菊池秀行 / 角川ノベルス


 読んでいる間かなりの比率で「ええええ――!?(半笑)」って言ってました。

 な、なにこのお医者さん…言ってることがおかしいとおもう。惚れそう。(早い)


 何だか上手い具合にあらすじを書けなくて悶々としておりますが、とりあえず色々ありえないという印象。

 魔界都市ブルースと感想の被るところがあるのですが、まぁ化け物じみたドロドロ感は別に嫌いじゃないというか、そもそも自分はカニバリズムが好きなんだとおもいました(…)。


 あと、せつら以上に美しさの表現が凄まじくて、とても勉強になったです。次からは付箋ぺたぺたを決行しよう。(脳味噌チキンだから気に入った箇所を覚えられないんだよなぁ)


菊地秀行 魔界医師メフィスト

 倉知淳 / 創元クライム・クラブ


 年齢不詳、フルネームも不明。

 無邪気というか毒気がないというか、ちょっと足りてなさそうな印象の猫丸先輩。

 神出鬼没な彼がアルバイト先で遭遇したいろんな不思議の短編集です。


 死人は出ないし事件性も低いものばかりですが、とても面白い。

『推測』で見えたどこか物悲しい、人間の一面をひそかに暴くような雰囲気もあまりなく、どちらかといえば微笑ましい作品が多かったように思えます。

 しかし解説を読む限りどうやらこの作品集が特殊なだけで、辛辣な面をさりげなく湛えているのが猫丸先輩の特徴のようす。日常の片隅で飄々と存在しているイメージがついてしまっているので、殺人事件に関わる先輩も早いとこ読みたいなぁ。


 個人的には後半の二本、「たたかえ、よりきり仮面」と「トレジャーハント・トラップ・トリップ」がお気に入り。


倉知淳 幻獣遁走曲―猫丸先輩のアルバイト探偵ノート
 笹生陽子 / 講談社 青い鳥文庫

 面白かったー。


「ぼくらのサイテーの夏」は、小学校最後の夏休み、無口で大人びた少年とともにプール掃除をするはめになった「ぼく」のお話。


 同時収録の「きのう、火星に行った。」は突然帰って来た弟に苛立ちながら自分と向き合うクールな男の子の話。

 どちらかというとこっちのほうが好きです。脇役まで丁寧に描かれていて、それでいてくどくなく、テンポよく進むストーリーは好感触。爽やかだけどどこか閉篭もっていて、その殻を破ってゆくさまが見事でした。


 ただどちらも主人公は小学生。ちょっと大人びすぎているような感じもします。

 小学生の兄弟をふたりきりで映画館に行かせるのはちょっとどうなのー、とかつっこんでみたり。中学生でも良かったんじゃないかなぁ…。


 とはいえ挿絵もそれぞれ非常に可愛らしくて、楽しんで読めました。著者のほかの作品も読みたい。


ぼくらのサイテーの夏 (講談社青い鳥文庫)/やまだ ないと
 楠木誠一郎 / ジャイブ カラフル文庫

 んー、今ひとつ。

 靴みがきの少年たちが記憶喪失の女の子と出逢い、新聞社に勤めながら探偵団として活躍するという話なのですが、「不憫だから」というだけで五人の子どもが有名新聞社で雑用の仕事を与えられ、そのうえ住居と家政婦まで与えられるなんてちょっと……あんまりな甘さではないですか……。


 事件に関わる暗号類も、中学生くらいになればひと目で見抜けてしまうものばかり(カラフル文庫さんは小学校高学年から中学生が対象のはず)。これでキャラクターがしっかりしていればそれなりに面白いのだろうけど、人数が多すぎて誰が誰だか。

