最近観たA24映画の特集

 

A24といえば、「作家性 × アート性 × 現代カルチャー」を融合した映画ブランド。

 

今回観た3本も、その〝らしさ〟がしっかり出ている作品ばかり。

しかも公開後すぐ配信で観られるのは、サブスク時代に感謝!

 

 

『顔を捨てた男』B+

 

顔に強いコンプレックスを抱える俳優志望のエドワードは、外見を変える治療で新しい人生を手に入れる。しかし、かつての自分と瓜二つの男の出現によって、築いたはずの人生とアイデンティティが揺らぎ始める。

 

「男は外見ではなく内面」とよく言うが、果たして本当にそうか?

と問いかけてくる一本。

エドワードの選択は「より良くなりたい」という願望である一方で、元の自分を否定する行為でもあり、全体に漂う陰鬱さが印象的。

 

なお、物語構造は世にも怪奇な物語の一編「ウィリアム・ウィルソン」(アラン・ドロン主演)を想起させる。見比べも面白い。

 

 

『終わりの鳥』B+

 

余命わずかな少女チューズデーは、「死」を告げる不思議な鳥デスと出会い、命の猶予を得る。しかし母ゾラはその存在を拒み、娘を守ろうとした行動がやがて運命を揺るがしていく。

 

ファンタジー設定ながら、テーマは非常に現実的。

「死を受け入れること」と「愛する人を手放すこと」という重い題材を、真正面から描いている。

特に母親の鬼気迫る演技は圧巻。

ラストで“デス”がやけにまともなことを言うのが、逆に印象に残る。

 

 

『愛はステロイド』A

 

サクッとシネマの解説はここ↓

 

ジムで働くルーは野心的なボディビルダーのジャッキーと恋に落ちるが、裏社会に関わる家族問題に巻き込まれ、二人の関係は暴力と犯罪へと転落していく。

 

これはもう、エド・ハリスの怪演がすべて持っていくレベル。強烈。

(まさかの展開も含めてインパクト抜群)

ボディビルという設定を通して、強さ・美しさへの執着をステロイド=欲望の増幅として捉えている。

「なりたい自分」と「壊れていく自分」の乖離がテーマとして浮き彫りになる。

少しだけ自然で読みやすく整えると、こうなります:

 

※余談

そういえば、エド・ハリスの妻であるエイミー・マディガンが、映画『ウエポンズ』で最優秀助演女優賞を受賞。これは納得。

課金作品だが、しっかり楽しめる一本なのでおすすめ。

一方のエドはこれまで何度もノミネートされているものの、まだ受賞には至っていないのが少し不思議なところ。

 

 

まとめ

今回の3本に共通しているのは、「理想の自分」と「現実の自分」のズレ。

A24らしく、ジャンルは違えどすべてが内面に刺さる作品。

軽い気持ちで観ると、しっかり感情をえぐられるので注意。

以上


「夜勤のグループホーム」

ジムに通っているメンバーさんから聞いた、少し不気味な話です。

 

その人は40代の男性で、障がい者のグループホームで世話人をしているAさん。

世話人というのは、利用者の方が作業所から帰ってきた後、夜の生活を見守ったり、身の回りの世話をする仕事です。

 

Aさんが勤めているグループホームには、男性が3人暮らしています。
60代の方が2人、30代の方が1人。

それぞれ事情があって、家族と離れてそこで生活しているそうです。

 

その出来事があったのは、ある日の深夜。

家の中は真っ暗で、みんな寝ている時間でした。

Aさんが事務作業をしていると、
リビングの方から、カタン…と小さな物音がしたそうです。

不審に思って様子を見に行くと――

30代の利用者さんが、暗いリビングの中で、じっと立っていたそうです。

電気もつけずに。

 

Aさんは少し驚いて、

「どうしたん?」

と声をかけました。

するとその利用者さんは、ゆっくりと腕を上げて、
リビングの奥にある玄関の方を指さしました。

そして小さな声で言ったそうです。

「……影がある」

Aさんは玄関の方を見ました。

でも、何もありません。

 

 

「え?何も見えへんけど…何が見えるん?」

そう聞くと、利用者さんは、少し間を置いてから言いました。

「女の人の影」

Aさんは思わず、

「いやいや、そんなん見えへんで」

と返したそうです。

 

正直、その時点でかなり怖かったそうですが、
利用者さんを安心させるつもりだったらしいです。

すると、利用者さんの表情が急に変わりました。

そして、小さく、でもはっきりとした声で言いました。

 

