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ジェレスタ133「 引 き 裂 か れ た 思 い 」
「……遊矢…先輩……」
「心配なのね、アミさんは」
「はい……」
「…私も確かに心配よ、でも、私達には待つことしかできない。待ちましょう、彼らの勝利を」
「……」
遊矢、ヒカル先輩……頑張って…。
「…まっさかぁ……」
「なぜそういう反応になる、ベクター」
「あの辛気臭いガキにそんな力あってたまるかよォ」
「………そうか」
「…まぁ怪しいことに変わりはねえ、奴は特に、な」
~~~
「!!これって…!…!ミナトさん?!」
「こ、小鳥…ちゃん……」
「しっかりしてください!カイトは、シャークや遊矢は…!」
「気を、付けて……」
「―――――」
気を付ける…って、
「一体何をですか…!」
「ハルトと…ドロワを……守って…」
「ハルトくんと、ドロワさん……?」
「―――――」
「…?貴方は………!!」
そんな、なんで…なんで……!!
『―――――』
「―――――」
~~~
――ドカッ…ドサッ
「いったぁ……」
「どうした、いきなり物音たてて」
「ど、ドロワさん…別に、ただ家に戻るから荷物まとめてただけですし」
荷物まとめてたらたまたま本棚から本がどっさり落ちてきた、みたいな感じ……。
「…ふふっ、そうか。それで、懐かしいものはなにかあったか?」
「あ、まぁ……」
「おお、アルヴィドとの写真か…アルバムになっているんだな」
「…師匠、今どこにいるんだろう」
「きっと会えるさ」
「きっと…?」
「そう、世界が繋がっている限り、不可能はない。再会の日まで、そのアルバムは大事に持っておくといい」
「……はい」
世界で家族の次に大切だったアルバム、そこには確かに、思い出が詰まってた。
――――――、
――――――――、
「…ベレロフォン、ペガサス……」
「……………」
「…ふふっ」
なにが死するまでだ、死ぬのは俺じゃなく、あくまでアイツ…。負けるわけにはいかないし負けたくなんてない…!
「私はこれで、ターンエンド」
《手札:2》
「俺のターン!」
あのモンスター、恐らくベレロフォンと似たような効果を持っているはず…無闇に攻撃はできないが、逆に攻撃しなければ《黒騎士の屍》が発動する…どっち道、ダメージは避けられない。なら…!
「俺は、カードを二枚伏せ、ギャラクシー・カオスを守備表示に変更!ターンエンドだ!」
《守備力:3000》
《手札:1》
「だが忘れるな!永続罠《黒騎士の屍》が発動!ライフは半分となる!」
《ヒカルのライフ:600》
「くっ……」
《白騎士の刃》は効果モンスターの効果限定で発動するカード、あれが発動してたら負けてたな……。
「ヒカル!!」
「大丈夫だ遊矢!この程度なら……」
「この程度…か、ならば耐えてみせろ!私の攻撃を!私の、ターン!!」
さぁ見せてみろ、ベレロフォンペガサスの効果…!
「私はベレロフォンペガサスでギャラクシー・カオスに攻撃!この瞬間、ベレロフォンペガサスの効果発動!オーバーレイユニットを一つ使い、バトルする相手モンスターを無条件に破壊する!」
《ORU:1》
「てことは、ギャラクシー・カオスのデメリットでヒカルは800のダメージを受けるのか!?」
「っ………」
「自らのモンスターの手にかかり、敗北するがいい!!」
…ったく、想像の範囲内だって分からないみたいだな。
「罠発動!《ハーフシャットリベレイト》!効果ダメージを半分にし、破壊されたギャラクシー・カオスを墓地に送り、ギャラクティック・カオスを特殊召喚する!来い!《ギャラクティック・カオス・ドラゴン》!!」
《攻撃力:3000/ランク:8/ORU:0》
「それでも400か…食らえ!!」
「うあぁっ!!」
《ヒカルのライフ:200》
まだだ、次は《白騎士の刃》が効果を発動する…!
