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===
Answer.12「アーマードコア」
「……………」
ここは……。
「どこだ……?……?」
見える…なんか、いつもより世界が広いような、明るいような……。
「…ハートランド…?」
……リボンがない。
「……体が軽い…」
どうして…?
~~~
――ガタンッ
「ふー…」
「どうだった?ヒカルの様子」
「寝てたよ、ちょっと苦しそうだったけどさ」
「…あれだけまぁ恥を晒せばな、仕方がない」
「はっ、はは…」
あれから一日経ったんだよな…、時間の流れってはえーよ。
ヒカルは、鏡の時みたいに体がボロボロなわけじゃなかったから、すぐ目も覚めるだろうってカイトさん言ってたし。
…でも、ヒカルからヴェリタスの話を聞くのは当然しなきゃならないかもしれないけど、……辛くないかな。
なにされたとかより、なにしたかの方が、自覚した時には苦しく感じると思うんだけどさ…。
「とにかく、次のことについて考えるしかないな」
「だよな…」
ヴェリタスがなにをしようとしてるのか、はヒカルに聞くんだろうけど、まず次に誰が来るか、か。
それに、プロムが俺たちに出口を教えてくれたことも……。もしかしてプロムはヴェリタスの野望に乗り気じゃない…?
「なにしてるんだよ」
「っ?」
「……おい」
「ヒカル!!大丈夫なのかよ!?……え?」
おい、ちょっと……ちょっと…!!
「大丈夫、むしろ視界が妙にクリアだけど」
「ヒカル!目!!目が!!」
「なんだよ突然……っ!?」
「どうだ、実際」
「………」
無言になられても……でも、どうして突然…。
「嘘だろ…」
「だいじょう……」
「………」
「まさか!!」
「…やっぱり、アーマードが…消えたまま……」
アーマードが消えただなんて…そんなこと、あるのかよ…。
「…詳しいことは、覚えてるのか?」
「……うん」
「…嫌かもしれないけどさ、聞かせてくれよ」
「分かってる。順を追ってな」
~~~
「じゃあ、ヴェリタスの目的は、ルクシアを取り戻すために、世界を壊す…ってこと?」
「まぁ、大体。でも、それより重要なのは、未完の聖杯」
「奴も事ある毎に言っていたが、どういうことだ」
「特定の人間の核として眠っているものらしい。でも、それを取り出したら人間の姿を維持できなくなって消滅する」
じゃあ、どうやってそれを取り出そうだなんて考えてるんだよ。
「なるほど、アーマードか」
「そう」
「えっ!?どういうこと!?」
「俺は、ほら…な。奴の見解は人間として必要なものは失うけど、アーマードを纏っている限り肉体を失うことはない……だから、その後も応用が効く」
「使い捨てにならないわけか」
「じゃあ!記憶がとかなんとかはなんなんだよ!!」
ヒカルの記憶だとか、別の記憶だとか、そういうのが分からないんだよなぁ。
「多分……代わり、じゃないか」
「代わり?」
「別に、俺がたまたまそうだったからであって、誰だろうと奴は構わないんだ。なら、空になった肉体に、記憶と意識を流し込めば、別の人間が完成する」
「ルクシア…!!」
「そういうことになるな」
じゃあ、ヒカルを使って世界を壊した後、ヒカルをルクシアに仕立てあげようと考えてたってことかよ……そんな……。
「ルクシアは生きてるんだぜ!?なんでそんな!」
「それが俺にも分からない。なんで、あの子は生きてるのか」
「………もう一つ、聞きたいことがある」
「なんだよ…」
「あれはなんだ、レーヴァテインと奴は言っていたか」
そうだ…!あの、髪飾り?みたいなやつ!ちょっとグロかったけど……。
「……ごめん」
「謝るな、謝罪を求めてる訳じゃない」
「俺が……弱いばっかりに…あんなもののせいで、迷惑かけた」
「だから謝るなと」
「……それ以外は、なにも分からないんだ」
……ヒカル。でも、あんな…そうだよな。
俺も悪いのかもしれないし…あそこでテラに勝ってたら、こうはならなかったのかな…。
「こらぁーッ!!」
「!!」
「み、ミナトさん!?」
「ヒカルくん!貴方病人なんだから、早く戻りなさい!」
「もう大丈夫です!だって、…ここのベッド嫌いだし…」
本音だだ漏れしてるし……。
「言い訳無用!」
「やばっ!逃げるぞ!!」
「あ、待ってくれ!!」
「全く!」
「待ちなさーい!」
~~~
「はぁ…はぁ…」
「貴様…本当にさっきまで寝ていたのか…」
「寝てたけどさ、ミナトさん怖いし…」
「あっ、はは…」
「とにかく撒いたみたいだし、ルクシアのところに案内してくれ」
ルクシアのところ……あれ?ちょうど、目の前の部屋じゃ……。
「よし!任せとけ!ルクシアー!!」
「ちょ、遊矢そこは!」
「…なにをしている」
「あ、あれ?カイトさん?」
「……ここにルクシアがいるのか?」
「いるって!ですよね!!」
「いるにはいるが……」
っしゃあ!!やっぱり当たりだ!!もう方向音痴だとは言わせないぜ!
