相棒の新シリーズがスタートしました。


第1話「聖域」は8:00~10:09pmの2時間9分特別拡大スペシャル。及川光博が演じる神戸尊が前シリーズで卒業。今回からは成宮寛貴が甲斐享役で相棒を務めることになりました。


甲斐享は通称「カイト」。実は警察庁次長・甲斐峯秋(石坂浩二)の息子ですが、父親のこねは使わず、自分の力で、警視庁中根署で念願の刑事になったところ。が、父親からは全く認められず、「目障りだから、すぐに辞めろ」と言われるほど。それでも、反骨精神が強いらしく、父親にも食ってかかるくらい。お坊ちゃん育ちで、我が強く、喧嘩っ早い性格のようです。


舞台は珍しく香港。CAの恋人とホテルで過ごすカイトですが、前夜、日本総領事公邸の晩さん会に父親のことを知る先輩で、在外公館警備対策官の根津(山田純大)に無理やり誘われたからでしたが、その席で、銃の暴発事故が起きてしまい、三井副領事(小林正寛)の妻が亡くなってしまいます。


本来は警察に届け出なければならない事件ですが、そこは香港。日本の警察を動かすわけにもいかず、もちろん、香港の警察も介入できない、まさに、独立国家状態の「聖域」。医師に病死との診断書を書かせて、みなが事故のことは口をつぐむことになってしまい、気持ちでは納得のいかないカイト。


憂鬱な気持ちで香港の観光を恋人と過ごす中で、偶然にも出会ったのが、杉下右京(水谷豊)。ロンドンからの帰りに香港に立ち寄って観光中の右京は飛行機の中で、カイトの恋人のCAと顔見知りになっていたため、声をかけて来たのでした。


不審なようすで「隠ぺいしろってか」とつぶやくカイトの言葉を聞きとがめる右京。また、帰りの飛行機でも、カイトと右京は同席し、妻を暴発事故で亡くし、遺骨を持ち帰ろうとする三井副領事に「あなたはこれでいいんですか?」と迫るカイトの姿に右京は興味を持ちます。


結局、日本に戻ってからもどうしても納得いかないカイトは、右京と共に捜査をすることにしますが、香港で「聖域」に踏み込み、真実を明らかにしなければはじまらないと、再び、香港に戻ります。


三井副領事は納得していたわけではなく、騒ぎを起こせば、妻を弔うことができないと考えての日本への帰国だったようで、再び、香港に戻った三井は、銃を手に、日本総領事・小日向(団時朗)たちを幽閉して、立てこもったところで、それを知った右京たちは、公邸内に入ろうとします。


そこに銃声が響き、到着したところには、三井と小日向の銃殺死体が。


検死もできない状況の中、根津たちの証言に「うそ」があることを右京は状況証拠だけで追いつめて行きます。


小日向の妻、詠美(賀来千香子)は実は根津と関係があり、事故に見せかけての殺人事件であることを解明する右京。


そんな中で、カイトがすぐにかっと来て、暴力的な一面もありながら、すぐれた観察眼や、銃声の音の差異を絶対音感で当てるなど、センスのあることを認めます。


日本に小日向の妻を連れ帰った右京たち。警察庁次長・甲斐峯秋(石坂浩二)から呼ばれる右京。甲斐はスタンドプレーをよく思わない連中もいるけれど、自分は違うと、右京の活躍を認め、「君は出世に何の興味もないらしいけれど、なにか望みはないか」と聞けば、「じゃ、ご子息を私に」と、相棒にしてほしいと願い出ます。


びっくりする甲斐次長ではありましたが、右京の相棒が何人も警察を辞めているということを聞き及んでいたため、「これでできの悪い息子が自分に迷惑をかける前に辞めてくれるかも」と内心ではほっとした思いで引き受けます。


右京と組むことを嫌がるカイト。ふてくされながら、特命係の席に着き、すぐにイヤホンで音楽を聴き始め、アイマスクをかけて、引きこもり状態。


それを見ながら、くすっと笑う右京。これで、相棒の誕生です。







プレッシャーSTUDY秋の3時間SP 全日本勉強選手権2012


今回は今までになく、「北海道&東北インテリ」「東京インテリ」「東京以外の関東インテリ」「中部インテリ」「関西インテリ」「九州&沖縄インテリ」に分かれての団体戦。いつものメンバーに加えて、フレッシュなメンバーも加わりました。


団体戦の中では、地元のことにくわしいタレントの活躍が目立ち、特に「栃木ネタ」でブレイクしたU字工事のふたりはさすがに的確だったし、沖縄のスリムクラブの眞栄田さんの方や、愛知の青木さやかさんの難問題のクリアは魅せてくれました。


団体戦でやはり強かったのは京都大学出身者が6人もいた関西インテリ。予選テストでは見事な活躍をするのに、本番ではいいところなしだった丹さんもやっと見せ場をつくっていましたが、総合力ではやはり、知識が足りない穴が見えていました。


総合力といえば、昭和女子大の学長、「女性の品格」という大ベストセラー作家としても知られる66歳の坂東真理子さんの活躍はすばらしく、個人戦の47都道府県についての知識を争う問題ではほとんどの問題をパーフェクトにこなし、ミスターQさまの宇治原さんも「強いなあ。ヤバイ、ヤバイ」を繰り返していました。


最終的には総合力で坂東学長が1位通過、2位に元祖クイズ王の辰巳さん、3位にすべりこんだのはやはり宇治原さんでした。


3人の争いにも好調なスタートだった坂東学長でしたが、やはり、辰巳さんも宇治原さんも食い下がり、接戦の末、最終的に、問題に恵まれた辰巳さんが優勝となりました。


ただ、今回は坂東学長の知識がひとりずば抜けていらしたので、坂東さんに優勝は贈ってほしい気がしました。


いつものことですが、優勝戦はほとんど、自分が得意な問題がどの順番で来るかで勝つか負けるかになってしまうので、ちょっと残念な気がします。


それよりも、個人戦のように長い闘いの中の総合力で、1位通過なら、そこで優勝の方が納得がいくのになと思ってしまいます。






別居を決めたビッグダディとミナさん。


後編は別居時のこまごましたことを紹介しつつ、別居後のそれぞれの家庭の紹介でした。


別居を切り出されてから、夫婦げんかも少なくなり、見た目ではかなり平穏な日々。


なので、ドラマとしてはちょっと見どころが少ない感じだし、ビッグダディの子供たちは中高生という、お年頃ということもあってか、あまり触れられず。主にミナさんの小さな女の子5人が取り上げられていました。


