こんにちは。2週間前に東京に行ったばかりですが、久しぶりに遠出をしてみると思いのほか楽しく、仕事が落ち着く週末だったこともあって、土日を使ってまた旅行に行ってきました。
最終目的地は宮島へのフェリーが出ている広島の宮島口駅。新幹線パワーで半日もあれば到達可能な場所ですが、今回あくまで宮島観光はおまけという位置づけであります。
鉄オタの方なら券面でお察しいただけるかと思いますが、最短経路からは敢えて外れた特殊なルートで切符を発券しています。
今回は
大阪市内→岡山→新見→広島→宮島口
すなわち途中で山陽新幹線を外れて、中国山地を抜けるルートを選択。途中にある秘境駅に立ち寄って広島まで丸1日かけて移動してから翌日に宮島へ行きました。
まずやって来たのは岡山。
これで瀬戸大橋を抜けるのクッソ気持ちいだろうなぁー。
来年3月で引退する381系の特急やくも9号です。
やくもで運用されている381系は最後の国鉄特急車両であり、来年度には新型車両273系が投入されることになっています。引退を前に歴代の塗装が復刻されており、1番乗りたかった国鉄特急カラーを引き当てることができました。
やっぱりこの色ですよ。子ども時に開く図鑑の常連でしたから
中身はもちろん改修されていますが、国鉄車両の特急に乗るのが最初で最後になることには変わりありません。なので、悔いのないように重課金でグリーン車に座ってしまいましたw
岡山を出発して倉敷を過ぎると新幹線の撮影スポットとして有名な高梁川橋梁を通過。
振り子式車両である381系はカーブに差し掛かると車体を大きく傾けます。カーブに差し掛かるタイミングと若干のタイムラグ生じることから乗り物酔いを誘発しやすいとの事。誰が言ったか「はくも」なんて渾名も存在します。
JR側も乗り心地については折り込み済みなのか、エチケット袋が用意されています。これはやくも名物だそうな。さすがにこれにお世話になった訳ではありませんが、倉敷を出たあたりから頭がボーっとする感覚に襲われていました。
新型車両は傾斜のタイミングを制御装置で最適化することで快適性を向上させているそうです。そちらもいつか乗車してみたいですね。
新見に着くまでの1時間、列車は高梁川とずっと並行して走ってました。車窓からの絶景も伯備線の見どころかもしれませんね。
味の庄伯備というお店が駅前にあったのでここで備中そばをいただきました。
たまたま気づいたのですが、店内にはウルトラセブンのモロボシ・ダン役、森次晃嗣さんのサインが飾られてびっくり。新見美術館で展示会があった時にトークショーでいらしていたようです。
ご飯と道中の食糧の確保を終えて駅に戻ると、秘境駅...備後落合へ向かう列車が既に入線していました。キハ120気動車。近鉄民の私はもちろん人生初の気動車ですw
ここからは芸備線で備後落合に立ち寄った後、1日目のゴールである広島まで中国山地を突っ切ります。
芸備線はかつて山陰地方への連絡路線として多くの優等列車が走っていましたが、現在では営業係数の話題になると真っ先に話題に上がってしまう程の赤字ローカル路線(特に東城~備後落合)になっているとのこと。
動画のように自然に還る1歩手前の山道を非常にゆっくりとした速度で走ります
列車はついに秘境駅として名高い備後落合駅へ到着。
この駅は宍道方面に向かう木次線の分岐駅で、午後の新見発の列車が着く時間には木次線と三次方面からきた上り列車が一同に会します
それに伴って各方面への乗り換えで刹那駅は賑わいます。左手前から宍道行き、三次行き、新見行きの列車が数分間隔で折り返していきました。
列車が去った後は長い沈黙の時間が訪れます。
時刻は15時前、次の列車は17時11分発なのでそれまで一切この駅に列車が来ることはありません。
当然、列車が来ることは分かっていてここに残ったのですが、何せ自分のいる場所が中国山地の山奥で人気がないので正直怖かったですw
次の列車が来るまでに駅とその周辺を探索。
秘境駅とは言うものの、駅舎には開業当時の新聞記事や、運行されていた車両の写真などかなりの資料が揃えられていて、全てを読み漁るとかなり時間がかかります。
情報によるとこれらの資料は駅のガイドを担当されてる元国鉄機関士の方が個人で収集されたそうです。私が行った時は残念ながら駅には来られていませんでした。
急行券とか硬券の切符も生まれて初めて見る代物です(画像はコピーのもの)。
近鉄民なので急行=普通列車の速達種別と思い込んでます←
ちな、小学生くらいの時はまだ奈良にもかすがとかいう名古屋からの急行列車が来ていたみたいです。
今ではそれもなくなってJ奈良もいよいよ特急も来ない駅だとネタにされるように...