「ルクシア~?」
「……………」
「…あ、あれ?」
「……………できましたぁ!」
「えっ?」
「できた?」
い、一体なにができたんだ…!?
「カイトさん見てください!新しいでぃすふぎゅ!」
「…はぁ」
「これはどういう状況だ?説明しろ」
「つまり、だな…。お前たちがいなくなってから、ずっとここで遊矢のデュエルディスクを作っているわけだ」
「俺のデュエルディスクを!?」
そうだ!ルクシア言ってたよな!俺のデュエルディスク作るって…!!
んで、ヴェリタスを……止めてくれって…!
「あ、遊矢さん!托都さん!……と…」
「………」
「……ヒカルさん、ですね」
「…そうだ」
本人と会うのは、初めてなんだよな……つか、なんでルクシアについてそんな詳しく知ってんだ?いくら記憶が云々あったとしても、まさかヒカルが覚えてるわけないだろうし。
「デュエルディスクは、持ってらっしゃいますか……?」
「一応。でも、壊れてる…らしい」
「壊れてる!?」
「ヴェリタスめ、細工でもしていたか」
じゃあ、実質今デュエルディスクがあるのは托都だけ?
「……」
「お、落ち込むなよ?な?な?」
「落ち込んでない!ただ、アリスの持っていた壊れたディスクが…現実だったんだなって、思ってただけだ」
「あー…」
あの時って、本当に大変で色んなことすっかり忘れてたけど、そんなこと言ってたし持ってたな……。
「お父さんが、そうするのは分かってました。無力化してしまえば、人間がか弱いものだと思ってるものですから…」
「うん、知ってる」
「な、なので!!見てください!このホログラム!!」
「これって!!」
デュエルディスクの、設計図!?
つ、つーか!!アーマード!俺たちのアーマードの記録あるじゃん!なんだこれ!!
「これは一体…」
「アーマードコア・デュエルディスク」
「アーマード……なに?」
「遊矢さん、ヒカルさんは托都さんのデュエルを見ましたよね」
「ヒカル、分かるか?」
「途中からはな」
托都の……!そうだ、ふりゅーげるあーつ?だっけ?あのペンダントみたいなやつ。
「フリューゲルアーツ、翼の力。ヴェリタスに対抗しうる唯一の方法。錬金術には錬金術、といったところです」
「それが新しいデュエルディスクとなんの関係が?」
「遊矢さんとヒカルさんにも、このフリューゲルアーツを作っています」
「マジでか!」
てことは、俺たちも白いデュエルディスクになったり、目が銀色になったりすんのか!かっけえ!!
「ですが、托都さんを見ていただけたなら分かると思いますが、相当の負荷がかかるのです」
「負荷?」
「潜在意識との対話、だな」
「はい。錬金術の基本は理解、分解、再構築の3つに当たります。自信の潜在意識への理解と調和、実際どうでしたか、托都さん」
「…あれは…」
「でも、理解できたからこそフリューゲルアーツを扱えましたよね」
「まぁ…」
対話つったって、一体どんなの?
……俺の潜在意識……鏡……いや、まさかな?
「理解の次は分解と再構築、これがお父さんがしようとしていることの一つです。世界という多大な存在を分解し、理想の世界を再構築しようとしているんです」
「それがラグナロクか」
「ヒカルは、色々分かってるんだよな」
「一応だけど」
「でも!フリューゲルアーツの分解は違います!理解し、潜在意識の調和による心の闇の分解、そしてあるべき姿…力へ還元し再構築。これがフリューゲルアーツです!」
わ、わ、わかんねえ…!!