「……そんなこと言ったらアカン」

Aさんが黙っていると、利用者さんは続けます。

「そんなこと言ったら、みんなストレスになる」

「そんなこと言ったら、XさんもYさんもストレスになる」

(XさんとYさんは、他の利用者さんです)

そして同じ言葉を、何度も繰り返したそうです。

 

「そんなこと言ったらアカン」

「そんなこと言ったらアカン」

「そんなこと言ったらアカン」

 

Aさんは、そのグループホームを1年ほど担当していました。

でも、その利用者さんがそんなことを言ったのは、その時が初めてだったそうです。

 

Aさんは玄関をもう一度見ました。

やっぱり、何もいません。

ただ――

利用者さんは、その間ずっと、玄関の同じ場所を見つめたまま立っていたそうです。

まるで、
そこに誰かが立っているのを見ているみたいに。

 

本当に何かが見えていたのか。
それとも、ただの幻覚だったのか。

Aさんにも、今でも分からないそうです。

以上

2026年5月以降に公開される気になる映画を紹介。

 

『廃用身』

高齢者デイケア医療に携わる医師・漆原は、ある極端な発想にたどり着く。
「使われず衰えた身体の一部――“廃用身”を切断すれば、患者本人も介護者も楽になるのではないか」というものだ。

患者本人の同意と職員の検討を経て実際に手術が行われると、介護負担が軽減し、患者自身も「不要な部分」がなくなったことで心身が軽くなるという変化が見られる。さらに、うつ症状や認知症が改善するケースも現れ、漆原はこの治療法に可能性を見出す。

この処置はラテン語の「amputatio(切断)」に由来して「Aケア」と名付けられ、徐々に他の患者にも広がっていく。しかし、医療ジャーナリストがこれを「患者の手足を切る悪魔の行為」と批判的に報道したことで、社会的な大論争へと発展する。

 

医師・漆原を染谷将太、その妻を瀧内公美、取材するジャーナリストを北村有起哉が演じ、監督は吉田光希。
原作は久坂部羊の小説で、「映画化は不可能」とも言われた衝撃作だ。

映画『廃用身』は、老いと介護という誰にでも関わる問題に真正面から向き合う作品として、2026年5月公開予定。

 

YouTubeの解説動画はここ↓

 

 

 

映画『黒牢城』

戦国時代、織田信長に反旗を翻した荒木村重は、有岡城に立て籠もる。しかし城は敵に包囲され孤立。

そんな極限状態の城内で少年殺害事件が発生し、不可解な出来事が続くことで疑心暗鬼が広がっていく。

犯人は城の中にいるのか――。

村重は、囚われの天才軍師・黒田官兵衛と共に事件の謎に挑む。戦国の籠城戦と心理ミステリーが融合した物語だ。

 

主演は荒木村重役の本木雅弘。

村重は織田信長に仕えながらも1578年に反旗を翻し、有岡城に籠城した実在の武将として知られる。

本作では、そんな複雑な人物像がどのように描かれるのか注目されている。

村重を説得するために向かった黒田官兵衛を演じるのは菅田将暉。

官兵衛は史実でも村重に幽閉された人物で、この出来事が物語の重要な背景となる。

また村重の妻役には吉高由里子が出演。

歴史上、美貌と気高さで知られる女性をどのように演じるのかも見どころだ。

そのほか柄本佑、Snow Manの宮舘涼太など豪華キャストが集結。

監督・脚本は『キュア』などで知られる黒沢清が務め、戦国時代劇と本格ミステリーを融合させた新たな作品に挑む。

映画『黒牢城』は2026年6月19日公開予定。

 

YouTubeの解説動画はここ↓

以上

スティーブン・キング原作『キャリー』三昧。

 

ホラー映画の古典として知られる『キャリー』。

血まみれのプロムナイトのイメージを思い浮かべる人も多い。

しかし、この物語の始まりは1974年に出版されたスティーヴン・キングの小説。

そして驚くべきことに、この小説は一度「失敗作」として捨てられ、

ゴミ箱の中から復活した作品だった。

 

無名の高校教師だったキングが書きかけの原稿を投げ捨て、

それを妻タビサが拾い上げて「続きを書きなさい」と励ました――。

この小さな出来事が、やがて世界的ベストセラーを生み、

キングをホラー文学の巨匠へと押し上げることになる。

 

そしてその成功は、当然ながら映画界も放ってはおかなかった。

1976年、ブライアン・デ・パルマによって映画化された『キャリー』は、

ホラー映画史に残る名作となり、その後もテレビ映画やリメイクが制作され、

現在まで語り継がれている。

 

