#3897『マジすか学園4』 | 第7シーズン

第7シーズン

ブログの説明を入力します。

 

新説『マジすか学園4』


#3897『そのアイドル、天然につき47 かおたんからの朗報』



「アイドルだらけの水泳大会」は、出場した36人がプールサイドで「ラブラドール・レトリバー」を歌い終えたところで、番組が終わった。



最後のムチャぶりを無事に乗り切った36人が、いくつもの輪になって頑張りを称え合う。その1つの中に瑠夏がいる。まさか「ラブラドール・レトリバー」を歌って踊ることになるとは、夢にも思っていなかったが、もうこの36人という同じ顔触れが揃い、曲を歌うことなんて2度とないだろうと思う。とても貴重な体験が出来て満足感でいっぱいだ。


そこでふと気付いた。うしろに出来ている輪がどこよりも盛り上がっている。なぜだろうと思って視線を向けると、どうやら輪の中心にいるのは美音で、ヤンキーチームやカムカムフレイバーの何人かが周りを囲み、美音の肩をさすったり盛んに声を掛けている。一体何があったのだろうと瑠夏は一層気になる。すると他の者が『どうしたのー』と聞くので、優莉奈が教える。

『みーおんがラブラドール・レトリバーを歌い終えたら、感極まって泣きそうになっちゃってるの。ゆりなもみーおんの気持ち、分かるわー』

美音が顔を上げる。

『待ってよ〜。別に泣きそうにはなってないって。ただラブラドール・レトリバーをこうして思いがけず歌えたことに、ちょっと感激しちゃっただけ。地元に帰ってオイラーズに会ったら、ピースとパルと名無し、すだちとショッカクとメッシ、それからみなるんとなんてねに、私もラブラドール・レトリバーを歌ったよって報告しなきゃ。さぁ〜。みんな!もう番組が終わったんだから引き上げよう!』

そこで優莉奈が、『番組初登場のみーおんが仕切ってるね。さすがに頼り甲斐があるわ〜』と返したところで、みんながプールサイドから撤収し始めた。着替えのある36人は更衣室に移動し、残りの者たちはスタッフの後片付けを手伝う流れになった。



瑠夏は更衣室に向かい、慌ただしく着替えを済ませた。髪をきちんと乾かす時間はない。荷物を持ってスポーツセンターの玄関に行ってみると、みんなが集まり始めている。このあとは送迎バスに分かれて乗り込むのだが、しばらくして全員が揃ったところで、かおたんが一歩前に出て喋り始めた。

『今日の水泳大会に出場してくれたみなさん。お疲れさまでしたー。そして応援で番組を盛り上げ、雑用をこなしてくれたみんなもありがとう!お陰で視聴率が過去最高の30%を超えたそうだでね!同時配信が最高記録をマークしたのも、大勢のみんなが水泳大会に出場してくれたお陰だわ。それでみなさんにお知らせがあります!優勝チームのご褒美はランチビュッフェだと言ったんだけど、実は今日出てくれたみんなを、ランチビュッフェに招待するでねー』


かおたんからの朗報に歓声が上がる。その中でかおたんの近くにいる萌夏が聞く。

『かおたーん。それって水泳大会に出場した子だけなの?』

かおたんが誇らしげに答える。

『そんなことするかねー。水泳大会に出なくても、萌夏たちみたいに応援と雑用をしてくれた子たち、全員だがね!』

萌夏が小躍りして喜ぶ。

『やったぁ♫さすが、かおたん!最高だねっ!あっ、でも急に人数が増えて予約とか大丈夫なの?』

『実は最初から全員を招待するつもりだったんだて。でもそれは秘密にしといて、番組では優勝チームだけってことにしといたんだわ』

『うわっ、そういうことかー♪』

『今日になってみーおんや菅原ちゃんが増えてバタバタしたんだけど、こうなることもあるかと思って、貸し切りで頼んどいて良かったわ〜』

再び歓声が上がる中、今度はユナが疑問をぶつける。



◇続く