よ…要するに、
「どゆこと…?」
「バカなお前に分かるように説明してやる。誰しも悪意とか、秘めたものはあるだろ?」
「うん」
「その悪意とかを、自分にはそんなものない!って否定するんじゃなくて、理解して受け入れることで力に変える、こういうことだ」
「ヒカルさん、さすがに的確です」
なるほどすっげえ分かりやすい。悟りを開けって感じるけど。
「じゃあ托都は理解したのか?」
「あぁ、だがヒカルが言った通りではあるが悪意は消えない。いや、悪意と限ったわけじゃないが、少なくとも受け入れたところでその意識がなくなることはない」
「お前、一体過去になにしたんだ…」
「聞くな」
あー、これはしつこく聞いたらダメなやつだな…。
「話が脱線しましたが、フリューゲルアーツの負荷がある上、更にお二人にはアーマードがあります。二重に負荷がかかり、体に影響を及ぼす危険が高まれば問題が増えてしまいます」
「確かに……」
「………」
「なので、お二人のアーマードの核をデュエルディスクに組み込みます」
「えぇぇえっ!?」
「…そんなことができるのか……」
…でも、俺はアーマード使えないし……ヒカルも…。
「幸い…検査の時、ヒカルさんから異能力の反応がありました。おそらく、救世の装甲をお父さんはヒカルさんに残したままです」
「ええっ!?ホントか?」
「……そうだ、そうだった……じゃああれって、夢じゃなかった……?」
ヒカル……どうしたんだろ、なんか様子おかしくないか……?
「おい、本当に大丈夫なのか…」
「大丈夫、じゃない……」
「…すいません、思い出してしまいましたか……?」
「思い出し…一体何をだ」
「お二人が通った扉、分かりますか?」
「ミドガルドの扉と奴は言っていたな」
そういや、ミドガルドの扉ってなんだ?ヒカルとそれがなにか関係あるのかよ?
「ミドガルドの扉は、お父さんのいるお城とこの世界を繋ぐ扉です」
「ヴェリタスはその扉を開いて、こっちの世界に侵攻するのが第一の目的だった…だが、ヴェリタスやあの四体には扉に触れることすらできない……」
「わざわざ扉を開くのにヒカルを、利用したというのか…」
「扉を開いてしまった以上、計画は第二段階に移ってしまっています…私が止められなかったのが、悪いんです」
……ヴェリタス、ルクシアに止められたのにどうして……ルクシアに止められたのに…あれ?
「そうだよ!ルクシアお前…!」
「…私は、お父さんが作ったホムンクルスの失敗作です…」
ホムンクルス…!?
な、なーんか途方もない話になってる…?
「……話を戻していいですか?詳しい話は…今は……」
「う、うん…」
「アーマードの核は目に見えません、なのでお二人がディスクとアーマードを初同時併用した際に格納できるようにします。これで、フリューゲルアーツとの二重の負荷の内、アーマードの負荷はディスク内で処理され、実質なかったことになります」
じゃあ、今までみたいにアーマード使う時間が限られなくなるのか!?それは嬉しいかも!!
「遊矢さんのディスクの試作がこちらです。今までのものと、デザインに大幅な変化がありますが」
「かっけえ!ふぉぉ…金色入ってる…!うぉぉ!!風っぽい!」
「……」
「完成まで、5日ほどかかりますが…それまでは…」
「大丈夫だって!托都もいるし!いざとなれば俺だって!」
「………」
「ヒカルもさ、ヒカルは悪くない!操られてたんだから、仕方ないって!」
「遊矢…」
「扉だかなんだか分からないけどさ、大丈夫、必ず守るんだ!ヴェリタスに世界は壊させない!」
「遊矢さん……」
扉が開いて計画が進んだとか、ヒカルが扉を開いたとか、そんなのどうでもいい。
俺たちはもう負けない、ルクシアのためにもみんなのためにも!
「だから、またヒカルも力を貸してくれよ!二人でじゃない、今度は托都だっているんだぜ!三人でなら絶対負けねえから!」
「…こんな、俺でもよければ、また一緒に…」
「もっちろん!!な!托都!!」
「まぁ、いないよりはマシだ」
「またまたぁ?ホントはすっげえ心配してたくせに!」
「なっ、黙れ遊矢!!」
「……兄弟だな」
これで、やっと三人揃って戦えるんだよな。今まではみんな目的とかが違ってて、一致したことができなかったから、すっげえ嬉しいや!