今回はそんな『キャリー』という作品を、1976年版、1999年版、2002年版、

そして2013年のリメイク版まで、まとめて振り返ってみたい。

 

『スティーブン・キング原作「キャリー」の概要』

16歳の少女 キャリー・ホワイト は、地味な外見と内向的な性格のため学校で孤立し、

クラスメートからいじめを受けている。

 

ある日、体育の授業後のシャワールームで初潮を迎えるが、

母親からも学校からも性教育を受けていなかったため、

自分が病気になったのだと思い込みパニックになる。

そしてクラスメートたちは彼女を嘲笑し、生理用品を投げつけてさらに屈辱を与える。

 

その後、学校のプロム(卒業前のダンスパーティー)で、いたずらとして豚の血を頭から浴びせられたキャリーは激しい怒りに包まれ、秘めていた超能力(テレキネシス)を暴走させる。

 

キャリーはその力で会場を破壊し、さらに町全体に大きな被害をもたらす。しかし最終的にはキャリー自身も力尽きて死んでしまう。

 

物語の最後では、キャリーのような超能力を持つ人間が他にも存在する可能性が示唆され、物語は不穏な余韻を残して終わる。

 

 

1. 『キャリー』(1976年)

監督:ブライアン・デ・パルマ

主演:シシー・スペイセク

特徴

原作小説 キャリー の最初の映画化作品。アカデミー賞に2部門ノミネートされた。

ホラー映画の古典的名作として広く知られている。

多くの人が思い浮かべる「血まみれのプロム」のイメージは、この映画によって決定づけられたと言ってよい。ある意味で、本作がキャリー作品の基準のような存在になっている。

何よりも、監督 ブライアン・デ・パルマ によるスローモーション、画面分割、長回しといった映像テクニックが生み出す緊張感が素晴らしい。

さらに、キャリー役の シシー・スペイセク が見せる痛々しいほどの悲壮感に対し、悪役側のカップルである ジョン・トラボルタ と ナンシー・アレン の軽薄さ、そして善良なカップルとして登場する ウィリアム・カット と エイミー・アーヴィング の対比が、作品全体を引き締めている。

ラストシーンの演出も含め、完成度の高い作品である。

はい、シシー・スペイセクの勝ち!

はい、キャリー親子の勝ち!

胸糞カップル部門優勝!

 

2. 『The Rage: Carrie 2』(1999年)

特徴

1976年映画の続編だがキャリーは登場しない。

原作小説にない新しい主人公の少女が登場する。

そのため、原作の直接映画化には数えない場合もある。(数えたくない)

前作『キャリー』のスー(アーミー・アービング)の登場がせめてもの救い。

 

3. Carrie

主演:アンジェラ・ベティス

特徴

シリーズ作品の中でも、原作の設定を比較的忠実に再現した作品。

※キャリーの自宅に石が落下するシーン、ハイスクールが壊滅するだけではなく町全体が破壊されるストーリー展開。

主演のキャリーを演じるアンジェラも幸薄い系の演技がグッド♬

 

実は本作は、テレビシリーズのパイロット版(お試し版)として制作されたが、世間の反応が芳しくなかったため、全8話のシリーズ化は実現しなかった。

しかし、キャリー役のアンジェラ・ベティスの演技は意外にも良く、やや安っぽい特撮部分を除けば、個人的には好感の持てる作品。

特に、プロムナイト事件の後に警察が調査を進める過程でキャリーの物語が回想として明らかになっていく構成は興味深く、評価できる点であった。

さらにエンディングでは、テレビシリーズ化を想定した展開としてキャリーが生き残り、スー・スネル と共に、他にも存在する超能力者を助けるための旅に出るという独自の結末が描かれており、この作品ならではの面白さになっている。

※テレビドラマ版『キャリー』の存在は、今回Amazonプライムで見かけるまで知らず初鑑賞です。

 

4. 『キャリー』(2013年)

主演:クロエ・グレース・モレッツ

母親役:ジュリアン・ムーア(キャリーの母)

特徴

現代版のリメイクであり、CGIの使用によって超能力の描写が強化されている。

また、スマートフォンやSNSなど、現代的ないじめの要素も取り入れられている。

主演の クロエ・グレース・モレッツ はキュートで、個人的には好きな俳優ではある。

しかし、その幸福感に満ちた明るい雰囲気の外見は、どうしても キャリー・ホワイト のキャラクター像とはやや合わないように感じられ、少し残念に思える。

クロエ自体の問題ではなくキャスティングが悪い。

芦田愛菜に貞子、 伽椰子が演じれる?見れるなら見てみた~い(^^♪

こんなところで有名女優の共演。

 

〇最後に・・・

そして、再びテレビシリーズ版『キャリー』の制作が発表された。

放映は本年2026年を予定している。

 

キャリーの恐怖の呪縛は、まだ終わっていない。

そしてまた、どこかで血のプロムが始まるのかもしれない。

以上

 

現在、劇場公開中の映画『木挽町のあだ討ち』のキャンペーンと、

映画で使用していた小道具を展示しているので、とりあえず行ってきました。

 

サクッと映画を紹介するYouTubeチャンネルはここ↓

 

 

資料を見ると

イベント①:劇中衣装・小道具展示👘
館内各所に実際に撮影で使用された衣装や小道具を展示!

