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ジェレスタ122「 止 ま な い 風  邪 神 復 活 の 序 曲 」




《続いてのニュースです。ハートランドシティで相次いで発生している連続行方不明事件、本日も多数の行方不明者が出ている模様。セキュリティ側はハートランドシティ全域に検問を置き、犯人の特定に急いでいます》

《噂じゃあ行方不明者を最後に目撃した人物の証言で、「目の前で忽然と消えた」などと語る者もいるらしいですねえ》

《そんなオカルトな話があるわけないじゃないか!》

《今回はその噂も兼ね、犯罪心理学やオカルトに詳しいお二人をお呼びしています。よろしくお願いします》

《今回の事件は一日に約10人が行方不明になっている、つまり多数の犯人がいる、そして行方不明になった人たちを収容できる施設がある、という二点に着目を置くべきです。そして動機です、ハートランドシティでのみ起きてるということもあり、犯人はハートランドシティ市長代理である天城家及びアークライト家に恨みがある人物が犯人かと思われます》

《なるほど、私は恐らく三年前のハートランドシティ大暴動事件に関与があると思います。あの謎の建物や祭壇など、いまだに分かっていないことが多いのです。そもそもあの暴動自体、なにが原因なのか分かっていないのです》

《暴動に参加した人物がいつの間にかいなくなっていたから、ということもありましたからね》

《続いて、》


「こんなニュース見たって、アイツらに原因は分かるわけないんだけどな」

「まぁ、ね。でも、日増しに消滅してる住民は増える一方なんだ。早くどうにかしなければ僕らも巻き込まれるまで時間の問題だ」

一体なにがどうなって、こんな事態に……。

「検問なんて張らなくても、どのみちハートランドからは誰も出られない…か」

「あぁ」

タスキから聞いた、この町を覆うように鏡の結界が張られてるということ。恐らくその結界が今一番怪しい点ではある…。

だとしても、なんの力も持たない人間を消してなにをするつもりなんだ、アイツ。

「しばらくは様子見かな?」
「…そうだな」

今はまだこの状況を誰も分かってない、もし、分かっているとするなら、あの人か………もしくは、鏡に加担してると思われる―――、

「裏切り者………」


~~~


「…………」
『ご主人、いかがなさいました?』
「最近、ハートランドの風が変なんだ」
『変…?』

今まで感じたことがない淀んだ風、ハートランドシティを包んでる爽やかな風がタッグデュエル大会が終わってから全然感じられない…。

これも、あの…人が消えるのに関わってんのかな。

『…ご主人には、まだ伝えていませんでしたね』
「なにを?」
『ハートランドシティの全域に、鏡の結界が張り巡らされているのです』
「なっ!?」
『黙っていたのはヒカルさんに止められていたからです、ですがこの非常時に隠し事なんてできません』

結界……?もしかして、あの時空で光ってたのが結界なのか!!

『結界からはハートランドから外には出れないように人々を洗脳する呪いを感じます。ですが、人々を消失させる力には思えません』
「じゃあ、別の理由があるのか?」
『それが、私にも大河さんにも……』

結局なんも分からずじまい、か……。

「そだ!遊馬さんに相談しようぜ!」
『それは私も賛成です!』
「じゃあ早速―――――」

―――「…………、」

な、なんだ!?

―――「風雅遊矢、」

この声………そうだ!エリファス!アストラル世界にいるっていうやつ!なんで…?

―――「アストラル世界に裏切り者がいる、風雅遊矢よ、我々の世界を、守るのだ」

裏切り者……?誰なんだ、そいつ……。

―――「鏡…担し、…神を蘇…せ……と、…ている……」

だから誰なんだよ!!

―――「…説の…雄…………馬……」

エリファス………?エリファス!

「エリファス!!」

『うわぁっ!ご主人いきなり大声出さないでくださいよ!』

「あ……ごめんごめん」

今のはアストラル世界から……アストラル世界に裏切り者が、……そんなわけ…。


―――ピルルルルルルル………

「あれ……?えっ!?リンさんじゃん」
『随分お久しぶりですね、今までなにをしていたんでしょう』
「さ、さぁ……もしもーし、俺でーす!…………はい?」


~~~


「って、久々に呼び出してなんなんですか、リンさん」
「早く用件を、カイトにも呼ばれてるんで」

「それもそうだな。じゃあ、簡潔に」

急にどうしたんだろ、畏まった感じだし…。

「みんなに集まってもらった理由はたった一つ、行方不明事件についてだ」

「行方不明事件の!?」
「なにか分かったのかよ!」
『すごいです!!で、なにが分かったんです?』

「うん、遊矢とヒカルはあの結弦という少女に憑いていた闇が見えていたようだな」

「あぁ」
「闇が消したのは分かるけど、タスキはそんな力ないって…」
『はい、確かに闇は結界から通じていましたが人間を消滅させる力は感じませんでした』

「消したんじゃない」

消した、じゃない……じゃあなんだ…?

