#3842『マジすか学園4』 | 第7シーズン

第7シーズン

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新説『マジすか学園4』


#3842『アイドルに転職は難しい192 新たな出会い』



「SF翼のない白雪姫(11/33話)」


<ブラックシープス>

白雪姫・みーおん(AKB48 向井地美音)

アツリーヌ(前田敦子)

さーなん(髙寺沙菜)

小林由依

今泉佑唯

守屋 茜

志田愛佳

平手友梨奈

長濱ねる

リョウ (北川綾巴)

カチドキ(堀 未央奈)

長沢菜々香

渡辺梨加

音 葉(町 音葉)

ユ キ(矢作有紀奈)

モ エ(矢作萌夏)


<うどん はた屋>

よこにゃん(SKE48 北川愛乃)

はたごん(SKE48 髙畑結希)

ちかこ(SKE48 松本慈子)

優莉奈(AKB48 行天優莉奈)


<カプセル販売員>

舞 香(=LOVE 佐々木舞香)



「睡眠圧縮カプセル」に続く第2弾「明晰夢誘発カプセル」を買うため、早朝から売り場に並んだのは、さーなん、ねる、モエ、白雪姫、アツリーヌの5人だった。


しばらくすると午前8時になり、カプセルの販売が始まった。すぐに順番が来て、今回も多めに購入した。モエは帰りがけにもう1度舞香と話したくて姿を探したが、列を作るお客たちの対応に忙しそうなのでやめておいた。


あとは急いで帰ろうと歩き始めたら、背後で騒がしい声が聞こえた。どうやら『ドロボー!』『捕まえろー!』などの怒鳴り声だ。何が起きているのだろうと一行が立ち止まって振り返ると、すぐに事態を把握した。こちらに向かって走ってくる女の子が手にしているのは、カプセルが入った箱だ。その後ろから追い掛けてくる何人かが、ウインドブレーカーを着た販売会社の人間たちだ。


追われている女の子にモエは見覚えがある。最近路上ライブを1人で観に来てくれる子だ。10代半ばくらいで小柄な子だが、着ている服は大体いつも同じだし、貧しい暮らしをしているのだろうと思っていた。金貨を回収する時間になると姿が見えなくなるので、1度も話したことはない。自分だけでなく他の仲間たちも同じ認識だろうと思う。それどころか「ただ見の子」と、あだ名を付けて呼んでいる者もいる。


その子との距離が詰まり、ついに自分たちのすぐ側に来たところで、追っ手たちに追い付かれてしまった。モエは一瞬どうしようかと迷ったが、白雪姫が女の子を守るようにして前に立った。女の子は白雪姫の背後に回って隠れた。そしていち早く動き出すのはアツリーヌだ。

『この子は私たちの知り合いです!この子が持っているカプセルの代金は私たちが払います!だから許してくれませんか!?』


アツリーヌの無理なお願いに対して反発の声が上がった時、それを制したのは舞香だ。舞香はどうやらこの販売会社の中で上のポジションにいるらしく、舞香のお陰もあり、アツリーヌが金貨を払うことで女の子は許された。


追っ手たちはこれで立ち去り、モエは舞香にペコリと頭を下げてから別れた。


気まずそうに立ちすくんでいる女の子に対し、最初に話し掛けるのはさーなんだ。

『どこかで見たと思ったら、最近ライブをよく観に来てくれる子だよね。カプセルを盗むなんて随分大胆なことをするんだね』

女の子がやっと口を開く。

『ごめんなさい💦でも助かりました。ありがとうございます』

さーなんが突っ込んで聞く。

『カプセルを買う金貨がないから、盗んだって訳?』

女の子が曖昧に頷くのを見て、さーなんが今度は注意する。

『盗むのは良くないな。たまたま今日は私たちがいたから助かったけど、そうじゃなかったらどうなってたことか』


モエの方は、女の子のことが心配になる。

『ドロボーなんて、もうしちゃダメだよ。もしかして困ってることが他にもあるんじゃないの!?』

『……』

女の子が下を向いて黙っている代わりに、お腹が「グー」と鳴ったのを聞き、モエが理解する。

『あー。なるほどね。お腹が空いてるんだ。私たち、これから家に帰るんだけど良かったら一緒に来る?食べる物ならいっぱいあるよ』

女の子が顔を上げ、『はい。お願いします』と答えた。

『よし!じゃあ行こう。みーおん、いいよね!?』

独断で決めてしまったモエが、白雪姫に確認を取った。こんなところで断ることなんてできないじゃないかと思いながら白雪姫は頷くが、取りあえず聞いておくことがある。

『いいけど、名前は何て言うの?』

女の子が『せなです』と答えたので、モエが『じゃあ、せなたんと呼べばいいよね!』と即決した。



30分程歩き、一行が寮に帰った。みんなが集まる部屋に行ってみると、全員揃ってカプセルの到着を待ち構えている。それと同時に見知らぬ子が最後に顔を見せたので微妙な空気になる中、真っ先に指摘するのは茜だ。

『あれーっ。その子って、うちらのライブをただ見…たまに観に来る子じゃないの。一緒に連れて来てどうしたの!?』

せなたんのことは白雪姫に任せようと、帰路の途中、みんなで打ち合わせていた。白雪姫が言い出せば、誰からも文句は出ないはずだろうと。



◇続く