別居での家族構成はこんな感じです。


小豆島 島の接骨院の2階で暮らすのは・・・・

ビッグダディ

4男 ゲンシくん 中三

5男 シオンくん 中一

次女 ヨシミちゃん 高一

3女 ウタミちゃん 中二

4女 トトミちゃん 中一


小豆島の自宅で暮らすのは・・・・

ミナさん

5女 ノエルちゃん 小5

6女 キララちゃん 小2

7女 ライムちゃん 6歳

8女 ヒスイちゃん 5歳

9女 レントちゃん 0歳


ちょうどビッグダディの大きな子供たちと、ミナさんの小さな子供たちがきれいに分かれて、微妙な立場のシオンくんだけが、ビッグダディのところにひとり行くことになりました。


自分で決めていいと言われたものの、とても難しい選択をさせられたシオンくん。


自分以外はみんな、ビッグダディの血のつながった子供たち。まだ、そのきょうだいたちと、親しくなっていないのに、自分だけが行くというのには不安があったと思うけれど、自分の血のつながった下の女の子たちの中で、ひとり残るのも居心地がいいわけでもない。


ビッグダディたちが家を出る日が迫っている中、ミナさんは泣きながら、「おまえは自分が産んだ子供だから、離れて暮らしたいと思うはずはないけれど、キヨシさんのところで学ぶことはたくさんあると思う」といったようなことを話して聞かせていました。


ミナさんは、ひとりだけの男の子を、小さな女の子たちの中でどう育てていいかわからない気持ちがあって、離れて暮らす、長男のアラシくんにしても、アツシくんにしても、実にたくましくてきちんと成長していることからも、ビックダディにやはり尊敬の気持ちを持っているようで、シオンくんのためになると考えているようでした。


それでも、容易に結論を出せないシオンくんでしたが、今度はビッグダディが「うちに来たからって、いいことばかりじゃないよ。俺にこずかれたり、殴られたりして、そういうのは変わらないし。それでも、いいなら、とにかくこっちで暮らさないか。いやになったら、いつでも(ミナさんのところに)帰ればいいんだから」と後押しすると、ほっとしたように「うん」と力強く答えていました。


ビッグダディの子供たちは、お父さんの言うことには素直に従いますが、決して、自分の意見を持たないわけではなく、それぞれの考え方を持っていて、表現します。


が、ミナさんの子供たちは、そんなビッグダディの子供たちが年長者ばかりだったせいか、遠慮がちで言いたいことがあまり言えなかったのかもしれません。


シオンくんはビッグダディの父親らしさに心惹かれていて、そういう意味では最初から行きたい気持ちはあったのでしょうね。おかあさんとの別れのときも「がんばってね」と、ひとこと。多くを語ることはできませんでしたが、ビッグダディの子供で、シオンくんと同じ年齢のトトミちゃんは、ミナさんに手紙を渡します。


その手紙の中には、「いつでもすぐに会えるし、愛してるからね」という、ミナさんへの感謝と愛情をちゃんと表現したものでした。トトミちゃんは、実のおかあさんに育てられていないにもかかわらず、おかあさんが出戻りしたときにも、とてもなついていましたし、ミナさんに対してもこんなかわいい手紙が書けるわけですから、愛情深い女の子なのかもしれませんね。


接骨院の2階はかなり広く、居心地は悪くなさそうですが、台所がなくて、洗面所と、カセットコンロでごはんを作らないといけないという、不便な暮らしですが、今まで10人の子供たちの面倒をみなくてはならなかったのが、半分になったわけですから、手間は半減。


とてもかわいらしいお弁当を作ってあげていたのは、さすがビッグダディでした。


また、自宅の方でもミナさんがかわいらしいお弁当を作ってあげていて、そういう意味では、互いに子供たちにかける手間が増えたという意味では別居の意味もあるのではないかと思ったりしました。


別居の前、バスをチャーターして、家族を連れて、小旅行に出かけたビッグダディ。おまつりに参加したり楽しむための旅行ではあったようですが、トヨタの接骨院の先生にちゃんとあいさつに行っていました。ミナさんとの出会いをつないでくれた先生に、別居のことを報告に行ったようです。


でも、ミナさんが席をはずしたときに、「いるときに言うと、かっとしますので」といった感じでの報告でしたので、先生もびっくりして、あとで、TVのスタッフに「なにが原因なの?」と聞いていたくらいでした。


本当のところはよくわかりませんが、ビッグダディの会話の端々から想像するのは、ミナさんとの性格の不一致。なにごとも「子供たちと楽しく暮らす」ということを第一義に考えているビッグダディ。


そこがミナさんの感情で振り回され、「楽しくない暮らし」をしなければならないことに、我慢ができなかったということなのでしょうか。


アツシくんが出張のついでということで、別居先に訪ねてきて、理由を聞いていましたが、「なにごともみんなで愉快に暮らすことが大切だと思って決断してきたから、自分は間違っていないと思う。ミナはミナでたのしくやっているようだよ」とこたえていました。


ミナさんは別れて暮らすことには反対だったけれど、ビッグダディの気持ちを変えることは難しいことを自覚していて、泣きながらも受け入れ、その後はものすごい頑張りを見せていました。


子供たちを学校と保育園に預けると、引っ越しのごみの片づけを必死にやっただけでなく、なんとリフォームもお願いしていて、あっという間に広々とした居心地のいい空間をつくっていました。


また、調理師免許も取ったことをビッグダディに報告に行ったり、ほかの日にはかぼちゃのコロッケを作って、ビッグダディのところに届けたり、「自分を見直してもらうチャンス」ととらえているようです。


「必ず、また、一緒に暮らす」と決意を語っていました。


また、調理師免許を生かして、就職活動もはじめていましたが、なかなかうまくいかないようすで、ビッグダディの方も、接骨院は閑古鳥。順調そうではありません。


それでも、帰省してきたアツシくんと、シオンくんを連れて、台風のさなかに、ミナさんのところを訪れたビッグダディ。うまく語れないシオンくんを思い、ミナさんと柔道の取り組みをさせて、自分のところで懸命に成長しようとしているシオンくんとの心の交流をはからせてあげたりと、相変わらず、ビッグダディの子育てぶりには、感心するところ大です。