「奴に消す力は確かにない、だがこの場合は吸収した、が正しい」

「吸収した……?」
「なるほどね、つまり例の闇と結界にはその人間の魂を吸収する力が備わっている、だから魂やカタチが維持できなくなった人間たちはみんな消滅したように見えた。まぁ個々の人間の力が弱くても、日本にはほらあれだよ、塵も積もれば山となる、っていう感じの」

じゃあつまり、実際は消滅したんじゃなくて鏡に体ごと力を吸収された…そういうことなのか。

「大河や遊矢の言い分が正解だ、だが闇は小さく、しかし力を増して迫っている。今はまだ俺や遊矢たちにしか闇は見えていない。見えるとしたなら、それは末期の、もう手が付けられない闇の力だ」

「手が付けられない…それじゃあ救うことが!」

「無論できない。それに本人からの視覚も吸収される寸前にしか見えない、極めて厄介だ。奴は結界を通し、心の闇を吸収するためのバイパスにしている。結弦という少女は、彼氏との愛を絶ちたくない欲望や、自分だけを見てほしいという嫉妬心が心の闇を強くした」

「ということは、心の闇が深く関係している…か」

「それだけじゃない」

鏡から闇の力を直接受けるだけで、闇は侵攻してくるとか……。

「町の人はみんな、行方不明者が出る度に不安になっていく…」
「その闇を利用して力を更に吸収しているんですね」

「非常に厄介だよ」

『許せません、そんなこと!』

鏡の居場所も分からないなら、俺たちには解決する方法がない…ただ吸収されて消える人たちを見てることしかできないなんて…!!そんなの……!

「この状況を打開する方法はないんスか!リンさん!」

「…あるには、ある」

「…!」
「ある、の…?」
「それ!教えてくれよ!」

「…ある神話がある。災厄を司る邪神を呼び覚ますため、ある男は人々から闇を奪っていた。それを沈めるため、月日を司る三体の神が目を覚まし、邪神は封印される。というな」

…確かに、今の状況と若干被ってる場所がある…。

『邪神、ファントムですね』
「ファントム?」
『邪神の名前です。人の心の影を司る闇の破壊神です』

そんな奴を……。

「鏡の目的は恐らくファントムの復活のためのエネルギー確保。…つまりは、」

「…!そっか!神を目覚めさせて、鏡を倒せばきっと、ファントム復活までまだ間に合う!」
『単純明快な答えですね!!』

「そうだ、だが適正者でなければ神はその眼を開かない。覚悟があるなら、その扉を開く」

…もし、これに賭けられるなら…、世界を守れるなら……俺は!!

「俺はやります!!」
「…遊矢……、俺もだ」
「ヒカル!」
「このまま世界を終わらせることはできない、アイツを、待っているから…!」

「私も!遊矢たちに協力できることなら!」
「俺もだぜー!!」
「遊矢さんに協力します!」

「止めても聞かないからね」
「ふんっ、まぁな」

「みんな…」
『私も忘れないでくださいよご主人!』
「もちろん!」

これで心は決まった!!鏡を倒すために、神を復活させるんだ!!

「……決まりだな。決行は明日から!準備しておけよ、遊矢、ヒカル!」

「「はい!」」

アイツの思い通りには絶対させない…世界を守るため、誠が残した希望を、守るために。


~~~


…神のカードを頼りに、か。
勢いで賛同したが…本当にそれでいいんだろうか。
もし、なにか罠だったとすれば…十分にありえる、あの人が中立の立場だとしたら…神のカードの存在がデマなのもありえる。

情けないけど、この状況で俺は仲間を信じきれない。
そんな状態で、遊矢に迷惑をかけるんじゃないかって、そうまで思える。

「カイト、」

「ヒカル…どうかしたか」
「なにが?」
「不安そうだな」
「いや、別に……」
「…そうか」

カイトには言わなくても多分伝わってる、だから、

「で…話はなんだ、俺は忙しいんだよ」
「じゃあ手短に一言で言わせてもらうぞ」
「もったいぶらずに言えよ、今更なに聞いても驚きは―――」

「九十九遊馬が消えた」

「―――えっ…?」


~~~


「大変なことになっちゃったね、雪那ちゃん」
「そうだね」

でも、きっとこれで最後…これが終わればまた平和で楽しい日々に戻れるよね。

「……アミちゃん、」
「…?なぁに?」
「私ね、ずっと隠してたことがあるの」
「隠してた…?なによ~教えて!」
「遊矢くんについてなんだけど……」

遊矢について?なんだろ、遊矢が私たちに言ってないことなのかな?

