過保護・過干渉の境界線(7)具体例:ターンが出来ないボウズ | ドングリクンパパのブログ

前回からの続き

 

そしてその週末すぐにターン練習をやってみた。パパが思い切って速いボールを蹴り、ボウズはターンで前を向く、それだけ。見ていてやっぱり技術はある。パパのパスがずれまくるんだけど(笑)難しいボールもなんとかして前を向いてしまう。

 

元々高架下の公園で壁に蹴って跳ね返りをトラップでターン、すぐ逆の壁に蹴って跳ね返りをまたターンを繰り返す、というような練習を積み上げて来てはいるのだ。その日の午後にあったチーム練習から戻るとボウズは言った。

 

「今日、何回かターンで前向けたよ。やっぱ午前中やっておいて良かったわ。ボール来たらスッとターン出来た」

「おお~そっか、じゃあまた来週もやろう」

 

そう言ったのだが、その後親子練習でターンをやることはなかった。やる必要がなかったのだ。練習や試合後の振り返りではテーマとして必ず「ターンで前を向けたかどうか」を話してもらうようにしているが、その後ターンが問題になった事はなかったのだ。元々技術はあったので、すぐにターンするのが当たり前になっていった。

 

そして試合でもちらほら良いターンが見られるようになった。そしてパパが動画を見た日からおよそ1ヶ月半、最後の県リーグ戦において、ボウズはまさしく前を向くターンから劇的な同点ゴールを上げた。

 

 

え~と、ここから親バカ解説入りますので平にご容赦。動画をわざわざスローにしてしまいました(笑)。

 

 

ボウズは帰宅後、このゴールについて真っ先に「いや~あれはターンで完璧な位置にボール置けたのが良かった」と言った。理想的な両足プレーだね、あそこに置いていればボウズは右アウトでも左アウトでもボールを持ち出せる。

 

実際、右アウトでフェイントかけて、すぐさま左アウトでずらしてシュート。流れるような美しい身体の動作だと思う。そしてもうひとつ、この試合でボウズが自画自賛したシーンも前を向くターンから。

 

 

このプレーのどこがどう自画自賛なのか?動画を見て分かるようにこの時ボウズは左のスペースを狙って右足でボールを受けるつもりだった。手でそういう合図も出している。ところがパスが少しずれて左足にボールが来てしまう。予定外の状況になったわけだが、その際ボウズは逆の右スペースから迫る敵の位置も把握できていたと言う。

 

ターンしたら後ろから迫る敵とかなりギリギリの間合いだと分かっていたが、それでも自分の足技でかわせると判断し、思い切ってターンした。しかもこの際ボールが左足よりもっと身体の中心部に転がってきたので難しいターンになったが、股関節と肩甲骨を上手く使って柔らかくターン出来ているね。

 

トラップの瞬間、腕が背中側に大きく廻り込んでいるのが分かる。肩甲骨が十分に柔らかく、かつ肩甲骨でバランスを取る事に慣れていないと難しいプレーだと思う。そしてターン直後にエラシコもどきでかわして味方に繋げた。

 

狙い通りにならなかった際の切り替え、敵の位置の把握、ターン後の予測の正確性、柔らかいターンの技術、ターン直後に一瞬で敵をかわせる技術。うむ自画自賛して良し(笑)。

 

、、、な~んて言ってもねえ、所詮低レベルの下位リーグでの話だよ。高いレベル相手にはな~んにも出来ない事はクラブチームの大会で心底思い知らされている。そしてその試合後、ボウズはサッカーをやめようかと思ったのだ。

 

 

でもその試合後も自分で色々もがきつつ、最後の最後の公式戦でこの2つのプレーが出た事はボウズにとってかなり大きかったと思う。首の皮1枚繋がった感じだよな。1ヶ月半前にはまったく出来ていなかった「ターンで前を向く」でゴールを取り、チームを逆転勝利へ導いたのだ。諦めるのはまだ早い、そう感じたのは間違いないだろう。

 

上手くいかない事があり、親子で色々と話をして、それを元に努力を積み重ねて、それがしっかり結果に繋がった。これほど面白い事はないよ。親子でガッツポーズだしハイタッチだ。さあ、もっともっとやってやろうぜ~!!だよな。

 

その後ボウズは更にターンで前を向くプレーの質を上げようとしている。「まだボールを受ける前のイメージが弱い。次のプレーのイメージを明確にして、そのプランに最適な位置に一発でボールを置けるようにしたい」そんな事を言っているね。

 

では改めて聞いてみよう。高3の秋、ボウズのターンに問題がある事に気がついた俺はそれを指摘した。この俺の行動は過干渉だっただろうか?

 

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ボウズのサッカーレベルはまだまだ本当にお話にならないほど低い。100%圏外と言って良いだろう。ただボウズもパパもその状況を心底楽しんでいる。そしてこれだけは言える。ボウズのサッカーレベルは圏外だが、親子の仲の良さ、家族の仲の良さなら世界でトップレベルだ。それだけは自信がある。

 

そして俺は思うんだよ。サッカーのレベルなんかよりその方がずっとずっと大事だって。そして今回書いた過干渉の境界線を見極める自分なりの法則は家族関係にそこそこちゃんと貢献してくれていると思う。法則が全てではないが、法則があることで、大きく踏み外さないで済むのだ。

 

ただし俺だって法則をはみ出してしまう事もあるよ。感情的になって親子で険悪になる事もあるさ。失敗はいくらでもある。でも失敗したらやり直せばいいのだ。「昨日は悪かったな、良く考えたら100%俺が悪いわ。ま、ほら、お前がいつか親になったらこれを反面教師にすればいいじゃん」とか言って親子でゲラゲラ笑ったりな。笑ったら全てチャラだから(笑)。

 

同時に今回書いたやり方だけが正解というわけでもないだろう。文中「あなたらなどうしますか?」と書いた。そこでパパとはまったく違う方針を思い浮かべた人もいるだろう。でも恐らくそれぞれにちゃんと意味があるのだ。それぞれに背景と視点と考えがあると思う。子育てにおいて正解がひとつなんて事はない。

 

マニュアル親にならない事だよね。決めつけない事だ。様々な意見に耳を傾けつつ、いざとなったら自分の目でしっかり子供を見ることだよね。そして世の中には無限の視点があり、自分には想像が及んでない視点がどこかに必ずあるという謙虚な気持ちを失わない事だ。

 

その気持ちを失わずにいれば心と頭の間口が大きく開き、いつでも様々なものを吸収して成長を続ける事ができる。同時に自分とは違うやり方の他者を自分だけの尺度で安易に批判するようなこともなくなる。それが他者に対する根源的なリスペクトにも繋がっているよね。そしてこれらの大切な事を一言で言い表すとこうなる。干渉するくらいならカンチョーしよう!

 

 

 

 

うん、間違いなくそんな話じゃなかった(笑)。