小さな女の子たちもビッグダディに会えてうれしそうでしたし、ビッグダディもとてもやさしい声で話しかけていたり、アツシくんにまとわりつく女の子たちのようすもなごやかで、別居は悪くない状態にあるようでした。


ただ、ミナさんはなにかにつけて「男手がないから不便」といったことを言いますし、頼りたい気持ちが強いように思いますが、そのあたりはビッグダディの方は、ミナさんのことを容易に受け入れなおす気持ちがないのか、はっきりと「もう一度、一緒に暮らすことを強く願ってはいません」とこたえていました。


ミナさんとビッグダディの温度差。どこかで埋まることがあるのでしょうか。





また、2週間連続スペシャルです。

今週末、また、後篇がありますが、前篇は結局、ビッグダディが「別居を決めた」ということで2時間を引っ張り続けたという感じで、山あり谷ありってことでもありませんでした。

何が原因でということになると、結局、1年前もそうでしたが、ビッグダディの子供たちが18歳年下妻のミナさんに遠慮して、実のお母さんのところにいる三つ子やツムミちゃんのことを口にも出さない、会いたいとも言わないということをビッグダディは上げていました。

今年の4月、それが原因で離婚ということにもなりましたが、ミナさんが反省して、涙の謝罪で思いとどまったものの、6月には別居を切り出していたようです。

時間的な猶予も与えての9月別居を決めていたそうです。

そのせいか、それまでのように、夫婦げんかも目立ってすることもなくなって、子供たちもその気配で、なんとなく遠慮がち。なので、テレビ的には平穏すぎて、番組の頭に、「別居」問題を出して、引っ張らないとだめだったようです。

ミナさんは別居には反対。でも、ビッグダディは引き留めきれない。離婚ではないというところでの、なんとか納得ということなのでしょうか。

私の勝手な憶測ですが、結局、ビッグダディは自分の言うことを素直に受け入れず、なにかとぐすぐず言ったり、泣いたりするミナさんにストレス過多になったというところのような気がします。

さらに、ミナさんの下の女の子たちもぐずぐず泣いてばかり。ビッグダディの子供たちは女の子も芯がしっかりしていて、男の子のようにさっぱり。気は遣うけれど、明るくて素直です。

それに比べると、ビッグダディに怒られても素直にならない女の子たちは、ミナさんを重ね合わせて、自分の子供たちを育てるようにはいかないのではないかと思い悩んだといったところでしょうか。

そこで、自分の子供たちを連れて、接骨院の方で暮らすことにしたようですが、ミナさんの子供たちの中では唯一の男の子のシオンくんだけは連れて行きたいと言います。

シオン君は悩んだ末に、ビッグダディのところで暮らすことを決意します。

男の子は男の子どうしで学んだり、父親に学ぶところがあるでしょうから、いい決断ではないかと思われますし、なにかと男子合宿的なビッグダディ流はミナさんの小さな女の子たちにはしんどかった部分があるようですから、試してみるのも悪くはないのかなと思われましたが、後篇の予告ではあまりうまくもいなかいようすも流されていました。

どういう方向がふたつの家族にとっていいのか、思案は続きますね。



長くなってしまいましたが、最後の部分を書きますね。

ようやく、夕紀の疑念が晴れ、希望の光が見えます。



後編のあらすじ(ネタバレ)02からの続きです。


病院に出勤して来た望に迫る七尾だったが、「彼は私の恋人でも何でもありません」と望は七尾を拒否し、「患者さんを救うためにみんな必死なんです。私も手伝わないと」と言うが、「だからこそお願いしています」という七尾。


「やめてくださいっ、もう。彼は犯罪のために、私に近づいただけ。亡くなった彼女のことを忘れられずに、今でも愛しているんです」

「でも、あなたは彼を愛しているんでしょう。だったら、彼を助けてください。あなたにしかできないんです」

「嫌です。彼のことなんて愛していませんっ」

悲鳴にも近い望の叫びが響いた。



そのころ、ホテルを逃げ出した直井はカフェにいた。


店内も帝都大学病院の爆発騒ぎでざわついている。携帯電話を握りしめ、留守番電話のメッセージを再生すると、望の声が流れ出た。


---譲治くん、望です。警察の人から聞きました。そんなこと、信じたくないけど、もし、本当なら…---

最後まで聞かず、切ってしまう直井。



島原のオペは暗闇の中で続けられ、人工心肺から再び、島原の心臓に血を送り動かすときがやって来ていた。


島原のオペを心配そうに見守り続けていたのは、夕紀の母、百合恵(高島礼子)だった。

ちょうど、通りかかった七尾と会釈する百合恵。「七尾さん、犯人は?」「…。オペは?」「何とか続けています。どんなことをしてもやり遂げるはずです。大事なオペなんです。早く犯人を…」



直井から、望の携帯がコールされる。

出たのは七尾だ。

「望さんの携帯を預かっている警視庁の七尾だ。今、周りにはこの電話のことをだれも聞いてはいない。うそはついていないから信用してくれ」と、直井を説得しながら、広い病院内を駆け出す七尾。停電でエレベーターが使えず、階段を必死で駆け上る。


「手術はどうなった?」と聞く直井。

「真っ暗な中で続いている」という七尾の返事に腹立たしさを見せる直井。


人の命を奪う凶器にもなる車の欠陥を「売り上げだけのために放置した」責任のある島原の命を奪うことを口にする直井を走りながら説得する七尾。


「君の目的は十分に達せられたはず。命を預かっているというのは、医師も会社も同じ。今回、自分の命がねらわれた意味、そのことに気付くんじゃないかな」と、穏やかに説得しながら、やっとのことで、望のいる病棟までたどり着き、「真瀬さんっ」と叫んで、携帯を手渡す、七尾。


望もおだやかに電話に出た。

「譲治くん、あたし…」やさしく呼びかける望の声に譲治の声もやさしい。


「望、ごめんな」


「いいよ。私なんかに謝らなくていい。…みんなを助けてあげて。だって、私はあなたといて幸せだったもん。夢みたいに幸せだったもん。だから、お願い…。こんな恐ろしいことは止めて。私はあなたのことを信じてる。譲治くんはやさしい人だから。こんなことしちゃダメだよ。…ねえ、譲治くん、返事して…」