 子どもたちの会話にしても、必要以上のネタを仕込んでいない辺り、読者に向ける遊び心がなっていないような印象です。


 ああ、でもこれ二冊目なので、一冊目から読んだらまた違うのかなぁ……。


楠木誠一郎 記憶をなくした少女

 菊池秀行 / 祥伝社


 珍しく図書館でなく父の蔵書から。


 妖獣や異能の者たちが蔓延る魔界都市・新宿でせんべい屋を営みながら、副業として人探し屋を営む美青年・秋せつらの物語。


 理屈だとか論理だとかは皆無に近いエログロ想像世界なのですが、”ブルース”の名の通り哀愁漂う短編集です。とりあえず三冊一気に。


 読みたいなぁ今度にしようかなぁとずるずる引き延ばしてきた小説って、面白いと悔しいですね。短い中に綺麗にまとまっていて読みやすかったです。ちょっとお色気シーンが目立ちますけど(笑)


 せつらの性格がちょっと掴みきれないというか、話毎になかなかの別人でどうなのだろう、と思っていたのですが、著者自身認めているようなのでそこはそれで納得。妖花ではひらがなの「ぼく」だったりしますし。


 既刊作が大量すぎてどこからどう手を付けていいものかよく分からないのですが、のんびり読んでゆきたい感じです。

 メフィストも読みたいんだ…。長い旅になりそう。


菊地秀行

魔界都市ブルース〈1〉妖花の章 〈2 哀歌の章〉 〈3 陰花の章〉

イメージ全然でないなぁ…。すべてノベルスの方です。

 舞城王太郎 / 講談社


 講ノベ二十周年企画”密室本”作品。

 別に舞城祭りというわけではなくいけど、文庫購入したので再読。新書も持ってますよ。らぶ。


 今のところ舞城の最高傑作だと思うんだこれ…。


 修学旅行をきっかけに変な姉妹と知り合った「僕」と名探偵ルンババこと番場潤二郎。

 ルンババですよ、ルンババ。中学生の男の子が、「名探偵ルンババ12です」って名乗るんですよ。意味わからん。しかし格好良い。


「涼ちゃん」の自殺の真相、金髪カツラ殺人、一家斬殺、四つの密室大量殺人。

 色々と事件は起こっても、正直ミステリとしてはあまり成り立っていません(読者が考える間もなくルンババがぽいっと答えを出してしまうという…)。


 とはいえ、青春小説としてはピカイチ。薄くてサックリ読めるわりにグロテスクでナンセンスで重たくて、しかし読後感は最高に爽やか。ラストシーンには涙さえ零れるかもしれない。


煙か土か食い物 」を読んでおくとにやりと出来る名前が随所に見られます。

 どういう繋がりかはよく分からないけど、この作品はこの作品で楽しむのが得策かと。作者本人によるイラストもベリーキュートですよ。


舞城王太郎 世界は密室でできている。

 やっぱり本が好きっ! なくせに買うの遅くてすみません。活字倶楽部05年夏号です。

 本屋に残っていて良かった…(春号はうっかり買い損ねた人)


 巻頭特集は恩田陸と福井春敏。

 続いてナルニア国ものがたり、芦辺拓、佐藤友哉。新刊特集があさのあつこ、榎田尤利、日日日。


 小説キャラ対決企画が面白かったです。

 美形は長髪でなくちゃならんのだろうか、とか思いつつ、九十九十九の最強っぷりにトスト! ネズミトーナメントにも笑いました、何あの独断と偏見に満ちたコメント…(笑)。


 眉間しわ寄せ会議は、見るたびに是非某裂け谷主も入れてやって欲しいなと思います(無理)


 特集で興味を持ったのは芦辺さん。ネオ少年探偵 シリーズは以前から読みたいなぁと思っていたので、今度借りてこよう。

 そいで福音の少年 をいい加減に予約しよう…。


 名シーン名セリフでは動物園の鳥 のあのシーンにどきどき。

 でも今号一番叫びたいのは、間違いなくキャラ投票でございます。


 木鈴直也にいったい何があったんだ。


 あ、秋くん(主役)が39位なのに、なんで直也が3位なの…!!(爆笑)