「ルクシア、」
「は、はい!」
「必ずお前の父さんのこと、止めてやるからな。だから俺たちを信じてくれ、やるしか、ないじゃん!」
「………お願いします!!」
「おう!!」
「…頼むぜ、アニキ」
「貴様に言われる筋合いはない」
「……信じてるから」
「…あぁ」
これで仲間は揃った!!よぉーし!!
「やるしかないじゃん!!」
――PPPPPPP
「ん?…父さん?」
「!…………」
「托都…?」
《おぉ、遊矢、やっと繋がったかぁ》
「繋がったかぁじゃないって!久しぶり!」
《久しぶりだな!》
父さんから通話なんて、珍しいこともあるなぁ…。
《久々に休みが取れてな、帰国したんだ。たまには家族ですごそう!》
「ホントに!?」
《あぁ、お友だちも連れてくるといい》
「うん!わかった!!うん!」
わぁぁ…あの家帰るの何年ぶりだろう…!!
「ヒカル!ついてくるよな!」
「遊矢がいいなら、いいけど」
「なら俺も行かねばならないか」
「では!その期間でデュエルディスクを仕上げますね!」
「決まりだな、遊矢」
「はい!!」
…………托都、ついてくるって…大丈夫かな…。
~~~
《決まりだな、遊矢》
《はい!!じゃあ早速――――》
「天之岬に…ですね」
「あぁ、三人しかいないのなら、チャンスと見て間違いない」
「………原因はあの失敗作か…」
「ご安心ください、計画の第二段階遂行のため、泳がせておきましょう」
「もちろんだ。テラ、任せたぞ」
「ええ、マスター」
~~~
「クソッ!!」
……どうしてまた…。
「奴が、俺の邪魔をするんだ…!」
Next Answer→
=================
【あとがき】
今回の一言、「なるほどわからん」
分かった人は鋼レンとかかじったことある人しかいないと思う。フリューゲルアーツの説明第二弾はまたしばらく後に。
ヒカルが色々ご乱心だけど記憶が混乱してるなう。仕方ないね、仕方ない。でも三人で駆け回ってると思うと少しフフッとなってしまう感じ、たまらん。
次回への伏線が若干、というかタップリありましたが皆さんお待たせいたしました。ついに1話で托都になにがあったのかが次回明かされます、つかもう誰がデュエルするのか明白だよね、強い。
相変わらず義パパンとの仲は悪い、つか一方的に大っ嫌いな托都。仕方ないし一応和解してるはずなんだけどそりゃあ恨むわ、あとタイミング悪すぎるわ。さすが遊矢パパ、空気を読まないことには定評がある。
ラストシーンは壁ドンです。ほら、よくあるじゃん、風呂場で壁ドンするシーンって、あれ結構好き。
ヴェリタスたちが覗き見してましたが、つまりそういうことです。だって、ヒカルいるしルクシアはそういうのだし、覗き見し放題だよ!!わりとその辺気付けないッ!!
さぁA.Visionも次回から後半ですよ!!主人公陣営の反撃しかと見よッ!!
【予告】
Answer.13「父と子と」
~~~
わぁ!はじめてきましたぁ!
なんだかドキドキします…!えっ?ここって宣伝とかをするんですよね?
し、新型デュエルディスク!異世界でも壊れない錬金術製価格はなんと8980円(税込み)!
壊された皆さんも是非お買い上げ……えっ、違うんですか?
え、番宣?番宣ってなんですか??ふぇえ…。
~~~
【新型ディスク説明後の二人…】
「お、おぉぉ!ここが托都の家…!」
「あまりジロジロと見るな、なんだか恥ずかしくなる」
「しっかし、成人間際なのに、汚い」
「…」グサッ
「しかもジャンクフードのゴミばっか」
「……」グサグサッ
「まさか、いかがわしい本があったり」
「するわけないだろう!?」
「じゃあ居候なんて申し訳ないし、掃除とかしちゃうかなぁ」
「んなっ!やめろ!それだけはやめろ!」
「なんでだよ、嫌がることないだろ。それに汚いし」
「し、しかし………」
「手当たり次第に――――およ?」
「!!」
「これは……俺、じゃないな」
「返せ!」
「奪い取ることないだろ?」
「分かった、俺が掃除する。お前は座っていろ」
「ええー!?なんで!?」
「病み上がりが、大したこともできんだろうに」
「ぐ、ぐぬぬ…」
夜月、ヒカルは…アンタにそっくりだな。
だから嫌いになれないんだ。
END
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Answer.12「アーマードコア」
「……………」
ここは……。
「どこだ……?……?」
見える…なんか、いつもより世界が広いような、明るいような……。
「…ハートランド…?」
……リボンがない。
「……体が軽い…」
どうして…?