電話は切れ、全速力で走り続けて電話を見守っていた七尾はへたり込み、望も力なく座り込んだ。



島原の心臓は全く動く気配を見せなかった。

機械が作動していないので、血液がうまく温められず、体温が低すぎるのだ。


必死で心臓を自分の手で温めようとする西園に、「あきらめましょう」という助手だったが、「あきらめるなっ。何も終わっちゃいない」と叫ぶ。


ひとりの人間の心の叫びだった。


夕紀ははじめて西園の心の声を聞いた気がして、西園の手をこすり、自分の手で西園の手を温めようとする。


「心臓を停めたのは私だ。だから、私が動かす」強く宣言する西園の顔にあきらめなど微塵もなかった。


---なぜ、あんなことを思ったんだろう? この人が父を殺したなんて。


医師は無力な存在だ。神にはなれない。

人の命をコントロールすることなどできない。

能力のすべてをぶつけることだけだ。

それが…ひとりの人間の使命。


奇跡のように、ぴくりともしなかった心臓が再び動き始める。


「先生っ」「先生」

スタッフの声が興奮で満ちた。


ゆっくりと頷く西園。「氷室くん、止血剤…」


と、そのとき、灯りがついた。


「ついたーっ」湧き上がる声。

コンセントを戻し、機器をチェックするスタッフたち。

「先生、体温31.9度です」「電気、戻りました」


オペを見守り続けた百合恵も涙が止まらない。


ほかの患者たちも電源が復旧して、スタッフたちの安堵の色が広がる。

望の肩をやさしく叩き励ます菅沼の姿があった。



そのとき、直井はひとり夕日を見つめていた。

「春菜、ごめんな。ここまでしかできなかった、ここまでしか」

望の説得は直井に届いていたのだ。



「お疲れさまでした」と、にこやかに笠木事務長に送られながら、「ああ~あ。犯人、取り逃がしちゃったなあ」とぼやく七尾。


望ともあいさつを交わしていると、望の笑顔の先に、譲治の姿があった。


ちょうど警備がやって来たのを止めて、「ちょっとだけならいいですよ」と、望に譲治のもとに向かわせる七尾。


望は譲治の胸に飛び込み、泣きながら軽くぶつが、譲治はゆっくりと抱きしめた。



オペが終わり、夕紀が西園に話しかけようとすると、胸を押さえて椅子に座り込む西園。心臓病の患者を担当しながら、西園自身も心臓に病気を持っているのだ。


「これくらいでへばるとはな、年かな」苦笑いする西園。

「そんなことないです。すばらしいオペでした。感動しました」


「君にとって重要な意味を持つ心臓病の患者さんだ。だからこそ、君に見せたかった。そして、やるからには二度と失敗したくなかった。君が僕を疑っていたことはわかっていたけれど、言葉では僕のことを許してくれないと思ったんだ。君のお父さんが診察室に見えたときは、本当に驚いた。これだけは信じて欲しい。お父さんを恨んでいるつもりはなかった。しかし、私は手術を降りようと思ったんだ」


それを聞いた望の父、健介(永島敏行)は「あなたの手で手術して欲しい。私も曲がりなりにも警察官として人を見る目はあるつもり。あなたは正直な人だ。医師として使命を全うする人と確信しました。お願いしていいね?」と傍らの百合恵に言うと、「はい」と笑顔で答える百合恵の姿があった。


「うれしかった。ただ任せると言ってくれたことが。…しかし、手術はうまくいかなかった。全力を尽くしたが、力及ばなかった」


---いい先生に手術してもらえるから安心しているんだ


そう言った健介はすべてを知っていて、西園に託したことをはじめて知る夕紀は泣きながら、西園に頭を下げた。


「先生…すみませんでした。あたし、えらそうなことばかり言って。本当のことも…医者がどういうものかも、父のことも…それから、あなたと母の気持ちも何もわかってなくて…」


「お母さん、いつも言っていた。夕紀が一人前になるまでは私は夕紀の母であり、夫の妻だって。随分、長く待たされたんだよ」


「母がですか?」と驚く夕紀のもとに、百合恵がやって来る。


「驚いたな。まさか君がオペを見に来るなんて」と苦笑する西園。


「一緒にいたかったの。あなたと夕紀の大切なオペだから」


再び、胸を押さえ、苦痛に顔をゆがめる西園。


「動かないでください」と毅然として言う夕紀は、走り出す。


---私が救うから。2人目の父親は絶対に死なせない。


自分の使命をしっかりと感じ取った夕紀の顔にはもう迷いがなかった。

(fin)






後編のあらすじ(ネタバレ)01からの続きです。


翌日、七尾は犯人が島原をねらうと見て、見張るつもりでオペ室の近くで待機していた。


島原のオペの前にアンパンをかじろうと、七尾刑事の前に座る夕紀。七尾の前に島原の記事がたくさん広げられているので、「島原さんが何か?」と夕紀が聞くと、「ちょっと引っかかったことがあって…」。

亡くなった神原春菜のことを説明し、写真を指して、「26歳だったそうです」と言う七尾。


そこに「姫、おはよう」と、先輩の医師がやって来たので、夕紀はあわてて立ち上がって同行しようとするが、もどって「すみません。今の写真をもう一度、見せてください…この人、私、見たことがあります」。

そこには春菜と一緒に、看護師の望と一緒にいるところを見かけた直井の姿が写っていた。


七尾たちは急いで望のアパートに行くが「彼はただのサラリーマンです。関係ありません」と望は取り合わない。七尾が必死で「彼に何か聞かれませんでしたか? 島原社長については?」と食い下がると、望には直井の不審な行動がすべて思い出されるのだった。


警察が病院中を警戒している中、持ち場を離れた七尾に、本間警部(山崎一)はカンカンだが、七尾は「ホシの目星がつきました」と電話口に怒鳴り、警部は唖然とする。


海辺でたわむれる春菜と譲治。「春菜…結婚しよ」と呼びかけると、「結婚? いいよ。いつかしてあげる」と笑う春菜がいる。が、春菜の姿は望に変わる。「譲治くん…そんなことしちゃダメだよ」