「《白騎士の刃》の効果により、800のダメージを受けてもらうぞ!」
「速攻魔法《カオス・エフェクト》!ギャラクシー・カオスを除外!効果ダメージを無効にする!」
「よっしゃあ!これでヒカルは耐えきったぜ!!」
温存しておいてよかった……これで、なんとか切り抜けたな。
「これで安心するとは、まだまだだな」
「なに?」
「私は魔法カード《キマイラの討伐書》を発動。このカードは、相手のライフが私のライフより下の場合、相手フィールドにキマイラトークン二体を守備表示で特殊召喚する!」
《守備力:800/レベル:2》
俺のフィールドにトークンを…?
「キマイラトークンは次の私のスタンバイフェイズに破壊され、君は、1体につき1000ポイントのダメージを受ける」
「ということは…」
「ヒカルは次のターンまでに、アイツを倒さないと負けってことか!」
キマイラトークンは素材にできず表示形式を変更できないのか……厄介だ…。
「私はこれで、ターンエンド」
《手札:2》
「ヒカルの手札は0、ライフも200しかない…どーすんだよこれ……」
逆にアイツのライフが全く減っていない…これじゃまずい、なんとかして状況をひっくり返さないといけない…!
「諦めろ、ギャラクシー・カオスは除外され、君にやれることはすでに残っていない」
「誰が、まだ勝機はある。その慢心が命取りだってわからないのか」
「……!」
―――君のその人を無下にするやり方が君を苦しめると分からないのか?
「君も所詮は彼の息子か」
「…?」
「下らない妄言を垂れ続ける愚かな男だったよ、君の父も、君も」
「…なにが言いたいかはっきり言ったらどうだ」
「………君が小さい頃の話だ」
――――――――、
―――――、
私は君の父の部下だった。
「却下だ」
「朽祈教授…何故ですか!これなら、世界が変わる!未来は安泰です!」
「そうじゃない、君の理論は確かに素晴らしい。だが未来のために、今の人々を犠牲にするやり方は、許されるものではない」
分かっているだろうが、君の父は高名な教授だ、私のような下の人間の考えを受け入れるはずがない。……だが、私は正しい、間違っているはずがなかったんだ。
「今の数百人が犠牲になれば、未来の何億という人間が救われる!それのどこがいけないんですか!」
「君のその人を無下にするやり方が、君自身をいつか苦しめると、何故分かってくれないんだ」
「……私は正しい!貴方は優しすぎる!」
彼は私の提唱したハートランドシティの新たな医療システムに異論を唱え、彼の論に賛成したすべての人々が私の理論を否定した。
それも悉くだ、私の理論には異を唱え、考えを否定し続けた。
だが―――――、
「…ヒカルまで、あの病にかかってしまうなんて……!」
「落ち着くんだ明美…」
私は聞いた、君と君の弟が不治の病にかかったことを。
これを利用し、私は、私の正しさを証明しようとした、そこに、あの男が現れた。
「あの病を治すには、彼らを犠牲にするしかない。その方法を、君が教えてあげるんだ」
男から聞いた病の治療法、それこそが、神の五王へ繋がる道だった。
神の五王に体を捧げ、願いを叶える――。
「朽祈教授、」
「…どうした、アルヴィド君」
「教授のお子さん、助けられるかもしれませんよ?」
奴はまんまと嵌まり、戻ってくることはなかった。
―――――、
―――――――、
「……………」
「……なんだよそれ!ただの逆恨みじゃん!!」
「なんとでも言え、結果的にあの場所へ行ったのは彼らだ」
―――――――――、
――――――、
事実、あの男の言う通り彼らは行方不明となった。
私はその後、配属先をハートランドに移され、ハートランドのデュエルシステム向上に力を注いだ。
そうしてすぐのことだ!私は大いに笑ったよ!