~~~
――ガタンッ
「ふー…」
「どうだった?ヒカルの様子」
「寝てたよ、ちょっと苦しそうだったけどさ」
「…あれだけまぁ恥を晒せばな、仕方がない」
「はっ、はは…」
あれから一日経ったんだよな…、時間の流れってはえーよ。
ヒカルは、鏡の時みたいに体がボロボロなわけじゃなかったから、すぐ目も覚めるだろうってカイトさん言ってたし。
…でも、ヒカルからヴェリタスの話を聞くのは当然しなきゃならないかもしれないけど、……辛くないかな。
なにされたとかより、なにしたかの方が、自覚した時には苦しく感じると思うんだけどさ…。
「とにかく、次のことについて考えるしかないな」
「だよな…」
ヴェリタスがなにをしようとしてるのか、はヒカルに聞くんだろうけど、まず次に誰が来るか、か。
それに、プロムが俺たちに出口を教えてくれたことも……。もしかしてプロムはヴェリタスの野望に乗り気じゃない…?
「なにしてるんだよ」
「っ?」
「……おい」
「ヒカル!!大丈夫なのかよ!?……え?」
おい、ちょっと……ちょっと…!!
「大丈夫、むしろ視界が妙にクリアだけど」
「ヒカル!目!!目が!!」
「なんだよ突然……っ!?」
「どうだ、実際」
「………」
無言になられても……でも、どうして突然…。
「嘘だろ…」
「だいじょう……」
「………」
「まさか!!」
「…やっぱり、アーマードが…消えたまま……」
アーマードが消えただなんて…そんなこと、あるのかよ…。
「…詳しいことは、覚えてるのか?」
「……うん」
「…嫌かもしれないけどさ、聞かせてくれよ」
「分かってる。順を追ってな」
~~~
「じゃあ、ヴェリタスの目的は、ルクシアを取り戻すために、世界を壊す…ってこと?」
「まぁ、大体。でも、それより重要なのは、未完の聖杯」
「奴も事ある毎に言っていたが、どういうことだ」
「特定の人間の核として眠っているものらしい。でも、それを取り出したら人間の姿を維持できなくなって消滅する」
じゃあ、どうやってそれを取り出そうだなんて考えてるんだよ。
「なるほど、アーマードか」
「そう」
「えっ!?どういうこと!?」
「俺は、ほら…な。奴の見解は人間として必要なものは失うけど、アーマードを纏っている限り肉体を失うことはない……だから、その後も応用が効く」
「使い捨てにならないわけか」
「じゃあ!記憶がとかなんとかはなんなんだよ!!」
ヒカルの記憶だとか、別の記憶だとか、そういうのが分からないんだよなぁ。
「多分……代わり、じゃないか」
「代わり?」
「別に、俺がたまたまそうだったからであって、誰だろうと奴は構わないんだ。なら、空になった肉体に、記憶と意識を流し込めば、別の人間が完成する」
「ルクシア…!!」
「そういうことになるな」
じゃあ、ヒカルを使って世界を壊した後、ヒカルをルクシアに仕立てあげようと考えてたってことかよ……そんな……。
「ルクシアは生きてるんだぜ!?なんでそんな!」
「それが俺にも分からない。なんで、あの子は生きてるのか」
「………もう一つ、聞きたいことがある」
「なんだよ…」
「あれはなんだ、レーヴァテインと奴は言っていたか」
そうだ…!あの、髪飾り?みたいなやつ!ちょっとグロかったけど……。
「……ごめん」
「謝るな、謝罪を求めてる訳じゃない」
「俺が……弱いばっかりに…あんなもののせいで、迷惑かけた」
「だから謝るなと」
「……それ以外は、なにも分からないんだ」
……ヒカル。でも、あんな…そうだよな。
俺も悪いのかもしれないし…あそこでテラに勝ってたら、こうはならなかったのかな…。
「こらぁーッ!!」
「!!」
「み、ミナトさん!?」
「ヒカルくん!貴方病人なんだから、早く戻りなさい!」
「もう大丈夫です!だって、…ここのベッド嫌いだし…」
本音だだ漏れしてるし……。
「言い訳無用!」
「やばっ!逃げるぞ!!」
「あ、待ってくれ!!」
「全く!」
「待ちなさーい!」
~~~
「はぁ…はぁ…」
「貴様…本当にさっきまで寝ていたのか…」
「寝てたけどさ、ミナトさん怖いし…」
「あっ、はは…」
「とにかく撒いたみたいだし、ルクシアのところに案内してくれ」
ルクシアのところ……あれ?ちょうど、目の前の部屋じゃ……。
「よし!任せとけ!ルクシアー!!」
「ちょ、遊矢そこは!」
「…なにをしている」
「あ、あれ?カイトさん?」
「……ここにルクシアがいるのか?」
「いるって!ですよね!!」
「いるにはいるが……」
っしゃあ!!やっぱり当たりだ!!もう方向音痴だとは言わせないぜ!
