#3841『マジすか学園4』 | 第7シーズン

第7シーズン

ブログの説明を入力します。

 

新説『マジすか学園4』


#3841『アイドルに転職は難しい191 コントロールされるもの』



「SF翼のない白雪姫(10/33話)」


<ブラックシープス>

白雪姫・みーおん(AKB48 向井地美音)

アツリーヌ(前田敦子)

さーなん(髙寺沙菜)

小林由依

今泉佑唯

守屋 茜

志田愛佳

平手友梨奈

長濱ねる

リョウ (北川綾巴)

カチドキ(堀 未央奈)

長沢菜々香

渡辺梨加

音 葉(町 音葉)

ユ キ(矢作有紀奈)

モ エ(矢作萌夏)


<うどん はた屋>

よこにゃん(SKE48 北川愛乃)

はたごん(SKE48 髙畑結希)

ちかこ(SKE48 松本慈子)

優莉奈(AKB48 行天優莉奈)


<カプセル販売員>

舞 香(=LOVE 佐々木舞香)



「睡眠圧縮カプセル」に続く第2弾が発売されることになり、前回同様、さーなん、ねる、モエ、白雪姫、アツリーヌの5人が早朝から広場の特設売り場に向かった。


そこで舞香と再会した。モエが質問をぶつけると、舞香が丁寧に教えてくれる。

『実は私も同じです。自分の見ているのが夢だと分かって好きなことをやり始めたのに、段々と夢から覚めていくんですよね。あの歯がゆさを感じているのは私だけじゃなくて、当社でも同じことを思ってる者が大勢いました。ですから何とかしてこの歯がゆさを克服できないものかと思って研究を重ね、開発したのがこの「明晰夢誘発カプセル」です』

モエがすぐに繰り返す。

『めいせきむゆうはつ…?』

『そうです。今見ているのが夢だと自覚することが明晰夢なんですけど、それを毎回必ず明晰夢になるよう誘発するというカプセルです』


今度はさーなんが質問する。

『でもそれって、毎回必ずなんですか』

『そうです。臨床実験で毎回必ず誘発でき、すぐには夢が終わらなくなったので、販売に踏み切りました。それだけではなくて、慣れてくれば好きな夢を見られるようになります。自分で夢を好きなように展開させられるという意味です』


これにはさーなんやモエだけでなく、舞香を囲んだ街の人たちも『凄ーい』と声を揃えた。ところが話を聞く一方では気が済まないアツリーヌが、もっと追及する。

『どうしてそんなことが可能になったんですか』

舞香が快く教えてくれる。

『それはですね、レム睡眠の最中に副交感神経から放出されるアセチルコリンという物質の濃度を上昇させるアセチルコリンエステラーゼを、カプセルに含ませることで可能にしました。過去には明晰夢を見るために電気刺激を脳に与えたり、特殊なヘッドバンドを装着したりなんて実験も行ったんですけど、薬品に頼ることが最善だと判明しました。でも身体には全く悪影響を及ばさないので安心してください。都会では既に多くの人たちが、この明晰夢誘発カプセルを利用しています』


知らない言葉がいっぱいでアツリーヌが返事に困っていると、代わりに白雪姫が素朴な疑問をぶつける。

『舞香さんもこのカプセルを飲んで、好きな夢を見ているんですか』

『もちろんです。それがしたくて開発した訳ですから』

『どんな夢を見ているんですか』

『えっ…』

雄弁に語っていた舞香がここで初めて言葉に詰まってしまったので、余計にみんなの関心を集める結果になったが、ここでさーなんがフォローに入る。

『みーおん!舞香さんにそんなことを聞いちゃダメだよ。個人的な話なんだから』

白雪姫が『そうだよね。ごめんなさい』と言いながら舞香に向かってペコリと頭を下げるが、舞香の方はこの間に返答を準備した。

『別に構いません。私は歌うことが好きですから、大きなステージで大勢の人を前にして歌いたいです♪そこで大きな声援をもらう夢を見て、いい気持ちになったりしています。ところで、何回かこの街に来るようになって分かったんですけど、みーおんやモエちゃんたちって、路上ライブで人気になっているグループの人たちですよね。私は仕事に追われてタイミングが合わず、まだ1度も観てはいないんですけど、ぜひ今度ライブを観させてもらいたいと思っています』

真っ先に喜ぶのはモエだ。

『わぁ〜。舞香さん、モエたちのことを知ってるんですね!この街のいろんなところで路上ライブをやっていますから、観に来てください!』

『はい。そうします』

意外な方向に話が進んだところで、ついに他の男性販売員から、『舞香さん、ちょっと手伝ってもらえますかー』と声が掛かったので、お喋りはここで打ち切られた。モエが後ろを振り返ってみると、いつの間にか長い列になっている。



しばらくすると午前8時になり、カプセルの販売が始まった。モエたちはすぐに順番が来て、今回も多めに購入した。帰りがけにもう1度舞香と話したくて姿を探したモエだが、列を作るお客たちの対応に忙しそうなのでやめておいた。



◇続く