「クリストファー様、その子供は……」
「今日からここに住むことになった二人だ、よろしく頼む」
「よろしくおねがいします」
なにも知らない君たち兄弟が来た、それも自分達からだ。
「今日からデュエルの指導を頼むぞ、アルヴィド」
「あ…えっと、カイトじゃダメなんですか」
「カイトも忙しいのだよ、二人ともいいね?」
「はい…」
「…えぇ、構いませんとも」
時間を重ね、私が君のデュエル指導役に選ばれ、君が私にすり寄ってくる度に彼に対して笑った、笑ったよ。
「師匠!」
「ん?どうしたんだい、ヒカル」
「師匠は突然いなくなったりしないよね?」
「…そうだなぁ…ヒカルのためなら、ここに居続けるよ」
――――――、
――――――――、
「8年も、君の父親は君を愛さなかった!君の父親を誰より憎んでいた私が、私が君に父親の愛を与えていた!」
「黙れ……」
「皮肉な話だな。だが、私はむしろ君がいたこと自体が憎悪だった、あの男がいなくなればそれでいいと思ったが違う!君も同じだ、君の父親となにも変わらない!!」
「…………」
「君のせいであの男はまたこの世界に戻ってきた!君を最初に始末しておけばよかった……お前がいたから―――!!」
「黙れ!!」
「――!」
「えっ?」
何度も何度も……グダグダふざけた話並べやがって、物覚えの悪さがにじみ出てるようにしか聞こえねえよ。
「…話はわかった、要は…お前がただの自分よがりで最低な奴ってだけだろ」
「!!(なんだ、目付きが変わった…!?)」
「ヒカル……?」
「エンドフェイズ時、2ターンが経過したことで《フューチャータイムアウト》で除外されたカードが手札に戻る」
「……っ…(今まで感じたことのないこの気迫、まさか…真実誠を倒したという…あの!?)」
むしろありがたい話だ、まさかこんな好タイミングで決着をつけられるなんて…!!
「俺のターン、ドロー!」
「ヒカル…全然雰囲気が違う……」
「魔法カード《パラレルグラスミラー》を発動!手札一枚を墓地に送り、《キマイラトークン》を攻撃表示でお前に送り返す」
「…!」
《攻撃力:1000》
「更に《パラレルグラスミラー》を除外!これにより、ギャラクティック・カオスはこのターン、フィールド全てのモンスターの数だけ攻撃できる!」
「なんだと!?」
「連続攻撃を可能にするカードだったのかよ!?」
一気にトドメを刺す…!!1秒でも長く、生かしておくわけにはいかない…!
「バトル!1体目の《キマイラトークン》に攻撃!!」
「っぐ…!」
《アルヴィドのライフ:2000》
「二体目の《キマイラトークン》にも攻撃だ!」
「まだだ!手札から《防壁のホワイト・ナイト》をリリースし、ダメージを半分にする!っがぁっ!!」
《アルヴィドのライフ:1000》
仕留め損なったか…だが、まだ攻撃は残ってる…!