と、思っていたらまさかの通勤特急らくラクやまとが次のダイヤ改正でデビューするとの報が。これで奈良駅も弄れなくなってしまいましたw
さて、話が脱線しましたが、こちらが全盛期の駅の見取り図。
先程、列車が集合していた1番線から3番線に加えて4番線から6番線、機走線の7本もの線路が敷かれ、乗客の乗り降り以外にも機関車の付け替えや夜間停泊のために利用されていたそうです。
レールがありませんが、画像奥には転車台あとが残っています。転車台の手前2本はかつて機関庫まで続いていた線路。
駅の目の前には松本清張が宿泊し『砂の器』の構想を練っていたとされる元旅館の民家がありました。
駅の周辺を散策。もちろん大自然の真っ只中ですが、駅前にはちゃんと県道が走っているので、緊急時にも頑張れば脱出は可能w
ちな、記憶してる範囲で最も近い宿は6キロ先です。
道路からはよく見ないとここに線路が通っていることにも気づかないくらい草木が生い茂っています。
小持原のトンネル
手前の高架橋から列車を撮影していた撮り鉄の方を多数目撃しました。
小鳥原第4橋梁。駅から4キロ先にある第1橋梁が中国地方で最も高い鉄橋ですがこちらもなかなかのもの。つい最近まで奥出雲おろち号が走っていたところです。
一通り散策を終えて再び駅へ。秘境駅にはだいたい置いてある駅ノートを見て列車を待つことに。ここへ来た人が残したメッセージを見ることが出来ます。
引退したおろち号で来ていた人、今日のお昼に乗り継ぎの時間を利用して書き込んだ人、冬に野宿をやったり、サイコロに行き先を任せて長野の湯田中温泉から1日ですっ飛んきたりする猛者...。
様々な人のメッセージを見ているとあっという間に発車時間が迫ってきました。
冬至間近、早めの日の入りのタイミングで三次方面へ抜ける列車がついに発車。
2時間ぶりに見た列車。これが山奥から脱出できる数少ない公共交通なのだと思うと、1両の気動車も救いの神に見えてきます。
日頃、地元を田舎だの自虐していましたが、ここと比べると各停が毎時3本もやってくる最寄りの駅は十分恵まれているところなのだとその有難みをひしひしと感じます。
三好へ抜ける区間も徐行運転区間が長く、ゆったりと進む列車の中、移動と駅周辺の散策で疲れていた私はうとうとしていました。日も暮れてすっかり周囲も見えなくなってしまったので、芸備線後半の車窓を楽しむことはできず。もっとも、これは駅に滞在する選択をした時点で覚悟はできていました。なので、次回は広島周りの木次線利用でローカル2路線を昼間に抜けていこうと思います。幸い、ダイヤ改正で言及されなかったので当面の廃止はないと思われるのが救いです。
三好駅からキハ47に乗り換えて中国山地をひたすら南下すること約3時間。
20時17分、定刻通り1日目の目的地である広島駅に到着しました。普通に新幹線を使えば昼前には到着しているところを12時間以上のロングラン。新見(備中神代)から完乗するだけでも7時間と完全に効率度外視のルートでしたが、引退前の381系やくもや美しい自然の中を走る芸備線、朽ちてなお人を引き付ける不思議な魅力を持った秘境の駅と、回り道をしなければできない出会いがたくさんありました。
長い鉄道の旅を締めくくる晩御飯はもちろん広s・・・ゲフンゲフン、ここのソウルフードたるお好み焼き。ここまでの移動で疲れていたせいか高校の時にここで食べた時よりも一層おいしく感じました。
この後は広電で宿泊先を帰還。広島は陸上競技の関係で何回か来ていますが、広電に乗ったのは実は初めてだったりします。
ホテルに戻ると22時を回っていましたので着替えとシャワーを済ませて一日目は終了。二日目はいよいよ日本三景の一つ、安芸の宮島へ上陸します。区切りが良いので今回はここまで。
二日目の記事は別にまとめさせていただきます。では!