その声でハッとして目覚める直井。

直井はホテルの一室にいて、パソコンの前に座ると、時間は午前1031分。

画面に「プログラムを実行しますか?」のメッセージに、譲治の手が震える。


病院では島原のオペがスタートした。夕紀は父に守ってくださいと祈りながらオペに向かう。島原の心臓は停止され、人工心肺に切り替えられる。


七尾たちは必死で、病院内を捜索するが、それを病院前のホテルから見張る直井。パソコンの前で思案するが、「YES」をクリック。そのとたん、病院内では爆発が起きた。


「大動脈瘤の切開に入ります」と西園が告げたとたん、消える電気。


病院内は真っ暗になり、患者たちがパニックを起こして大騒ぎとなっていた。


七尾は島原社長のオペに駆けつけ、中の西園と話したいと願い出る。病室内とつながった電話で七尾は告げた。


「脅迫犯によって、電源室が爆破されました。犯人はこの手術を妨害しようとしているんです。手術を中止していただきたい」


七尾の忠告に、西園は電源の確保ができるかどうかを周囲に確認する。自家発電の切り替えや無停電電源装置が準備されていることがわかると、七尾に手術は続行すると告げる。「今、中止する方が危険です。犯人の逮捕をお願いします」


七尾たちは直井が近くにいて見張りながら、リモートコントロールで爆破をしていることに気がつき、直井の捜索に出ようとするが、本間警部が止める。食ってかかろうとする七尾に「残って指示を出せ。今はおまえが必要だ」と怒鳴り、七尾が苦笑いする。


すぐに直井が泊まっているホテルが見つかるが、踏み込んでも直井はいない。それはダミーの部屋で、念の入った直井の工作だった。別室で予想より早い警察の動きに気付き、続いての爆破を実行して、逃げる直井。


手術室はすべての電源がまた消えた-


西園は「…続ける。続けるしかない」と言い、バッテリーがどれくらい持つかを確認させ、機械装置で切ってもいいものはすべて切って、なるべく電源を確保する策を講じ、外で正確な情報を聞くようにも指示。「動じるな。周りの状況に振り回されるな。すべきことに集中するんだ」と、みなを叱咤し、スタッフ一同も「はいっ」と答えて集中する。


捜査中の七尾たちは配電盤におかしな装置が取り付けてあることに気付く。そして、七尾は直井の真意に思い当たって、みんなに向かって叫ぶ。


「直井のねらいは島原だけだ。何回も脅迫文を送ったのは、島原以外の患者は巻き込みたくなかったからだ。できるだけ患者は逃がして、島原のオペを邪魔しても、その後、必要な患者には電源を復旧できるように残してある。ということは、まだ、犯行を食い止める可能性もあるってことだ」


島原のオペ室ではバッテリーもとぎれ、また、真っ暗になってしまう。


島原の体を冷さないと命の危険があるにもかかわらず、その機械も使えなくなっていた。


「体温が29度を超えました」


緊迫する手術室で、「あの、笑われるかもしれないんですが、血液をチューブの外から、氷や保冷剤で冷すのはどうなんでしょう?」と言う夕紀。


「理論的にはいけると思います」というスタッフの声に、「やってみよう」と言う西園。


「氷室くん、いいアイデアだ。ありがとう」という西園に、「はい。汗は大丈夫ですか?」と聞く夕紀。


「いや、今はいい。血管に針を通したところだから、うかつに動きたくないんだ」という西園。


そんな緊迫した状況にあるにもかかわらず、冷静な西園に目を見張る夕紀。


「懐中電灯を持って来ました」との声に「再開する」と告げる西園。


懐中電灯の明かりではとても足りないが、「手元を照らして、絶対に目をそらさないでくれ」と夕紀に頼み、脳への大切な血管を確保する西園。


夕紀は思う。


…これは奇跡だ。西園先生は停電の中、なぜ、ここまでやれるのか。いや、ここにいるスタッフ全員がそうだ。命がけで患者の命を救うために臨んでいる。


人工心肺を手回しに変えて、必死で手回しするスタッフ。モニターが消えたら、体温計で5分置きに測るスタッフ。みんな死にもの狂いでできる限りのことをしていた。


「氷室くん、今度はあたためなくてはならないがどうしたらいい?」と聞く西園。


「使い捨てカイロであたためるのは?」「カイロ、頼んできます」と走り出す看護師。



※後編のあらすじ【03】に続きます。


後編です。


石原さとみさんが「こんな役ははじめて」と言うくらい思い入れが強かった氷室夕紀。たしかにいいドラマでした。

でも、あえて言うなら、前編、後編では詰め込み過ぎて、もう少し人物描写が欲しかったなあという印象です。

直井がクラマの社長をそこまで恨むまでに追い詰められて行った心情、西園と夕紀の母親との関係について、もう少しだけ時間を割いて描いてもらえば、もっと深く共感できた気がしました。

キーポイントとなった看護師役の倉科カナさんもとてもよかったですね。犯罪に利用されて混乱し、愛はなかったのか…と疑いながらも、それでもなお、直井に寄り添おうと、携帯電話で呼びかける場面は切なくて、感動的です。

後編のあらすじ(ネタバレ)です。


帝都大学病院は脅迫文のおかげで、予約診療だけの受付にして、警備が来院患者の手荷物を検査するほどの厳重警戒に当たっていた。


そんな状況の中、クラマ自動車社長の島原総一郎(中尾彬)は「時間がないんだ」と、あえて手術を強く希望し、西園陽平(館ひろし)の執刀で手術が行われることに。島原に心臓を停止させ、人工心臓を使っての手術になることを説明する西園と立ち会う氷室夕紀(石原さとみ)


その帰り、「手術の同意書をもらっておいてくれる?」と言われた夕紀は、「西園先生、あの…」と言いかけるが、「いえ。失礼します」と立ち去ろうとする。


その背中に「息子の事故のことを聞いたそうだね?」と声をかける西園。そこで夕紀は「先生、お願いがあります。助手を辞退させてください。平常心でいられるかどうか自信がありません」と言うと、「君はお父さんの手術に疑問を持っているんだろう? 君はそれを知るために医者になったんじゃないのか。だとしたら、立ち会わないのは卑怯だ」と一喝する西園。


島原社長に会い、脅迫文のことは気にならないのかと尋ねる夕紀に、島原は「バカバカしい」と吐き捨てる。「うちの会社にもよくあるからね。所詮はやっかみだよ。嫉妬するんだ。それをマスコミが勝手なことを書く…」と、全く気にも留めない様子。


夕紀は重ねて、「手術は怖くないか」と問いかけると、「医者が大胆なことを聞くねえ」と苦笑いしながら、「人生はねぇ、…研修さん。すべてが闘いだ。そういうもんだよ」と泰然と答えるのだった。