「ルクシア~?」
「……………」
「…あ、あれ?」
「……………できましたぁ!」
「えっ?」
「できた?」
い、一体なにができたんだ…!?
「カイトさん見てください!新しいでぃすふぎゅ!」
「…はぁ」
「これはどういう状況だ?説明しろ」
「つまり、だな…。お前たちがいなくなってから、ずっとここで遊矢のデュエルディスクを作っているわけだ」
「俺のデュエルディスクを!?」
そうだ!ルクシア言ってたよな!俺のデュエルディスク作るって…!!
んで、ヴェリタスを……止めてくれって…!
「あ、遊矢さん!托都さん!……と…」
「………」
「……ヒカルさん、ですね」
「…そうだ」
本人と会うのは、初めてなんだよな……つか、なんでルクシアについてそんな詳しく知ってんだ?いくら記憶が云々あったとしても、まさかヒカルが覚えてるわけないだろうし。
「デュエルディスクは、持ってらっしゃいますか……?」
「一応。でも、壊れてる…らしい」
「壊れてる!?」
「ヴェリタスめ、細工でもしていたか」
じゃあ、実質今デュエルディスクがあるのは托都だけ?
「……」
「お、落ち込むなよ?な?な?」
「落ち込んでない!ただ、アリスの持っていた壊れたディスクが…現実だったんだなって、思ってただけだ」
「あー…」
あの時って、本当に大変で色んなことすっかり忘れてたけど、そんなこと言ってたし持ってたな……。
「お父さんが、そうするのは分かってました。無力化してしまえば、人間がか弱いものだと思ってるものですから…」
「うん、知ってる」
「な、なので!!見てください!このホログラム!!」
「これって!!」
デュエルディスクの、設計図!?
つ、つーか!!アーマード!俺たちのアーマードの記録あるじゃん!なんだこれ!!
「これは一体…」
「アーマードコア・デュエルディスク」
「アーマード……なに?」
「遊矢さん、ヒカルさんは托都さんのデュエルを見ましたよね」
「ヒカル、分かるか?」
「途中からはな」
托都の……!そうだ、ふりゅーげるあーつ?だっけ?あのペンダントみたいなやつ。
「フリューゲルアーツ、翼の力。ヴェリタスに対抗しうる唯一の方法。錬金術には錬金術、といったところです」
「それが新しいデュエルディスクとなんの関係が?」
「遊矢さんとヒカルさんにも、このフリューゲルアーツを作っています」
「マジでか!」
てことは、俺たちも白いデュエルディスクになったり、目が銀色になったりすんのか!かっけえ!!
「ですが、托都さんを見ていただけたなら分かると思いますが、相当の負荷がかかるのです」
「負荷?」
「潜在意識との対話、だな」
「はい。錬金術の基本は理解、分解、再構築の3つに当たります。自信の潜在意識への理解と調和、実際どうでしたか、托都さん」
「…あれは…」
「でも、理解できたからこそフリューゲルアーツを扱えましたよね」
「まぁ…」
対話つったって、一体どんなの?
……俺の潜在意識……鏡……いや、まさかな?
「理解の次は分解と再構築、これがお父さんがしようとしていることの一つです。世界という多大な存在を分解し、理想の世界を再構築しようとしているんです」
「それがラグナロクか」
「ヒカルは、色々分かってるんだよな」
「一応だけど」
「でも!フリューゲルアーツの分解は違います!理解し、潜在意識の調和による心の闇の分解、そしてあるべき姿…力へ還元し再構築。これがフリューゲルアーツです!」
わ、わ、わかんねえ…!!
