本来は、「サービス提供業」のはずが、努力をしているにもかかわらず、ハプニングやトラブルに直面することがある。
接客態度や情報サービス関連のことはさておき、「フィッティングアドバイザー」や、衣服を担当するスタッフにとって、縫製不良や素材のメンテナンス、「お直し」関連のクレームはいつもつきまとう。
通常のケースなら、各店の規定に沿った対応や、クレーム担当の責任者に委ねることで、おおむね一件落着となるが、想定外の苦情や難題に見舞われることがある。
テキスタイル一つを取り上げても、近年は「アート性」や「表面加工」の面白さ、ユニークさを前面にうたったタイプが増えたせいか、耐久性の低い布や、すぐにピリング(毛玉)ができてしまうタイプが増えた。
また、接着芯(不織布も含)の普及は、生産性の向上にひと役かってくれた一方で、クリーニング後の型くずれ(接着剤の溶解が主原因)をもたらした。
思い起こせば、東京オリンピックの前後あたり(62年前後)には、固形せっけんを使って洗濯板でゴシゴシ洗い、手でパンパンはたきながらシワ伸ばして干すと、アイロンなしでも着られる、上質のブロード(綿100%)製ブラウスやワイシャツがあった。
ときには、紡毛(ウール100%)地のスカートで、2、3時間も正座をしていたのに、ヒザがほとんど出ないツイード地もあった。
また70年代はじめのニットでは、中性洗剤で何回洗っても、風合いや着心地に、さほどの支障が出ない強撚糸(羊毛100%)の優れものセーターがあった。
昨今は、デザイン性を追求したり、原価率をできるだけ抑えたり、海外からの商品が増えるケースがエスカレート気味のため、苦情やトラブルは、時代の進歩に反比例して多発している。
したがって、「イザ!」という時に、あわてずにきちっと承れるよう、いずれのスタッフも取り扱いやメンテナンスに強くなっていたい。
〔PHOTO:DOMINANT LIMITED〕
「ストアーズレポート」児玉千恵子連載記事より抜粋)
Copyright(C)2002-2008 DOMINANT LIMITED All Right Reserved.
【無断転載使用不可】
月刊『ファッション販売』8月号 発売中!
児玉千恵子 書き下ろし! 「お直しに関する質問15」
「サイズの詰め出し」「修理」「補正・リメーク」etc.にわたる15のケースに
このジャンルのパイオニアとして知られる児玉千恵子が、
お客さまから「これは聞かれる!」という質問を選りすぐり、