新説『マジすか学園4』
#3846『アイドルに転職は難しい196 カプセルの期待と不安』
「SF翼のない白雪姫(15/33話)」
<ブラックシープス>
白雪姫・みーおん(AKB48 向井地美音)
アツリーヌ(前田敦子)
さーなん(髙寺沙菜)
小林由依
今泉佑唯
守屋 茜
志田愛佳
平手友梨奈
長濱ねる
リョウ (北川綾巴)
カチドキ(堀 未央奈)
長沢菜々香
渡辺梨加
音 葉(町 音葉)
ユ キ(矢作有紀奈)
モ エ(矢作萌夏)
<うどん はた屋>
よこにゃん(SKE48 北川愛乃)
はたごん(SKE48 髙畑結希)
ちかこ(SKE48 松本慈子)
優莉奈(AKB48 行天優莉奈)
<カプセル販売員>
舞 香(=LOVE 佐々木舞香)
<謎の女の子>
せなたん(∴ヒロイン転生 星乃宮せな)
「明晰夢誘発カプセル」が売り出されたため街の様子が一変し、賑わいがなくなってしまった。ブラックシープスの路上ライブも苦戦している。
そんな中、久し振りに「はた屋」を訪れたリョウとカチドキ、ねると平手の4人は、「満腹感カプセル」が近々発売されると知らされた。
ショックを受けている優莉奈とはたごんが奥に引っ込んでしまうと、厨房が暇になった、はたごんとちかこが顔を見せたので、2人に向かってリョウが声を掛ける。
『どうしたんだ。2人とも顔が暗いぞ』
はたごんがテーブルの前に来て話し始める。
『うちらにとっては大問題なんだよね。営業妨害みたいな話だよ』
カチドキが慰める。
『そんなカプセルが人気になっても、あたしははたごんが作ってくれるうどんを必ず毎週食べにくるから安心して』
『本当!?ありがとう!』
ここで、ねるがあることに気付く。
『でも、はたごんやちかこがお店をやってるのは、金貨を稼いで食べていくためでしょ。だったら満腹感カプセルなんてのが発売されたら、はたごんたちもそのカプセルを飲むようにしたらいいんじゃないの。そうしたら毎日3食の食費代だって浮くし、毎日営業してせっせと働く必要もなくなるじゃない』
それでも、ちかこの反応は薄い。
『そう簡単に考えてもらっちゃあ困るのよ。ちかたちが稼いでるのは食費代だけじゃないんだし』
『まぁ、そうだけどね。カプセルはいつ発売されるの?』
『来週くらいだと思う』
ねるが思ったことを口にする。
『来週かぁ。だったらまた今度もカプセルを買いに行って、詳しいことを舞香ちゃんに聞くしかないなぁ』
初めて聞く"舞香"という名前にみんなが反応する中、平手が真っ先に聞いてくる。
『"まいか"って誰のこと?どーいう知り合いなんだ?』
つい名前を口走ってしまったねる。舞香は都会でカプセルを製造販売している会社の担当者で、それもかなり上の人間らしい。これまで2度、朝早くからカプセルを購入するため列に並んだが、一緒にいたのはさーなんとモエ、それに白雪姫とアツリーヌの4人だけで、舞香のことを認識しているのはその顔触れだけだ。寮に帰ってカプセルのことを留守番のみんなに話した時、舞香については触れなかったので、今この場にいる誰もその存在を知らない。ひと目見ただけで心を持っていかれそうになる美人で、その上、頭が切れる人だなんて説明する必要はないだろうと考え、軽く受け流しておく。
『舞香ちゃんというのは、カプセルを街に売りにくる担当の人。この前たまたまカプセルについて説明してもらったの。忙しそうだから今度も会えるかどうか分からないけどね』
『ふぅーん。そうなんだ』
これ以上、平手が食い付いてくることがないので、ねるはひと安心した。そこでうどんの代金を払って「はた屋」を出た。
寮に帰ると早速この情報を教えたので、満腹感カプセルにみんなの期待が膨らんだ。
やがて1週間程が過ぎた。せなたんは連日お昼前になると、白雪姫にもらった服を着て寮にやって来る。自分に任された仕事をテキパキとこなした上で、昼と夜のご飯を一緒に食べるという日々が続いている。
そしてカプセル発売日の朝になった。すっかり買い出し担当になった、さーなん、ねる、モエ、白雪姫、アツリーヌの5人が、いつもと同じ朝6時半に寮を出た。
広場には前回と同じで1時間程前に着いた。最前列をキープしてお喋りしていると、やがて販売会社の担当者が何人も行き来するようになり、搬入作業が始まった。お目当ての舞香を探していたら、本人から声を掛けられた。
『おはようございます。今日も買いに来てくださったんですね。ありがとうございます』
相変わらずの爽やかさと美貌だなとねるは思うが、舞香を見つけたら聞こうと決めていたことがあるので、すぐに切り出す。担当者に直接聞けるので、こんなに良い機会はない。
『おはようございます。この前の明晰夢誘発カプセルの効果は抜群でした。でも効果がありすぎて、街の様子がおかしくなっています。このままの状態が続いたら、危険な方向に進んでしまわないか心配です』
舞香がさらりと躱す発言に出る。
◇続く