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《第0話 Black side》 ※pixiv限定公開
時代に忘れ去られた、哀しき事件。
男は勝者、栄光と願いを自身の手で勝ち取った正真正銘の強き人。━━━だがその勝利は人が人を貶める為だけに消費された。
家族を想う心も、家族さえも利用された男は祭壇の上で言い放つ。
「いつか必ず、貴様らに復讐してやる」
━━━時代は流れ、8月25日の月の下、堰櫂托都は夢を見る。
それこそが物語の始まりを告げるとも知らずに。

「あの日、認めてしまった罪は━━━いつまでも」
全ての終わった、夏の終わり。
輝く海を風景に変え、光は駆け抜ける。その先に待つ暖かさは、生死を賭けたあの戦いの記憶すら遠い過去ものとさせてくれるようで、"この先ずっと平和になったらいいな"なんて言葉からも現実味を感じさせた。
たとえそれが、一時に見た泡沫の夢だったとしても━━━。

降る星は新たな物語を告げる。
残酷を呼ぶ出逢いと別れ、風は流星となり悪を断たんと天から舞い降りた。
時を操る支配者は戦いになにを見たか、真実を掴まんと動き始め、巻き起こる激闘の中に潜む罠に誰が気づいたか。
そして二対の希望は剣を重ね飛び立つ。かつて掴み宿った切り札は手の中に。

星流れ墜ちた夜、消えた闇を追い星はまた墜ちて往く。 
朝の陽を浴びる二色の眼は夢の中。 
眠った真実の中に隠されているのは贋作の影。 
その裏、少女は軽やかに、物語へと介入を始める。 
はじめまして、紅の堕天使。 

《第4話 萌芽》 8月6日公開
黄金と蒼銀、二つの眼は揺れる。
少女の怒りは胸の内を貫くように突き刺さり、星の夜の記憶に苛まれる。
もしもあの時、彼に救われなかったら。
もしもあの時、彼を救うことができたなら。
己の弱さと強さに苦しみもがき、それでもまだ諦めたくない。

暗闇を裂く怨讐は、白き仮面に虚ろを隠し顕れた。
己の罪を認めた彼と己の罪を知らない彼らは只一つの真実を握り対峙する。
未曾有の災厄を前に花が踊り蝶が舞う。
迷い込んだ悠久の楽園に命を賭して、白い瞳は正義を前にただ嗤うのみ。

正義を成す為、悪となれ━━囁かれた言葉は黒い空の下で木霊する。
いつから黒だけが穢れであると言われていたのか、そこに在るのは世界を潰す白き特異点。
繰り返される人生(ひげき)の中で、見つけた答えを果たすため、彼は時を廻り続けた。
そう、これは人類への救済だ、と彼は云う。

過去の夜空に揺れた星、勝利に焦がれてすれ違った手は今再び握られた。
花散る残酷の中で奇跡に触れる君の想いに応えられる友の姿はなく、ただの孤独に唇を噛む。
たとえ敗北を視たとしても、あの日魔術師が言った言葉を忘れぬために。
その恐怖を怯え隠す姿は、まだあの頃のまま。

《第8話 私だけの言葉》     10月31日公開
片目が割れた人形が見た夢は、いつか"人の形"ではない"人"になるための虚構。
いずれ人より完成された人でなしになることに盲信することの許された小さな小さな贋作人形。
クルクル回る運命は更なる物語へ。
恋乙女と相対し涙を流す空の下、出でた二つの可能性。
それは、光も闇も番う無限の輝き。

太陽が黒く滲む。赤は白に染まる。
始まる終焉を知る者はたった一人━━結末を追い求めるもたったの一人。
重なる手に無限の力、共に駆けるは互いの魂(きずな)。二つを合わせ、今見せようその可能性。
花舞い星煌めく空の下で、風吹かぬ世界に立った時、反撃の狼煙は上がる。

《第10話 白い狂気に渦巻く光》
未来を封じたのは完全な勝利。
これ以上ない絶望に侵された世界に明日を見出だせと、あの日失った誰かの声がした。
「立ち上がれ」
その言葉はメッセージ、彼方の先に見据えた平穏のための切り札。
記憶が途切れて霞んでも、忘れられないモノがそこにある。