 文庫化の余波か、と書かれていましたが、銀の檻~ には直也出てこないし、いったいどういう具合で票が集まったのかとても気になります。

 直也はたしかに人気あるけど、秋くんを差し置いてそんな上位にいて良いのか……。


 次回、10月25日発売予定の秋号は中国ファンタジー&歴史。そして特集は待ちに待ったよ、はやみねかおる。

 かつくらではやみねさんの特集が見られる日がこようとは……!(感涙)

 本っっ当に楽しみなので、発売日に購入できるよう努力します。


活字倶楽部 2005夏号 [雑誌]

 日明恵 / 講談社


 第二十五回メフィスト賞受賞作。


”キチク”と仇名される無骨で無口な巡査部長・武本と、”警視庁一のお坊ちゃま”と爪弾きにされる年下の上司・潮崎警部補のコンビが密造拳銃事件を追ってゆく軽快な警察小説。


 潮崎が良いなぁ!

 旧家茶道の家元次男坊で、膨大な知識と実力あって若き警部補として勤めているものの、本人の一風変わったキャラクターもあって軽く見られ、”お坊ちゃん”扱いを受けている彼。

 実際かなりの変り種であることは間違いないのですが、無口な武本の代わりだとでも言わんばかりに喋りまくり、ポンポンと飛躍してゆく内容は確かに一種知性的。

 口調とノリとテンポがアホっぽく見せていますが、そこも魅力だと思われます。かわいい。


 キャラクターの魅力が大きい作品ですが、ストーリー自体も面白く、緻密な描写には楽しませてもらいました。

 読み手には前半で事件の真相が知れてしまう点と、因縁の対決に続編を!と思わせるほど魅力のある敵でもなかったのはすこし残念。


 でもこのコンビの活躍は気になるので、続編はチェックしたいです。


 個人的には麻薬取締官・宮田さんの生き様がとてもすき。

 みんな良い人ばかりで、なんだかとても癒されました。


 
日明恩 それでも、警官は微笑う

 DIVE!! ラジオドラマ再放送中だって……!!!(ぎゃー!)


http://www.nhk.or.jp/audio/


 ひいー、聞かなきゃ! 明日から聞かなきゃ…!!


 青春アドベンチャーは、しゃばけとかバッテリーとかゾンビーズとかネガハピとかオーデュボンとか色々聞き逃しまくっているので、再放送よりむしろCDを出してくれと言いたい。

 ラジオ聞くの本当すぐに忘れるんだよ…。有料でいいからネット配信してくれないかなぁ。


 ちなみにDIVE!!って森絵都の飛び込み青春小説(全四巻)。面白いですよ。

森絵都 DIVE!!〈1〉前宙返り3回半抱え型

 舞城王太郎 / 講談社ノベルス


 第十九回メフィスト賞受賞作。


 アメリカサンディエゴERに勤務する外科医・奈津川四郎。

 実家の母が生き埋めにあったと聞いた彼が日本福井西暁に戻ってきた瞬間、壮絶な血族物語が幕を上げる。


 奈津川家シリーズ一作目にして舞城王太郎デビュー作。久しぶりに読みたくなって本棚から引っ張ってきて見ました。


 思わず目を瞑りたくなるほどの暴力と暴力にサンドされながらも、まっとうで正常で真理に近い愛が確固とした位置を築いて描かれているのが舞城作品の常であると思うのですが、やっぱりこの話が原点だよなぁと思います。なんていうか本当好き。


 ミステリというよりは、素直になれずに駄々をこねながら暴力に走った愛すべきマザコンファザコンブラコンな男たちの話。

 というと見も蓋もないような気がするのですが、たぶんそんなに間違ってない(笑)。

 だって根本にあるのは愛なのだもの。


 毎度の事ながら素敵でかわいくて格好よくていとおしいあの兄弟をつなげているのは結局、愛なのだもの。どれだけ理不尽な暴力で支配する父親にも、やっぱり向かう感情は愛なのだもの。


 だって家族からは逃げられない。


 奈津川の血は深いな。


 

舞城 王太郎 煙か土か食い物

右は文庫。装丁はノベルスの方が好きです(蛇革…v)