵生誕の地です。奇しくもこの日6月15日は梧陵の誕生日で、彼の功績を称え、防災に生かすために作られた施設、稲むらの火の館は15日は入館料が無料になっています。
印南の手前ではかえる大橋が見えてきます。デザイン学での評価は芳しくないようですが、その存在感は絶大。SNS全盛の時代ではとりあえず目立てば勝ちな気がしますw バズれば正義。
切目駅を通過すると海岸線まで線路は最接近。放送がかかり白浜・新宮方面に向かい列車はサービスで減速してくれます。この時ばかりはグリーン車を離れて3号車のラウンジから動画を撮りました。曇天でしたが白浜と太平洋の彼方を一望できる車窓はまさに絶景です。
ただいま渡っているのは日置川橋梁。撮影スポットです。
双子山信号場は紀勢線唯一の信号場。信号自体は生きていますが、列車交換が行われなくなったようです。
紀伊田辺を出ると列車は山と海の狭間を走ります。紀伊半島の沿岸はリアス式海岸であるため、海辺の手前まで山が迫りがちであり、短いトンネルが連続します。トンネル毎に通し番号が振られていたので海南を出たあたりからカウントしていましたが、串本までに60本は通過していました。
列車は約3時間ロングランを経て串本駅に到着。
新大阪~東京間よりも長い乗車でしたが、パノラマグリーン車から眺める前面展望と道中の景色は見ていて飽きるものではなく、快適な座席も相まって実に充実した3時間でした。