よ…要するに、
「どゆこと…?」
「バカなお前に分かるように説明してやる。誰しも悪意とか、秘めたものはあるだろ?」
「うん」
「その悪意とかを、自分にはそんなものない!って否定するんじゃなくて、理解して受け入れることで力に変える、こういうことだ」
「ヒカルさん、さすがに的確です」
なるほどすっげえ分かりやすい。悟りを開けって感じるけど。
「じゃあ托都は理解したのか?」
「あぁ、だがヒカルが言った通りではあるが悪意は消えない。いや、悪意と限ったわけじゃないが、少なくとも受け入れたところでその意識がなくなることはない」
「お前、一体過去になにしたんだ…」
「聞くな」
あー、これはしつこく聞いたらダメなやつだな…。
「話が脱線しましたが、フリューゲルアーツの負荷がある上、更にお二人にはアーマードがあります。二重に負荷がかかり、体に影響を及ぼす危険が高まれば問題が増えてしまいます」
「確かに……」
「………」
「なので、お二人のアーマードの核をデュエルディスクに組み込みます」
「えぇぇえっ!?」
「…そんなことができるのか……」
…でも、俺はアーマード使えないし……ヒカルも…。
「幸い…検査の時、ヒカルさんから異能力の反応がありました。おそらく、救世の装甲をお父さんはヒカルさんに残したままです」
「ええっ!?ホントか?」
「……そうだ、そうだった……じゃああれって、夢じゃなかった……?」
ヒカル……どうしたんだろ、なんか様子おかしくないか……?
「おい、本当に大丈夫なのか…」
「大丈夫、じゃない……」
「…すいません、思い出してしまいましたか……?」
「思い出し…一体何をだ」
「お二人が通った扉、分かりますか?」
「ミドガルドの扉と奴は言っていたな」
そういや、ミドガルドの扉ってなんだ?ヒカルとそれがなにか関係あるのかよ?
「ミドガルドの扉は、お父さんのいるお城とこの世界を繋ぐ扉です」
「ヴェリタスはその扉を開いて、こっちの世界に侵攻するのが第一の目的だった…だが、ヴェリタスやあの四体には扉に触れることすらできない……」
「わざわざ扉を開くのにヒカルを、利用したというのか…」
「扉を開いてしまった以上、計画は第二段階に移ってしまっています…私が止められなかったのが、悪いんです」
……ヴェリタス、ルクシアに止められたのにどうして……ルクシアに止められたのに…あれ?
「そうだよ!ルクシアお前…!」
「…私は、お父さんが作ったホムンクルスの失敗作です…」
ホムンクルス…!?
な、なーんか途方もない話になってる…?
「……話を戻していいですか?詳しい話は…今は……」
「う、うん…」
「アーマードの核は目に見えません、なのでお二人がディスクとアーマードを初同時併用した際に格納できるようにします。これで、フリューゲルアーツとの二重の負荷の内、アーマードの負荷はディスク内で処理され、実質なかったことになります」
じゃあ、今までみたいにアーマード使う時間が限られなくなるのか!?それは嬉しいかも!!
「遊矢さんのディスクの試作がこちらです。今までのものと、デザインに大幅な変化がありますが」
「かっけえ!ふぉぉ…金色入ってる…!うぉぉ!!風っぽい!」
「……」
「完成まで、5日ほどかかりますが…それまでは…」
「大丈夫だって!托都もいるし!いざとなれば俺だって!」
「………」
「ヒカルもさ、ヒカルは悪くない!操られてたんだから、仕方ないって!」
「遊矢…」
「扉だかなんだか分からないけどさ、大丈夫、必ず守るんだ!ヴェリタスに世界は壊させない!」
「遊矢さん……」
扉が開いて計画が進んだとか、ヒカルが扉を開いたとか、そんなのどうでもいい。
俺たちはもう負けない、ルクシアのためにもみんなのためにも!
「だから、またヒカルも力を貸してくれよ!二人でじゃない、今度は托都だっているんだぜ!三人でなら絶対負けねえから!」
「…こんな、俺でもよければ、また一緒に…」
「もっちろん!!な!托都!!」
「まぁ、いないよりはマシだ」
「またまたぁ?ホントはすっげえ心配してたくせに!」
「なっ、黙れ遊矢!!」
「……兄弟だな」
これで、やっと三人揃って戦えるんだよな。今まではみんな目的とかが違ってて、一致したことができなかったから、すっげえ嬉しいや!