⇒場所はどこやねん!

イベント②:キャストの館内放送や館内映像放映🎥
館内サイネージにて柄本佑さん、渡辺謙さんの映像が放映され、館内放送でも音声が流れます!

⇒あえて観るほどでもなかった!

イベント③: お買い上げキャンペーン(マストバイキャンペーン) 🛍
参加条件:京都髙島屋S.C.[T8] 専門店 および ダイニングガーデン 京回廊 にて、1レシート税込3,000円以上(合算不可)のご購入で応募

⇒7階でご飯を食べなさい、っていうこと。。。

 

展示物を目標に館内を上がったり、下がったり、右往左往して1階にあることが判明。

  

 

映画で長尾謙杜が演じる菊之助が象徴的に羽織っていた赤い振袖と番傘。

提灯と下駄。

このシーンで使用していた小道具。

 

え?これだけ?って思ったけど、あの赤い振袖を見ることが出来たので良いか。。。

展示場所を探す時間が20分、展示物鑑賞時間が5分。

これでは子供の使いにもならないと思い、

同館で開催している「大東北展」へ。。。〝大〟が付いているので期待値も上がる。

 

 

そんなにイチゴが好きではないけど、せっかくなので食する。

 

ジャージー君がお出迎え。

 

可もなく不可もなく、及第点な味。価格は850円、場所代かな。

 

 

このコーヒーパンはケンミンショーで取り上げていたヤツなんで購入。

これも普通。

 

餅入り力アンパンは味と食感は良かった。パッケージもグッド。

 

 

宮城県の〝むすび丸〟と秋田県の〝んだっチ〟がお気に入り。

んだっチは昔あったロボダッチを彷彿とさせる。

 

ま、こんなもんか(^^♪

以上

 

最近、サブスクで観た映画を徒然なるままに感想を・・・。

 

映画『幻の湖』評価B(ネタバレあり、バレてもOK)

 

滋賀県雄琴のソープ嬢・道子は、琵琶湖の湖畔で野良犬シロと出会い、彼を追って走るうちに生きる気力を取り戻す。やがて葛篭尾崎で笛を吹く男・長尾と出会い、運命を感じるが、シロが殺される。犯人が人気作曲家の日夏だと知った道子は復讐を誓うも果たせず、失意のまま帰郷し、銀行員の倉田との結婚を決意する。

その後、再会した長尾から、戦国時代に葛篭尾崎で悲恋に散った先祖の伝説を聞き、結婚して共に渡米してほしいと求められるが、道子は断る。

やがて日夏が客として現れ、道子は出刃包丁で追い詰め、シロの仇を討つ。

一方、宇宙へ旅立った長尾は、湖を永遠のものと信じ、笛を宇宙に残すのだった。

1982年製作/164分/日本

 

本作は、名作『砂の器』で知られる橋本忍が原作・脚本・監督を手がけた作品である。しかし興行成績が振るわず、長らく“封印映画”“幻の映画”と呼ばれてきた。

それが現在、U-NEXTで鑑賞できるのはありがたい。初見だったが、約2時間40分を一気に観てしまった。

 

戦国時代、小谷城のお市に仕えるみつが信長の命により逆さ吊りの刑に処され、さらに茶々の兄・万福丸が串刺しにされて晒されるなど、暴君カリギュラを想起させる残酷描写が唐突に挿入されるのも本作の特徴である(どこか『食人族』を思わせる場面もある)。

 

びわ湖のソープ街から戦国時代、さらにはスペースシャトルへと飛躍する破天荒な展開。現在パートと歴史劇、さらにはSF的要素を強引に接続する構成はまさにトンデモ映画。だが、これが東宝創立50周年記念作品というのだから、制作側の意気込みは相当なものだったはず・・・。

賛否は分かれるだろうが、個人的には嫌いではない。

※懐かしいサスーンのディナー・ジーンズがやたら登場するのは時代かな?

