#3951『マジすか学園4』 | 第7シーズン

第7シーズン

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新説『マジすか学園4』


#3951『そのアイドル、天然につき101 招かれた同行者』




「KEYABINGO!」(5/47話)


【出 演】
茜     (警 部)
愛 佳(警部補)
今 泉(巡査部長)
小 林(巡査部長)
北 川(若手巡査)
堀     (若手巡査)

菜々香(所轄刑事)
梨 加(所轄刑事)


欅署の関係者8人は、霊峰高原の山荘で発生した「女性集団不審死事件」について心霊捜査を実施することになり、欅署の駐車場に集まった。


そこに現れたのはフリー記者のねると平手だ。それも見るからに分かる旅行スタイルで、旅行鞄の他に愛用のショルダーバッグを肩に掛けている。すると茜が説明する。
『ねると平手にも来てもらうことにした。専門家だから記録係を依頼した。今後に向けて貴重な資料として残ることになるんだから、証人という立場で立ち会ってもらう。もちろん上の許可は取ってあるから』
『あっ、そうなんだー。そういうのは、この2人に任せておけばいいよね』
梨加はあっさりと納得し、今泉と小林は黙って聞いている。

北川はもうすっかり悟っている。茜と愛佳は、ねると平手とは思ったことを平気で言い合える間柄だ。それがヒートアップすることもあるが、お互い嫌っている訳ではない。年齢は同じではないが、社会人として同期なので、意外と固い絆で結ばれている。むしろ自分たちの仕事が1つ減ったと気楽に考えればいいだけの話だ。するとそのねると平手が『よろしくねー』などと挨拶してくるので、自分も愛想良く返した。そこで愛佳が『そろそろ出発しようかー』と言い出したら、堀がすぐに聞く。
『あのう、肝心の心霊高校生が来てないんですけど』
『あー。ここには来ない。その子の家の近くまで迎えに行くことになってる』
『そうなんですね。分かりました』

愛佳と堀の会話を聞いていた北川。高校生に対し、刑事が何人も乗った車がわざわざ家の近くまで迎えに行くなんてなかなかの待遇だなと思ってしまうが、もちろんそんな発言はしない。

これで一行が動き出した。駐車場の隅に停めてある署の車両に乗り込む。昨年納車された自動運転の最新型マイクロバスで、乗り心地はなかなかのものだ。最後に北川が堀と一緒に空いている座席に座ろうとしたら、後ろの方に段ボール箱が2つ置いてあることに気付いた。あの中に食料が入っているのだろうなと見当をつけるのと同時に、降りる時は自分たちが持ち運びしなくてはと頭に入れる。そして走り出すと、茜が通路に出て喋り始めた。
『今から大事なことを言うから聞いて。今日来る高校生なんだけど、心霊捜査をしてくれるだけにメンタルが大事なの。怒らせたり悲しませたり、機嫌を悪くさせるような目に遭わせると、霊能力に影響が出るらしい。そういうことだから十分に注意して対応してもらえるかな』

茜の発言を聞き、北川は嫌な予感がする。つまり言うことを聞いて、機嫌を取れということではないかと。なのですぐに聞いてみる。
『その高校生って、気難しいとか我がままなところがあったりする子なんですか』
茜がこちらを向く。
『それは私も知らない。会ったこともないし。通り魔事件を解決した時の極秘資料を読んでみたけど、高校生の性格までは書いてなかった。でも心配要らないと思う。もしとんでもない性格だったりしたら、注意事項として書き残されているはずだから、それがないってことは普通の高校生なんでしょ。ちょうどいい。この中で高校生に1番年齢が近いのは北川と堀だから、2人に高校生のお世話係をしてもらう』
『えーっ💦あたしと堀がですか!』
『そう。この前まで少年課にいたから、若い連中の扱いは慣れてるでしょ。さっきも言ったように、気持ち良く心霊捜査に入り込めるようにお世話して』
『はい…。分かりました』
面倒な役割を押し付けられてしまったなと思う北川だが、一行の中で1番後輩なので仕方がないと、立場をわきまえている。隣に座る堀と目を合わせて意思の疎通だけは図っておいた。


◇続く