「ルクシア、」
「は、はい!」
「必ずお前の父さんのこと、止めてやるからな。だから俺たちを信じてくれ、やるしか、ないじゃん!」
「………お願いします!!」
「おう!!」
「…頼むぜ、アニキ」
「貴様に言われる筋合いはない」
「……信じてるから」
「…あぁ」
これで仲間は揃った!!よぉーし!!
「やるしかないじゃん!!」
――PPPPPPP
「ん?…父さん?」
「!…………」
「托都…?」
《おぉ、遊矢、やっと繋がったかぁ》
「繋がったかぁじゃないって!久しぶり!」
《久しぶりだな!》
父さんから通話なんて、珍しいこともあるなぁ…。
《久々に休みが取れてな、帰国したんだ。たまには家族ですごそう!》
「ホントに!?」
《あぁ、お友だちも連れてくるといい》
「うん!わかった!!うん!」
わぁぁ…あの家帰るの何年ぶりだろう…!!
「ヒカル!ついてくるよな!」
「遊矢がいいなら、いいけど」
「なら俺も行かねばならないか」
「では!その期間でデュエルディスクを仕上げますね!」
「決まりだな、遊矢」
「はい!!」
…………托都、ついてくるって…大丈夫かな…。
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《決まりだな、遊矢》
《はい!!じゃあ早速――――》
「天之岬に…ですね」
「あぁ、三人しかいないのなら、チャンスと見て間違いない」
「………原因はあの失敗作か…」
「ご安心ください、計画の第二段階遂行のため、泳がせておきましょう」
「もちろんだ。テラ、任せたぞ」
「ええ、マスター」
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「クソッ!!」
……どうしてまた…。
「奴が、俺の邪魔をするんだ…!」
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【あとがき】
今回の一言、「なるほどわからん」
分かった人は鋼レンとかかじったことある人しかいないと思う。フリューゲルアーツの説明第二弾はまたしばらく後に。
ヒカルが色々ご乱心だけど記憶が混乱してるなう。仕方ないね、仕方ない。でも三人で駆け回ってると思うと少しフフッとなってしまう感じ、たまらん。
次回への伏線が若干、というかタップリありましたが皆さんお待たせいたしました。ついに1話で托都になにがあったのかが次回明かされます、つかもう誰がデュエルするのか明白だよね、強い。
相変わらず義パパンとの仲は悪い、つか一方的に大っ嫌いな托都。仕方ないし一応和解してるはずなんだけどそりゃあ恨むわ、あとタイミング悪すぎるわ。さすが遊矢パパ、空気を読まないことには定評がある。
ラストシーンは壁ドンです。ほら、よくあるじゃん、風呂場で壁ドンするシーンって、あれ結構好き。
ヴェリタスたちが覗き見してましたが、つまりそういうことです。だって、ヒカルいるしルクシアはそういうのだし、覗き見し放題だよ!!わりとその辺気付けないッ!!
さぁA.Visionも次回から後半ですよ!!主人公陣営の反撃しかと見よッ!!
【予告】
Answer.13「父と子と」
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わぁ!はじめてきましたぁ!
なんだかドキドキします…!えっ?ここって宣伝とかをするんですよね?
し、新型デュエルディスク!異世界でも壊れない錬金術製価格はなんと8980円(税込み)!
壊された皆さんも是非お買い上げ……えっ、違うんですか?
え、番宣?番宣ってなんですか??ふぇえ…。
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【新型ディスク説明後の二人…】
「お、おぉぉ!ここが托都の家…!」
「あまりジロジロと見るな、なんだか恥ずかしくなる」
「しっかし、成人間際なのに、汚い」
「…」グサッ
「しかもジャンクフードのゴミばっか」
「……」グサグサッ
「まさか、いかがわしい本があったり」
「するわけないだろう!?」
「じゃあ居候なんて申し訳ないし、掃除とかしちゃうかなぁ」
「んなっ!やめろ!それだけはやめろ!」
「なんでだよ、嫌がることないだろ。それに汚いし」
「し、しかし………」
「手当たり次第に――――およ?」
「!!」
「これは……俺、じゃないな」
「返せ!」
「奪い取ることないだろ?」
「分かった、俺が掃除する。お前は座っていろ」
「ええー!?なんで!?」
「病み上がりが、大したこともできんだろうに」
「ぐ、ぐぬぬ…」
夜月、ヒカルは…アンタにそっくりだな。
だから嫌いになれないんだ。
END