 

 

映画『メイ・ディセンバー ゆれる真実』評価B-

 

ほんとにあった事件の映画化(それもどこまでが・・・)

1996年、当時34歳で既婚の小学校教師メアリーは、13歳の教え子ヴィリと性的関係を持ち妊娠、その後に実刑判決を受け刑務所で出産した。

タイトルのメイ・ディセンバーは5月と12月ほど歳が離れたカップルを意味するらしい。その事件を映画化するということで女優のエリザベス(ナタリー・ポートマン)がメアリー役を演じるために夫婦と共に生活するが、、、。

2023年製作/117分/R15+/アメリカ

 

メアリー役(劇中ではグレイシー)がジュリアン・ムーアなのでジュリアンvsナタリーを期待しましたが、ストーリー展開自体が事件の事を取り上げたいのか、こういう事件を映画化することについて問題視したいのか、何が言いたいのか不明瞭。(このレビューも不明瞭)

これなら同じような題材を扱った映画『あるスキャンダルの覚え書き』の方が色眼鏡な方へ振り切っているので満足度は高い。

 

 

映画『エブリワン・ウィル・バーン』評価B

 

スペインの小さな村で暮らすマリアは、いじめを苦に自殺した息子の死から立ち直れず、深い喪失と罪悪感の中で生きている。絶望の果てに自ら命を絶とうとした彼女の前に、謎めいた少女ルシアが現れる。

ルシアとの出会いをきっかけに、マリアは封じ込めてきた感情や過去と向き合わざるを得なくなる。少女の存在は現実なのか、それとも心が生み出したものなのか――物語は喪失、後悔、そして赦しと再生の可能性を描きながら、マリアの内面の変化を静かに追っていく。

2021年製作/125分/スペイン

 

本作は評価が大きく分かれる作品だろう。

ある意味では、怪作、あるいは迷作と呼ぶべき一本かもしれない。

 

鑑賞中、何度も途中で断念しかけた。しかし、そのたびにリモコンへ伸ばした手を引き留めるような強烈な映像が目に飛び込んでくる。気づけば、最後まで観終えてしまっていた。

ホラーファンなら、せめてオープニングだけでも観る価値はある。

こうした作品に出会えるからこそ、ホラー映画はやめられない。

 

 

映画『プラダを着た悪魔』評価A

 

ジャーナリスト志望のアンディは、一流ファッション誌「ランウェイ」で鬼編集長ミランダのアシスタントに就任。理不尽な要求に振り回されながらも仕事で頭角を現すが、成功と引き換えに私生活を失いかける。葛藤の末に自分の価値観を見つめ直し、成長していく姿を描く。

2006年製作/110分/アメリカ

 

2026年5月1日に本作のパート2が公開されるため、予習も兼ねてあらためて鑑賞した。何度観ても、アン・ハサウェイ演じるアンディのスポ根的な“諦めない・屈しない”姿勢には胸を打たれる。

また、メリル・ストリープが演じる鬼教官のような上司像も、令和の時代にあってはどこか懐かしく感じられる。

とりあえず、今年のGWはこれを観る!

 

 

映画『ひき逃げ』評価A-

元売春婦の伴内国子は夫を亡くし、幼い息子武と慎ましく暮らしていた。

しかし、山野モーターズ重役・柿沼の妻・絹子が愛人との逢瀬の帰りに起こしたひき逃げ事故で命を落とす。会社と夫の地位を守るため、久七郎は運転手に罪を着せて事件を隠蔽し、示談で処理された。やがて目撃証言から真相を知った国子は、警察に訴えるも取り合ってもらえず、怒りに燃えて柿沼家に家政婦として入り込み復讐を誓うが・・・。

1966年製作/94分/日本

 

非常に重く、胸に残るエンディングだった。

その衝撃度は、キャリーやサイコに匹敵するほど不気味で後味が悪い。

特に印象的なのは、息子をひき逃げで失った国子が、加害者の子どもを歩道橋やジェットコースターから突き落とす妄想を抱く場面である。映像表現が直接的で、生々しい恐怖を感じさせる。

また、本作を通して、公開当時に使われた「交通戦争」という言葉の重みが改めて実感される。交番前に掲示された前日の事故件数――17件、死亡3件、負傷8件――という数字は、件数に対して死亡率が高く、当時の交通事情の深刻さを強く印象づける。

ラストシーンも象徴的だ。信号機のない横断歩道で、どの車も止まらない光景。そこには加害者も被害者も区別なく、無機質に流れ続ける社会の冷酷さが映し出されているようで、観終わった後に一層の恐怖を覚えた。

 

 