「バトル!ギャラクティック・カオスでベレロフォンペガサスを攻撃!」
「バカな…!攻撃力3000で攻撃だと!?」
「墓地から、速攻魔法《銀翼の革命》発動!」
「墓地から発動する速攻魔法だと!?」
「墓地のこのカードをデッキに戻すことで、相手モンスターエクシーズのオーバーレイユニットを墓地に送り、1つにつき800ポイント攻撃力をアップさせる!いけ!!」
《ORU:0》
《攻撃力:3800》
「!!く…!だが、ライフは残っている!」
《アルヴィドのライフ:700》
「忘れるなよ、フィールド全てのモンスターの数だけ攻撃、つまり、ギャラクティック・カオスには攻撃回数はあと1回!」
「なっ…バカな…!」
「砕けろ!ファイナルカオスストリーム!!」
「―――ぐっ…うぁぁぁぁあああああ」
《アルヴィドのライフ:0》
「や、やったぁ……」
………勝った、か。いや、勝っただけで終わらせるものか、まだやることは残ってる。
「……くっ、何故だ……何故、私は………!」
「………」
「真実誠に言われ、鏡に協力した。君を、殺すために」
「………」
「…その狂気、私にすら理解できん…やはり貴様は忌むべき存在だ」
「………」
「朽祈ヒカル…貴様の狂気、それすらも君の家族が作り出したもの、愚かな者達だ、残酷で、狂気的なその力、君の父親は償いきれる……―――――?」
「もう喋るな、黙れ」
鏡やファントムに手を下させるものか、コイツは俺が消す。それが、最後に残されたコイツへの断罪だ。
「―――さ、すが……だ…ぁ、…その……力に、飲ま…れ、ると……いい…さ、きに…地獄で……待って――――」
「―――!」
「ゴミが喋るわけないだろ、塵に還れ、クズ」
「………(リンさんから聞いてた…でも、こんなの……こんなの……!)」
さて、邪魔な奴も片付けたし、さっさと進んで――――、
「ヒカル!!」
「…遊矢か」
「なんで、なんであんな酷いことしたんだよ…!!あんまりだろ…!いくらなんでも、あんなの……こんなことするなんてヒカルじゃない!」
「……」
「あんなヒカル見たくない!だから、いつものヒカルに戻ってくれ!お願いだから!」
「………遊、矢……」
――――あれ、俺………。
「…なんで、あんなことを……」
「えっ?覚えてないのか…?」
「さぁ……ごめん、遊矢、また迷惑かけたな」
「………だ、大丈夫!大丈夫!」
なんかすごい引かれてないか、遊矢が距離置くほどだったんだな………ちょっと悪いことしたか…。
「とにかく進もうぜ!なっ!」
「…あぁ!」
「………」
「…!!」
この気配……嫌な寒気は……!!
「遊矢!!」
「…!な、なに…!?」
「………」
「ふ……ふふ……」
「いい加減に姿を現したらどうだ!トルテ!デュエルで決着つけようぜ」
「ええ、いい加減私も我慢の限界、良いでしょう。始めましょうか、終わりの始まりを………」
134話へ続く
=================
【あとがき】
今日の一言、「いともたやすく行われるえげつない行為」
お前らどっちもどっちだよ。怒りの沸点がよく分からないけど多分家族関係にかなり弱いんだなぁって思ってる、家族愛故かな。
なんだかんだ作中内で一番怖いんじゃないかと思われるヒカルさんのこのデュエルスタイル。本気出したヒカルは強い。つか何気に《フューチャータイムアウト》強いね、黄金櫃思い出した。
ヒカルのお父さんかなりすごいよね、明美さんもかなりヤバい人だけど、結果家族全員が基本的にすごいんやで。……いや、なんというか、あんな息子を産んだ明美さんが一番すげえよ。
師匠は典型的な逆恨みです、今回の覚醒しちゃったのは家族関連もあるけどやっぱヒカルは師匠が好きだったからわりとショックだったんです、幻滅したというか…かなり複雑な感じですね、関係も複雑だし。
そして誠が唐突に再☆登☆場!!うわ、文面だけでウザいぞアイツ。つか鏡陣営は誠がやられた時のことどれほど知ってるのか、でもあれに関しては最早理解を越えてる気がするんだ。
んで覚醒すると大体ギャラクティック・カオスでトドメを刺すヒカルさん、エースモンスター(´・ω・`)
あと心臓と顔面一踏みで潰すとか正気の沙汰じゃない。やっぱ覚醒状態はめったに出せないね。
次回!!いざ宿命の決戦へ!ヒカルが見たトルテの過去は……。
アルヴィドを倒した二人の前に遂にトルテが出現!運命とも言えるヒカルとトルテの出会い、決着は……?
【予告】
アルヴィドを倒したものの、そのデュエルのあり方故に複雑な気持ちが拭えない二人の前に、遂にトルテが現れる。
運命とも言えるヒカルとトルテのデュエルが始まり、互いに思うことをデュエルにぶつけていく。
しかし、圧倒的なトークンを駆使した連続攻撃コンボによってヒカルは次第に追い詰められ、トルテの力によってヒカルに異変が……?