一方、刑事の七尾(吹越満)たちは念の入った脅迫文にもかかわらず、具体的な医療ミスへの指摘がないことから、病院への恨みではなく、入院中のVIP、クラマ自動車の島原への脅迫ではないかと感づき、調査を開始。賠償金が支払われた案件のクラマ自動車による事故で娘を亡くした神原正雄(山本圭)に話を聞きに行く。


神原春菜(長澤奈央)は出版社の契約ライターで、取材のあと歩道を歩いていたにもかかわらず、カーブを曲がりそこねた車にはねられて死亡したが、保険会社の調査でクラマ自動車の欠陥に気がついたのだと言う。七尾が父親に社長への恨みがないかを確認すると、「どうでもいいことだ。社長が辞めたところで、娘は帰って来ないんですから」と言う。


そのころ、夕紀は家族から見放されていることから、いつも気にかけている年配の女性患者・中塚芳江(草村礼子)の急変に呼ばれていた。


担当医には連絡を取ったが、すぐには来れないと言い、緊急オペが必要な状態。迷う夕紀を看護師の菅沼庸子(山下容莉枝)が叱咤する。「中塚さんの命がかかっているんですよ。先生も医師でしょ。しっかりしてください」と。次の瞬間、「オペの準備をお願いします」と言い、てきぱきと看護師たちに指示をする夕紀がいた。


「よくここまでやっておいてくれたな…助かったよ」と、先輩の医師はオペの支度をしながら、夕紀の的確な判断にほっとした様子を見せつつ、「明日は島原さんのオペもあるんだろう? 大丈夫か?」と、夕紀の体を心配するが、夕紀は「はい」と、迷いなく答え、手術に向かった。


中塚が一命をとりとめ、安堵して夕紀が歩いていると、「あの…、氷室先生ですね」と呼び止められた。

中塚の娘と息子だと言う。菅沼看護師に叱られたというふたり。


「氷室先生がどれだけ母の心配をしてくださっているか、お聞きしました。眠れないときは付き添ってくださったり、今日も大量出血で危ないところを先生のご判断で助けていただいたと…。申し訳ありませんでした。これからはできるだけ母のところに顔を出したいと思っています。本当にありがとうございました」


研修医の夕紀がこんなに心からの感謝を言われたことははじめてのことだった。「こちらこそ、頑張りますので、よろしくお願いします」と頭を下げた夕紀に自然に笑みがこぼれる。


亡き父が「人はその人にしか果たせない使命を持って生まれて来た。夕紀にもそれがある」と言った言葉が頭に浮かぶ。医師としての自分の使命を感じはじめた夕紀だった。


※後編のあらすじ【02】に続きます。

録画ができないと、いろんな番組を見たいときにも困りますね。最近はあまり見たいものが重ならないので助かっていますけど、先週の5日は珍しく重なって、迷った挙句、NHKにしました。というのも石原さとみさんが役柄に入り込み過ぎて周りの方が困ってしまったくらいのドラマだと言っていたから。若いけれど、うまい役者さんですよね。


ときどき、コミカルな役柄もやっていますが、どれも、相応に演じていて感心します。昨年、放送された「霊能者小田霧響子の嘘」も、ちょっとバカバカしい役柄ではあったのですが、ついつい見てしまいました。先日まで放送された「ブルドクター」の釜津田知佳役もとてもよかったのですが、どちらかと言えば、今回の役もその流れというのか、シリアスな役で、今回も医療ミステリーです。


今回のドラマで共演の中尾彬さんがとてもほめていらっしゃったくらい、とてもいい役柄でした。


5日が前編、12日が後編となっていて、両方を見ることができたのですが、前編は全体的な流れを短くご紹介します。


あらすじ(ネタバレ)です。


帝都大学心臓血管外科で働く研修医・氷室夕紀(石原さとみ)。2日続いたオペでフラフラになり、仮眠をとるつもりが寝過ごして大慌て。まだまだ甘いと指摘されるが、激務についていくのがやっとだ。


11年前、夕紀は父親が心臓手術を受け、その手術中に命を落とすという経験をしていた。特に難しい手術と言われていたわけではなく、「お父さん、怖くないの?」という夕紀の質問に、名医と呼ばれた執刀医にお願いするのだから「心配ない」と父親も信頼していたのに…。


納得がいかない夕紀は医師を目指して勉強し、今はその父親の執刀医だった西園(館ひろし)の下で働いている。しかも、西園は夕紀の母・百合恵とつきあっていた。


多忙な時間を割いて、母の呼び出しに店に出かけてみると、母は西園と一緒に夕紀を待っていて、「彼と結婚しようと思うの」と言う。西園にわだかまりを捨てられない夕紀は「反対はしない。お母さんの好きにすればいい」としか言えず、そのまま立ち去る。


そして、夕紀の働く病院で、不審な動きをするふたりがいた。看護師の望(倉科カナ)が恋人の直井(速水もこみち)に頼まれて、深夜の手術室に案内していた。仕事にどうしても必要だと言われて、仕方なく案内したのだったが、直井は医療機器をカメラで撮影して、望は「そんなの、聞いてないよ」と、あわてる。


望が直井を伴って院内にいる中、夕紀はふたりと遭遇する。キスをされているのを見たにもかかわらず、望が直井を知らない人間のように振舞うのを見て、不審に思う夕紀。


夕紀が朝、病院の前にいた犬をなでていると、そこには「医療ミスを公表しなければ、病院を破壊する」という脅迫文が結びつけてあった。父親が死んだことと文中の「医療ミス」は関係あるのかと、胸騒ぎを覚える夕紀だが、病院側は「いたずら」と見て、公表をしないことにする。そこに、送り込まれて来たのが七尾という刑事だった。夕紀の父親は実は刑事で、七尾とも一緒に働いていたことがある。


医療ミスがあったかどうかを調査する七尾たちだが、病院側は「一例もない」とにべもない。


七尾たちの捜査には進展がない中、トイレで爆発騒ぎが起きる。が、それは煙が出るだけの装置で、またしても脅しにしか過ぎない。


念の入った警告に、不審が募るものの、いたずらとする病院側の施設は変わらなかったが、そこにさらに警告文は届き、今度は患者たちの目に付くように置かれたために、患者たちがパニックを起こし、次々に転院してしまう。ところが、そんな中で転院しないひとりのVIPがいた。