〇あらすじ

江戸時代、雪の夜に木挽町の芝居小屋「森田座」の近くで、美貌の若衆・菊之助が父の仇討ちを果たす。その場面は多くの町人に目撃され、彼は孝心あふれる若者として称賛される。

それから一年半後、菊之助の縁者を名乗る侍・総一郎が森田座を訪れ、仇討ちの真相を探り始める。芝居小屋の関係者や事件に関わった人々から証言を集めていくうちに、語られてきた美談と実際の出来事との間に微妙な食い違いがあることが明らかになる。

やがて、仇討ちは単純な父の敵討ちではなく、菊之助や周囲の人々の思惑、そして隠された事情が絡み合った末の出来事であったことが浮かび上がる。華やかな美談の裏に潜む真実と秘密が解き明かされていく物語である。

2026年製作/120分/G/日本

 

〇感想(ネタバレなし)
物語は理解しやすく、私の好みである人情ものでもあったため、満足度は高い作品でした。
主人公は、今でいう探偵や刑事のような立ち位置の総一郎(演:柄本佑)ですが、個人的には仇討ちの相手・作兵衛(演:北村一輝)が印象に残っています。忠誠心が強く、人間味にあふれた人物で、とても魅力的なキャラクターでした(詳細は控えますが)。

本作にはご縁があり、映画『国宝』と同じく、クランクインからエキストラとして参加させていただきました。作中に登場する賭博の場面では、北村一輝さんが丁半のツボ振りの方々と、大阪弁で「関東と関西では丁半のやり方が違うらしいですね」と気さくに会話されていたのが印象的でした。演技に強いこだわりを持つ俳優という印象がありましたが、普段はとても柔らかな雰囲気の方なのだと感じました。

しかし別の場面では、ごろつきの博徒として往来を踏ん反り返って歩く姿を見せます。先ほどの気さくな空気とは一変し、現場の緊張感が一気に高まりました。さすがはベテラン俳優だと実感しました。他にもエキストラとしてのエピソードはありますが、長くなるのでまた別の機会に。

物語は王道のミステリーで、テンポも良く、時代劇であることを忘れるほど引き込まれます。雰囲気としては、映画『薔薇の名前』(1986年、主演:ショーン・コネリー)に通じる空気感があるように感じました。

また、小説では味わえない映像美も見事です。雪の上に映える赤い着物、色とりどりの番傘など、視覚的な美しさに目を奪われます。さらに、約200年前の江戸時代の歌舞伎小屋を思わせる、薄暗くリアルな光の演出も趣があり、非常に印象的でした。

歌舞伎の劇場関係者たちはコミカルで人間味にあふれ、物語への没入感を高めています。欲を言えば、それぞれの人物像をもう少し掘り下げてほしかったとも感じました。

とはいえ、そこまで深掘りすると長尺になるため、原作小説で楽しんでほしい、ということなのかもしれません。

評価はA-。
美しい映像と先の読めないストーリーを、ぜひ映画館で体感してほしい作品です。

以上

 


映画『レンタル・ファミリー』の解説動画はここ↓

 


〇あらすじ
かつて歯磨き粉のCMで人気を博したものの、
今は世間から忘れられかけている
アメリカ人俳優フィリップの再生を描くヒューマンドラマ。
主演はブレンダン・フレイザー、監督はHIKARI。

東京で暮らすフィリップは、
レンタル・ファミリー会社を営む多田(平岳大)から仕事の依頼を受ける。
依頼人の“家族”を演じるという特殊な仕事に戸惑いながらも、
同僚の愛子(山本真理)や引退した俳優・喜久雄(柄本明)らと関わり、
さまざまな依頼人の人生に寄り添っていく。

他人の人生を演じる中で、自身の孤独や過去と向き合うことになるフィリップ。
仕事を通して人とのつながりを見つめ直し、
次第に自分自身の生き方を考え直す。
2025年製作/110分/G/アメリカ


〇感想
本作は、海外の映画ではあるが全て日本でのオールロケ。
東京をメインに、長崎(島原)、熊本(天草)の身近で美しい風景として捉えている。
あまり東京は詳しくはないけど、新宿あたりの人が多い都会的な場所から
生活が感じられる場所でのロケも行っている。
この風景が本作に登場する人々の孤独感とリンクし風景も物語の一つといえる。

主人公のフィリップを演じるブレンダン・フレイザー。
彼の過去作はやはり『ザ・ホエール』。

体重が200kgくらいあるのではないかと思う体格の孤独な教師役が印象的。
本作でも俳優といっても、仕事がなく都内の安いマンションに住み。
夜、仕事から帰宅すると向いにあるマンションの住人をボーっと眺める役柄。
巨体に似合わず繊細な心を持つ異邦人を演じ切った。

