新説『マジすか学園4』
#3950『そのアイドル、天然につき100 先輩たちの考え』
5日前に霊峰高原の山荘で発生した「女性集団不審死事件」について、欅署では心霊捜査を実施することになった。
会議が終わり、部署に戻った今泉、小林、北川、堀の4人。
通り魔事件の犯人を言い当てた女子高生がどんな子なのだろうと噂していると、堀が予想する。
『霊能力があると言うんですから、普通の女子高生とはかなり違うと思います。間違いなく陰キャですね。見るからに暗そうで、口数も少なくて妙に大人びてるってところですか』
今泉が納得する。
『そんなタイプだろうね。ちなみに山荘ってどんな設備なんだろう。泊まりなんてことになったら、どうなるの!?お風呂には入れるかなぁ。それより布団はどうなってるんだ。まさかそこで亡くなった人たちと同じ布団を使うってことはないよね…』
今泉の発言を聞き、小林が顔をしかめる。
『そんなことになったら、私はソファーで寝させてもらうわ。それよりもその女の子に1日で解決してもらわないと困る!』
『霊能力で事件を解決するんでしょ。だったらすぐなんじゃないの!?そう思うしかないわ。うちらが今から心配したって始まらないんだから、もうさっさと帰ろうよ』
これで4人はお喋りをやめ、再び手を動かし始めた。10分後には4人揃って欅署をあとにした。
翌朝午前7時前。集合場所である欅署の駐車場に、北川と堀はほぼ同時に着いた。時刻は10分前の6時50分だ。北川はキャリーバッグを使おうかと考えたが、勤務なのでボストンバッグにした。堀もやはり同じだった。
しばらくすると今泉と小林が仲良く2人揃って到着した。昨日今泉が言っていたスーツではなくカジュアルなブレザーを着用し、2人ともキャリーバッグを引いているではないか。これはひと言でも言っておこうかと北川は思ったが、スーツと言ったのは自分たちに対してのことだろうと理解したので、やめておく。
やがて7時になると、茜と愛佳が現れた。2人とも背中にリュックを背負っている。パステルカラーで薄手のトップスに、ロング丈のボトムスを合わせているところまで同じだ。まるでハイキング気分じゃないかと思う北川だが、上司なのでやっぱり黙っておく。その代わり、山荘に着いたらすぐに身軽な私服に着替えられるのだと、ポジティブに捉える。すると茜が口を開く。
『おはよう!みんな揃ってるな。あとは梨加と菜々香か。あー、来た来た』
所轄の2人も茜と連絡を取り合っていたかのようにラフなスタイルで、リュックを使っているところも同じだ。北川はため息が出そうになるのを我慢する。すると早速梨加が聞く。
『茜ちゃん。大事な食事のことなんだけど、どうするの?自炊は無理でしょ。近くにお店なんてなさそうだし、ウーバーも頼めないよね』
茜が無表情で答える。
『食事の方は心配要らないよ。昨日のうちに私と愛佳で用意しておいた。もうバスに積んである。電子レンジがあるそうだから、温めて食べる物ばかりだけど』
『そっかー。なら良かった。ありがとう。これで安心して捜査に臨めるわ。あーっ!あの2人、どうしたの!?』
梨加が途中で大きな声を出し、指を差した。どうしたのだろうと北川が確かめると、駐車場の入り口に立っている2人は、フリー記者のねると平手ではないか。それも見るからに分かる旅行スタイルで、愛用のショルダーバッグを肩に掛けている。
◇続く