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【ガチタマTV】『時間を稼げ!防御に徹しろ!』と簡単に言うが、どれだけ難しいか理解してますか?【田村装備開発】【刃物事案】

 

 いいことを言っているなあと思う。

 よく護身術で教えている離脱法とかあるけれでも、それって本気の相手に可能なのかなあと思う。

 現実、いざと言う時、人間声も出ない。例えば、大声をあげる。それすら訓練しないとできないものだ。防御なんて高等テクニックは現実はまず無理なのである。もし、護身術なら、大声をあげる訓練からまずした方が本当はいい。事件を周りに知らせることすらなかなかできないものだし、110番すらできてない緊急現場を私も何度も見かけている。

よく、攻撃は最大の防御と言われるけれでも、余程の達人でない限りそれは真実である。

 もちろん、動画でも生き残りやすいと言っている。攻撃をすれば助かるとか言うことではないし、すべて逃げるが第一選択肢である。そして、攻撃をするなら一番は相手を殺すことである。仮に、こちらが武器を持っていても、それをできるか、一瞬でそういうモードになれるかと言うと、余程訓練した人でなくてはできないものである。プロの格闘家が素人にやられたりすることがあるのは、当然躊躇する、そういうこともあるようだ。

 よく言われる格闘技と武術の違いであるけれでも、格闘技は同じような実力の人がマッチをするのが基本であるが、武術は相手より有利にならない限り手を出さないのが基本という違いがある。だから、手の内を見せないと言うけれでも、こちらがどういうことをしているかなど絶対に表に出さない。よく言われる秘伝とか言うのはそういうことである。人間は予想できないことに対処はなかなかできない。だから、相手の想定外のことをどれだけできるか、それで勝負はきまるのである。

 有名な宮本武蔵対鎖鎌で、武蔵が刀を相手に投げて勝ったとか言う逸話もあるが、まあ、そういことである。刀は切るだけが使い道ではないのである。

 そういう教えとか心構えが伝わって来ているのが、武術なのだろうと思う。

 そして、最終的に相手が何をしてくるかなんて、どうやったってわからない。想定をすること自体が無駄であるし、そういうことに時間を費やして、戦時中ならともかく、人生にどれだけ意味があるのかにもなる。

 だから、私の師は、武術の目的は健康長寿であって、相手を倒すことではないと明言しているのであるが、まあ、そうなんだろうなあと最近はよく思う。

 私は刀術を知っているわけであるが、そもそも、師には、日本では刀を持って歩けるのか、所持できるのか、やっても意味ないじゃないかと言われたのである。

 ブルース・リーのジークンドーには武器術がないそうである。ブルース・リー自体も拳銃を携行していたし、米国では武器術の実用性は低いだろう。

 本物の武術家はそんなものなのだと思う。

 宮本武蔵の五輪書には「役に立たぬことをせざること」とある。そこまで徹しきれるかは別として、そういうことなのだろう。