そして、レンタルファミリーの社長役に平 岳大。

この俳優さん40代半ば頃の渡辺謙に似てるなぁ~って思った。


そして社員の愛子役の山本真理さん。
この女優さんは、何か海外の人が好きそうな日本女性っぽい雰囲気がする。



柄本明さんは孤独な引退した俳優さんの役柄で、演じることが好きっていうオーラ全開でした。

本作の一番の功労者でもある、映画初登場のゴーマン・シャノン・まひなさん。
劇中では、ハーフであり、母一人、子一人で暮らしている少女・ミアを演じた。


彼女はおそらくまだ10代だと思われ、映画初出演というから驚きである。
愛菜ちゃんまでとは言わないが、長い芸歴を感じるくらいに

ハリウッド俳優のブレンダンと堂々と演技していた。

そういう面々がレンタル・ファミリーによる

4つのエピソードを通じて孤独からの再生を描写した。

・フィリップのレンタルファミリーとしての初仕事は偽葬式の弔問客の役。
依頼者は自分への弔辞を聞いて、自分は愛されているといことを実感したいらしい。
その依頼者を演じるのが宇野 祥平(うの しょうへい)さん。


・同性婚が認められない日本、仕事としてフィリップを新郎役として偽装結婚式を行う。

依頼者は愛する人と暮らすことが出来た。

依頼主のLGBTQの女性役を演じる森田 望智さん。
個人的には、この女優さんは最近みた映画にかなり出演している。

映画『火喰い鳥を、喰う』『ナイトフラワー』『ほどなく、お別れです』に出演していた。

・柄本明が演じる引退した俳優・喜久雄。娘の依頼により世間から忘れられつつある父に自信を与えようとフィリップが雑誌記者役となり喜久雄にインタビューする。
しかし、喜久雄には人生最後の目的があった。

・少女・ミアは父を知らない。しかし私立校に入学するには面接時に父が必要となる。
シングルマザーの瞳はフィリップに父を演じるように依頼する。
しかし、ミアは本当の父のように慕うようになる。

しかし観ているうちに、不思議とこう感じさせられる。
孤独は必ずしも悪いものではない。受け入れ方次第で、和らげることもできる。

血縁だけが家族ではなく、役割を通して生まれるつながりもまた救いになり得るのだと。
 

そして映画のラスト。
引退した俳優の喜久雄がフィリップに残した謎。
神社の奥にあるもの、「それは自分の目で確かめなさい」
その“あるもの”が、静かに答えを教えてくれる。
それは、日本人でさえ忘れかけている価値観かもしれない。

それは何なのか?映画館で確かめてください。

評価はB+。
現代社会の中で孤独や疎外感を抱える人、こんな道を選んだ訳ではないのに、

と感じるひとにはじわーっと、静かに刺さる作品だと思う。
以上

 

『おさるのベン』レビュー(ネタバレあり)

(原題:Primate)

■ ジャンル

動物パニック映画

 

YouTube動画の解説はここ↓

 


■ あらすじ要点

ハワイの別荘地で育てられたチンパンジー・ベンが、狂犬病に感染したマングースに噛まれ凶暴化。家族や友人を襲うパニックスリラー。


■ 「ハワイに狂犬病はない」は伏線だったのか?

作中で「ハワイに狂犬病はない」と語られるが、これは社会派メッセージというより、

  • 安全神話の提示

  • それを崩すための前振り

というホラー的装置と考えるのが妥当。

外来種問題への直接的な風刺というより、
「安全だと思っている環境が崩れる恐怖」を強調するための設定。


■ ベンは被害者か怪物か?

R15相当の虐殺描写と感傷のない処理により、ベンは明確に「怪物」として描かれている。

 

倫理的葛藤よりもスリラー性を優先した作り。


■ ラストの評価(ネタバレ)

ベンは家族に殺されるが、最後にタブレットから「ルーシー悪い子」という声が流れる。

ここで恐怖は

  • 感染の恐怖
    → ではなく

  • “まだ存在しているかもしれない”という不安へと移行。

この演出が余韻を残す。


■ 総評(B+)

  • ジャンル:王道動物パニック

  • 完成度:中〜やや上

  • 再鑑賞性:低

  • 劇場必須度:低

  • サブスク向き

一度観れば十分だが、ラストの心理的余韻は印象に残る作品。

以上

半世紀越しの真実。『悪魔のいけにえ』はなぜ伝説になったのか!!

