「我が子?何を言ってるんだ!」
「だからお前達は私の子供だってことだよ。」

王はいたって冷静であったが、トシには冷静のれの字も無かった。
確かに、トシとチカは猿飛に王とは同じマラード星人とは言っていたが親子とは言っていなかった!
コレはどういうことなのか!トシはそのことや王との直面で冷静さを失っていたのだ!

「先生はそんなこと言って無い・・・猿飛先生はそんなこと言ってなかった!!」
「猿飛・・・懐かしい名前だ・・・アレは十年も前のことだったか・・・」
「何思い出に浸ってるんだ!嘘で俺たちを動揺させようったってそうは行かない!」

完全に切れたトシは王に向かう!
そして王は向かってくるトシに視線を合わせた!
それは禍々しいの一言!まるでこのドーム内が真っ暗になるかのような威圧感!
トシは途中で走るのをやめ、立ち止まり、そしてひざをついた。

「人の話は最後まで聞け・・・我が息子よ・・・猿飛はマラード星人の特性を知っていたのだろう。
マラード星というのはもともと自然が少なく、水ばかりが溢れているところだった。
しかし大自然に触れているとだんだんと能力が自分の中で芽生え始め、ある感情の高ぶりを起こす、怒りでもそうだ。そうするとまれに能力を開花することができる。猿飛はきっとお前らが怒るような嘘を言い、能力を目覚めさせようとしたのだろう。」
「・・・」
「マラード星を治めるためにはその能力というのが必要不可欠だった。
そのため王族はみな自然環境が整っているところで幼少時代をすごし、能力を開花させる。」
「それがどうしたんだ?王の息子である僕にも能力があるとでも?」
「ああ、たしか、マカラトシ=カヴァー・スメール・・・お前のマラード星の名前な。は敵の強さをいち早く感じる能力がある。
私がこの星にやってきたことも即座にわかっただろう?」

そう!トシは王がまだ上空にいるころから東京ドームにむかっていることに気がついていたのだ!
ただ気づいたときにはもはや東京ドームの真上!どうすることもできなかった!
しかし気がついたとしても・・・地球は滅亡するだけだったかも知れないが・・・

「わ、私は!?」
「トムラチカ=カヴァー・スメール、お前の能力は・・・いやまだ開花していないな。」
「(私にも能力があったらもしかしたらこの勝負・・・と思ってたけど甘かったみたいね・・・)」
チカは生唾を飲み、策略を練っていた・・・
ひまわり園始まって以来の天才とうたわれたチカがここまで何も思い浮かばないとなるとこの勝負、本当に厳しいものである・・・

「ちなみに私はマラード星人が持つあらゆる能力を持っているッ!お前らの能力を知っているのもこの能力のおかげ!
さらには東京ドームにお前ら二人を引き寄せるという運命を操ったのも私の能力のおかげ!」
「お前ら二人・・・?」
「そう・・・あの時お前ら以外にも前々から目をつけていてそいつらの運命を変えたといったがそれは嘘!あんなのテキトーに指差ししただけさ!」

トシの中ではあるものが大きく膨れ上がっていた・・・
「テキトーに・・・?」
「そうだよ!地球人の命なんていくらあってもこの宇宙ではなんの意味もなさない!宇宙に平和をもたらすこともできない!」
「(宇宙・・・平和・・・?なんのことかしら・・・)」

大きく膨れ上がっていたものがハチキレタ!!!!!
「お前・・・命をなんだと思ってるんだァァァァァッ!!!」

トシはこの瞬間能力が開花した!
まさにそれは王を倒すためだけに生まれてきた能力!瞬間的に超人的に力を発揮できる能力!

そして能力を見破る能力で王はトシを見つめ、つぶやいた・・・
「アレを食らったら私でも・・・」
突入の際、ドーム外の電光掲示板が光った。
「このドームは我々の手によって少々手を加え、さらには兵士達を置いた。
グラウンドに私、王がいる。グラウンドまでたどり着かないものは戦う価値なしということだ。
まぁせいぜいがんばってくれ。」

全く王の考えていることわからない!何を求めるためにはるばる地球まで来たのか!何がしたい!
そんな思いを胸に戦士達は歩を進めた・・・

いくらか進んだあたりで、修也は人数が減っていることに気づいた。
「(まさか・・・トラップ!?)」

「おい!足元に気をつけろ!トラップが仕掛けられているかもしれんぞ!」
修也は叫ぶものの、そのときにはもうすでに半数以上の戦士達が行方をくらましていた・・・

「敵が出てくることばかり気をとられていたから・・・」修也はつぶやいたまさにそのとき!地球到来の時に出てきた兵士がうじゃうじゃと前方をふさいだ!
言葉は通じないようだ!武力行使!修也は兵士を蹴散らすものの、他の戦士はアスタリスクウォッチでぐーたら生活を送っている人間!すぐにやられてしまった!


もう姉弟と修也の3人だけになってしまった。
しかし彼らは一歩一歩、歩を進め、グラウンドを目前にしたそのとき!

「ココから先は、選ばれたもののみ進める・・・」という声が聞こえた。

「日本語が使える・・・相当位が・・・レベルがあがったようだな・・・」修也はつぶやいた。
そして考えた・・・地球の運命をこの二人にさずけていいのだろうか・・・何者か良くわからないがまだまだやんちゃ盛りの子供だ・・・そんな無理をさせるわけには・・・と思い、彼らの表情をうかがう修也。


「・・・・・・」

そのには完全に前しか向いていない姉弟の姿があった。
修也は「彼らならもしかしたら・・・地球を・・・」と考え、そして・・・


「お前ら先に行け。こいつはオレが片付ける。そのスキを見てグラウンドに向かうんだ。」
「ありがとう、おっさん。」
「おっさんじゃない。お兄さんだ。まだまだ。」


軽くツッコむ修也。しかし、彼の腕は本物でスキなど簡単に作れた!そして姉弟はグラウンドに向かった!
そしてそこには、マラード星に君臨していた誇り高き王の姿があった・・・

「ようこそ決戦の地へ、我が子よ・・・」
決戦を5時間後に控えた戦士達が東京ドームに集結した。

姉弟はこの3ヶ月間でたくましく成長したが、他の戦士達はなんだかふくよかになっている・・・
「アスタリスクウォッチを悪用したんだな。」

姉弟以外にもちゃんと肉体を鍛え上げたと思われる男性が、小言のような彼らの耳に入るような小声で言った。

「オレは東郷。東郷修也。こう見えても格闘技はかなり極めたほうなんだ。」
「へえ、じゃあお兄さんに期待するね。」
「おうよ!」

そういう彼も表情はこわばっている。少しでもポジティブに考えを改め、気分を高めるつもりなのだろう。

「ハッキリ言うとさ・・・オレと君たち以外なんでも無い人のような気がするんだ。」
「え?僕たちが何者かわかるの?」
「いやそんなプライベートなことはわからんさ。でも、お前らはなんか他の奴らとは違う何かを持ってるような気がする・・・」

この男はすごかった。純粋な地球人なのに、トシと同じような能力を持っている!まさに戦うがために生まれてきた地球人といっても過言ではない!


そしてあっという間に5時間が過ぎた・・・とうとう決戦の時!7月20日0時00分!東京ドーム突入!