難しい心臓の手術で、病院側が「何か起こったら致命傷になる」と恐れて、手術延期を言い渡した、西園の患者、島原(中尾彬)だ。島原はクラマ自動車の社長で、日本一とも言われる名医の西園に手術をしてもらいたいと強く願っているのだ。島原の病気は夕紀の父親と同じ病。西園は手術の助手を夕紀に命じる。


そんな中で、夕紀は七尾から、自分の父が、西園の息子をパトカーで追跡した際に彼を事故で死なせたという過去があったことを知ってしまう。


西園と父のあいだには怨恨があったのではないか? 自分の息子を死なせた父親に平常心で当たれる医師なんていないのではないか。ショックを受けて家で母親に問うと、母は知っていたことがわかる。自分に秘密にされていたことで、夕紀はさらに戸惑う。


一方、病院を脅しているのは、望の付き合っている直井だった。仕掛けた偽装爆弾騒ぎなど、病院側の反応などを逐一、望から聞き出し、直井はひそかに次の手段を講じていた。


※後編に続く 後編はいつものようにくわしく書きますね。

第5回のあらすじ(ネタバレ)の続きです。


今朝、アップした第5回あらすじの後編です。


夜の雑踏に出かけていた翔は家族の仲のいい風景が目に付いて仕方がない。隣家の家からもれる笑い声に足を止めて見入っていると、主婦の真利子が子供を連れて入るところで、「気持ちが悪い。人の家をのぞきこんだりして…。なにをされるかわからないから、こんな人についていっちゃだめよ。おお、怖っ」と、子供に言いつつ、翔をなじるので、カッとする翔。


「くそババア」と吐き捨てていると、三田が現れ、「本日の業務は終了しましたので失礼します」と声をかける。


「この家、めちゃくちゃにしてくれないかな」と言う翔。「それは業務命令ですか?」と、三田が尋ねると、「そうだ」と言うので「それではどうしましょうか」と返す。


「家を壊してくれ」と言う翔。「それはブルドーザーが必要です」と三田。「じゃ、爆破して」「ダイナマイトが必要ですが、そんなものどこから持ってきましょうか?」と三田。「えーと。えーと」と悩む翔だが、具体的に何をしていいのかわからない。


「どうせ、俺のことなんかバカにしてんだろ」と三田に当り散らし、「俺の気持ちなんかわかるかよ」と叫ぶと、珍しく、「わかります」と答える三田に、驚く翔。三田はバッグの中からスプレーを取り出し、隣家の壁に赤字で大きな落書きを始める。


でかでかと赤く書かれたその文字は「家族を守りたい」だった。


「なんで…?」と翔。


またもや呼び出される恵一。自宅に駆けつけると、隣家の主婦・真利子と警官が待っていた。


「この家はすべてが異常。あなたも反省したらどうなんです?」と、真利子。警官も「お父さんに叱っておいてくださいと言ったばかりじゃないですか」と困り果てたようす。


真利子はさらに阿須田家と、翔の悪口を言い募り、翔のことを警官に「こんな不良、連れて行ってください」と言うので、仕方なく、翔を連れて行こうとする警官。どうしたらいいのかと、相変わらず優柔不断だった恵一だが、みんなが自分を見つめる視線に、いきなり土下座して謝る。


「申し訳ありません。すべて悪いのは父親の私なんです。でも、ひとことこれだけ言わせてください。翔は不良なんかじゃありません。この家をなんとかしたい。家族を守りたいと思っているんです。死んだ妻が言っていました。自分が風邪をひいたときでも、ほかの子が寝てしまっても、翔だけは朝までずっと看病してくれたって。そういうやさしい人間なんです。こんなダメな父親とは違って、翔はみんなの幸せを願っている奴なんです」と言うと、頭を床にこすりつけて、何度も何度も頭を下げた。


恵一の誠意が伝わり、壁をきれいにするという約束でやっと許されたが、「この壁をきれいにするには特殊な洗剤が必要なんでしょ?」と言うと、三田が「あります」といつものようにバックから取り出し、恵一と三田が洗剤で壁の文字を消し始めると、翔も海斗も希衣も手伝う。


「翔がいれば、うちは大丈夫ねってお母さんに言われたことがあったんだけど、お母さんの期待に答える自信がなくて…、なんとかしなくちゃって焦れば焦るほどうまくいかなくて」と、本心を語る翔に、「かけるちゃん、きいが守ってあげるからね」とやさしく語りかける希衣。そこで翔のおなかがぐーっと鳴って、海斗に笑われてしまう。


「これが終わったら何か作ってもらえますか?」と三田に聞くと、「できます」と答える三田。


おいしそうなラーメンを出されて、喜んで食べるみんな。食べない希衣に「どうして?」と聞くと、「寝る前に食べるとおねしょしちゃうから」と言うので、「そんなこともあんまり気にしなくていいんじゃないかな。翔なんて、小学校3年生までおねしょしてたんだから」と恵一。翔は噴き出し、「やめてくれよ、そんなこと言わなくてもいいよ」と言って、あたたかい雰囲気が流れる。


そこで、恵一は「海斗さえよければ、俺が三者面談に出てもいいんだけど?」と言うと、「いいけど」と答える海斗。「自治会も俺が出るから」と、恵一がみんなとなごやかに語り合っていると、結が帰ってきて、「だれがこの家に入っていいって言ったの?」と怒る。


恵一は食べるのもそこそこに「ごめん。俺は帰るから」と言いながら、「そうだ」と、希衣に石を見せる。それは希衣がなくして探していた、川原で拾った恵一のための石だった。


「三田さんが見つけてくれたんだ。これ、お父さんが預かっていていいかな。いつか、また、希衣の箱に入れてもらたいたいから」と言うと、「いいよ」と答える希衣。


翔の部屋に来る三田。「洗濯物を持ってきました」と渡すが、それは翔がゴミ箱に捨てたバスケのユニフォームだった。


「拾ってくれてたんだ。…三田さん、いろいろとごめん。それから、ありがとう」と言う翔に「それはお父さまに言うべきことばです」という三田だった。


翌日、バスケ部の練習に現れた翔は土下座して、恵一と同じように頭をこすりつけ、「みんな、ごめん、雑用でも何でもするから、もう一度、一緒にバスケをさせてもらえないかな?」と願い出た。