1974年にトビー・フーパーが世に送り出したホラー映画の金字塔『悪魔のいけにえ』(The Texas Chain Saw Massacre)。その製作50周年を記念し、本作がなぜ半世紀を経てもなお語り継がれるのかを解き明かすドキュメンタリー映画。

コメディアン、ホラー専門の映画評論家、そしてわが日本からは監督の三池崇史、極めつけは“ホラーの帝王”と称される作家スティーブン・キングら、第一線で活躍する表現者たちが出演。

『悪魔のいけにえ』から受けた衝撃や創作への影響を率直に語る。彼らの証言を通して、低予算のインディペンデント作品がいかにして世界的な評価を獲得し、ホラー映画の歴史を塗り替える存在となったのかを検証する。
2024年製作/102分/アメリカ。

 

2026年3月26日から全国順次公開!

 

YouTube動画「サクッとシネマ」の解説はここ↓

 

映画『悪魔のいけにえ』と徒然なるままに(個人的な思い入れ)

悪魔のいけにえが日本で公開された1975年、当時の私は小学5年生。三つ下の妹とオカンの3人で、大阪・梅田の映画館へ観に行った。当時のオカンは平日は仕事で忙しく、日曜日になるとよく映画館へ連れていってくれた。


70年代中期はパニック映画やオカルト映画のブーム真っただ中。オカンもその手のジャンルばかり観ていた。例えば、
エアポート'75(1974)
タワーリング・インフェルノ(1975年日本公開)
エクソシスト(1974年日本公開)
ジョーズ(1975)
グレートハンティング(1976)
日本沈没(1973)
ノストラダムスの大予言(1974)

……挙げればキリがない。

おかげさまで、今の俺はすっかりそのジャンル好きになってしまった。

朝日をバックにチェンソーダンスを踊る主人公ww


一方、小学校低学年の頃は、近所の商店街にあった東宝直営館で開催されていた「東宝チャンピオンまつり」に友人とよく通っていた。東宝の怪獣映画、特にゴジラを中心に数本立て上映。子供らしい映画もちゃんと観ていた。

(映画の割引券を小学校の前で配っていた、あの時代である。)


そんなパニック/オカルト映画群の中でも、本作のトラウマ度は群を抜いていた。

当時の私にとってチェンソーとは、社会科の授業で習った「木こりが木を倒す道具」という認識しかない。

チェンソーを日常的に使用するとナンタラ、カンタラで振動障害が発生する。いわゆる白蝋病の写真を見てショックを受けた記憶がある程度だった。

※脱線するが、「ナンタラ~カンタラ~」という語感は、まるで死霊のはらわたの死霊復活の呪文みたいである(笑)。ちなみに俺のPCは「しりょう」と打つと“死霊”が最初に出る。普通は“資料”やろ。PCに死霊が憑依しとる。


そのチェンソーで、劇中では若い男女が次々と切り刻まれる。驚きというより、「何が起こっているのか理解できない」という感覚だった。三歳下の妹は、なおさらである。

特に今でも脳裏に、溶けたチェダーチーズのようにべったり貼りついているのが、あのシーンだ。

若い男性がレザーフェイスの家に足を踏み入れた瞬間、金属製の扉が勢いよく開き、屠殺用ハンマーで脳天を一撃。男はビビビッと、まるで陸に打ち上げられた魚のように痙攣する。そしてレザーフェイスは男を引きずり込み、金属扉をバンッと閉める。

この一連の流れが、強烈だった。

以来、冷凍車の貨物室のドアや、冷凍室、アルミ製の引き戸を見ると、今でも少しザワつく。

 

「ただ、扉を閉めるだけの名シーン」集めました。。。

 


本作の魅力は、低予算ゆえの質感にもある。

安価な16mmフィルムで撮影し(通常は35mm)、それをブローアップして上映したことで生まれた、あの独特のザラつき。荒れた映像、割れ気味の音声、主人公サリーの絶叫がバリバリと歪む音響。

あれこそが、観客を精神的などん底に叩き落とす装置だったのだと思う。

現在は4Kリマスター版も存在し、画質も音質もクリアになっている。

しかし個人的には、それは“改善”ではなく“劣化”に近いと感じている。
あの低予算が生んだザラつきこそ、本作の本質なのだから。


まだまだ語りたいことは尽きないが、今回はこのあたりで。

「テキサスチェーンソー大量殺人事件」に関するドキュメンタリーで、他の人の感想を聞くのが今から楽しみである。

 

『テキチェン』についてスティーブン・キング、日本からは三池監督がコメントする。期待値は爆上がり!!

以上