#3845『マジすか学園4』 | 第7シーズン

第7シーズン

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新説『マジすか学園4』


#3845『アイドルに転職は難しい195 カプセル依存症』



「SF翼のない白雪姫(14/33話)」


<ブラックシープス>

白雪姫・みーおん(AKB48 向井地美音)

アツリーヌ(前田敦子)

さーなん(髙寺沙菜)

小林由依

今泉佑唯

守屋 茜

志田愛佳

平手友梨奈

長濱ねる

リョウ (北川綾巴)

カチドキ(堀 未央奈)

長沢菜々香

渡辺梨加

音 葉(町 音葉)

ユ キ(矢作有紀奈)

モ エ(矢作萌夏)


<うどん はた屋>

よこにゃん(SKE48 北川愛乃)

はたごん(SKE48 髙畑結希)

ちかこ(SKE48 松本慈子)

優莉奈(AKB48 行天優莉奈)


<カプセル販売員>

舞 香(=LOVE 佐々木舞香)


<謎の女の子>

せなたん(∴ヒロイン転生 星乃宮せな)



「明晰夢誘発カプセル」が売り出されたため、「睡眠圧縮カプセル」であれだけ賑わった街の様子が一変した。街の人たちが外に出ての娯楽よりも、カプセルの代金以外はタダで楽しめる夢の世界に引きずり込まれたからだ。必要最低限の日常生活は続けているものの、街の様子も人々の活気も完全に衰退した。


カプセル依存症と言ってもいい程になった。ブラックシープスは路上ライブを続けているものの、観に来てくれる人はかなり減り、集まる金貨も少なくなった。それでも畑で作る農作物があるので、食べることには困らないが。


そんな困窮状態の中でも、人々の食欲だけは衰えることがない。収入源の金貨が減ってしまったので、「はた屋」へうどんを食べに行く回数も同じように減っていたが、久し振りに足を運んだのはリョウとカチドキ、ねると平手という仲良しペア2組だ。店は繁盛していると聞いているので、昼の忙しい時間を過ぎてから、のれんをくぐった。


久し振りに食べるうどんの味を満喫したあと、隣のテーブルを片付け始めた優莉奈に、リョウが話し掛ける。

『ここは毎日繁盛していいよなー。うちらのライブは、観に来てくれる人がガクンと減って大変なのに』


どことなくいつもより元気がなさそうな優莉奈が、片付けの手を休めて前に立つ。

『最近あまり食べに来てくれないのは、そんなことだろうと思ってた』

カチドキが愚痴をこぼす。

『それもあのカプセルのせいなんだよね。確かに夢をコントロールできることは楽しいんだけど、その反面、普段の生活がつまらないものに感じちゃうし、それが原因でうちらのライブを観に来てくれる人も減ったんだと思う』

ねるが加わる。

『その点、食べ物屋さんはいいよね。こんなご時世でも人の食欲というものはいつも旺盛なんだから、儲かってしょうがないでしょ』

ため息混じりになる優莉奈。

『はぁ…。やっぱりあんたたち、あの情報を知らないんだね』

ねるが聞き返す。

『あの情報って何?全然知らないんだけど教えて!』

『カプセルの第3弾がそろそろ発売されるの』

4人が『第3弾〜!?』と声を揃えたあと、平手が確かめようとする。

『第3弾があるのか!それで今度はどんなカプセルなんだ?』

優莉奈の表情が益々曇る。

『そんなことゆりなに言わせるのー。めっちゃイヤなんだけど。あっ、よこにゃん。ゆりなの代わりに、この人たちに教えてあげて』

それだけ言うと、優莉奈は奥に引っ込んでしまった。代わりに呼ばれたよこにゃんがお盆を持って近付いてくるので、リョウが尋ねる。

『よこにゃん。優莉奈がショックみたいで教えてくれないんだけど、第3弾のカプセルってどんな効果があるんだ?』


よこにゃんがみんなの前に立つ。優莉奈と同じで表情は暗い。

『街で噂になってるんですけど、今度のカプセルは「満腹感カプセル」ということらしいです。カプセルを飲むだけで、1日何も食べなくていいくらいの満腹感を得られるそうです』

ねるが感想を口にする。

『ふぅーん。都会の会社が考えそうなことだね。でもただお腹がいっぱいになるだけで、そんなにありがたみがあるのかな。だって食事の楽しみは、自分で口の中に食べ物を運んだあと、噛みながら感触を舌で確かめて、最後に飲み込んで味わうということでしょ。カプセルでお腹いっぱいになるなんて多少は便利かもしれないけど、食事の楽しさがまるでないじゃないの』

『それがですね、そのカプセルはおいしい料理を食べた時と同じような満足感を得られるそうです。どういう仕組みになっているのか、私にはよく分からないんですけど。それにそのカプセル1つに栄養のバランスがぎっしり詰め込まれていて、普通の食事をするよりも健康的だそうです。これまでのカプセルと同じ値段で買えて安い上に、1日1つ飲むだけでいいなんて、こんなおいしい話はないですよね。私たちみたいな食べ物屋さんは、ピンチに追い込まれてしまいます💦』

いつもの元気さがないよこにゃんの説明が終わり、リョウが疑問を抱く。

『カプセル1つで1日分の食事量になるというのは分かるとして、おいしい料理を食べた時と同じ満足感を得られるとか、栄養のバランスが整っているという話は、どうも信じられないな。そんなの販売会社がカプセルを売り込むために、都合良く宣伝してるだけじゃないのか』

すぐにねるから反対意見が出る。

『でもこれまで発売されたカプセルの効果って、どれも評判通りだったじゃない。ということは、今度のカプセルも信じられるんじゃないの。まっ、この店や食べ物屋さんをやってる人たちには大打撃だろうけどね』

よこにゃんが空いた器をお盆に乗せて下がってしまったのと入れ替わりで、厨房が暇になったはたごんとちかこが顔を出す。



◇続く