子供のモチベーションの核心「余白と野原の冒険遊び」編(3) | ドングリクンパパのブログ

(2)からの続き

 

パパが書いているのは要するに子供の「やりたい!」という気持ちを大事にしようということである。

 

ただもちろんそれだけでは子供は育たない。「やらなければいけない」も重要な子供の成長エンジンのひとつである。とてもとても大事な事だ。「やらなければいけない事、でもやるのは大変な事」に子供がどう対処していくか、それはそれで子育てにおける別の大きなテーマだ。

 

ただ日本では子供達の生活が「やらなければいけない事」に偏り過ぎている気がするんだよね。日々がスケジュールで埋め尽くされている子が多い。もちろんそれが子供達の心から「やりたい!」ことであり、その中でもしっかり余白が取れているなら良いと思う。でも「やるべき事、やらなきゃいけない事」に囲まれていっぱいいっぱいになっている子も多いよね。

 

子供にとって最も大事な事は「やりたい!やってみたい!」だよね。成長のメイン・エンジンである「やりたい!やってみたい!」が大きく育っていれば、そこで必然的に生まれてくる「やらなければいけない」もしっかりやれる可能性が高くなる。

 

前回書いたように子供達が初日に最も嫌いな練習!と言っていた素走り(タイムトライアル走)を、後に自らの選択でやるようになった。パパは時間がもったいないからチーム練習で素走りはやらせたくない、ミニゲームに全力を出し切れ、という基本方針だ。

 

ただ子供達が自分で言い出したとなったら話は別だよね。主人公は子供達なのだ。体力が課題として上がった際に、パパは「どうすれば良いと思う?」と聞いた。そしてタイムトライアル走(中距離ダッシュ)をやると子供達から言い出したのだ。

 

そこでパパはそれを受け入れ、最終的に下記のようにまとまった。すべて子供達と相談して、子供達が納得して決めた事だ。

 

*月に1回タイムトライアル走をやろう

*毎回必ず自己新記録が更新できるようにがんばろう

*その為に普段のミニゲームに全力を出し切ろう

*週1日でも良いから自主練でランニングをしよう

*記録が伸びないなら毎週タイムトライアルをしよう

 

そうして毎回全員のタイムをパパは記入した。ほとんど全ての子がちゃんと記録を更新して行ったよね。もちろん伸びない時もあるけど逆に大きく伸びる時もある。伸びた時は必ず大げさに褒めまくったよね。自主練したらタイムが伸びた、なんて事になれば子供は俄然やる気になっていくよね。

 

同じ事もコーチが決めてそれに従うだけだと子供のモチベーションはまったく違ってしまう。自分達でやろうと決めた事だから、苦しくても前向きにやれるんだよね。やらされている事ならただ「今日は走りか~、やだな~、雨降らねえかな~」で終わってしまう。

 

でも自分達でやると決めた場合は全然違う。子供達はもっと上手くなりたい!強くなりたい!試合に勝ちたい!という思いでそれを始めている。だからそれがどんなにキツくても、俺達はこれで強くなる!と心から思えるのだ。

 

心の余白がない中で、ただやらされているだけではこうしたモチベーションは育たない。試合後半にバテて失点して負けた、そんな時にコーチや親がガミガミ言って走らせても子供達のサッカーに対する情熱は育たない、むしろサッカーから遠ざかってしまう(もちろんそうした中でグングン育つ子も稀にはいるけどね)。

 

サッカーが子供達にとって本当に自分事になっているかどうか、なんだよね。自分がどうしたいのか?結局そこに尽きるとパパは思う。でもそこに至るにはきちんと段階を踏んでいく必要がある。そんなに簡単に育つわけないから。

 

余白の中で自由に泳がせて、そこから「やりたい!」が大きく育ち、やがて「やりたい!やりたい!こうなりたい!」→「でもその為にやるべき事はなんだろう?」に向かうようにしていく。 ここには膨大な時間がかかって当たり前だと思う。

 

それを我慢できず、大人が先回りしてやらせようとしてしまうから子供が冷めて行っちゃうんだよね。

 

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リンクがもう見つけられなくて申し訳ないけど、あの風間八宏さんの息子さんがスペインにサッカー留学した際にこう言っていたよね。

 

「自分達はいつの間にかサッカーがやらなきゃいけない事になってしまっている。でも彼らはこの年代でもサッカーを心底楽しんでいる、そこが彼らとの大きな違いだ」

 

日本ではどうしてもサッカーは「やらなければいけないこと」なんだよね。これは年代が上がれば上がるほど顕著になる。プロ目指すうんぬんのレベルじゃなくても部活やチーム活動が雨で休みになると喜んじゃう子供って日本では割と普通だよね?

 

でもそれでは悲しいよな。サッカー強豪国ではあり得ない長時間トレーニング、罰走、罵声に囲まれるオフのない日々。とても上手いのにサッカーを楽しめてない、そんな選手が沢山いる。そして彼らの多くは高校辺りで燃え尽きてサッカーをやめてしまうのだ。

 

雨が降って練習がなくなったら子供達が泣いて悲しむようにならないとね。プロになるとかならないとかまったく関係なく、生涯サッカーを心から楽しむ人がもっともっと増えていかないとね。でも子供達にサッカーをやらせよう、やらせようとしていたら決してそうならない。

 

大事なのは余白、パパはそう思うんだよね。ちなみに当時のブログ記事はこう締めくくってあった。そう、今でもそう思うよ、まずはそこからだよね。

 

「遊べ遊べ、もっともっと遊びつくせ。サッカーは遊びだ。ここは野原で、君らは冒険の主人公だ。はばたけ、自分たちの足で!!」

 

 

(次回は余白第2章「捨てる勇気」編です)