思い込み | 中国武術研究家のブログ

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東京八卦掌研究会


 

前も書いたが、有名な剣術家で、この動画もパフォーマンスがすぎる嫌いは私はあるのだが、言っていることはとても正論に思う。

以前も書いたが、日本刀で例えば藁とかを斬るのは、パフォーマンスだと思う。そういうものを斬れるのは一つの優れた技術であるが、それで実戦に通用すると思ったら、正直滑稽である。今の時代、そういう勘違いをしている人も私は少なからず見ている。それが、初心者でなくそれなりの立場のある人であったりするので、私は驚くことが多い。

最近も、ある雑誌で、気だ勁だうんぬんと特集しているのを見た。実は、中国の武術界に身を置いた私はこれまで、一度も気だ勁だとか言うことを聞いたことがない。そういうことを言う人は現実にいわゆる中国の武林に関係持った人なのだろうかと不思議に思ってしまうのだ。そういことすら知らないと私をバカにする人も後を絶たないし、本当のことを教えてもらっていないと言われることもあるが、経験なので仕方ない。

逆に雑誌の中で、実戦派で有名な先生が、いわゆる気がどうしたとかそういうことも言わず、また、ただ立っているだけで気が養われ、強くなるなどないと言っているのが私は印象的だった。気とか勁とかそういうことを言う人は実は日本の武道・武術の関係者に多い。やはり、日本は天皇を中心とする神の国、神がかりになるのだろうかと訝しんでしまう。

上の動画でも、日本刀を使いこなすには大変な時間が必要であると言っている。そういう武器を修養のため練習するのはいいと思うが、仮に戦いとなれば、決して優れた武器ではない。それゆえ、日本は戦争でまともに勝利をあげてきたことがないのである。

動画の剣術家が日本刀などこんな頼りない武器はないと言い切っているところが、逆にこの人はおそらく剣術を極めているんだろうなと思う。思い込みでなく、武器の特性を知らずして術はないのである。軽くて、折れず、曲がらず、よく斬れるなどないと言うことである。当たり前のことだ。