次回!第134話「人形遣いの悪魔」
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ジェレスタ133「 引 き 裂 か れ た 思 い 」
「……遊矢…先輩……」
「心配なのね、アミさんは」
「はい……」
「…私も確かに心配よ、でも、私達には待つことしかできない。待ちましょう、彼らの勝利を」
「……」
遊矢、ヒカル先輩……頑張って…。
「…まっさかぁ……」
「なぜそういう反応になる、ベクター」
「あの辛気臭いガキにそんな力あってたまるかよォ」
「………そうか」
「…まぁ怪しいことに変わりはねえ、奴は特に、な」
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「!!これって…!…!ミナトさん?!」
「こ、小鳥…ちゃん……」
「しっかりしてください!カイトは、シャークや遊矢は…!」
「気を、付けて……」
「―――――」
気を付ける…って、
「一体何をですか…!」
「ハルトと…ドロワを……守って…」
「ハルトくんと、ドロワさん……?」
「―――――」
「…?貴方は………!!」
そんな、なんで…なんで……!!
『―――――』
「―――――」
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――ドカッ…ドサッ
「いったぁ……」
「どうした、いきなり物音たてて」
「ど、ドロワさん…別に、ただ家に戻るから荷物まとめてただけですし」
荷物まとめてたらたまたま本棚から本がどっさり落ちてきた、みたいな感じ……。
「…ふふっ、そうか。それで、懐かしいものはなにかあったか?」
「あ、まぁ……」
「おお、アルヴィドとの写真か…アルバムになっているんだな」
「…師匠、今どこにいるんだろう」
「きっと会えるさ」
「きっと…?」
「そう、世界が繋がっている限り、不可能はない。再会の日まで、そのアルバムは大事に持っておくといい」
「……はい」
世界で家族の次に大切だったアルバム、そこには確かに、思い出が詰まってた。
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「…ベレロフォン、ペガサス……」
「……………」
「…ふふっ」
なにが死するまでだ、死ぬのは俺じゃなく、あくまでアイツ…。負けるわけにはいかないし負けたくなんてない…!
「私はこれで、ターンエンド」
《手札:2》
「俺のターン!」
あのモンスター、恐らくベレロフォンと似たような効果を持っているはず…無闇に攻撃はできないが、逆に攻撃しなければ《黒騎士の屍》が発動する…どっち道、ダメージは避けられない。なら…!
「俺は、カードを二枚伏せ、ギャラクシー・カオスを守備表示に変更!ターンエンドだ!」
《守備力:3000》
《手札:1》
「だが忘れるな!永続罠《黒騎士の屍》が発動!ライフは半分となる!」
《ヒカルのライフ:600》
「くっ……」
《白騎士の刃》は効果モンスターの効果限定で発動するカード、あれが発動してたら負けてたな……。
「ヒカル!!」
「大丈夫だ遊矢!この程度なら……」
「この程度…か、ならば耐えてみせろ!私の攻撃を!私の、ターン!!」
さぁ見せてみろ、ベレロフォンペガサスの効果…!
「私はベレロフォンペガサスでギャラクシー・カオスに攻撃!この瞬間、ベレロフォンペガサスの効果発動!オーバーレイユニットを一つ使い、バトルする相手モンスターを無条件に破壊する!」
《ORU:1》
「てことは、ギャラクシー・カオスのデメリットでヒカルは800のダメージを受けるのか!?」
「っ………」
「自らのモンスターの手にかかり、敗北するがいい!!」
…ったく、想像の範囲内だって分からないみたいだな。
「罠発動!《ハーフシャットリベレイト》!効果ダメージを半分にし、破壊されたギャラクシー・カオスを墓地に送り、ギャラクティック・カオスを特殊召喚する!来い!《ギャラクティック・カオス・ドラゴン》!!」
《攻撃力:3000/ランク:8/ORU:0》
「それでも400か…食らえ!!」
「うあぁっ!!」
《ヒカルのライフ:200》
まだだ、次は《白騎士の刃》が効果を発動する…!
