補欠問題と教育虐待の共通背景/沈みゆく日本(4) | ドングリクンパパのブログ

(3)  からの続き

 

では実際のところ海外において補欠問題はどうなってるのか?

 

基本的には海外に補欠問題はない。聞いたことがないんだよね。例えばセルジオ越後さんは40年も前から補欠問題を改めよと言い続け、下記のような本も出している。それはブラジルでは絶対にあり得ないことだからだ。

 

 

下記のサイトにはアメリカにも補欠はないと書かれている。

 

 

 

補欠問題は日本特有のものというのが一般的な見解だろう。実際他に似たような問題を抱えている国があるかどうかはっきりとは分からないが、このシリーズで既に述べたように日本における子供の人権が歴史的に軽視され続けたことによる影響により、日本特有の問題が生じている可能性が高い。

 

もう少し海外の事情を詳しく見てみよう。スペインでは小学生年代において全ての子供を試合に出場させることを義務付けている。しかもそのルールを守らなかった場合チームは試合出場停止などの厳しいペナルティを受ける

 

出場時間は完全に平等ではないものの、かなりしっかり出場時間は確保されていて、しかも年々平等に近づいているそうだ。最新だと公式戦は基本的に4ピリオド制で、ベンチ入りメンバーは最低2ピリオド出場が義務、ベンチ外メンバーは2週続けて同じメンバーにしてはいけないなどの決まりがあるらしい。

 

 

なおかつ試合に出られなければ出られるチームに移籍することも日本のようにハードルが高くない。ちなみにスペインにおいてコーチが子供に暴力をふるったり暴言を浴びせた場合、すぐに周囲のコーチや親から猛抗議され、警察沙汰になるのが当たり前なのでそうしたことが起きることはまずないという。

 

補欠があった方が競争が激しくなり競技力が上がるという説があるが、世界トップクラスの強豪国に補欠問題がなにのであれば、ない方が伸びると考えるのが自然だよね。山を高くしたいなら裾野を広げるべき。最後の最後に誰が伸びるかなんてほんと分からないからね。

 

第一万年補欠だった人がその後熱烈な日本サッカーファンでいられるだろうか?パワハラと補欠問題、これがJリーグの収益をガツンと下げているのは間違いないと思うんだよね。ファンが減れば収益は落ち、育成にかけられる予算も減り、子供達の注目度も落ち、ますますファンが離れていく、、、

 

上記のように全員出場を義務付けているスペインのサッカー競技力は言うまでもない。子供達の幸せ、それを見守る大人の幸せ、サッカーの競技力、サッカービジネスの繁栄、どこを鑑みてもそこに向かっていくべき、パパはそう考えている。

 

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パパはこんなブログ記事を目にした。

 

ある人が「補欠制度には反対です!」と書いていた。そして息子さんのチームでは「補欠問題がなかった!そのおかげで素晴らしい経験が出来た!補欠はない方が良い!」と書かれていた。そしてそのチームでどのように補欠問題がなかったのかについて詳しく書いてあった。

 

その息子さんが5年生の頃、チームは荒れていたそうだ。Aチーム入りを巡る争いが激しく、お互いにパスを出さず個人技に走る。それを見た監督さんはレギュラー補欠問題がチームをおかしくしていると考えて、ある決断をしたそうだ。

 

「彼らが6年生の1年間はレギュラーを完全に固定して戦います」

 

監督さんはそう宣言したという、、、え???ど、どゆこと???その息子さんはそのメンバーに選ばれた。その後レギュラー争いがなくなったAチームでは思いやりにあふれたパスが沢山飛び交い、お互い励ましあう素晴らしいチームになったそうだ。そしてチームは非常に強く、カップ戦などで抱えきれないほど沢山のトロフィーを手にしたという。

 

その仲間は一生の仲間と呼べるような関係で、卒業後も仲良くしています、だから補欠はない方が良いのです!と締めくくられていた。Aに入れなかった子達については一言も書かれていなかった。

 

そこにコメントがひとつ入っていた。「うちの子は今Bチームですが、最近Aチームの子達にいじめのようなものをされています。ブログ主様のチームではBチームの子達との関係も良い関係でいらっしゃいましたか?」と。その返信にもAチームの素晴らしさを語り、Bチームの話はただの一言もなかった。

 

さて、これを読んで皆さんはどうお感じになられるだろうか?

 

6年生の1年間は完全にメンバーを固定して戦う、それが彼らの「補欠問題対策」だったのだ。5年生まで必死に頑張ってきた子供達をふるいにかけ、Aに入れなかった子供達はその時点で捨てた、、、言葉は強いがそういうことだよね。

 

彼らは完全に壁を作られてしまったのだ。その後1年間どんなにどんなに努力してもAに入ることはないとその時点で決まった。彼らに人権はなかった。成長の機会は失われたのだ。全日のヒリヒリとした戦い、カップ戦のトロフィー、親たちの歓声、ピッチ上の汗と友情の物語は壁の向こうの話。まるで肌の色が黒ければ入れないホテルがあるかのようだ。

 

これがまさしく差別だよね。「補欠に反対!」という人が、「補欠がないチーム!」という美談を語っていた。監督さんもさぞ誇らしげなのだろう。これが「子供の人権に対する意識が世界で最も低い国」の現実なのだ。

 

続く(続けてアップします)