♪ レプ~リコンは、明・治 ♪
さて。
前回の「猫皿」に関連して、犯罪一般の話になるが、おれが何か特定の犯罪行為をしないのは、おれが理性の力で慾望を抑えているからというわけではない。
たとえば、おれが小動物を虐待したり、幼児に悪さをしたり、猫の皿を盗んだりしないのは、べつに「そうしたいのを理性の力でぐっとガマンしているから」ではなく、そもそも「そうしたい」という慾望がおれの裡に存在しないからである(少なくとも顕在化するレベルでは)。
そういう意味で、「幼児虐待」をする人間の心理は、おれには実感として理解できない。
・・・ということを、最近題名に惹かれて購入した、
『殺人依存症』『残酷依存症』『監禁依存症』(櫛木理宇著)
を読んで、あらためてそうおもった。
変・態 & 残・酷・性欲者の気持ちは、わからない、と。
同じく、Deep・Sやネオコン、鹿婆褸の心理も、根本的なところで理解不能だ。
どうしてこれほど「非人道的な欲望」を「是」と解釈しているのか。
だが、変・態 & 残・酷・性欲者と同様、
変・態 & 残・酷・支配欲者も、
現に存在する
のである。
そしてまさに、バイデン政権で息を吹き返した変・態 & 残・酷・支配欲者を軒並み駆逐すべく、今年の大統領選で(あるいは、それを待たずして)ドナルド・トランプが復活してくる。
先週ようやく読了した、西森マリー著、副島隆彦監修
『帰ってきたトランプ大統領 ~アメリカに“建国の正義”が戻る日』(2024.4.20第1刷)
は、「帰ってくる」ではなく「帰ってきた」という題名が示しているとおり、トランプの復活を予測(希望)しているのではなく、すでに確定された事項としてとらえている。
さらに、本著は、トランプが初当選してまだ間もない2017年2月に刊行された、
『ドナルド・トランプはなぜ大統領になれたのか?』(2017.2.24第1刷)
と内容的に地続きになっている。
やや以前に刊行された書籍だが、今回はこの『・・・なぜ大統領になれたのか?』をレビューしてみる。
初読は、2022年11月。
トランプの初当選当時、
「どうしてトランプなどという政治的シロウトのならずものが大統領になれたのだ?」
「アメリカ国民のきまぐれか?」
「そのうち政治も経済も破綻するよ」
「早々に辞めるだろう」
と考えていた多くの日本人に対し、
「トランプが当選したのは当然の帰結ですよ」
ということを、「現地アメリカでトランプの選挙活動を追い、激戦州の住民の声を聞いてきた」(P-3)著者が、優しく、丁寧に詳述している。
個人的な話だが、2016年の大統領選の前、おれは端的にトランプの当選を願っていた。
(周囲は、マスメディア報道に完全にやられて、トランプを否定、批難、揶揄するものばかりだった)
政治経済の詳しいことは分からなかったが、アメリカという国が「超富裕層(めっちゃ金持ち)」、今で言うDeep・Sに牛耳られていることは、堤未果などの著作を通じて学んでいた。
超富裕層に完全に取りこまれているヒラリーなんかが大統領になったら、さらに貧富の差は拡大し、Deep・Sを潤すためのTPPも施行され、その影響で日本の経済も文化も生活もガタガタになってしまう、と憂えていた。
へたをすると、戦争も起こるかもしれない、と。
ところが、ドナルド・トランプなる人物は、自身が富豪のビジネスマンで、Deep・Sの援助がなくても選挙活動が可能だという。
さらには、非干渉主義のナショナリストで、不合理なTPPの導入にも反対しているようである。
暗闇に希望の光が射したようだった。
リベラルエリートに属さない大多数のアメリカ人にとっては、さらに強力な光と映ったにちがいない。
おれは主にTPPを懸念していたくらいだったが、トランプ当選前のアメリカは、オバマケアや不法移民の問題等々々によって民衆の不満や絶望や憤怒が沸点に達しようとしていた。(オバマケアは、保険料を払ってもいない不法移民の医療費を中間層が負担するという制度だったので、両者の問題はつながっている)
それだけではない。
オバマ不況とよばれるものすべて。最低賃金の引き上げ。化石燃料業界つぶし。テロの擁護。難民受け入れ。軍隊・軍人軽視によるアメリカの弱体化。過剰なポリティカルコレクトネス、等々・・・。
MAGAを唱えて登場した“ブルーカラーの億万長者”であるドナルド・トランプは、これまでの政治屋の枠を大きく超えた、破格の経歴、破格の能力、破格の洞察力、破格の人望、破格の情愛、破格の魅力を兼ね備え、多くのアメリカ国民に塗炭の苦しみを与えていた破滅的な状況をすべて一掃し得る救世主として期待され、歓迎された。