「《白騎士の刃》の効果により、800のダメージを受けてもらうぞ!」
「速攻魔法《カオス・エフェクト》!ギャラクシー・カオスを除外!効果ダメージを無効にする!」
「よっしゃあ!これでヒカルは耐えきったぜ!!」
温存しておいてよかった……これで、なんとか切り抜けたな。
「これで安心するとは、まだまだだな」
「なに?」
「私は魔法カード《キマイラの討伐書》を発動。このカードは、相手のライフが私のライフより下の場合、相手フィールドにキマイラトークン二体を守備表示で特殊召喚する!」
《守備力:800/レベル:2》
俺のフィールドにトークンを…?
「キマイラトークンは次の私のスタンバイフェイズに破壊され、君は、1体につき1000ポイントのダメージを受ける」
「ということは…」
「ヒカルは次のターンまでに、アイツを倒さないと負けってことか!」
キマイラトークンは素材にできず表示形式を変更できないのか……厄介だ…。
「私はこれで、ターンエンド」
《手札:2》
「ヒカルの手札は0、ライフも200しかない…どーすんだよこれ……」
逆にアイツのライフが全く減っていない…これじゃまずい、なんとかして状況をひっくり返さないといけない…!
「諦めろ、ギャラクシー・カオスは除外され、君にやれることはすでに残っていない」
「誰が、まだ勝機はある。その慢心が命取りだってわからないのか」
「……!」
―――君のその人を無下にするやり方が君を苦しめると分からないのか?
「君も所詮は彼の息子か」
「…?」
「下らない妄言を垂れ続ける愚かな男だったよ、君の父も、君も」
「…なにが言いたいかはっきり言ったらどうだ」
「………君が小さい頃の話だ」
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―――――、
私は君の父の部下だった。
「却下だ」
「朽祈教授…何故ですか!これなら、世界が変わる!未来は安泰です!」
「そうじゃない、君の理論は確かに素晴らしい。だが未来のために、今の人々を犠牲にするやり方は、許されるものではない」
分かっているだろうが、君の父は高名な教授だ、私のような下の人間の考えを受け入れるはずがない。……だが、私は正しい、間違っているはずがなかったんだ。
「今の数百人が犠牲になれば、未来の何億という人間が救われる!それのどこがいけないんですか!」
「君のその人を無下にするやり方が、君自身をいつか苦しめると、何故分かってくれないんだ」
「……私は正しい!貴方は優しすぎる!」
彼は私の提唱したハートランドシティの新たな医療システムに異論を唱え、彼の論に賛成したすべての人々が私の理論を否定した。
それも悉くだ、私の理論には異を唱え、考えを否定し続けた。
だが―――――、
「…ヒカルまで、あの病にかかってしまうなんて……!」
「落ち着くんだ明美…」
私は聞いた、君と君の弟が不治の病にかかったことを。
これを利用し、私は、私の正しさを証明しようとした、そこに、あの男が現れた。
「あの病を治すには、彼らを犠牲にするしかない。その方法を、君が教えてあげるんだ」
男から聞いた病の治療法、それこそが、神の五王へ繋がる道だった。
神の五王に体を捧げ、願いを叶える――。
「朽祈教授、」
「…どうした、アルヴィド君」
「教授のお子さん、助けられるかもしれませんよ?」
奴はまんまと嵌まり、戻ってくることはなかった。
―――――、
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「……………」
「……なんだよそれ!ただの逆恨みじゃん!!」
「なんとでも言え、結果的にあの場所へ行ったのは彼らだ」
―――――――――、
――――――、
事実、あの男の言う通り彼らは行方不明となった。
私はその後、配属先をハートランドに移され、ハートランドのデュエルシステム向上に力を注いだ。
そうしてすぐのことだ!私は大いに笑ったよ!