「あのね、遊矢くんは………」


~~~


「チッ……あの精霊姫め…」

「予想以上に早く感づかれましたね?」

「あぁそうだよ…しかも神を目覚めさせようってか…俺たちじゃあの場所には入れねえ…」

「神聖領域、私達が踏み込めばそれだけで塵と化してしまう…」

「…足掻くのは構わねえ、もうすぐだ、もうすぐファントムは蘇る…!精々一瞬の希望にすがって無様な夢に溺れるがいいさ」

「…それもそうですわね、それに、ここに来てもらわないと私には不都合ですし」


「さぁ待ってるぜ風雅遊矢、朽祈ヒカル。俺の真の力を味わいに、な」


~~~


――翌日、


「よしっ!遊矢、ヒカル、アミ!付いていくのは三人だけだ!」

「なんで俺らはダメなんだよー」
「足を引っ張れないだろうが」

「それにみんなは強いからな!」
「いざという時はみんながハートランドを守ってほしいの!」

「なるほど!それなら任せろよっ!」
「必ず、守りきるからな」

期待してるぜ!みんな!!…あっ、でも無茶はしないでほしいかな。

「じゃっ、いいかよく聞け!俺たちは今から、神の聖域に入る。そこには未知の罠があるに違いない。心して挑め!そして、必ず世界を守ってほしい!」

「そりゃもちろん!!」
「頑張ります!」
「…やれる範囲内でやりきってみるさ」

「……なら、行くぞ。闇眼(ダークアイズ)!時空を拓け!」

けたたましいドラゴンの咆哮の先、これが時空の狭間………。

「この先に一つ目の遺跡がある、さぁ出発だ!」

「…うん!」

待ってろよ、神のカードたち!!






123話へ続く

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【あとがき】

今回の一言、「リア充嫉妬怖い」
デュエルなし!!まぁあんだけ詰め込んだからもう許して、前回までで相当詰まったんです。

本当は個別回をやる予定だった雪那ちゃんなんですが、伏線を隠すために個別回なくしました。まぁ遊ヒカの個別回も消したから仕方ないです。デュエルなしサンレンダァは俺がキツイ。
リンの説明がいまいち分からなかった方向けにおさらい、ハートランドには鏡の結界が張られている→その結界は人の心の闇と繋がって、不安や妬みによって増幅した心の闇を肉体ごと吸収し、鏡やファントムに送る力がある→つまり消失しただけと思われた行方不明者は全員生きたまま鏡かファントムの腹の中。
はい、簡単に済ませるとこんな感じです。生きたままなのでファントム復活前に鏡を撃退するか、鏡とファントムをボコればみんな帰ってきます。
そして闇の力がいるなら托都使えよ、とか思うんですがあの人エネルギー0だから闇の力なんて豆粒程度の普通の人間よりも価値がない状態です。いつもの托都だったら多分余裕でファントム復活に足りる闇の力あるけど。
裏切り者は誰なのか……さぁ、誰だろうね。

次回!!異空間の遺跡に突入!…って、ヒカルはどこ?
一つ目の遺跡は異空間に存在する空の遺跡、迷路のような内装にも臆さず進む遊矢たち。
そして待ち受ける神の番人とは…!!

【予告】
異空間に存在する第一の遺跡、「空の遺跡」。
そこに降り立った遊矢たちは巨大な迷路のような内部を進んでいく。
しかし、ヒカルがいつの間にいなくなり、リンはそんな状況に既視感を覚えていた。
迷宮の果て、祭壇の上で遊矢たちを待っていたのは神のカードを守る番人であり、遊矢に隠された秘密を知る者だった。
次回!第123話「失われし遺跡 囚われた者の呼び声」


【告知】

メシア――救世主が現れし、希望と絶望の神・オルフェウスが目を覚ます。

Lighting sky本編終了から半年後、遊矢とヒカルはある招待状を送られ、ハートランドシティに帰ってきていた。

その招待状はハートランド主催の新たな世界大会「デュエルアーチウォーズ」の参加資格でもあり、遊矢とヒカルだけでなく様々なデュエリストが参加を予定していた。

しかし、それと同時期にハートランドシティでデュエリストとカードが消失する事件が頻発。

救世主と呼ばれる奇跡のカード。
そして破壊者――ディストラクターを名乗る青年・遥羽シアラ。

総てが繋がった時、希望と絶望の神・オルフェウスが覚醒する――!!


遊戯王Lighting sky  オルフェウスの救世主