さらに本書で強調されているのは、オバマの愚策(アメリカ破壊活動)だけではない。
民主党支持派(ざっくりと官僚、都会に住むリベラル・エリート、多くの芸能人、ジャーナリスト、効率学校の教師等が属する)と、共和党支持派(ざっくりと、中産階級・労働者階級)の絶望的な意識のギャップについてである。
典型的なのが、民主党が「環境保護」の立場からつぶそうとしている化石燃料業界に対する意識の差だ。
とくに炭坑作業員に対する箇所を、やや長くなるが、引用する。
民主党派やジャーナリストには、炭坑作業員の友達がいる人は恐らく一人もいないでしょうし、炭坑の町に取材に行ったことさえないでしょう。ですから、炭坑の町の人々の多くは祖父の祖父の時代から5世代にわたって炭坑で働いてきた人々で、炭坑作業員であることに誇りを持っている、という揺ぎない事実を知らないし、たとえ小耳に挟んだとしてもきっと信じられないはずです。
なぜならリベラルな都会の人々は「人間は皆、大学に行ってホワイトカラーの仕事に就きたいと思っている」と確信しているので、炭坑で働くなんて想像だにできないことですし、ましてやそんな仕事に誇りを持っている人が存在するなどということは、理性の枠を超えた不条理な次元でしかありえないことだからです。
エリートたちは、「石炭なんて過去の遺物で、炭坑なんで早く潰れればいい」と思っていて、失業した炭坑作業員に関しては、「炭坑みたいな危険で汚いところで働く代わりにクリーン・エネルギーの会社で働けることになるんだから、ありがたいと思え!」という態度で対応しています。炭坑の町の人々が「我々から職を奪っておいて、ありがたいと思え! だなんて、どうしてこんなに蔑まれなきゃならないんだ!」と怒りに震えるのも当然の成り行きでしょう。(P-52~53)
両者の間に横たわる埋め難い溝。
(まるで、変・態 & 残・酷・性欲者と、そうでない人との間の溝のように)
互いに歩み寄ることは困難だ。
このような乖離は、他の多くの局面でも顕在化された。
そして、自分の生活(や誇りや信条など)をおびやかされた共和党派の人々が、オバマの政策にまっとうに反対したとしても、
「オバマが黒人だからオバマの方策を批判するんだろう。おまえは人種差別主義者だ」
という侮蔑的な非難とともに、意見は一蹴されてしまうのだ。(この批判封じについては、近著『アメリカ衰退の元凶バラク・オバマの正体』でも繰り返し強調されている)
愚策がこういったギャップを生み、ギャップがオバマ(民主党政権)の愚策を補強していく。
もともと民主党支持のはずだった人たちまでが、リベラル政策のあまりの不合理、不条理、不公平さに愛想を尽かしているのに、愛想を尽かされているということにすら気づかすに快進撃をつづけているつもりのヒラリー陣営が、トランプのまえにものの見事に惨敗したのは、まさに当然のことだった。
アメリカでは選挙の度に「“あの候補は当選させたくない”というネガティヴな思いよりも、“この候補に投票したい”というポジティヴな思いのほうが動員力がある。しかしこの二つの感情を同時にかき立てられれば動員力はさらに増す」と言われています。
今回の選挙では、Make America Great Again というメッセージを訴えたトランプに“投票したい”と思った人々が、同時に“オバマの第三期を目指すヒラリーは絶対に当選させたくない”と思い、雨が降っても槍が降っても投票所に向かい、トランプを投票させた、といえるでしょう。(P-27~28)
嘆かわしいことに、日本のマスメディアは、トランプの実像は愚か、このような愚策がアメリカを破壊に導いていること、このような乖離があること、愚策に反対する国民が多数に昇ることをいっさい報道しないので、多くの日本人は、トランプの勝利がまるで何かの「誤り」であるかのように感じてしまったのである。
次回は、『帰ってきたトランプ大統領 ~アメリカに“建国の正義”が戻る日』を取りあげる。
じつは、この3冊のうち最初に読んだのが『監禁依存症』。
各々のストーリーは独立しているのだが、登場人物や背景は共通しているので、時系列に沿って読まないと隔靴掻痒の心持ちになる。ということで、他の2冊をあとからあわてて読んだ次第だ。オチが衝撃的なのは、やはり『監禁依存症』かな。3冊とも、闇に射す曙光にわななくべし。
ついでながら、明治製菓ファルマは、変・態&残・酷・企業に堕してしまったと思う。残念だ。モ○サントやファ○ザーとその点を張り合ってどうするんだ。