家政婦紹介所に紹介手数料を持って現れた三田に、「いろいろ大変だったんだって?」と言いながら、翔のことを「あの子、生きていたら、灯ちゃんの息子と同じ年だよね?」と口にして、「また、余計なことを言っちゃった」と反省する所長だった。


休日の三田はまた、遊園地でふたり分の食事を食べず、ひたすらじっと座っているのだった(次週に続く)

今回も直情的なシーンがたくさんあって、見ているだけで疲れたところがありましたが、三田さんのおかげで救われる展開になって、ほっとしました。

何の感情も見せない三田さんが家族からの極端な依頼にこたえながらも、家族再生への手助けをしているところが見所であるので、そのためには子供たちの後先を考えない行動が必要ではあるわけですが、どうもなじめず。

いくらストレス過多になったとしても、こんなに簡単に「殺してくれ」とか言うものかなあと。嫌がらせ程度なら理解できるけれど、極端すぎて、あまり聞いていて気持ちのいいものではないので、疲れるみたいです。

今週は特に長男の翔が三田さんに要求したシーンは、家族で見ていたら辛い場面でしたね。


第5回のあらすじ(ネタバレ)です。


父親の恵一を追い出し、子供4人で暮らしはじめたものの、子供たちだけでは何かと不自由なことも多い。隣家の主婦、真利子からは「家政婦と子供だけで暮らすなんて普通じゃない」となじられる。


三田は兄弟たちに家族のだれの命令を最優先すればいいのかと尋ねるが、翔は長男として自分が家族の中心になろうとしてもだれからも認められずに苛立ち、学校でキャプテンを務めるバスケ部で部員たちに当り散らしてしまう。


希衣は「カテイホウカイってなに?」と聞く。阿須田家が家庭崩壊していると友達に言われたのだと言う。


自治会や三者面談など、親が出るべきことがいろいろとあり、困ってしまった長女の結は三田に「どうしたらいい?」と聞くが「それはあなたの考えることです」と相変わらず、心の裡を見せない。


恵一は会社の近くのビジネスホテルに寝泊りして、モデルハウスの仕事をしているが、部下だった者たちからバカにされて、どうしても不倫相手の美枝にすがりたいが電話をしても出てもらえない。


今後のことを心配した義妹のうららから呼び出された恵一だったが、「父親として子供たちのことを愛しているという自信がない」と相変わらずの答えしか口にできない。「お義兄さんは正直すぎる。ふつう、父親はそういったこと、ごまかしたり、うそをついたりしても平気でしょう?」と言うと、「そういう奴なんだ」と、ずかずかと店に入って来て、恵一を切り捨てたのは義父の義之だった。


恵一を許すつもりのない義之は子供たちとの養子縁組にサインをさせることを迫る。義之の勢いに負けて、一度はペンを取る恵一だったが、どうしてもサインはできず、義之を説得できるだけのものもなく、走って逃げ出してしまう。


翔はいつものようにバスケ部に顔を出すが、部員たちのようすがおかしい。部員の反感を買った翔は「キャプテンをやめてほしい」と告げられ、キレた翔は「こっちから辞めてやる」と叫んで飛び出し、ゲームセンターに行くが、両替機でうまく両替ができず、キレて、足で蹴って機械に当り散らす。


翔は店側から警察に突き出されるが、「保護者を呼べ」と言われ、三田を呼ぶ。もちろん、家政婦の三田では話にならず、恵一が呼び出される。


恵一が顔を出したおかげで、ゲームセンターの方からも特に訴えられてはいないということで「お父さんからきつく叱っておいてください」と言われて、放免されるが、「たばこをくれ」と恵一に言い、断られると、自販機で買うと言ったりして、またキレて、バスケ部のユニフォームをゴミ箱に投げ捨ててしまう。


家で心配する結だったが、翔は反省する様子も見せずに、ビールを飲もうとして結に止められ、「俺の気持ちなんかわかるかよっ」と叫ぶ。


学校で悩む結は部室でつきあっている先輩に「自分は父親を許すつもりはないけれど、弟たちのためには父親が必要なのかと思ったり…、頭がぐちゃぐちゃで」と相談すると、「また、家に来いよ。ふたりでじっくり考えよう」と手を握られ、「ほんとに私のことが好きですか? 先輩は私とキスとかできればそれでいいのでは?」と言ってしまい、彼を怒らせてしまう。


「そっちこそ、俺の話を聞いたことなんかあるかよ。もう、いい」と捨て台詞を残して部室を出る先輩を追いかけ、「ごめんなさい。怒らないで。…家に行きますから」と謝る結。


家でひとりゲームをする翔は三田に相手になれと言うが、何もかも完璧な三田はゲームも強く、ことごとく負けてしまう。苛立つ翔は三田にまた、「頼んだことは何でもやってくれるんだよね?」と聞く。「私ができることでしたら」と答える三田。


「じゃ、…やらせてよ」と翔。


一瞬の間に「やっぱり、そんなことできないんだ?」と言う翔に、「何からしましょうか。キスをしましょうか。脱ぎましょうか」と聞く三田。


「じゃ、脱ぐほうで」と言われ、三田は自分の服をどんどん脱ぎ始める。


間一髪、そこに、結が帰って来て、「何やってるの?」と咎める。翔に頼まれたことを口にする三田。


結が翔を怒ると、「ふざけるなっ。家族のために何もしてないくせに。俺ばっか責めるなよ。俺じゃなくて父親とか…、お母さんが自殺なんかするから悪いんだろっ」と叫んで家を飛び出す翔。


三田に「私が来なかったらどうするつもりだったの?」と聞く結。三田はそのままするつもりだったと答えるので、結はあきれ、「今夜は遅くなる。帰ってこないかもしれないから」と告げる。


恵一の方はどうしても美枝のことを忘れられず、マンションの前で待ち伏せをしている。


帰って来て、恵一に気がついた美枝は「こんなストーカーみたないことをして…」と恵一を責めるが、「君しかいないんだ。君は僕が今のままでいいって。そんなことを言ってくれたのは君だけなんだ」と訴える。


が、「ふーん。そうだったのか」と冷たい男の声が後ろからする。振り返ると、恵一の部下の男が聞いていて、美枝から恵一の手を払いのける。


「どうして君が…?」と驚く恵一に、「こんなことを言いたくないけれど、これであきらめてくれますよね?」と美枝は言い、男に肩を抱かれてマンションに消える。


ショックのあまり、恵一は力が抜けてよろけてしまう。


※続きます。