「お直し」関連での困った実例では、以下のような難題が百貨店に持ち込まれた。
メンズジャケット(高額品)…裏地がすり切れてしまったので、裏を張り替え(付け替える)て欲しいとか、愛着のある上衣の表地が弱ってきたので、表と裏をひっくり返して、仕立て直しができないか?…など、百貨店内の著名ブランドに持ち込まれた。
ケース②
レディスの場合…著名インポートブランドのスーツ(10年程前に購入された)を持って来られた方が、トレンドに合わせて「細身のシルエットに、なんとか直して欲しい」と切望された。
ケース③
レディス・メンズの双方…前打ち合わせ部分の裏側(見返し部分)が、「長年愛用して破れたので、なんとかして欲しい」とすごまれた事例の他、ボタン穴(既製品は、穴糸でボタンホールステッチ仕上げ。注文服は、共布の玉縁仕上げ)が、ボロボロになったので修理をして欲しいと言われた。
ケース④
著名なインポートブランドの超難題…ウン十万円のスカートを気に入ってくださったグラマラスな方は、上顧客であった。ワンサイズしか作っていなかったので、適正サイズがないことをていねいにお伝えした。しかし、コトは前代未聞の事態へと発展した。上等なスーツが4着も買える(ボリュームゾーンでは)値段のスカートを、「2枚買うから、それでマイ・スカートを作って…」と切望されてしまった。
担当売り場の上司に相談した上で、お取引先のコーディネイターに連絡したが、ブランドのイメージを重視するメーカー本部からの返事は「ノー」だった。「それでもなんとか」というお客さまは、その百貨店にとっても上得意さまだった…。機転が必要な緊急事態に、メーカーからキーマンが駆けつけて、正確な採寸がなされた。
こうして、2枚のスカートは、1着のセミオーダースカートに様変わりし、とても感謝された。
ケース⑤
毛皮のコートが脱け毛…七、八年前に購入いただいたコートに、円形の脱毛ができたので直して欲しいとのこと(収納時のお手入れや、保管の状態が良好でなかった)。 お買い上げから年月が経過していたが、「毛皮は一生もの、と説明してくれたから買った」と、お客さまの語気は荒かった。メーカーや専門家の協力で上手に補修されたコートは無事納品された…など他。
こういった事例は、フィッティングアドバイザーばかりでなく、「クレーム対応」の責任者までを容赦なく悩ませている!
それらに比べれば、「再お直し」の未然防止策や、「丈や身幅詰め」の分量、「素材の収縮率」がわからないといった悩みは、自らの腕の磨き方いかんで、すんなりと解決できるから、たじろがないようにしたい。
難題事例に遭遇した場合、お客さまの気分を害することなく、「どこまでお応えできるか?」は、経費面も含めて、各百貨店に共通する重点課題の一つである。
先のケース①~⑤に記述させていただいた実例は、氷山のほんの一角にすぎない。例えば一級の資格取得者でも、先の事例に自信をもって対応できるパーソンは一握りだと思う。
〔PHOTO:DOMINANT LIMITED〕
(「ストアーズレポート」児玉千恵子連載記事より抜粋)
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