「クリストファー様、その子供は……」
「今日からここに住むことになった二人だ、よろしく頼む」
「よろしくおねがいします」
なにも知らない君たち兄弟が来た、それも自分達からだ。
「今日からデュエルの指導を頼むぞ、アルヴィド」
「あ…えっと、カイトじゃダメなんですか」
「カイトも忙しいのだよ、二人ともいいね?」
「はい…」
「…えぇ、構いませんとも」
時間を重ね、私が君のデュエル指導役に選ばれ、君が私にすり寄ってくる度に彼に対して笑った、笑ったよ。
「師匠!」
「ん?どうしたんだい、ヒカル」
「師匠は突然いなくなったりしないよね?」
「…そうだなぁ…ヒカルのためなら、ここに居続けるよ」
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「8年も、君の父親は君を愛さなかった!君の父親を誰より憎んでいた私が、私が君に父親の愛を与えていた!」
「黙れ……」
「皮肉な話だな。だが、私はむしろ君がいたこと自体が憎悪だった、あの男がいなくなればそれでいいと思ったが違う!君も同じだ、君の父親となにも変わらない!!」
「…………」
「君のせいであの男はまたこの世界に戻ってきた!君を最初に始末しておけばよかった……お前がいたから―――!!」
「黙れ!!」
「――!」
「えっ?」
何度も何度も……グダグダふざけた話並べやがって、物覚えの悪さがにじみ出てるようにしか聞こえねえよ。
「…話はわかった、要は…お前がただの自分よがりで最低な奴ってだけだろ」
「!!(なんだ、目付きが変わった…!?)」
「ヒカル……?」
「エンドフェイズ時、2ターンが経過したことで《フューチャータイムアウト》で除外されたカードが手札に戻る」
「……っ…(今まで感じたことのないこの気迫、まさか…真実誠を倒したという…あの!?)」
むしろありがたい話だ、まさかこんな好タイミングで決着をつけられるなんて…!!
「俺のターン、ドロー!」
「ヒカル…全然雰囲気が違う……」
「魔法カード《パラレルグラスミラー》を発動!手札一枚を墓地に送り、《キマイラトークン》を攻撃表示でお前に送り返す」
「…!」
《攻撃力:1000》
「更に《パラレルグラスミラー》を除外!これにより、ギャラクティック・カオスはこのターン、フィールド全てのモンスターの数だけ攻撃できる!」
「なんだと!?」
「連続攻撃を可能にするカードだったのかよ!?」
一気にトドメを刺す…!!1秒でも長く、生かしておくわけにはいかない…!
「バトル!1体目の《キマイラトークン》に攻撃!!」
「っぐ…!」
《アルヴィドのライフ:2000》
「二体目の《キマイラトークン》にも攻撃だ!」
「まだだ!手札から《防壁のホワイト・ナイト》をリリースし、ダメージを半分にする!っがぁっ!!」
《アルヴィドのライフ:1000》
仕留め損なったか…だが、まだ攻撃は残ってる…!
「バトル!ギャラクティック・カオスでベレロフォンペガサスを攻撃!」
「バカな…!攻撃力3000で攻撃だと!?」
「墓地から、速攻魔法《銀翼の革命》発動!」
「墓地から発動する速攻魔法だと!?」
「墓地のこのカードをデッキに戻すことで、相手モンスターエクシーズのオーバーレイユニットを墓地に送り、1つにつき800ポイント攻撃力をアップさせる!いけ!!」
《ORU:0》
《攻撃力:3800》
「!!く…!だが、ライフは残っている!」
《アルヴィドのライフ:700》
「忘れるなよ、フィールド全てのモンスターの数だけ攻撃、つまり、ギャラクティック・カオスには攻撃回数はあと1回!」
「なっ…バカな…!」
「砕けろ!ファイナルカオスストリーム!!」
「―――ぐっ…うぁぁぁぁあああああ」
《アルヴィドのライフ:0》
「や、やったぁ……」
………勝った、か。いや、勝っただけで終わらせるものか、まだやることは残ってる。
「……くっ、何故だ……何故、私は………!」
