お客様はどこにいる? | ドルフィン企画~瀬戸内海クルーズのご案内~

ドルフィン企画~瀬戸内海クルーズのご案内~

弊社「ドルフィン企画」は貸切旅客船を使った瀬戸内海クルージングの商品を企画して旅行会社様に販売しています。

ここでは、主に瀬戸内海の隠れた観光素材を情報発信してゆきたいと思っています。

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ご訪問誠にありがとうございます!

本年も引き続きよろしくお願いいたします。
新年早々色々な事がありすぎて、私はすっかり思考停止しておりましたが、一応前年の計画通り新年の「初つぶやき」を述べますので、今年も変わらぬご愛読をよろしくお願いいたします。

昨年の秋だったか、どっかの知事が記者会見で電力会社が配当を復活させることに苦言を呈していた。
「昨今からの電気代の値上げで住民は生計を圧迫されているので、株主に配当を出すくらいなら先に電気料金を値下げしてほしい…」
なるほど、電気代は生活に必要なものだから利用者は文句言わずに支払うし、電気料金の設定に関して特に法的な(根拠はきちんとあるが)規制は実質ない。
ところが、株主は確実に株主総会などで「モノを言う」ので電力会社からするとどちらかと言えば、気にしてしまうのは株主の方になってしまうのだ。

これはシステムの問題なので一概に電力会社を責めることはできないし、実はこのようなシステムの「バグ(?)」とも言えるような事象が電力会社以外でも年々散見させるようになってきた。
本来、電力会社は電気利用者をお客様と見るべきだと私は思うが、もう既にこの考えは時代遅れなのかもしれない…(笑)

昨今バスドライバー不足の問題は大きくなっているが、これに地方鉄道存廃問題が見事にリンクして、結果的に公共交通の維持については行政が積極的に干渉しないといけないことが必要条件になって議論がスタートしている。
つまり大前提として利用者からの運賃収入では当該路線の経費が賄えないので、ここの段階で既にお客様が誰だか不明瞭になってしまっている。
これは言い換えれば、その路線や航路の運賃やダイヤを決定する際に利用者目線についての責任が不明瞭になってることを意味する。

少しわかりにくい言いまわしなので具体的に説明すると、運賃やダイヤは利用者の声を聴いて、利用者の利用しやすい設定にすべきが理想だが、実際には運行(航)事業者の効率的な運用(車両繰りや乗務員の勤務形態)などの理由で落としどころが探られ決められるものである。
ここでは、事業者の裁量で収益の高い路線だと事業者の都合の良いダイヤになったり、反対に更に収益を高めるために利用者が利用しやすいダイヤを設定したりする。
本来、ここでの決定権は経営者である事業者のみが利用者の声や動向を探りながら決定するものだが、どんなに頑張っても収益の見込めない路線の場合は様子が違ってくる。
儲からない路線ならやめればいいのだが、それでは利用者が困るので行政補助で運行を継続するようになると、ダイヤと運賃の決定に関して最も発言力を持つのはスポンサーである「行政」に変わってしまうのだ。
当然、行政は少しでも路線利用者が増えるように努力して、補助金が活かされるようにしないといけないのだが、これが上手くそうはなっていないケースが散見される。
そうなると事業者からすると利用者をどんなに乗せても収益には結びつかないし、運賃やダイヤはスポンサーである行政の意向を反映させないといけないので、利用者の声に耳を傾けないようになる、というか事業者からすると利用者の声を聴いたところでどうすることもできないのだ。

路線運営は行政補助という金の力で何とか解決しているが、金の力ではどうにもならないのがマンパワー不足の問題で、これに関しては未だに根本的な解決策が見当たらない。
昨年急に湧き出てきた問題の印象をお持ちの方が多いかもしれないが、コロナ禍前には既に問題化しており、私の肌感覚で10年前には問題視されていた。
しかし、当時は定年延長や再雇用などの「その場しのぎ」で人材確保ができていたので、年齢構成的に数年後には大変になるという認識があっても、どっかで「その日良ければすべて良し」という風潮が関係者にあり、コロナ禍でさらに問題化は4年延長され現在に至っている。

よくこの問題を大阪市営バス問題にひっかけ、当時の橋下何某市長を悪いように言う人がいるが、私は全く関係ないと思っている。
そもそも公共交通が社会に必要不可欠なインフラだと認識があり、戦後の混乱を極めた時期に需給調整をしたのだからそれ以来行政の責任で公共交通を管理すべきだった。
しかし、高度経済成長期にはほとんどの路線で高収益だったために路線運営が既得権益になってしまい、結果放漫経営が民営公営共にはびこってしまった。
そのような路線が急に赤字路線になってしまった時に、人件費などの経費を削減してしまうのは当たり前の方法であって、ここで見直すことは人件費を削減しないといけなくなった公共交通運営方法の問題だと私は思う。

要は人口減少をはじめ、車社会の到来や生活様式の変化など社会生活全体の影響を受ける公共交通の衰退は、20年前には予測できていたはずで、人材確保も含め単純に問題の先送りをしてきた結果なのだ。
例えば、並行のする高速道路が全線開通したら翌日には在来線を廃止する約束で高速道を作るべきで、そもそも過疎地で高速道路と鉄道を両方欲しがるのは贅沢な話で、それを言うなら人口を増加に転ずるべく政策を積極的に展開しないといけない。
そんな政策提案を都会からお金に釣られてやってきたコンサルに丸投げするのではなく、当事者が自らの手で作るくらいの気概がないと地方経済は維持できないだろう。

お客様を見失った公共交通がどこへ向かおうとしているのか?
事業者が明確な方針を打ち出さないと、従事者の確保は難しいだろう…