「………」
「真実誠に言われ、鏡に協力した。君を、殺すために」
「………」
「…その狂気、私にすら理解できん…やはり貴様は忌むべき存在だ」
「………」
「朽祈ヒカル…貴様の狂気、それすらも君の家族が作り出したもの、愚かな者達だ、残酷で、狂気的なその力、君の父親は償いきれる……―――――?」
「もう喋るな、黙れ」
鏡やファントムに手を下させるものか、コイツは俺が消す。それが、最後に残されたコイツへの断罪だ。
「―――さ、すが……だ…ぁ、…その……力に、飲ま…れ、ると……いい…さ、きに…地獄で……待って――――」
「―――!」
「ゴミが喋るわけないだろ、塵に還れ、クズ」
「………(リンさんから聞いてた…でも、こんなの……こんなの……!)」
さて、邪魔な奴も片付けたし、さっさと進んで――――、
「ヒカル!!」
「…遊矢か」
「なんで、なんであんな酷いことしたんだよ…!!あんまりだろ…!いくらなんでも、あんなの……こんなことするなんてヒカルじゃない!」
「……」
「あんなヒカル見たくない!だから、いつものヒカルに戻ってくれ!お願いだから!」
「………遊、矢……」
――――あれ、俺………。
「…なんで、あんなことを……」
「えっ?覚えてないのか…?」
「さぁ……ごめん、遊矢、また迷惑かけたな」
「………だ、大丈夫!大丈夫!」
なんかすごい引かれてないか、遊矢が距離置くほどだったんだな………ちょっと悪いことしたか…。
「とにかく進もうぜ!なっ!」
「…あぁ!」
「………」
「…!!」
この気配……嫌な寒気は……!!
「遊矢!!」
「…!な、なに…!?」
「………」
「ふ……ふふ……」
「いい加減に姿を現したらどうだ!トルテ!デュエルで決着つけようぜ」
「ええ、いい加減私も我慢の限界、良いでしょう。始めましょうか、終わりの始まりを………」
134話へ続く
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【あとがき】
今日の一言、「いともたやすく行われるえげつない行為」
お前らどっちもどっちだよ。怒りの沸点がよく分からないけど多分家族関係にかなり弱いんだなぁって思ってる、家族愛故かな。
なんだかんだ作中内で一番怖いんじゃないかと思われるヒカルさんのこのデュエルスタイル。本気出したヒカルは強い。つか何気に《フューチャータイムアウト》強いね、黄金櫃思い出した。
ヒカルのお父さんかなりすごいよね、明美さんもかなりヤバい人だけど、結果家族全員が基本的にすごいんやで。……いや、なんというか、あんな息子を産んだ明美さんが一番すげえよ。
師匠は典型的な逆恨みです、今回の覚醒しちゃったのは家族関連もあるけどやっぱヒカルは師匠が好きだったからわりとショックだったんです、幻滅したというか…かなり複雑な感じですね、関係も複雑だし。
そして誠が唐突に再☆登☆場!!うわ、文面だけでウザいぞアイツ。つか鏡陣営は誠がやられた時のことどれほど知ってるのか、でもあれに関しては最早理解を越えてる気がするんだ。
んで覚醒すると大体ギャラクティック・カオスでトドメを刺すヒカルさん、エースモンスター(´・ω・`)
あと心臓と顔面一踏みで潰すとか正気の沙汰じゃない。やっぱ覚醒状態はめったに出せないね。
次回!!いざ宿命の決戦へ!ヒカルが見たトルテの過去は……。
アルヴィドを倒した二人の前に遂にトルテが出現!運命とも言えるヒカルとトルテの出会い、決着は……?
【予告】
アルヴィドを倒したものの、そのデュエルのあり方故に複雑な気持ちが拭えない二人の前に、遂にトルテが現れる。
運命とも言えるヒカルとトルテのデュエルが始まり、互いに思うことをデュエルにぶつけていく。
しかし、圧倒的なトークンを駆使した連続攻撃コンボによってヒカルは次第に追い詰められ、トルテの力によってヒカルに異変が……?
次回!第134話「人形遣いの悪魔」